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診療科・部門紹介

遺伝子診療科

診療科の紹介

遺伝子診療科集合写真

遺伝子診療科では、がんに起きている遺伝子変化やがんのできやすい遺伝的な体質について専門的な診断と外来診療を行っています。

  • がんゲノム外来(100種類以上の遺伝子を網羅的に解析し、抗がん剤の選択を行う)
  • 遺伝外来(がんになりやすい体質についてのカウンセリングを行う)
  • 遺伝子関連検査(がん遺伝子パネル検査、遺伝性腫瘍の検査などの実施)

保険診療を中心として、先進医療、自費診療を含めた広い選択肢の中から、最も適した最新のがんゲノム医療、遺伝医療を提供しています。

診療科の特徴

がんゲノム外来

がんは遺伝子の変化によっておこる病気です。

がんの組織または血液を用いて100種類以上の遺伝子を一度に調べ、患者さん一人ひとりのがんの遺伝子の変化や生まれ持った遺伝子の違いを解析し、適応外薬(他のがんで使用されている薬)も含めて遺伝子変化に合った薬剤を探す個別化医療です。

がんゲノム外来
遺伝子解析

保険診療としてのがん遺伝子パネル検査は「がんゲノム医療中核拠点病院(全国13施設)」、「がんゲノム医療拠点病院(全国32施設)」及び「がんゲノム医療連携病院(全国211施設)」でのみ実施可能です(2023年11月1日現在)。

当センターは、2019年9月19日に付けで厚生労働省より「がんゲノム医療拠点病院」に指定されました。遺伝子診断部では、がん遺伝子パネル検査を希望される患者さんを対象とした「がんゲノム外来」を開設しています。この外来は、がんの種類を問わず受診でき、ゲノム医療を専門とする医師から、がん遺伝子パネル検査について詳しく説明します。 当センターでは、当センターの患者さんの結果と連携病院の患者さんの結果を専門家会議において検討し、最適と思われる治療薬や遺伝性疾患の可能性を評価します。遺伝子パネル検査は、当センターと地域の窓口である以下の連携病院でも受けることができます。

  • 千葉大学医学部附属病院
  • 総合病院国保旭中央病院
  • 国保直営総合病院君津中央病院
  • 船橋市立医療センター

詳しく知りたい方へ

【がん遺伝子パネル検査について】

遺伝子パネル検査には下記の5種類があります。いずれも保険診療であり、先進医療や自由診療ではありません。費用はいずれも56万円です。三割負担の場合自己負担額は約17万円です。高額療養費制度の利用により、自己負担はさらに抑えることが可能です。

<検査についてのお問い合わせ先>

  • 医療機関からの、検査申込、初診予約、検体送付などについて
    地域連携室 043-264-5633(直通)

  • 患者さん・ご家族さまなど個人からの検査についてのご質問
    がん相談支援センター 043-264-6801(直通)

検査名 NCCオンコパネル

Foundation

One CDx

GenMine

TOP

Foundation

One Liquid

CDx

Guardant

360 CDx

検体 腫瘍組織と全血 腫瘍組織 腫瘍組織と全血 血漿 血漿
腫瘍組織の遺伝子数
血球の遺伝子数
124 324 DNA 737 / RNA 455 - -
血漿の遺伝子数 - - - 324 74
血球の遺伝子数 124 - 40 - -
変異が生殖細胞系列由来かの区別 124遺伝子できる できない 40遺伝子できる できない できない
TMB / MSIの測定 TMB有り / MSI有り TMB有り / MSI有り TMB有り / MSI無し TMB有り / MSI有り TMB無し / MSI有り
検査実施から結果説明まで 約6週間 約6週間 約6週間 約5週間 約4週間
注意事項 ・検体量が少ない生検に強い
・遺伝性腫瘍の診断に有用(40歳未満の発症、癌家族歴が多い方)
- ・検体量が多く必要
・遺伝性腫瘍の診断に有用(40歳未満の発症、癌家族歴が多い方)
薬物療法がPDになり次の薬物を投与する直前、放射線照射終了3-5日後の採血を推奨。 薬物療法がPDになり次の薬物を投与する直前、放射線照射終了3-5日後の採血を推奨。
詳しい内容 シスメックス(株)

中外製薬(株)(PDF:2,302.4KB)

コニカミノルタ株式会社 中外製薬(株)(PDF:2,302.4KB) ガーダントヘルスジャパン(株)のホームページをご参照ください。

【パネル検査の対象となる】

治療薬選択
  • 標準的な治療が効かなくなった再発・進行した固形がん、標準治療のない稀少がんや原発不明がんなど。
  • 全身状態、臓器機能などから検査の結果に基づいた抗がん剤治療を実施できる方。

【外来担当医師】

  • 横井 左奈(臨床検査専門医、ジェネティック・エキスパート)

【受診方法】

  • 当センターを受診中の方
    主治医にお申し出ください。

  • 当センター以外の病院に通院中の方

    1.主治医に申し出る。
    2.通院中の地域連携室から当センターの地域連携室に連絡を入れてもらい初診予約をする。
    3.紹介状を持って当センター各診療科を受診し、検査が適しているか確認を受ける。
    4.当センターがんゲノム外来を受診し、詳しい説明を聞き、検査を受ける。
    5.5~6週間後、当センターがんゲノム外来にて結果説明を聞く。
    6.主治医と相談して治療を開始する、または臨床試験に参加する。

【患者さんをご紹介いただく医療機関の方へ】

<検査申込に必要な書類>下記に沿って患者さんの紹介状をご準備ください。

<検査実施後に使う書類>この検査では、国の指示により、検査終了後から三ヶ月毎に患者さんの追跡調査が行われます。ご協力をお願いいたします。

遺伝外来

がんになりやすい体質についての遺伝カウンセリングを行います。

遺伝子診断外来風景

がんの約20人に1人は、遺伝的な体質によりがんを発症します。遺伝外来では、ご本人とご家族のがんについて詳細にお尋ねし、遺伝の体質をもつかどうか遺伝子を調べて診断します。ご本人はもちろん、兄弟姉妹やお子様への体質の遺伝についても診断し、今後気を付けるべきがんについて対策を立てます。おひとり1時間の予約枠で、臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラーが遺伝カウンセリングを行います。これまでのカウンセリング件数は2000件をこえました。

【対象となる方】

がんの遺伝にまつわる不安や悩みをお抱えのかたはどなたでも対象となります。がんの種類を問わず、またがんではないご家族のかたも受診できます。例えば、若くしてがんになったかた、家族の多くががんを発症しているかた、一人で何度もがんになったかたは、がんになりやすい体質を持っているかもしれません。気になることがある場合はお問い合わせください。

【対象となる疾患】

遺伝性乳癌卵巣癌症候群、リンチ症候群、リ・フラウメニ症候群、ポイツ・イエガース症候群、家族性大腸腺腫症、多発性内分泌腫瘍症、バート・ホッグ・デュベ症候群などです。詳細は下記の診療実績をご参照ください。

【診療実績】

遺伝性乳癌卵巣癌症候群、Lynch症候群、Li-Fraumeni症候群、Peutz-Jeghers症候群、家族性大腸腺腫症、多発性内分泌腫瘍症1型、多発性内分泌腫瘍症2型、遺伝性網膜芽細胞腫、Birt-Hogg-Dube症候群、神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、ポリメラーゼ校正関連ポリポーシス、常染色体優性多発性囊胞腎、遺伝性paraganglioma、Von-Hippel-Lindau病、家族性GIST、Cowden症候群、家族性びまん性胃癌、鋸歯状ポリポーシス、先天性ミスマッチ修復欠損症候群、PALB2変異陽性膵癌、ATM変異陽性前立腺癌、Fanconi貧血、多発性骨軟骨腫、遺伝性肺癌、MUTYH関連ポリポーシス、マルファン症候群、眼瞼裂狭小-眼瞼下垂-逆内眼角贅皮症候群、von Willebrand病、家族性地中海熱(疑い例を含む)

【遺伝学的検査】

〈保険診療〉

遺伝についてイラスト
  • BRACAnalysis(条件に該当する方を対象に実施するBRCAの検査です。)
    条件 について(PDF:1,187.5KB)
  • MEN1、RET、RB1の遺伝学的検査
  • リンチ症候群のスクリーニング検査としてのMSI検査、ミスマッチ修復酵素の免疫染色検査
  • がん遺伝子パネル検査(がんゲノム外来を参照)

〈自費診療〉

  • 単一遺伝子の検査
    特定のがんのなりやすさに関わる遺伝子を個別に調べます。遺伝性腫瘍と診断された方の兄弟・子どもの遺伝学的検査ができます。価格は9900円から。
  • 遺伝性腫瘍のパネル検査(マルチジーンパネル検査)
    さまざまながんのなりやすさに関わる複数の遺伝子を一度に調べます。当院では最大84遺伝子のマルチジーンパネル検査の取り扱いがあります。価格は12万円から。診察の上、最適な検査をご提案いたします。

〈臨床研究〉

  • 埼玉県立がんセンターと共同研究でリンチ症候群の確定診断を行っています。※検査費は無料です。

【遺伝外来診療日】

月曜日午後、火曜日午前午後、水曜日午前、木曜日午前午後(祝祭日・年末年始を除く)

【担当医師等】

  • 横井 左奈(臨床遺伝専門医・指導医、遺伝性腫瘍専門医)
  • 鈴木 綾子(認定遺伝カウンセラー)
  • 小原 令子(認定遺伝カウンセラー)

【受診方法】

遺伝外来は完全予約制です。お電話(043-264-5431)にて、遺伝子診断部に直接ご予約ください。

(予約担当:鈴木)

外来受診イラスト

【受診予定の方へ_ご準備頂く書類について】

遺伝的な体質を考慮し診察するために、ご家族(血縁者)のがん罹患歴などの情報が重要です。可能な限り、受診前に家系情報を収集していただけると診療がスムーズです。 ご自身やご家族が、すでに遺伝性腫瘍と診断を受けている場合は、遺伝学的検査の結果のコピーをご持参ください。

遺伝子関連検査

がんゲノム医療、遺伝医療に必要な遺伝子関連検査を実施します。保険診療を中心として、先進医療、自費診療を含めた広い選択肢の中から、最も適した最新の遺伝子診断を提供しています。臨床検査専門医とゲノム解析の博士号を有する臨床検査技師が主に担当します。手術や内視鏡検査時に切除されたがん組織を用いて行いますが、リキッドバイオプシー(血清、血漿、脳脊髄液)検体、院外の検体にも対応しています。通常の外注検査では検出できないゲノム異常も、dHPLC、fragment解析、DNAメチル化解析などの分子遺伝学的手法により解析しています。また、委託先がない場合でも、診療上の必要性に応じて新たな解析系を作ることに協力しています(応相談)。

dHPLS解析
検査風景2
検査風景3
遺伝子検査項目
体細胞遺伝子検査
  • 体細胞遺伝子パネル検査(NCCオンコパネル、FoundationOne CDxなど)
  • マイクロサテライト不安定性(MSI)検査
  • EGFR, KRAS, BRAF, c-KIT, IDH1/2, ALK変異、HER2増幅
  • ALK, ROS1, RET, SYT-SSX1/2転座
  • MGMT promoterメチル化(先進医療)、1p, 19q LOHなど
生殖細胞系列遺伝学的検査
  • BRACAnalysis検査
  • 生殖細胞系列遺伝子パネル検査(VistaSeqなど)
  • RET, MEN1, BRCA1/2, TP53, STK11, PTEN, CDH1, c-KIT, PDGFRA, CHEK2, PALB2, MLH1, MSH2, MSH6, PMS2, EPCAM, APCなど

医師のご紹介

遺伝子診療科部長

横井医師
横井 左奈(よこい さな)
【指導医、専門医、認定医など】
  • 日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医・指導医
  • 日本臨床検査医学会 臨床検査専門医
  • 日本遺伝子診療学会 ジェネティック・エキスパート
  • 日本遺伝性腫瘍学会 家族性腫瘍カウンセラー
  • 日本癌学会 評議員
  • 日本疫学会 代議員
  • 日本外科学会 認定登録医
  • 日本医師会 認定産業医
【専門分野/得意分野】
  • ゲノム医療、遺伝性腫瘍、遺伝子診断、遺伝カウンセリング