発がん制御研究部
2022年10月1日に着任させていただきました上久保靖彦と申します。1996年に兵庫医科大学を卒業し、同年京都大学付属病院第一内科に入局、兵庫県立尼崎病院で内科研修医、血液内科専攻医として、白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など血液悪性腫瘍臨床を主に担当させていただきました。その後京都大学大学院医学研究科(内山卓教授)に進学し、堀利行講師のご指導の下、新規細胞周期チェックポイント遺伝子:kpmの単離とその機能解析をテーマとし学位(医学博士)を取得いたしました。
2004年~2009年ヒトゲノムプロジェクトの公的陣営である米国立衛生研究所(NIH)・国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)に博士研究員として、フランシス・コリンズ所長&ポール・リュー博士のご指導の下、白血病ノックインマウス(Inv16変異マウス)を6種類樹立し、Inv16白血病の治療ターゲットを同定しました。癌抑制遺伝子RUNXの不完全な抑制は白血病を促進しますが、完全に抑制するとむしろ白血病を抑制できること(白血病における癌抑制遺伝子の逆説的要求性)を発見し提唱いたしました。
2009年東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター・放射線分子医学講座(宮川清教授)に助教採用、その後同門である東大病院無菌治療部(黒川峰夫教授)へ移動、助教・フロアマネージャーとして血液腫瘍の臨床・教育に従事させていただきました。研究は東京大学血液・腫瘍内科学講座・第6研究室室長に採用いただき白血病発症機構の研究を継続いたしました。
2012年に大阪大学大学院医学系研究科遺伝子治療学講座(金田安史教授・現大阪大学理事・副学長)に助教採用いただき、遺伝子治療学の研鑽を積みました。大阪大学では、多彩な固形腫瘍にも研究対象を広げ、創薬開発法を学ぶことができたことより創薬にも研究を広げることができました。
2013年京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻准教授、2018年より特定教授として採用されました。癌・創薬イノベーション研究室を主催し、対象癌として、白血病(急性骨髄性白血病:AML、急性リンパ性白血病:PhALL、慢性骨髄性白血病:CML)だけではなく、血液腫瘍ではリンパ腫、固形腫瘍では膵癌、大腸癌、TNBC:トリプルネガティブ乳癌、胃癌(Her2胃癌)、肺癌(EGFR野生型非小細胞性肺癌)、ダブルネガティブ前立腺癌、腎癌(RCC)、食道癌、脳腫瘍では悪性膠芽腫(GBM:悪性グリオブラストーマ)、髄芽腫、小児癌ではMRT(悪性ラブドイド腫瘍)、神経芽細胞腫、骨肉腫まで幅広く研究対象を広げることができました。
これらの癌は、私が提唱する癌抑制遺伝子RUNXファミリーを包括的に抑制すること(CROX法:Cluster Regulation Of RUNX法と命名)で細胞増殖を抑制することが可能です。CROX法により、抗腫瘍免疫も生体内で活性化し、また転移が強力に抑制されますので、その抗腫瘍における万能性を現在テーマとし研究を続けています(万能制癌性と命名)。
千葉県がんセンターには、新規三次元培養法を用いた研究、がんゲノム研究、マウスモデル研究など多彩な世界的な専門家が集積しています。今後は千葉県がんセンター病院、研究所各部門と共同し多彩な技術をさらに用いることで、千葉県から世界に新しく革新的な研究、特にオリジナルな万能制癌コンセプトを発信できるように日々努力いたします所存です。県民の皆様からも、これまで以上に温かい応援をいただけますよう重ねてお願い申し上げます。
メンバー
部長 | 上久保 靖彦 |
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研究員 | 渡部 隆義 |
プロジェクト紹介
編集中
最近の主な業績
編集中