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更新日:令和5(2023)年3月23日
ページ番号:572012
根こぶ病菌があぶらな科植物の根に感染してコブを形成し、肥大させることで植物の地上部が萎れたり枯れたりする病気です。根こぶ病菌は、土壌中に数年残り、トラクターや長靴についた土の移動や降雨などを通じて周辺の圃場にも広がります。根の症状であるため、発病に気づきにくく一度発病すると防除が難しい病気です。
根こぶ病に感染した株は、萎凋し生育が悪くなります。その株を抜いて根を確認すると、根にこぶが付いています。
図1.萎れて、生育が劣るキャベツ
(JPG:463.3KB)
図2.発病した株の根
※画像をクリックすると、大きい画像が表示されます。
地温が18度以上になると休眠胞子として土壌中で生存していた根こぶ病菌が第1次遊走子となり土壌中に広がり移動して、あぶらな科植物の根に感染して増殖します。その後、第2次遊走子を放出し、宿主の根に再度感染して発病します。このときこぶが形成され、こぶの腐敗等により休眠胞子が土壌中に拡散し、菌密度が増えていきます。
(PNG:62.3KB)
図3.根こぶ病菌の生活環(令和4年版千葉県農作物病害虫雑草防除指針より)
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根こぶ病の防除では、圃場内に根こぶ病菌を持ち込ませないことが大切です。その上で、薬剤だけに頼ることなく総合的に防除しましょう。ここでは、それぞれの防除について紹介します。
周囲のあぶらな科雑草を防除し、雑草による増殖と感染を防ぎましょう。
根こぶ病は、酸性を好むため石灰資材などを使用してpH6.5以上に矯正し、根こぶ病が活動しにくい環境を作りましょう。
根こぶ病菌の遊走子は、水分があると泳いで移動し感染株を増やしていくので、水はけの良い圃場を選ぶように心がけましょう。水はけの悪い圃場では、明渠や暗渠を設け土壌改良資材の散布などで改善しましょう。
エンバクや葉ダイコンなどのおとり作物を使用し、根こぶ病菌の密度を下げましょう。おとり植物とは、根こぶ病に感染するが、こぶを作らず病原菌を減らす効果がある植物のことです。
根こぶ病は、あぶらな科植物で発病するため、次作はあぶらな科以外の作物を栽培し連作を避けましょう。
根こぶ病の耐病性品種や抵抗品種を作付けし、被害を抑えましょう。
栽培するあぶらな科植物に登録のある根こぶ病用殺菌剤を使用し防除しましょう。
トラクターなどの機械や長靴等の洗浄を行い、圃場へ汚染された土を持ち込まないように心がけましょう。また、圃場内で生育が悪い場所は一株抜いて根を観察し、こぶが着いていたら直ちに抜き取り圃場外へ持ち出しましょう。そして、根こぶ病の被害が大きい圃場では作型を変更したり作付けをせず畑を休ませたりしましょう。
上記4.で対策を紹介しましたが、防除には時間とコストがかかります。そこで、前作の根こぶ病の発病レベルに応じて防除体系を考えましょう。
【レベル1】:発病していないor発病が軽度
【レベル2】:圃場の所々に発病がみられる
【レベル3】:圃場一面に発病がみられる
【レベル1】 | 【レベル2】 | 【レベル3】 |
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根こぶ病は、発病してからでは対策が難しく、作型や品目の変更等を余儀なくされます。農器具や長靴の洗浄、雑草防除を徹底し、根こぶ病を圃場内に持ち込まないことを意識しましょう。また、費用と労力の負担を減らすために、圃場の発病レベルに合わせた対策を行い効率よく防除しましょう。
初掲載:令和5年3月
海匝農業事務所
改良普及課銚子グループ
普及指導員
田上 陽美
電話番号:0479-62-0334
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