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更新日:令和5(2023)年9月13日
ページ番号:603724
秋耕とは稲刈りが終わってからの秋の間に耕うんを行い、稲わらや稲株をすき込むことです。秋耕をしっかりと行うことで以下のような効果が得られ、翌年の収量や品質の向上が期待できます。
秋耕を行うことで以下のような効果が期待できます。
(1)稲わらの腐熟促進
水田ほ場の稲わらの腐熟を促進することができます。腐熟を促進することで、翌年の代かきを行いやすくすること、水稲の生育に必要なケイ酸等を土壌に還元させる及び水田の保水力の向上や肥沃度の向上を図ることができます。
(2)メタンガスの排出量削減
メタンガスは、二酸化炭素に次いで地球温暖化に及ぼす影響が大きい温室効果ガスであり、温室効果は二酸化炭素の約20倍あるといわれています。また、国内で排出されるメタンガスの約4割は水田から発生していると報告されています。
メタンガスは、水田が湛水状態の環境下で稲わら等の有機物が分解されることで発生します。そのため、秋耕により腐熟を促進することでメタンガスの排出が削減できます。
土壌微生物の活動が盛んな気温の高い時期に秋耕することで、効果的に腐熟させることができます。
(3)水稲の移植後のガス害対策
秋のうちに稲わらを十分に腐熟することで、ガス害の原因となる硫化水素の発生を抑制できます。ガス害は、気温の高くなる5月~6月頃に発生し、移植後の水稲の初期生育が遅れることで減収になります。
そのため、秋耕は温室効果ガス排出削減と水稲経営の面でも効果があり、持続的な農業を展開していくためにも重要な技術です。
写真1 1回目の秋耕
写真2 耕耘後のほ場
(4)スクミリンゴガイ(俗称、ジャンボタニシ)の物理的防除
スクミリンゴガイは越冬するために秋から冬にかけて、水田の土壌中で休眠しています。最も土壌が締まり土壌内で身動きがとりづらい稲刈り後、1回目の秋耕の際に、トラクターの作業速度は時速1.3~1.5キロメートルと遅くし、ロータリー回転はPTO回転約800rpmと速くすることが重要となります。そのように耕うん作業をすることで、貝が破砕されやすくなり殺貝効果が最も高まります。
(5)難防除性雑草オモダカ等の耕種的防除
難防除性雑草であるオモダカとクログワイは塊茎による繁殖を行いますが、秋耕を行うことで地上部の埋没や塊茎の切断を行うことで、繁殖を抑制することができます。また、再生する雑草には除草剤(非選択性除草剤)と組み合わせることで効果が高まります。稲刈り後、雑草が再生したら気温の高いうちに非選択性除草剤を散布し、1カ月程度後に耕うんしましょう。
※ ナガエツルノゲイトウが発生している水田ほ場については、以下のページを参考に秋季防除を行ってください。
ナガエツルノゲイトウの秋季防除について (クリックするとページが表示されます)
初掲載:令和5年9月
山武農業事務所
改良普及課 南部グループ
普及技術員 玉理 温基
電話番号:0475-54-0226
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