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更新日:令和6(2024)年1月10日
ページ番号:626147
「高密度播種苗技術」とは、苗箱1枚あたりに播種する種子の量を多くすることで、移植時に必要な育苗箱数を減らす技術です。10アールあたりに使用する苗箱枚数が減り、育苗作業の省力化が期待できます。ここでは、高密度播種苗技術の導入における新たなメリット、注意点や実証事例をご紹介します。
※なお、基本的な技術概要やメリット・デメリット等については、既に記述しているページがあります。
フィールドノート平成29年12月「高密度播種苗栽培で省力化!」
こちらをご覧ください。
高密度播種苗技術による育苗箱枚数の削減により、育苗ハウスの不足という問題を解消できます。
近年、高齢化等により離農者が増加し、管理ができなくなった農地が担い手へ集積し、1経営体あたりの管理面積が急増しています。また、育苗ハウスの面積が限られていることで、規模拡大が予定通りに進まない事例もあります。このような規模拡大への対応の方法として、育苗ハウスを増設または2回転・3回転させるのではなく、高密度播種苗技術により使用する苗箱枚数を減らすことで、現有の育苗ハウスのみで対応が可能となります。
病害虫防除における育苗箱施用剤の使用では、10アールあたりの苗箱枚数の把握と散布量に注意が必要です。
近年の水稲栽培では、病害虫防除の省力的な方法として、移植前の育苗箱に農薬を散布する育苗箱施用という技術が普及しています。育苗箱施用剤では、農薬の種類によって育苗箱あたりの散布量を変える場合があるため、10アールあたりの苗箱枚数を把握している必要があります。
例えば農薬のラベルにおいて、「高密度には種する場合は10アール当たり1キログラム (育苗箱1箱当り50~100グラム)」という表記がある場合、以下のように散布量が変わります。
育苗箱施用剤を使用する際には、10アールあたりの苗箱枚数をしっかり把握して使用しましょう。また、農薬を散布する際にはラベルをよく確認し、記載されている内容を守って使用しましょう。
香取郡東庄町における高密度播種苗技術の収量試験の結果を紹介します。
目的:慣行播種量と高密度播種苗技術の収量比較
表1高密度播種苗技術実証試験の概要(令和2年)
項目 | 試験区 | 慣行区 |
---|---|---|
品種 | アキヒカリ | アキヒカリ |
播種量 (箱あたりグラム) |
250 | 180 |
使用苗箱枚数 (10アールあたり枚数) |
12 | 16 |
播種日 | 3月23日 | 3月23日 |
移植日 | 4月22日 | 4月22日 |
育苗日数 | 30日 | 30日 |
※1両区ともに苗は健全であり、老化等の症状は見られなかった。
使用苗箱枚数は25パーセント削減した一方で、収量は慣行と同等でした。
表2高密度播種苗技術実証試験の結果(令和2年)
調査区 | 坪刈り収量 (10アールあたりキログラム) |
倒伏程度 |
---|---|---|
試験区 | 676 | 3.0 |
慣行区 | 647 | 3.5 |
試験において、10アールあたりの苗箱枚数が16枚から12枚に減ったことで、経営面積である20ヘクタール分で800枚の苗箱が削減されました。これにより、200平方メートルの育苗ハウス1棟分の余裕ができました。
初掲載:令和5年12月
香取農業事務所
改良普及課 東部グループ
普及指導員 濱端 柊平
電話番号:0478-52-9195
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