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更新日:令和6(2024)年10月25日
ページ番号:453475
サツマイモ産地では、連作障害やセンチュウ害の予防による外観品質の向上のため、緑肥作物の導入が行われていますが、マメ科作物が多く利用されています。地上部は粉砕処理をする等により土中にすき込まれ飼料としての活用はありませんでした。
そこで、緑肥としてセンチュウ対策にも効果があるとされる飼料用エンバク「スナイパー」を早掘りサツマイモほ場の収穫後に作付け、センチュウ抑制効果を確認するとともに、エンバクを飼料として利用できないか検討しました。
成熟期に達した11月27日において、9月16日は種では草丈が121センチメートルに達したのに対し、9月28日播種では37センチメートルにとどまり、9月16日は種に比較し、収量は12パーセントとなりました(表1)。
10アール当たり10キログラムは種区と8キログラム区を比較したところ、草丈に差はなく、10アール当たり収量は8キログラム区では10キログラム区の96パーセントとなり10キログラム区とそん色ない結果となりました(表1)。
は種日 | は種量(10アールあたりキログラム) | 草丈(センチメートル) | 坪刈り調査(10アールあたりキログラム) |
---|---|---|---|
9月16日 | 10 | 121 | 3,297 |
9月16日 | 8 | 121 | 3,176 |
9月28日 | 10 | 37 | 393 |
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写真1.播種日の違いによる成熟期の草丈
収穫ロール個数は10アール当たり平均3.1個となり、収穫量は10アール当たり942キログラムでした。収穫時の刈り取り高さは平均20センチメートルでした。切断面での残存部分と収穫部分の乾物割合を調査したところ、3対7となり収穫時のエンバクの30パーセント(10アール当たり310キログラム)はほ場に残り、サツマイモに対しても十分な有機物が供給されていることがわかりました。
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写真2.収穫時の切断の高さと乾物重の割合
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写真3 一体型ロールベーラーによる収穫の様子
エンバクは種区、無は種区について、それぞれ地表面から20センチメートル、40センチメートル、60センチメートルの深さの土壌をは種前及び収穫後に採取し、エンバクは種区、無は種区のセンチュウ調査をしました (表2)。
エンバクは種区においては、収穫後にセンチュウの増殖が抑制されていることが確認できました。
表2.ネコブセンチュウの抑制効果(土壌20グラムあたりの頭数)
注)調査時期:は種前:9月16日、収穫後:1月21日
飼料分析の結果は表3のとおりとなりました。ダイレクト収穫のため、やや水分含量は高いものの、 Vスコア(発酵品質)は96点となり品質の高いサイレージを収穫することができました。
項目 | 現物中 | 乾物中 |
---|---|---|
pH | 3.77 | - |
水分(パーセント) | 77.07 | - |
粗蛋白質(パーセント) | 1.74 | 7.57 |
分解性蛋白質(パーセント) | 1.35 | 5.87 |
非分解性蛋白質(パーセント) | 0.39 | 1.7 |
溶解性蛋白質(パーセント) | 1.26 | 5.5 |
結合蛋白質(パーセント) | 0.18 | 0.8 |
TDN(パーセント) | 12.07 | 52.65 |
ADF(パーセント) | 10.15 | 44.28 |
NDF(パーセント) | 15.6 | 68.03 |
NFC(パーセント) | 2.99 | 13.06 |
粗脂肪(パーセント) | 0.7 | 3.05 |
硝酸態窒素(パーセント) | 0.003 | 0.015 |
(1)エンバクのは種量は10アール当たり8キログラムで飼料として十分な収量を得ることができますが、効果的なセンチュウ対策には10アール当たり10キログラムのは種量が推奨されています。
(2)エンバクのは種は、センチュウの増殖が活発である、気温の高い9月中旬までに実施する必要があります。また、は種が遅れると草丈が伸びずに目標収量が確保できません。
(3)エンバクを飼料用目的のみで栽培する場合は、飼料作物栽培利用技術必携を参考に8月中旬から9月上旬には種するとともに、千葉県飼料作物奨励品種を利用してください。
(4)エンバクは、湿害の影響を受けやすいので、排水性の悪いほ場では排水対策が必要となります。
(5)ダイレクト収穫の場合、サイレージ中の水分含有量が高くなるため、収穫時期を遅らせてエンバクの水分含有率を低下させることが推奨されます。また、刈り取り後余乾し収穫する場合は、天候とほ場の状態を確認し刈り取り時期を決めることが求められます。
初掲載:令和3年8月
印旛農業事務所
改良普及課八街・富里グループ
普及指導員 岸田雅弘
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