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更新日:令和6(2024)年8月5日
ページ番号:439796
水稲の穂肥・倒伏軽減剤を適期に適量施用するためには、以下のような生育診断を行います。
本記事では、穂肥の施用量および倒伏軽減剤の要否の判断が難しい「コシヒカリ」の生育『量』診断について解説します。生育『ステージ』診断については、令和元年6月掲載の「生育診断による穂肥の実施」で解説しているので、参考にしてください。
多いほど籾数が多くなり、場合によっては過剰になります。
調べ方:1株当たりの茎数を計測し、平方メートル当たり株数を乗じて算出します。
水稲が吸収した窒素成分の多少の目安です。窒素成分は光合成をする葉緑素を構成する物質であり、葉色が濃いほど生育がより旺盛になりますが、適正範囲を上回ると過繁茂や倒伏に繋がります。
調べ方:葉色カラースケールやSPAD計(葉緑素計)などを用いて計測します。
高いほど倒伏しやすくなります。
調べ方:中庸な株の中で、丈が最も高い茎の地際からの高さを計測します。
図. 倒伏して穂発芽している様子
判定 |
(1)平方メートル当たり茎数×(2)葉色(SPAD値) |
(3)草丈 |
予測される生育・収量 |
穂肥(窒素量)の対応 |
倒伏軽減剤の対応 |
---|---|---|---|---|---|
A |
16,000以下 |
70センチメートル未満 |
・倒伏は避けられる。 ・籾数が不足し、減収する。 |
・増量 ・時期を早める |
不要 |
B |
16,000から20,000 |
70センチメートル未満 |
穂肥により、目標通りの生育が期待できる。 |
・標準 |
不要 |
C |
16,000から20,000 |
70~80センチメートル |
穂肥により、 ・目標とする籾数確保を確保できる。 ・稈長が伸び、倒伏が心配される。 |
・標準 |
要 |
D |
20,000から27,000 |
75センチメートル未満 |
穂肥により、 ・倒伏の心配はない。 ・籾数が過剰になる。 |
・減量 ・時期を遅くする |
不要 |
E |
20,000から27,000 |
75~82センチメートル |
・穂肥により籾数過剰になる。 ・穂肥を施用しなくても稈長が伸び、倒伏が心配される。 |
・施用しない |
要 |
※ 「稲作標準技術体系」(千葉県・千葉県農林水産技術会議 平成26年3月)より引用
砂土:標準穂肥窒素10アール当たり3から4キログラム
平方メートル当たり株数:18株
株当たり茎数:35本
葉色カラースケールによる群落葉色値:3.5
草丈:68センチメートル
平方メートル当たり18株×株あたり茎数35本=平方メートル当たりの茎数630本
SPAD値は、【葉色カラースケール値×7.8+1.6】(※)で算出することができます。
(※)「稲作標準技術体系」(千葉県・千葉県農林水産技術会議 平成26年3月)107ページ「葉色票と葉緑素計の関係」より引用
葉色カラースケール値3.5×7.8+1.6=SPAD値 28.9
(1)×(2)=18,207
(1)×(2):「16,000から20,000」に該当します。
(3)草丈:「70センチメートル以下」に該当します。
よって、判定は「B」となるので、穂肥を10アール当たり3から4キログラム施用し、倒伏軽減剤の施用は必要ありません。
壌土:標準穂肥窒素10アール当たり3キログラム
平方メートル当たり株数:18株
株当たり茎数:40本
葉色カラースケールによる群落葉色値:4
草丈:80センチメートル
平方メートル当たり18株×株あたり茎数40本=平方メートル当たりの茎数720本
葉色カラースケール値4×7.8+1.6=SPAD値 32.8
(1)×(2)=23,616
(1)×(2):「20,000から27,000」に該当します。
(3)草丈:「75から82センチメートル」に該当します。
よって、判定は「E」となるので、穂肥は施用せず、倒伏軽減剤を施用します。
以上のように、生育『ステージ』診断と併せて生育『量』診断を行い、適切に穂肥と倒伏軽減剤を施用しましょう。
初掲載:令和3年6月
山武農業事務所 改良普及課
普及指導員 山口佳太
電話:0475-54-0226
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