腸管出血性大腸菌
- 菌の特徴
- 潜伏期間・症状
- 主な原因食品
- 予防の方法
腸管出血性大腸菌は、家畜などの糞便中に時々見られ、糞便や糞便に汚染された水や食品を介して食中毒・感染症を引き起こします。
国内では、焼肉店などの飲食店や、食肉販売業者が提供した食肉を、生や加熱不足で食べて感染する事例が多くなっています。食肉の他にも、団子などの菓子類、生食用野菜や浅漬による食中毒も発生しています。
- 平成28年8月には、千葉県内及び東京都内老人ホームで「きゅうりの和え物」を原因とする死者10名を伴う重大な食中毒事件が発生しました。
- 平成28年10月から11月には、一般家庭で「冷凍メンチカツ(加熱を要するそうざい半製品)」を原因とする食中毒事件が発生しました。
腸管出血性大腸菌は100個程度の少量の菌数でも感染すると言われています。
- 潜伏期間は、3日から8日です。
- 主な症状は、頻回の水様便、激しい腹痛を伴う血便です。
- まれに、溶血性尿毒症症侯群(HUS)や脳症などの重症合併症を発症することがあり、小児や高齢者は注意が必要です。
- 成人の感染では、全く症状がないものから軽い腹痛や下痢のみで終わることがありますが、症状が無くても便には菌が混じって排泄されていますので、家族に感染を広げないよう十分な注意が必要です。
- 食肉の生食
- バーベキュー、焼肉、食肉調理品(例:メンチカツ、ハンバーグ)などの肉料理の加熱不足
- 腸管出血性大腸菌に二次汚染された食品
- 食肉類は中心部までよく加熱して食べる。(中心部が75℃、1分以上の加熱)
注意:食肉調理品(メンチカツやハンバーグなど、挽肉を使用した製品)であって、未加熱の状態で販売されているものも、中心部の色が変化するまで十分に加熱する必要があります。表示内容をしっかり確認してください。
- 生肉を触った後の手指、調理器具はよく洗浄して、消毒する。
注意:衣が付いた加熱を要する製品(カツ類、フライ類等)を触った後も同様です。
- まな板等の調理器具は用途別に使い分ける。
- 焼肉をする時は、生肉を取り分ける箸(トング)と焼き上がった肉を食べる箸(トング)を使い分ける。
- 生肉等を冷蔵庫で保管する時は、ビニール袋や蓋付き容器に入れ、肉汁で他の食品を汚染させない。
- 加熱しないで食べる野菜及び果物は、十分に洗浄の上、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム等で殺菌する。(特に高齢の方などにおいて重要です)
- 井戸水を使用している場合は、定期的に水質検査を実施する。
家族が感染した場合に注意すること
- 水洗トイレの取っ手やドアのノブなど、よく手で触る場所を消毒用アルコールなどを使って消毒する。
- 食事前などは流水で十分に手を洗い、消毒用アルコールで手を消毒する。
- 感染者の糞便を処理する場合は、使い捨て手袋を用いるなど、二次感染しないよう注意する。
- 患者の便で汚れた下着は、塩素漂白剤などでつけおき消毒をしてから、家族のものとは別に洗濯する。
- 患者はできるだけ浴槽につからず、シャワー又はかけ湯を使う。風呂の水は毎日替える。バスタオルの共用はしない。
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください