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ホーム > 教育・文化・スポーツ > 歴史・文化 > 文化・文化財 > その他の文化資源 > ふさの国 今昔 -過去から未来へ- > 27.平城京の木簡と房総の海女・アワビ
千葉県は、全国第4位のアワビ漁獲高(175t)を誇ります(平成14年度漁業養殖生産統計年報)。アワビはイワシ、イセエビ、アサリと並ぶ、千葉県を代表する海産物といってもいいでしょう。東京中央卸売市場の統計では、首都圏に流通するアワビの約4分の1を千葉県産が占めています。千葉県内のアワビ漁の歴史は古く、古墳時代初期・3世紀頃まで遡ると考えられ、勝浦市コウモリ穴洞穴からは、その時代の土器とともに多量のアワビ殻が出土しています。
現在、そのアワビをとっているのが海女と呼ばれる女性たちです。5月~9月頃、南房総の海岸沿いをドライブしていると、漁に向かう、あるいは漁を終えて海からあがってくる海女の姿を見かけることがあります。小さな体で広い海へと泳ぎだしていく勇猛な海女さんたちは、とても陽気で働き者です。「ダンナが早くに死んだから、女手一つで娘を大学までやったのよぉ」「冬は花の栽培をしているから、休んでいる暇なんてないねぇ」とニコニコしながら話をしてくれる海女は、高齢の方でも皆さんとても元気です。
奈良県の平城京跡から、「安房」「鰒」「調」などの文字が書かれた木簡が数多く出土しています。これらは、税としてアワビが京に送られたときの荷札で、奈良時代に大量のアワビ(干し鮑)が房総から送られていたと推測できます。また、延暦8年(789)に成立したとされる「高橋氏文(たかはしのうじぶみ)」及び平安時代に編纂された『類聚三代格(るいじゅうさんだいきゃく)』の研究によると、「阿房之刀自部(あわのとじべ)」と呼ばれる女性集団が宮中の食事の神を祭るため、交代で上京していたことがわかっています。アワビは今も昔も、千葉県にとって重要な名産品ですが、同時に、今も昔も、働き者の女性を象徴するものだともいえるのです。
鮑取りに出かける海女(白浜)
平城京跡出土木簡(館山市立博物館資料・レプリカ)
(上総国安房郡白濱郷戸主日下部床万呂戸
白髪部嶋輸鰒調陸斤 参拾條/天平十七年十月)
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