ここから本文です。
ホーム > くらし・福祉・健康 > 健康・医療 > 保健医療政策 > 千葉県衛生研究所/CHIBA PREFECTURAL INSTITUTE OF PUBLIC HEALTH > 健康疫学研究室
更新日:令和6(2024)年12月13日
ページ番号:340700
疫学とは、人の集団を研究対象とし、人間のデータを用いて原因と結果の関係を検証する科学を指します。今日、食中毒やインフルエンザ、アレルギーなどの様々な疾病が人間の集団内で発生します。疾病の原因は細菌、化学物質、生活習慣等様々です。未知の原因による疾病も、しばしば発生し、原因がすぐには分からない場合もあります。このような場合に、その疾病の分布や特徴を調べ、仮説を元にしてその原因を見いだすのが疫学の役割です。健康疫学研究室では、疾病のうちでもとりわけ生活習慣病にスポットをあて、千葉県民の健康を阻害している原因を明らかにし、疾病の予防と健康づくりに役立てることを目的に調査・研究を行っています。また、疾病ばかりでなく、自殺というような人間の行動も疫学の研究対象となります。
疫学の研究方法のひとつに「追跡研究」があります。「追跡研究」とは、初めに調査対象として、様々な生活習慣を持つ様々な人々を選び、その人達の集団を長期間にわたって追跡、観察する方法です。おたっしゃ調査は平成16年から25年までの10年間にわたって、千葉県と鴨川市が共同で行っている追跡調査です。追跡する疾患は、脳卒中、心疾患、骨折で、調査協力者の体形、運動、栄養、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣が疾病の発症と死亡、死因に与える影響を調べるものです。
健康疫学研究室では、「特定健診・特定保健指導に係るデータ収集、評価・分析事業」を平成20年度から実施しています。「特定健診・特定保健指導」のデータを千葉県内の全市町村から集め、市町村ごとの受診率や測定値を分析し、地域ごとの特徴や課題を明らかにし、報告書を作成しています。
特定健診・特定保健指導に係るデータ収集、評価・分析事業の内容と結果
健康疫学研究室では、平成19年度から、様々な自殺関連の統計資料をとりまとめ、「千葉県の自殺の現状と課題」を作成しています。平成21年度に取りまとめた「千葉県の自殺の現状と課題」は、平成22年~28年に実施される「千葉県自殺対策推進計画」の第2章「本県における自殺の現状と課題」に収載されています。
疫学と統計は深い関係がありますが、同じものではありません。疫学を研究するために用いるのが統計の手法です。健康疫学研究室では、市町村の職員や医療健康福祉分野の職員向けに疫学研修を行っています。内容は統計解析の方法やアンケートの方法、情報収集の方法などです。
健康疫学研究室では、平成15年度の研究室創設以来、疫学と県民の健康をテーマに様々な調査・研究・事業を行ってきました。現在までに終了または実施している主な調査・研究・事業には以下のものがあります。
研究事業の名称 |
実施年度 |
内容 |
---|---|---|
市町村における歯科保健事業の効果的な取り組みに関する研究(歯周疾患検診の受診率の向上、未実施市町村の減少) |
令和6年度 | 千葉県では、千葉県保健医療計画や第3次千葉県歯・口腔保健計画に基づき歯周疾患検診の取組を推進しています。しかしながら、令和4年度地域保健・健康増進事業報告から算出した千葉県全体の受診率は4.35%と低く、未実施の市町村もありました。そこで、千葉県衛生研究所では、歯周疾患検診の受診率の向上と未実施市町村の減少を図ることを目的とした調査研究を行っています。 |
肥満、糖尿病等と咀嚼習慣等の関係について | 令和4年度 | 1 研究の概要 令和4年度に研究課題「肥満、糖尿病等と咀嚼習慣等の関係について」を行いました。目的は、県内の特定健診の結果から、肥満、糖尿病等と咀嚼習慣等の関係を明らかにして、特定保健指導に活用できる情報を提供することです。 腹囲、BMI、空腹時血糖 、ヘモグロビンA1c(NGSP)と標準的な質問票における質問項目(習慣的な喫煙、早食い、夕食後2時間以内の就寝、習慣的な間食、朝食の欠食、咀嚼困難)について、平成30年度及び令和元年度の市町村国保の特定健診データを用いて分析しました。 なお、咀嚼困難は、受診者が質問項目「食事をかんで食べる時の状態」に「(2)歯や歯ぐき、かみあわせなど気になる部分があり、かみにくいことがある、(3)ほとんどかめない」に「ある」と回答したものです。 2 研究結果の概要 咀嚼困難に着目したところ次のとおりの結果が得られました。
3 研究結果の概要を踏まえた市町村関係者の対応
報告書(第1報)~肥満、糖尿病と特定健診の歯科保健に係る標準的な質問項目6問の関係(横断分析)~(PDF:276KB) 報告書(第2報)~特定健診の歯科保健に係る標準的な質問項目6問における咀嚼とそれ以外の項目との関係(横断分析)~(PDF:256KB) |
千葉県内の特定健診・特定保健指導の標準的な質問票に係る歯科受診の動向 | 令和3年度 | 特定健診・特定保健指導において、歯科医療機関への受診が必要と判断された者が確実に受診につながることを目的に行いました。 |
千葉県内市町村における歯科保健と特定健診・保健指導についての質問紙調査 | 平成23年度 | 特定健診・保健指導における歯科保健の関与につき、歯周疾患検診との関連も視野に検討するため、その実態を把握する目的で、「歯周疾患検診と特定健診・保健指導について」の質問紙調査を実施しました。 |
千葉県内の全市町村国民健康保険特定健康診査データによる早食いと肥満の関連に関する検討 | 平成23年度 | 平成20年度の千葉県内54市町村国保特定健診データ(283,427人分)を用いて、肥満やメタボリックシンドロームと早食いとの関連について比較検討を行いました。 |
千葉県基本健康診査データ収集システム確立事業から得た特定健診への示唆 | 平成22年度 | 市町村の基本健康診査データの連結可能匿名化、測定値の標準化、および同一判定基準の採用を行い、5年間のデータ収集を行いました。(日本公衆衛生雑誌(2010)57:1075-1083掲載) |
女性外来と千葉県大規模コホート調査を基盤とした性差を考慮した生活習慣病対策の研究 | 平成21年度 | 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病等対策総合研究事業(厚生労働省)の受託研究として実施しました。 |
特定健診・特定保健指導における未受診者調査 | 平成20年度 | 特定健診・特定保健指導の未受診理由を明らかにするために、5,894名を対象に実施しました。 |
旭市民の健康に関するアンケート調査 | 平成19年度 | 旭市における健康課題を見いだし、平均寿命の延伸をめざして4,000名を対象に実施しました。 |
平成19年度・平成20年度健診データ収集比較事業 | 平成19・20年度 | 平成20年度から特定健康診査(特定健診)が開始され、平成19年度まで市町村で行われてきた基本健康診査とは対象者、健診項目が変わりました。そこで、市町村ごとの受診率や測定値がどの程度異なるのかを同一の判定基準で比較する目的で、平成19年度および平成20年度の健診データを収集、解析しました。 |
基本健康診査データ収集システム確立事業 | 平成19年度 | 平成15年度から18年度までに協力の得られた市町村から毎年5万人の健診データを収集し、市町村間の判定区分の比較や検査値の経年変化を分析しました。 報告書(確定版) |
「運動を中心とした健康づくりへの参加と脳の健康(認知機能)の関連」研究 | 平成19年度 | この研究は、運動を中心とした健康づくり教室等への参加が認知機能低下防止につながるかどうかを調査することを目的として行いました。 |
女性専用外来の評価に関する調査 | 平成17年度 | 女性の特性に基づく総合的な医療を提供する女性専用外来について、受診者と医療機関を対象に満足度や女性外来の運用状況等を調査し、女性専用外来の課題を明らかにしました。 |
健康・医療・福祉に関する情報提供についてのアンケート調査 | 平成17年度 | 4,576名を対象に実施しました。 |
健診データ収集システム確立事業 | 平成14・15年度 | 市町村が実施してきた基本健康診査は千葉県全体で年間約60万人が受診しました。この基本健診のデータは、受診者個人の健康管理にとって重要なばかりでなく、県や市町村が住民全体の結果を経年的に管理・解析することにより、生涯にわたる住民の健康増進の資料として活用できる多くの可能性を持っています。平成14年度の予備調査に続き、平成15年度に県内17市町村の健診データを収集しました。 |
関連情報(リンク集)
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください