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更新日:令和4(2022)年4月28日
ページ番号:7366
春ねぎは、収穫適期が短いので、大面積での栽培には適していませんが、他県の産地の端境期にあたる作型なので、比較的高値での取引が期待できます。
栽培を行う上では、収穫期にあたる春先は抽台しやすいので、晩抽性の品種を用いることが重要です。また、高温期に発生しやすい病害虫の防除をこまめに行い、生育不良や欠株を防ぐこと、収穫直前のアザミウマ類の被害を防ぎ品質を高めることが重要です。収量は10アール当たり3から3.5トンを目指しましょう。
●播種▼定植■収穫
図1.春ねぎの栽培暦
品種は晩抽性のある品種を用います。主な品種とその特徴は表1のとおりです。
品種 |
特徴 |
---|---|
春扇 |
生育が早く、太りが良いのですが、首部が緩みやすいので、取り遅れないようにします。 |
龍まさり |
抽苔は「春扇」と「羽緑一本太」の中間の品種です。春先でも太りが緩やかで在ほ性があります。 |
羽緑一本太 |
晩抽性に最も優れており、高い在ほ性があります。取り遅れると首部が長くなります。 |
初夏扇 | 「春扇」より晩抽で、太り・葉色・在ほ性のバランスが良い品種です。 |
注)晩抽性はその年の気候によって変わることがあります。
5月下旬から6月下旬にかけて播種します。チェーンポットの場合、1穴に2から3粒まきで播種します。発芽や苗の生育の揃いを良くするため、用土はねぎ専用培土を用います。
ハウス内での育苗が一般的です。育苗期間は45日程度なので、育苗後半には高温や乾燥に注意しましょう。ねぎの育苗適温は20から25度ですが、強い光を好む作物であるため、温度を気にし過ぎて光不足を招かないようにしましょう。光不足になると地上部は軟弱徒長し、根は少なくなります。
一般的には、30から50パーセントの遮光ネットやカーテンの利用が多いですが、遮光率が高いほど軟弱苗になります。定植1から2週間前に光にあてる順化を行うと定植後の活着と初期生育が良くなります。
また、定植までに2から3回剪葉し、太いしっかりとした苗に仕上げます。
7月下旬から9月上旬に定植します。条間80から90センチメートル、溝の深さ10から15センチメートルとして植え溝を掘ります。チェーンポットの場合は専用の定植機を用いて定植します。ほ場が乾燥しやすい時期なので、定植前のほ場への灌水や降雨後の定植等を行います。
定植直後は株元の鎮圧により根の活着を促進させます。チェーンポット苗の定植が一般的ですが、乾燥しやすい砂地では地床育苗による大苗定植の方がその後の生育は良いです。
写真1.簡易移植機による定植
生育初期は株が軟弱で病害虫の発生が多い時期でもあるので、欠株にならないように防除に努めます。また、春先も病害虫の動きが活発になってくるので注意が必要です。
多くの病害虫に共通する対策としては、病害虫の増殖を助長する雑草や発生株の除去を行うこと、連作をさけること、薬剤を用いる場合は発生初期に使用することが挙げられます。
主な病害虫への対策は表2を参照してください。
病害虫名 |
発生時期 |
対策 |
---|---|---|
軟腐病 |
5から10月 |
気温が30から35度で多雨の時に発生しやすいので、排水を良くします。また、窒素過多、高温時の多量の追肥、土寄せによる断根は発病を助長させるので避けましょう。多犯性の病気なので他の品目でも発生することがあります。 |
白絹病 |
6から10月 |
気温が25から30度の多湿条件の時に発生が多いので、排水を良くします。未熟な有機物の施用は発病を助長するので、施用する場合は十分に腐熟させましょう。また、過度の土寄せは発病を助長するので避けます。 |
黒腐菌核病 |
2から4月 |
地温が10から15度でまん延しやすく、砂質土壌や火山灰土壌で発生が多くなります。土壌消毒で予防し、発病の恐れがあれば早めに収穫しましょう。 |
べと病 |
3から4月 11月 |
気温が15から20度で降雨が続くと多発します。排水を良くし、薬剤による初期防除を基徹底しましょう。 |
さび病 |
5から7月 11月 |
春季と秋季に比較的低温で降雨が多いと多発する傾向にあります。 窒素過多や、肥料切れで草勢が衰えると発病が多くなります。生育中期以降の肥料切れに注意しましょう。 |
ネギアザミウマ |
3から11月 |
定植直後の発生は初期生育不良に、収穫直前の発生は品質低下に繋がります。高温乾燥期は特に注意が必要です。ほ場周辺の除草、発生初期の薬剤での防除が基本です。 |
土寄せは年内に4回程度、収穫1か月前に止め土1回の合計5回程度行います。土寄せは首元に土が入らないように注意します。追肥と粒状殺虫剤を土寄せ直前に畝間に施用し、管理機で土寄せしながら土壌混和します。
写真2.管理機による土寄せ
写真3.土寄せ後に首元に土がはいらないようにする
収穫の25日から30日前に首元まで土をかけ止め土を行います。品種にもよりますが、春先以降は葉鞘部の伸びが早いので、遅くとも4月下旬までには収穫しましょう。
初掲載:平成28年3月
東葛飾農業事務所改良普及課
中部グループ
普及技術員
宮川直人
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