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更新日:令和4(2022)年5月20日
ページ番号:7368
山武地域では、平成26年度から急激に飼料用米栽培が増加し、平成27年度は623ヘクタールの栽培がありました。それに伴い、山武地域で生産された飼料用米の利用に取り組んでいる、地域の畜産農家の給与事例を紹介します。
栽培面積\年度 |
平成22年 |
平成23年 |
平成24年 |
平成25年 |
平成26年 |
平成27年 |
---|---|---|---|---|---|---|
飼料用米(ヘクタール) |
22 |
60 |
60 |
32 |
107 |
623 |
常時肥育豚約7,000頭を飼養するA農場での給与事例です。
平成27年度は各市役所、町役場に依頼して、山武市から300トン、東金市から300トン、横芝光町から100トン、その他業者から500トンを購入し、計1,200トンを確保しました。取引形態は、玄米をトランスバック単位で受け付けています。
A農場が所有する飼料用米保管庫に全量を保管し、週に30から35トンを茨城県鹿嶋市の飼料工場へ輸送し加工しています。工場で玄米を2ミリメートル以下に粉砕し、その他の原料と混合してクランブル飼料※として再び農場へ輸送します(写真1)。
※クランブル飼料…穀類等を粉砕し蒸気加熱処理しペレット状にしたものを、荒砕きにした飼料。
写真1.飼料用米配合飼料
粉砕玄米は肥育後期の飼料中に原物重量で35パーセント配合されています。飼料用米は常温保管のため、カビや害虫が発生しない8月~3月の間に給与しています。給与成分量は下表のとおりです。
成分 |
粗たん白 |
粗脂肪 |
粗繊維 |
粗灰分 |
カルシウム |
りん |
TDN |
---|---|---|---|---|---|---|---|
割合 |
13.0パーセント 以上 |
2.0パーセント 以上 |
5.0パーセント 以上 |
7.0パーセント 以上 |
0.5パーセント 以上 |
0.4パーセント 以上 |
77.0パーセント 以上 |
飼料用米は加工等の経費を付加しても、トウモロコシのキロ単価26から27円よりも安価なため、経費の大部分を占める飼料費の低減になります。飼料用米の給与割合を増やすと、脂肪の色が白くなり、豚肉の味はややさっぱりする傾向があります。今後、通年での給与が可能になれば、食味などで付加価値をつけることにより、販売単価の向上が図れる可能性もあります。
平飼い鶏舎で1万5千羽の採卵鶏に飼料用米を給与している株式会社農(みのり)の事例です。
購入単価は1キロ当たり12から18円(籾米または玄米)で、農家個々の庭先へ受取に行き、トランスバックへ移し替えて保管しています。平成27年度の購入量は58トンでしたが、最終的には年間600トンを利用予定です。保管面積節減のため、今後は玄米のみでの受取りを行う予定です。
鶏は未破砕米でも消化できるため、籾米または玄米を丸粒のまま利用しています(写真2)。給与方法は、発酵エコフィード(乾麺かす等の食品残さ)に飼料用米を混合し(写真3)、さらに市販配合飼料を加えた自家配合飼料を給与しています(写真4)。
自家配合飼料中に占める飼料用米の割合は原物重量で40パーセントです。トウモロコシを飼料用米に置き換えることで低下するカロリーは、ゴマかすや菜種かす、食用油等で補っています。給与期間は8月から1月です。
写真2.飼料中の飼料用米
写真3.自家配合の様子
写真4.給与の様子
写真5.地域のスーパー等で販売
写真6.黄身の色見
飼料用米とエコフィードを組み合わせることで、自家配合飼料のキロ単価は30円以下になります。市販配合飼料のキロ単価60から45円と比べると、大きなコスト削減になります。
飼料用米を通年で安定的に利用するためには、保冷設備のある保管庫が必要となり、地域や県単位での整備が望まれています。また、地域内外の飼料米生産者と利用者のマッチング機能を強化し、耕畜が連携し合い安定した供給体制を構築していくことが求められています。
初掲載:平成28年4月
山武農業事務所改良普及課
中部グループ
普及指導員
佐野実乃里
電話番号:0475-54-0226
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