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更新日:令和4(2022)年11月11日

ページ番号:7388

夷隅地域における乳牛への飼料用米給与事例

1はじめに

夷隅地域では、平成27年に飼料用米の栽培面積が急激に増え、342ヘクタールとなりました。地域内での利用はそのうち約2割にとどまり、残りの8割は配合飼料の原料として地域外に出ています。地域内での利用が輸送費等の経費削減による飼料費低減につながることから、地域の酪農家による給与事例が出てきましたので、紹介します。

表1夷隅地域における飼料用米栽培面積の推移

年度

平成22年

平成23年

平成24年

平成25年

平成26年

平成27年

平成28年

栽培面積(ヘクタール)

36

51

85

50

96

342

39

※H28栽培面積は、経営所得安定対策に係る申請計画時点の数値

2事例概要

夷隅地域では、酪農家4戸が共同で飼料用米の購入や保管を行い、搾乳牛への給与に取り組んでいます。平成27年度、栽培面積のうち約28ヘクタール分の飼料用米が地域内で利用されました。酪農家4戸における利用状況は表2のとおりです。

表2利用状況
項目

A牧場

B牧場

C牧場

D牧場

給与頭数

70

30

45

15

給与体系

TMR

分離

受入形態

玄米

梱包

紙袋

フレコン

紙袋

紙袋

フレコン

紙袋

運搬

稲作農家が共同倉庫まで搬送

保管

各牧場で保管(一部、共同倉庫利用)

粉砕機械名

(メーカー、型式)

国光社(A-2)

国光社(A-2)
マルマス(ホーミル)

国光社(A-2)

国光社(A-2)

年間購入量(トン)

102

33

14

22

平均給与量(1日1頭あたりキログラム)

4

2

1.4

4

購入価格(1キログラムあたり円)

20~25

購入先

稲作農家

米穀小売業者

(1)加工

飼料用米を給与する場合、デンプンの消化性を高めるために粉砕等の処理が必要です。飼料用米粉砕機は農機メーカーから大型のものが販売されていますが、個別で導入するには約200万円と高額です。そこで、夷隅地域では、家庭用機器として販売されている15万円程の安価な製粉・粉砕機を各牧場で導入しています(写真1及び2)。粉砕能力は、1袋30キログラム10分以下であり、個別の牧場で使うには十分な能力を有しています。

写真1株式会社国光社製

写真1株式会社国光社製

写真2マルマス機械株式会社製

(2)給与状況と給与モデルの作成

利用農家は、飼料用米と配合飼料を代替することで、飼料費の低減を図っています。地域の最大給与量は、1日1頭当たり原物4キログラムで、この給与量までは代替が可能だと思われます。給与割合の増加にチャレンジして7キログラムまで給与した酪農家もいましたが、栄養バランスの崩れにより、生産性を落としてしまいました。
このため、給与モデルでは、最大給与量と同様に原物4キログラムの代替とし、不足する粗タンパク質含量約420グラムに対しては、栄養バランスを考慮して大豆粕1キログラムを加えてあります(表3)。その結果、濃厚飼料に掛かる飼料費において、約5パーセントの低減が期待できます。

表3飼料用米の給与モデル及び飼料費の試算

飼料名

単価

配合飼料

配合飼料+飼料用米

給与量

飼料費

給与量

飼料費

配合飼料

53

14.0

742

10.0

530

飼料用米

25

0.0

0

4.0

100

大豆粕

70

0.0

0

1.0

70

合計

-

742

700

(3)保管

玄米は、紙袋又はフレコンで受け入れています。保管は原則各牧場で行い、場所が不足する場合は共同倉庫で保管しています。

3課題

最も重要な課題は、保管場所の確保です。飼料用米の地域内利用を進めていくためには、飼料用米の生産者と利用者のマッチングを行い、大型保管庫を確保し、JA等と連携して保管及び供給体制を整備することが求められます。また、カビ等による品質低下を防ぎ、安定的に周年で利用するためには、保冷機能付きの倉庫が必要となります。

初掲載:平成28年11月

夷隅農業事務所改良普及課
勝浦・夷隅郡グループ
普及技術員
小池広明
電話番号:0470-82-2213

お問い合わせ

所属課室:農林水産部担い手支援課専門普及指導室

電話番号:043-223-2911

ファックス番号:043-201-2615

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