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更新日:令和5(2023)年9月20日
ページ番号:7410
冬から春にかけての日長が短い時期にエラチオール・ベゴニアを栽培すると株が大きくなる前に花が咲いてしまい、低品質な株となってしまいます。そのため、夜間に電照を行って開花を抑制し、株を大きくする栽培が行われています。これまで、電照には白熱灯や蛍光灯が用いられてきましたが、これらの光源は消費電力が多く、今後の製造が不透明な状況です。そこで、消費電力が少ない光源として多分野で注目されているLED電球を用いた省エネ型電照栽培技術を開発したので、御紹介します。
植物は照射される光の色(波長)が異なると開花や生育が変化してしまうことがあります。そこで、様々な色のLED電球を用い、エラチオール・ベゴニアの開花を抑制し、電照栽培に有効な色の特定を行いました。その結果、オレンジに近い色の光を照射できる電球色LED電球を用いると、蛍光灯と同等の開花抑制効果と草姿になることが明らかとなりました(表1)。
光源 | 開花日 | 草丈(cm) | 株幅(cm) | 花房数(個) |
---|---|---|---|---|
電球色LED | 2月9日 |
20.2 |
29.1 |
10.8 |
白熱灯 | 2月7日 |
17.8 |
25.8 |
9.2 |
蛍光灯 | 2月8日 |
19.2 |
27.4 |
9.8 |
無照射 | 1月20日 |
11.5 |
19.9 |
3.8 |
注1)電球色LED:LDA8L-G/W/50W(東芝ライテック株式会社、620~630nmを中心に広域波長)
2)2013年9月26日に挿し芽、11月1日に鉢上げ、同11日から照射開始
防水型タイプで640ルーメン以上の明るさで発光する電球色LED電球を使用し、LED電球を鉢の土面から80cmの高さで、白熱灯や蛍光灯と同様に、3m当たり1球の間隔で設置することで開花と生育を揃えることができます。
これを元に、10a当たり90球を設置して10年間電照した場合の経費を計算すると、白熱灯に比べ約6割、蛍光灯に比べ約3割経費を削減できることが明らかとなりました(表2~4)。
光源 | 消費電力(W) |
年間消費電力(kW/年/10a) |
電気料金(円/10年) |
白熱灯に対するコスト(%) |
蛍光灯に対するコスト(%) |
---|---|---|---|---|---|
電球色LED | 8.2 |
664 |
146,124 |
10.9 |
39.0 |
白熱灯 | 75.0 |
6,075 |
1,336,500 |
100.0 |
- |
蛍光灯 | 21.0 |
1,701 |
374,220 |
- |
100.0 |
注1)電球色LED:LDA8L-G/W/50W、白熱灯:DENS100/110V75G80K、蛍光灯:EFD21EL(全て東芝ライテック株式会社)
2)年間消費電力:3m当たり1球設置とし、10a当たり90球、年間点灯時間900時間で計算
3)電気代:電力料金目安単価22円/kW/hで計算
4)コスト:電気代を対象光源/白熱灯(蛍光灯)×100で計算
光源 | 定格寿命(h) |
希望小売価格(円) |
電球数(個/10a/10年) |
電球代(円/10a/10年) |
---|---|---|---|---|
電球色LED | 40,000 |
5,250 |
90 |
472,500 |
白熱灯 | 1,000 |
370 |
810 |
299,700 |
蛍光灯 | 8,000 |
2,760 |
180 |
496,800 |
注1)電球数:10a当たり90球、10年当たりの点灯時間9,000時間とし、9000/定格寿命(小数点以下切り上げ)×90で計算
2)電球代:希望小売価格×電球数
光源 | 経費(電気料金+電球代)(円) |
白熱灯に対するコスト(%) |
蛍光灯に対するコスト(%) |
---|---|---|---|
電球色LED | 618,624 |
37.8 |
71.0 |
白熱灯 | 1,636,200 |
100.0 |
- |
蛍光灯 | 871,020 |
- |
100.0 |
注1)コスト:経費を対象光源/白熱灯(蛍光灯)×100で計算
人間の目には同じ色に見えるLED電球であっても製造メーカーによっては波長が異なるので、植物は異なる色と認識してしまい、開花や生育が変化してしまうことがあります。そのため、LED電球を導入する際は、まずは小規模で行い、植物の反応を確認することを心がけましょう。
初掲載:平成29年6月
農林総合研究センター
花植木研究室
研究員
中島拓
電話:043-291-0151
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