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更新日:令和5(2023)年2月21日
ページ番号:353904
手賀沼は農業用水等の重要な水源であるとともに、貴重な自然が残された観光、リクレーション等の場である。しかし、閉鎖性水域の特性から図-1に示すように、最も水質悪化した時期から比べ、改善が見られるものの依然として汚濁している状況にある。湖沼の水質改善のためには、流入する汚濁負荷を効果的に削減する必要がある。
一般生活および産業活動等からの汚水によってもたらされる汚濁負荷は、下水道事業の推進により効果的に削減されてきているが、市街地等において雨水の排水によりもたらされる汚濁負荷が湖沼へ流入し、非特定汚染源(ノンポイントソース)として認識されるようになっている。
雨水は湖沼流域の全てから排水されるが、特に汚染が著しいと考えられる市街地からの雨水排水による汚濁負荷の削減が急務とされている。
非特定汚染源対策の一つとして、「市街地排水浄化対策モデル事業」が平成6年度に創設されたことにより、平成7年度から我孫子市の湖北台団地において手賀沼に流入する初期雨水の浄化対策事業を実施するものである。
手賀沼の概要及び水質状況(手賀沼水環境保全協議会のホームページ)
対象とする雨水排水面積は、湖北台第一排水区の34.18haである。
対象排水区の汚濁質の高い初期雨水を一時貯留し、流域下水道に移送することにより、汚濁負荷を削減し、手賀沼の水質保全を図る。具体的には、既1,650×1,650mmボックスカルバートの雨水渠に分水人孔を設置し、我孫子市公共下水道の処理場跡地に新設する貯留施設に初期雨水10mm(流出係数0.5)を収集し、貯留後、これを手賀沼流域下水道の2,300mmφの管渠に圧送し、手賀沼終末処理場で処理する(下図参照)。
分水人孔は既設雨水渠底辺に、1,200×1,800mmの開口を設け、雨水はここよりφ1,000mmの流入管に入り、自然流下で雨水貯留槽に流入する。
雨水貯留槽(W23,800×L20,800×H6,190mm)はプレキャスト製で有効水深が4,402mm、有効貯留量はフラッシングタンク容量を含め1,828立方メートルである。流入水は流入ゲートを経て貯留槽に入る。
槽内の各水路には、予想される沈殿物を排除清掃するため、フラッシングタンクが設けられており、その底面近くに電動で開閉するフラッシングゲートが設置されている。
分水人孔から雨水貯留槽までの流入管、および雨水貯留槽から流域汚水幹線まで圧送する放流管の管径はそれぞれ、φ1,000mmおよびφ200mmである。放流管は流入管内に設置されている。
設置される機械設備は流入ゲート、フラッシュゲートおよび送水ポンプでその仕様を表に示す。
機器名称 |
形式 |
仕様 |
出力 |
数量 |
---|---|---|---|---|
スクリーン |
ステンレス製バースクリーン |
目幅100mm |
- |
1 |
流入ゲート |
鋳鉄製電動ゲート |
呑口寸法幅1,000×高1,000mm |
0.75kW |
1 |
送水ポンプ |
吸込スクリュー付 |
φ200mm×3.75立方メートル/分×7mH |
15.00kW |
1 |
フラッシュゲート |
鋳鉄製電動ゲート |
呑口寸法幅1,000×高500mm |
0.75kW |
7 |
雨水貯留施設は無人の機場であり、自動運転される。貯留槽への流入制御は、貯留槽の水位で行い、設定水位に達すると自動的に流入ゲートが閉まり、貯留槽への流入が停止する。これ以降の雨水は従前通り、雨水渠内を流下し手賀沼に流れ込む。運転状況は手賀沼終末処理場の管理棟中央操作室で集中監視し、放流ポンプの運転及び流入ゲートの開閉を遠隔操作する。
我孫子市における代表的な降雨年度を対象に算定した貯留槽の規模と負荷削減率の関係(図参照)から、経済的な規模として降水量5mm(流出係数0.5の場合10mm相当)、負荷削減率70%を選定した。
<事業対象区域の削減量>
全降雨量のうち初期雨水10mm(流水係数0.5)までの流出汚濁負荷を雨水貯留槽に全量取り込むと900kg-COD/年削減できると予想される。
<対象区域における年間発生汚濁負荷量>
0.103kg/ha・日×34.18ha×365日=1,285kg/年
※現地調査に基づく発生汚濁負荷量原単位(COD)は、103g/ha日である。
<削減負荷量>
1,285kg/年×70%=900kg/年
≪参考≫
手賀沼流域における削減量前記同様に試算すると
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