答申第295号
本文(PDF:139KB) 別表(PDF:44KB)
答申の概要(答申第295号:諮問第377号)
実施機関
事案の件名
事故報告書の行政文書部分開示決定に係る異議申立てに対する決定について
対象文書
- 種類 事故報告書
- 情報
○事故の概要
事故の種別、発生日時、発生場所、当事者、相手側、被害生徒、加害生徒、事故の程度
○事故の状況
事故の状況及び原因、現場の見取図
○事故の処置など
事故発生時の処置、事故発生後の処置、事故発生までの学校の指導、校長の意見、事後措置、今後の対策、その他参考となる事項
請求に対する決定
不開示条項
原処分
- 不開示部分 別表のとおり
- 不開示理由 個人に関する情報であって特定の個人を識別できる情報であるため(2号)。
申立年月日
諮問年月日
答申年月日
審査会の判断
実施機関は、別表3に掲げる事故の状況及び原因欄の2行目1文字目から3文字目を、開示すべきである。
条例第8条第2号本文該当性について
- 実施機関は、本件文書に記録された情報のうち、氏名及び住所を条例第8条第2号本文に該当すると説明する。
また、本件文書1及び本件文書3については、文書番号、施行年月日、発生年月日、職名、年齢、教科名、けがの程度や事故の状況及び原因欄等に記録された職員の発言内容等を条例第8条第2号本文に該当すると説明する。
さらに、本件文書2については、文書番号、施行年月日、発生日時、科目名、学年、クラス名、病院名、けがの状況や事故の状況及び原因欄等に記録された被害生徒の発言内容等を条例第8条第2号本文に該当すると説明する。
- 氏名及び住所については、特定の個人を識別することができるものである。
- 氏名及び住所を除く本件不開示部分について、実施機関は、特定の個人を識別することができないとしても、公にすることにより、当該職員及び生徒の権利利益を害するおそれがあることから、条例第8条第2号本文に該当するとしているので、以下この点について検討する。
- 本件請求については、学校名と時期が指定されており、該当する事故報告書は限定されることから、氏名及び住所を除く本件不開示部分を開示すると、学校関係者や生徒等一定の範囲の者には、事故の概要欄に記録されている当該生徒及び職員(以下「本件当事者」という。)を特定することが可能となると認められる。
さらに、学校関係者や生徒等一定範囲の関係者には、本件当事者が誰であるか、既に明らかになっている可能性も高いと考えられるが、既に開示している部分に加えて氏名及び住所を除く本件不開示部分を開示することにより、これらの関係者が本件当事者の発言、行為、怪我の状況等の詳細を確知することになると認められる。したがって、氏名及び住所を除く本件不開示部分を開示すると、本件当事者の権利利益を害するおそれがあると判断する。
条例第8条第2号ただし書該当性について
1.条例第8条第2号ただし書ハについて
- 本件不開示部分には、事故の概要欄に記録されている職員(以下「報告対象職員」という。)の職名及び氏名並びに報告対象職員以外の職員(以下「関係職員」という。)の職名及び氏名が記録されている。
- 報告対象職員の職名及び氏名は、服務上又は身分上の取扱いを要するために実施機関へ報告されており、その内容及び性質から職務の遂行に係る情報とは認められず、条例第8条第2号ただし書ハには該当しない。
- 関係職員の職名及び氏名は、条例第8条第2号ただし書ハに該当すると認められるが、別表3に掲げる事故の状況及び原因欄の2行目1文字目から3文字目を除き、本件不開示部分の関係職員の職名及び氏名を開示することで、学校関係者や生徒等一定の範囲の者には本件当事者を識別することが可能となり、本件当事者の権利利益を害するおそれがある。
- したがって、別表3に掲げる事故の状況及び原因欄の2行目1文字目から3文字目を除き、本件不開示部分の関係職員の職名及び氏名は不開示とすべきである。
なお、別表3に掲げる事故の状況及び原因欄の2行目1文字目から3文字目については、条例第8条第2号ただし書ハに該当すると認められ、開示することにより、学校関係者や生徒等一定範囲の者が本件当事者を識別することが可能となると認められないため、開示すべきである。
2.条例第8条第2号ただし書イ、ロ及びニについて
本件不開示部分は、法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報とは認められず、条例第8条第2号ただし書イに該当しない。
また、本件不開示部分は、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められないため、条例第8条第2号ただし書ロに該当せず、食糧費の支出を伴う懇談会、説明会等に係る情報は記録されていないため、条例第8条第2号ただし書ニにも該当しない。
附言
当審査会が、本件決定に係る内容を精査したところ、開示・不開示の取扱いに不統一な部分が認められた。
実施機関においては、今後の同種の開示請求に関する対応について、より慎重で適正な開示事務を行うべきである。
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