令和6年2月定例千葉県議会の知事あいさつ
本日ここに、2月定例県議会を招集し、当面する諸案件について御審議いただくことといたしました。
はじめに、令和6年能登半島地震への対応について申し上げます。
まずは、今回の地震で犠牲になられた方々とその御家族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
千葉県としては、発災直後から県警の広域緊急援助隊が現地入りし人命救助などにあたったほか、保健師やDMAT、DWATなどを派遣し、保健医療や福祉分野での救援活動を展開しています。
また、県と市町村の派遣職員が、避難所の運営支援や住家被害の認定調査などに従事しているほか、給水車や水道施設の応急復旧隊の派遣、被災された方への県営住宅の無償提供などを実施しているところです。
復旧に向けた支援は長期間に及ぶことが想定されますが、引き続き被災地に寄り添いながら、支援を継続してまいります。
また今後、半島という本県と共通する地理的特性を踏まえて、今回の地震での対応状況などを総括したうえで、孤立化が想定される地域の避難所について必要な対策を講じるなど、本県の防災対策に万全を期してまいります。
次に、県発注工事をめぐる収賄事件への対応について申し上げます。
先月、県土整備部の職員が収賄の疑いで逮捕・起訴されました。
容疑が事実であれば、極めて遺憾であり、県民の皆様に大変申し訳なく思います。
県では、平成29年11月に県土整備部の職員が官製談合防止法違反で逮捕されたことを受けて、千葉県職員倫理条例を制定し、公務に対する県民の信頼を確保することに努めてまいりました。
そのような中、再び県土整備部の職員が収賄の疑いで逮捕されたことは、絶対にあってはならないことであると考えています。
そこで、県民の信頼を取り戻すべく、全庁を挙げて、事件の経緯や倫理条例の運用、入札の執行など様々な点について検証するため、2月1日に第三者委員会を立ち上げたところです。
今後、二度とこのようなことを起こさせないよう、調査・検証の結果を踏まえて、しっかりと対策を講じ、県民の皆様の信頼の回復に努めてまいります。
次に、議案について御説明いたします。
このたび提案いたしました案件は、令和6年度当初予算案、令和5年度2月補正予算案、各種条例案及びその他附帯議案の85議案のほか、報告2件です。
まず、令和6年度当初予算案について申し上げます。
令和6年度当初予算は、総合計画における実施計画の最終年度であることから、基本目標の実現に向け、これまでの取組を更に充実させ、将来の千葉県の発展につなげていくための予算としました。
具体的には、産業・地域づくりや道路ネットワークの整備などによる県内経済の活性化、学力向上や保育の質の充実などの教育・子育て施策の推進、多様性が尊重され誰もが活躍できる社会づくりをはじめ、各分野にわたり総合計画に掲げた施策を確実に実施してまいります。
さらに、令和5年度2月補正予算と一体的に編成することで、これらの取組を切れ目なく進めてまいります。
この結果、一般会計の予算規模は、2兆1,077億円となりました。
続いて、当初予算案に計上した主な事業について、関連する令和5年度2月補正予算案に計上した事業と併せ、その概要を申し上げます。
はじめに、『危機管理体制の構築と安全の確保』です。
防災減災対策として、防災行政無線の更新や防災啓発サイトのリニューアルを進めるとともに、災害ボランティアの登録について、ICTツールの導入を支援します。
また、昨年9月の大雨により甚大な被害を受けた一宮川流域において、護岸整備や調節池の新設を行うほか、新たに田んぼダムの導入を支援するなど、河川の浸水対策を強化するとともに、海岸保全施設の整備や盛土を含む土砂災害対策、農地防災対策を推進します。
防犯・交通安全対策では、電話de詐欺の被害防止のため、高度なスマートフォンデータ解析ツールを導入して、捜査能力を強化するほか、飲酒運転の根絶に向けた効果的な啓発活動や、自転車乗車時のヘルメットの購入支援などを行います。
次に、『千葉経済圏の確立と社会資本の整備』です。
新たな産業・地域づくりを推進するため、本県経済を牽引していくことが期待される地域について、誘致・創出すべき産業分野を調査するとともに、成田空港や京葉臨海コンビナートにおいて、産業拠点創出や脱炭素化などを促進していくための調査を行います。
また、県内に立地する企業への助成について、補助要件を見直し新規立地を一層促進するほか、中小企業の生産性向上を図るため、デジタル技術を活用する取組への支援を強化し、新事業展開などに必要な設備投資への支援を増額します。
さらに、中小企業振興資金について必要額を計上するとともに、新分野への参入や業態転換に挑戦する中小企業への伴走支援体制を強化します。
深刻化する中小企業の人手不足に対しては、若年者や女性、高齢者、外国人など、多様な人材の確保を支援するほか、障害者の就労促進に向けた支援を拡充します。
観光施策では、県内でワーケーションを行う企業への助成制度を新設して更なる受入促進を図るほか、人手不足が深刻な観光・宿泊業における人材確保に取り組みます。
また、外国人観光客の関心が高い体験観光プログラムの実施を支援するとともに、成田空港を活用した観光情報窓口の設置や県内周遊ツアーを新たに実施します。
農林水産業については、「稼げる農業」の実現に向けて、経営規模の拡大を目指す農業者への支援を強化するとともに、生産性の向上を図るため、スマート技術を活用した取組への支援を拡充します。
また、国内外で需要が急拡大する「さつまいも」の生産・流通体制の強化や、生産量全国一位を誇る「梨」の担い手確保などに対する支援を行うほか、牛肉の品質向上に向けた取組を新たに支援します。
水産業では、藻場の回復やブルーカーボン創出の取組を支援するとともに、漁港の施設整備や「海業」の推進による地域活性化に取り組むほか、漁業の担い手確保のため、労働環境の改善に向けた取組を支援します。
また、県産農林水産物の魅力を消費者に浸透させるため、「千葉県の顔」となる品目を核とした集中プロモーションを行うとともに、新たに輸出に取り組む事業者を対象とした伴走支援を行います。
社会資本の整備については、北千葉道路や銚子連絡道路、長生グリーンラインなどの道路ネットワークの整備を強力に推進するとともに、橋りょうの老朽化・耐震化対策や通学路の安全対策を強化します。
また、港湾機能を強化するため、千葉港千葉中央地区の再編整備などを進めるほか、防潮堤の設置や護岸改修などの津波・高潮対策に取り組みます。
次に、『未来を支える医療・福祉の充実』です。
保健医療大学の機能強化を図るため、教育内容や施設整備などについて、将来を見据えた検討を行います。
また、災害時にも適切な医療が受けられるよう、在宅医療における事業継続計画の策定支援や、災害医療を担う専門人材の養成を行うほか、新興感染症の発生に備え、関係機関との連携体制の構築や、医療機関の設備整備への助成などを行います。
動物愛護センターにおいては、新たに外部獣医師による動物の健康管理や治療を行うことで、譲渡促進や殺処分削減につなげます。
このほか、介護事業者の業務改善や、障害者グループホームの開設・運営に関する相談支援体制を強化するとともに、新たに、重度の強度行動障害のある方を受け入れる短期入所施設の改修に対する支援や、医療的ケア児の特別支援学校への通学支援体制の構築を行います。
次に、『子どもの可能性を広げる千葉の確立』です。
自然体験活動を通じて、子どもの主体性や創造性を育む取組を県内に拡げます。
また、「こども食堂」の地域におけるネットワーク構築を支援するとともに、児童虐待防止対策を強化するため、虐待通告への対応に民間事業者への委託を活用することで、対応の迅速化を図ります。
児童手当については、令和6年10月分から、支給対象年齢を拡大するとともに、第3子以降の支給額を増額します。
教育施策では、私立学校の経常的経費に対し引き続き助成するとともに、新たにLED照明の導入に対する支援を行います。
また、理数教育や技能教科の指導充実を図るため、公立小学校に配置している専科教員の増員や、県立高校でのSTEAM教育に取り組むほか、キャリアデザインを学ぶ教育プログラムの実施拡大や、リカレント教育の推進に向けた「学びの総合窓口」の開設などを行います。
さらに、児童生徒が安心して学校生活を送れるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを増員するとともに、不登校児童生徒の学びの機会を確保するため、オンライン授業の実施や学校とフリースクールの連携体制の構築に取り組みます。
教員の不足や多忙化の解消に向けては、教員採用者への奨学金返還支援を緊急的に実施するほか、スクール・サポート・スタッフの全小中学校への配置、学校のマネジメント業務や校務のICT化を支援する人材の配置などを行います。
このほか、特別支援学校の過密解消を図るため、新設校の設置に向けた改修工事を進めます。
次に、『誰もがその人らしく生きる・分かり合える社会の実現』です。
先月1日に施行された多様性尊重条例のもと、多様性尊重の意義を広く県全体に共有するとともに、県行政のあらゆる分野における施策を総合的に実施します。
具体的には、男女共同参画や女性活躍推進の機運醸成に向けたシンポジウム等の開催や、困難な問題を抱えている女性への相談支援などを行うほか、障害のある生徒が安心して学校生活を送れるよう、県立高校のエレベーター設置をリース方式により計画的に進めます。
また、中小企業における外国人材の就労促進に向けたセミナー等の開催や、義務教育年齢を超過した外国籍の子供に対し高校就学のための指導を行う団体への支援などに取り組むほか、LGBT理解増進法に基づき、専門相談員による相談支援を実施します。
このほか、フードバンクを運営する団体間のネットワーク構築への支援や、中核地域生活支援センターにおけるICTツールの導入、AIによる福祉相談窓口の設置などを行います。
次に、『独自の自然・文化を生かした魅力ある千葉の創造』です。
二地域居住を含めた移住・定住を促進するための情報発信や、地域企業と副業人材のマッチングに取り組むほか、千葉県誕生150周年記念事業のフィナーレイベントにおいて、千葉県の宝である海の魅力を県内外に発信します。
また、カーボンニュートラルの取組を推進するため、新たに、事業者への相談支援を実施するほか、住宅用太陽光発電設備のリースによる導入を支援します。
さらに、ナガエツルノゲイトウなどの外来水生植物について、分布状況の詳細調査を行い対策を強化するほか、残土等の不適正な埋立てについて、衛星画像を活用して速やかな是正措置につなげます。
文化・スポーツ振興については、「ちば文化」を活用した事業や軽音楽イベントに対する支援を行うほか、開館50周年を迎える県立美術館において記念事業や特別展を実施します。
また、11月には「ちばアクアラインマラソン2024」を開催します。
最後に、『くらしを豊かにするデジタル技術の効果的な活用』です。
県民の利便性向上を図るため、すべての県立中学校、高等学校において、入試手続きをオンライン・キャッシュレス化するほか、県立図書館において、電子書籍を導入します。
また、オンライン手続に係るポータルサイトの開設や、市町村と共同利用している電子申請システムの機能拡充、生成AIなどのデジタル技術を活用した県庁の業務改革に取り組みます。
次に、令和5年度2月補正予算案について申し上げます。
2月補正予算では、国の補正予算に対応した防災・減災対策や農林水産業の競争力強化、医療・福祉・教育施策の充実に向けた事業のほか、中小企業の設備投資に対する支援や、能登半島地震の被災地への支援などについて、必要な予算を計上しました。
また、人件費や公債費などについて、実績を踏まえて精査した結果、一般会計の補正予算額は、488億1,400万円の減額となりました。
次に、このたび提案いたしました主な議案の概要について申し上げます。
議案第1号から第48号までの48議案は、一般会計及び特別会計の予算案です。
次に、議案第49号から第71号までの23議案は、条例の制定及び一部改正に係るものです。そのうち主なものについて御説明いたします。
議案第49号は、公立の小中学校の一人一台端末の整備について、国の交付金を原資とした新たな基金を造成するため、条例を制定するものです。
議案第50号は、教育長の退職手当等の算定方法の見直しを行うため、議案第55号は、職員の勤務時間についてフレックスタイム制を導入するため、議案第65号は、旅館や公衆浴場における入浴施設の衛生管理に係る基準を強化するため、議案第66号は、千葉県文化会館の利用料金を改定するため、議案第70号は、学校職員定数を改定するため、それぞれ条例の一部を改正するものです。
また、議案第72号及び第73号は、排水機場の設備更新や国府台県営住宅の建築に係る工事請負契約を締結するため、議案第74号から第77号までの4議案は、工事請負の契約金額を変更するため、議案第79号及び第80号は、損害賠償額の決定及び和解のため、議案第85号は千葉県立房総のむらの指定管理者を指定するため、それぞれ議会の議決を得ようとするものです。
以上が、このたび提案いたしました議案の概要ですが、なおこの際、保健医療に関する諸計画の改定について申し上げます。
県では現在、保健医療計画と感染症予防計画の改定作業を進めており、保健医療計画では、高齢化の進展などに伴う医療需要の変化を踏まえ、各二次保健医療圏における病床の整備目標を見直すとともに、急性期から慢性期に至る切れ目のない医療提供体制の構築、在宅医療の推進や医療従事者の確保・育成などを図ります。
また、両計画において、新型コロナウイルス感染症への対応で得られた経験を踏まえ、新興感染症の発生・まん延時に迅速な対応がとれるよう、病床や発熱外来の確保、自宅療養者への医療の提供などについて、医療機関等と協定を締結して平時から備えることとしたうえで、具体的な数値目標を設定するなどの見直しを行います。
県としましては、県民の皆様が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、今回の計画改定を通じ、持続可能で質の高い保健医療提供体制の確保を図ってまいります。
以上、このたび提案いたしました議案の概要及び当面の諸問題等について御報告させていただきました。
よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
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