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ホーム > くらし・福祉・健康 > 福祉・子育て > 障害者(児) > 障害福祉に関する施策 > 障害福祉に関する計画 > 第七次千葉県障害者計画の策定について > 第七次千葉県障害者計画(HTML版) > 6 障害のある人の一般就労の促進と福祉的就労の充実
更新日:令和6(2024)年3月21日
ページ番号:421044
障害者就労施設等は、障害のある人の経済的自立だけではなく、自己実現の場としても重要です。このため、障害のある人が可能な限り一般企業で就労するとともに、継続的な職業生活を維持できるよう、障害者福祉施設からの就労拡大をはじめとして、企業への支援や関係機関との連携などを含め、障害のある人の就職、職場定着、離職時フォローなどの支援などを進めます。
具体的には、「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(以下「障害者優先調達推進法」という。)」に基づき、県の調達方針を策定するとともに、官公庁による優先調達の促進に向けて、市町村や県の各機関の職員向けに、調達事例の紹介や、制度の説明会を開催するなど、取組を進めます。
また、工賃向上計画に基づく就労支援事業の強化のための支援を行い、工賃の向上を図ります。
さらに、障害者就労施設への発注の拡大に向け、企業や自治体等からの発注に対応する共同受注窓口や、県内の就労施設等の情報をインターネットで提供する「チャレンジド・インフォ・千葉」等を通じて、受発注のマッチングを図っていきます。
国の障害者基本計画(第4次)においては、「障害者が地域で質の高い自立した生活を営むためには就労が重要であるとの考え方の下、働く意欲のある障害者がその適性に応じて能力を十分に発揮することができるよう、多様な就業の機会を確保するとともに、就労支援の担い手の育成等を図る。また、一般就労が困難な者に対しては福祉的就労の底上げにより工賃の水準の向上を図るなど、総合的に支援を推進する。」とされており、障害のある人の一般就労の促進と福祉的就労の充実は重要な課題となっています。
一般就労の促進においては、「障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「障害者雇用促進法」という。)」により企業等での雇用とともに、雇用の分野における障害を理由とする差別的取扱いの禁止や職場で働くに当たっての合理的配慮の提供が義務付けられており、地域障害者職業センターによる障害のある人への専門的職業リハビリテーション、事業主に対する雇用管理に関する助言等の支援、障害のある人の職場への適応を促進するための職場適応援助者(ジョブコーチ)による直接的・専門的支援などが実施されています。
同法の改正により、法定雇用率が引き上げられる中、就労意欲のある障害のある人は毎年増加しており、千葉県内の新規求職件数は平成28年度の7,888件から令和元年度の8,690件へ増えています。就職件数も、平成28年度の3,160件から令和元年度は3,972件と増加していますが、新規求職件数と就職者数の間に開きがあり、多くの働く意欲のある障害のある人が就職の機会を得られない状況にあります。また、多様な障害の中でも精神障害(発達障害を含む。)のある人の就職希望は大きく増加しており、就職数についても今後更に増加することが想定されます。
就職の件数を更に増やすとともに、障害のあることを理由に不当に扱われることなく、就職後も安心して働き続けられるよう、障害特性に応じた就労支援と定着支援を行う必要があります。
また、大学(四年制大学のほか、短期大学、大学院、高等専門学校を含む。)在学中の学生についても、早期に専門的な就労支援を利用することが、その後の就職活動を円滑に進める上で効果的である場合もあることから、在学中の就労移行支援事業の実施について、必要に応じて適切に取り組まれるよう、関係機関等と連携し、周知を図ることが求められています。
今後、在職障害者の就業に伴う生活上の支援のニーズはより一層多様化かつ増加するものと考えられます。企業に雇用された障害のある人の早期離職を防ぎ、職場に定着することは、障害のある人の自立した生活を実現するために重要です。
このため、就労定着支援事業の実施に当たっては、実施主体と障害者就業・生活支援センターや地域障害者職業センターなどの関係機関が連携して障害のある人の就労定着に取り組むことが必要であり、連携や事業実施のあるべき姿について就労定着事業所や関係機関等に周知していくことが求められます。
企業や公的機関、地域における、精神障害や発達障害等、障害の特性に応じた就労支援の充実・強化を図ります。
障害のある人の意思を尊重した働き方を実現するため、サービス等利用計画を作成する相談支援事業所の充実や相談支援専門員の資質向上を図るとともに、障害者就業・生活支援センターや地域障害者職業センターなどの関係機関と連携し、適時のアセスメントができる体制の充実を図ります。
障害のある人が安心して働き続けられるよう、就労先での労働条件等の権利擁護に関して、相談支援体制の強化を図ります。
一般就労を促進するため、就労移行支援事業所の支援体制の充実や支援員の資質向上、積極的な企業での実習や求職活動等の支援体制の強化を図ります。また、就労継続支援事業所の工賃向上計画の有効性評価や各種研修を実施するなど支援体制の強化に努めます。
特別支援学校をはじめとした教育機関、特例子会社や障害者雇用を進めている企業などと各種支援機関との連携強化を図るためのネットワークの構築を進め、就労に向けた情報の共有を進めます。
就労定着を図るため、就労定着支援事業所と関係機関との連携などによる支援の好事例等を周知し、就労定着支援事業所の支援の質の向上を図ります。
また、障害のある人の一般就労を促進するため、就労移行支援事業所の一層の充実とともに、就労定着支援事業の実施事業所や障害者就業・生活支援センターをはじめとする支援機関による就職後の定着支援体制の充実を促進します。(再掲)
№ |
項目 |
元年度実績 |
3年度 |
4年度 |
5年度 |
---|---|---|---|---|---|
1 |
福祉施設利用者の一般就労への移行実績(人) |
1,046 |
1,188 |
1,258 |
1,329 |
2 |
就労移行支援事業の一般就労への移行実績(人) |
797 |
917 |
977 |
1,037 |
3 |
就労継続支援A型事業の一般就労への移行実績(人) |
114 |
129 |
137 |
144 |
4 |
就労継続支援B型事業の一般就労への移行実績(人) |
102 |
114 |
120 |
126 |
5 |
一般就労へ移行する者のうち、就労定着支援事業を利用する者の割合(%) |
― |
― |
― |
70 |
6 |
就労定着支援事業所のうち、就労定着率が8割以上の事業所の割合(%) |
45.4 |
― |
― |
70 |
7 |
就労移行支援事業の利用者数(人) |
2,908 |
3,199 |
3,344 |
3,490 |
8 |
就労移行支援事業及び就労継続支援事業の利用者の一般就労への移行者数(人) |
1,013 |
1,160 |
1,234 |
1,307 |
9 |
障害者高等技術専門校の就職率(%) |
79.5 |
80 |
80 |
80 |
10 |
委託訓練受講者の就職率(%) |
46.1 |
55.0 |
55.0 |
55.0 |
11 |
福祉施設から公共職業安定所へ誘導する福祉施設利用者数(人) |
1,525 |
1,731 |
1,834 |
1,937 |
12 |
福祉施設から障害者就業・生活支援センターへ誘導する福祉施設利用者数(人) |
537 |
610 |
646 |
682 |
13 |
福祉施設利用者のうち公共職業安定所の支援を受けて就職する者の数(人) |
379 |
431 |
456 |
482 |
14 |
従業員43.5人以上規模の企業で雇用される障害のある人の数(人) |
11,677 |
13,610 |
14,690 |
15,860 |
15 |
従業員43.5人以上規模の企業で雇用される精神障害のある人の数(人) |
1,869.5 |
2,960 |
3,720 |
4,680 |
16 |
障害者雇用率を達成した公的機関の割合(%) |
81.6 |
100 |
100 |
100 |
障害のある人が安心して働き続けるためには、就労と生活を支える地域のネットワークが重要です。本県では、県内全ての障害保健福祉圏域に障害者就業・生活支援センターを設置し、就労面及び生活面の一体的な支援の充実を図ってきました。
障害のある人が企業等で働く上で、適切な労働条件や職場環境の確保など障害のある人の権利擁護が重要です。障害者就業・生活支援センターにおいても、その環境整備のため障害のある人や企業等を支援しています。
障害の特性に応じた就労支援の更なる充実と強化を図るため、障害者就業・生活支援センターの果たす役割が期待されます。
№ |
項目 |
元年度実績 |
3年度 |
4年度 |
5年度 |
---|---|---|---|---|---|
17 |
障害者就業・生活支援センター登録者の就職件数(件) |
684 |
835 |
864 |
894 |
18 |
障害者就業・生活支援センター登録者のうち精神障害のある人の就職者の職場定着率(%) |
78.0 |
75.0 |
75.0 |
75.0 |
障害のある人の就職件数は増加傾向にありますが、企業規模が小さいほど法定雇用率の未達成率が高い傾向にあります。また、精神障害のある人の雇用が義務化されたことに伴い、精神障害のある人を雇用する企業も増加し、雇用に関する一層の支援が必要と考えられます。
また、障害者雇用促進法において、障害のある人の雇用に当たって合理的配慮を講じることが義務化されましたが、特に、精神障害や発達障害のある人等の雇用への具体的対応について助言を求める声があります。障害のある人を雇用する企業側の更なる理解を促進するため、障害者就業・生活支援センターや障害者職業センターなどの支援機関の役割や機能の企業側への周知が求められます。
障害のある人への理解と雇用促進に取り組む企業等を応援するため、各障害保健福祉圏域に配置した企業支援員が、障害のある人の能力を活用する工夫や職場において合理的配慮が講じられるよう雇用管理上のアドバイスを行います。
障害のある人が職場に定着し長く活躍できる体制が構築されるよう、雇用する企業向けの研修や社内勉強会等の開催によりサポート力向上の支援を行います。
就労定着支援事業については、障害者就業・生活支援センターや地域障害者職業センターなどの関連機関の役割や機能と併せて、就労定着支援事業所と関係機関との連携などによる支援の好事例等を企業に周知を図るとともに、積極的な活用を働きかけます。
№ |
項目 |
元年度実績 |
3年度 |
4年度 |
5年度 |
---|---|---|---|---|---|
19 |
企業支援員の支援企業数(社) |
6,538 |
7,800 |
8,400 |
9,000 |
20 |
従業員43.5人以上規模の企業で雇用される障害のある人の数(人)【再掲】 |
11,677 |
13,610 |
14,690 |
15,860 |
21 |
従業員43.5人以上規模の企業で雇用される精神障害のある人の数(人)【再掲】 |
1,869.5 |
2,960 |
3,720 |
4,680 |
障害のある人の就労支援に当たっては、関係機関が協力して支援を実施することが重要です。関係機関の連携強化を図るため、障害者就業・生活支援センターを中心に地域意見交換会等を実施し、ネットワークづくりを行っています。
特別支援学校及び高等学校の卒業生のうち、一般就労を目指す障害のある生徒が増加する中、特別支援学校及び高等学校を含む関係機関の連携の重要性が増しています。
また、就労定着支援事業の実施事業所とその他機関との連携や役割分担の在り方を共有することが求められるとともに、生活困窮者自立支援法に基づく自立支援制度など他法の制度との連携が求められる事例も増えており、異なる制度間での関係機関との更なる連携が求められています。
就労を促進するための情報共有化を目的とした会議等の開催、支援者のスキル向上のための研修会等を実施し、障害保健福祉圏域ごとにハローワーク、就労支援施設、相談支援事業所、特別支援学校、高等学校、医療機関等の地域の関係機関の連携・協力を促し就労支援ネットワークを強化します。また、関係機関の連携強化を促す仕組み作りについて検討します。
就労定着支援事業の円滑な実施を図るため、就労定着支援事業の実施事業所とその他の支援機関や特別支援学校、市町村等、さらには支援員同士の横のネットワークを構築するなど、関係機関のネットワークの強化を進めます。(再掲)
№ |
項目 |
元年度実績 |
3年度 |
4年度 |
5年度 |
---|---|---|---|---|---|
22 |
ネットワーク構築のための会議を開催した圏域数(箇所) |
16 |
16 |
16 |
16 |
就労の意欲があっても企業等での就労が難しい障害のある人は、就労継続支援事業所などの福祉施設等において生産活動に従事しており、そのような活動は「福祉的就労」と呼ばれています。福祉的就労を担う就労継続支援事業所には、障害のある利用者が事業所と雇用契約を締結することを原則とする就労継続支援A型事業所と、雇用契約に基づかない生産活動の場である就労継続支援B型事業所があります。雇用契約に基づかない生産活動の結果利用者に支払われる賃金は、「工賃」と呼ばれています。
県では、就労継続支援B型事業所において障害のある人が受け取る工賃の額を令和2年度末に平均月額17,000円とする目標を設定しましたが、令和元年度末で15,215円となっています。工賃が伸び悩む要因として、新規開設の就労継続支援B型事業所が、目標工賃を達成するだけの作業を確保することが困難な現状が見受けられることや、事業所やその製品等について、広く社会一般に認知されていないことなどが考えられます。
障害者優先調達推進法では、国や地方公共団体等が率先して障害者就労施設等からの物品等の調達を推進するよう、必要な措置を講じることが定められています。
県では調達方針を定めて発注増に取り組んでいるほか、発注可能業務を登録するデータベースである「チャレンジド・インフォ・千葉」を設け、受注機会の拡大に努めていますが、官公需にとどまらず民需への展開につなげるためにも障害者就労施設等が受注できる業務内容や、障害者優先調達推進法そのものへの理解を一層広げるとともに、一つの事業所では対応できない大口発注等に対し、共同受注により複数の事業所で対応するなど、受発注のマッチングを図る必要があります。
就労継続支援A型事業所は増加傾向にあり、平成21年度末の7事業所から令和元年度末には91事業所に増えています。就労継続支援A型事業所は、通常の事業所に雇用されることが困難であるが、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、雇用契約の締結による就労の機会の提供や、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等を行うものです。このため、最低賃金の支払等の労働関係法令を遵守した上で、利用者に対し必要な支援を行うことが求められます。平成29年7月には、事業の適正化を図るため、(1)生産活動に係る事業の収入から必要経費を控除した額に相当する金額が、利用者に支払う賃金の総額以上になること、(2)賃金を自立支援給付から支払うことを原則禁止すること、などの基準の見直しが行われたところであり、障害のある人へ生活支援を提供するという障害福祉サービス事業所としての目的を見失わず、その役割を果たすことが重要です。
№ |
項目 |
元年度実績 |
3年度 |
4年度 |
5年度 |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|
23 |
就労継続支援B型事業所の平均工賃月額(円) |
15,215 |
15,215 |
16,107 |
17,000 |
||
24 |
就労継続支援A型事業所が条例の基準を満たしている割合(%) |
44.3 |
― |
― |
100 |
||
25 |
県内官公需実績(県及び市町村) |
|
|
|
|||
県 |
発注件数(件) |
285 |
390 |
495 |
600 |
||
発注金額(千円) |
17,194 |
21,000 |
25,000 |
29,000 |
|||
市町村 |
発注件数(件) |
934 |
1,026 |
1,072 |
1,118 |
||
発注金額(千円) |
150,316 |
166,700 |
173,400 |
181,100 |
(注)条例:「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例」
障害のある人が働くことによって得られるものは、賃金(工賃)だけとは限りません。「感謝される喜び」や「社会のために貢献している感覚」を大切にしたいと思うのは障害の有無に関係ありません。障害のある人も、自らの価値観に基づいて就労の選択ができることが大事です。その際、障害の特性上自分の希望を思うように伝えられない人にとっては、周囲の支援者が本人の価値観を理解し、適切な支援を行うことが欠かせません。
障害のある人の高齢化が進んでいることや、様々な技術革新、多様な働き方の普及等により労働環境が変化してきています。また、新型コロナウイルス感染症への対応として、テレワークでの在宅勤務など、新たな生活様式の定着を見据えた取組が見られ、ウィズ・ポストコロナ時代には、障害のある人の就労の可能性の広がりが予想されます。今後も障害のある人の働き方やその支援の在り方について継続して議論していく必要があります。
障害のある人が働く際に、経済的自立のほか、障害のある人が自らの価値観に基づく「働き方」や「生き方」を追求し、多様な働き方の選択が尊重されるように支援を行い、安心して継続して働ける環境づくりに努めます。
障害のある人の相談を受ける際や、サービス等利用計画及び個別支援計画を作成する際には、支援会議やモニタリングを通じて本人の希望を丁寧に確認し、希望が実現されるよう配慮することを支援機関等に周知徹底します。
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