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ホーム > くらし・福祉・健康 > 福祉・子育て > 障害者(児) > 障害福祉に関する施策 > 障害福祉に関する計画 > 第七次千葉県障害者計画の策定について > 第七次千葉県障害者計画(HTML版) > 3 障害のある人への理解を広げ権利を擁護する取組の推進
更新日:令和6(2024)年3月21日
ページ番号:420844
障害者条例に基づき、個別の差別事案の解決を図るとともに、差別の背景にある社会慣行などの問題について、様々な立場の関係者が参加する「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり推進会議」で協議し、障害のある人に優しい取組を応援していきます。
障害者条例及び障害者差別解消法の趣旨が県民に広く浸透するよう周知を行います。
障害者虐待防止法に基づき、障害のある人への虐待の防止や早期発見・早期対応に向け、関係機関との連携強化、研修の実施、県民への普及啓発等に努めます。
地域における相談支援体制を構築し、生活支援と一体となった権利擁護の仕組みづくりのため、地域自立支援協議会の充実・強化への支援やネットワークづくりに取り組みます。
障害の有無にかかわらず、必要な情報のやり取りやコミュニケーションが行えるよう支援を行います。平成29年3月に見直した「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」に基づく配慮に努めるとともに広くガイドラインを周知します。
平成28年6月制定の手話言語等条例に基づき、手話等の普及を促進するとともに、手話通訳者や要約筆記者点、訳・朗読奉仕員、失語症者向け意思疎通支援者等の人材の養成に取り組みます。
障害のある人に関するマークの県民への周知と理解の促進に取り組みます。
平成28年4月に障害者差別解消法が施行され、合理的配慮について、国や地方公共団体等の行政機関に提供が義務付けられるとともに、民間事業者に対しては提供の努力義務が課せられました。また、近年では、各地方公共団体において、障害者差別に関する条例が続々と制定・施行されています。
千葉県では、障害のある人への差別を禁止した全国初となる障害者条例が平成18年に制定、翌19年に施行されました。この条例の基本理念では、障害のある人に対する差別の多くは、障害のある人に対する誤解、偏見その他の理解の不足から生じていることを踏まえ、差別をなくす取組は、障害のある人に対する理解を広げる取組と一体のものとして行わなければならないこととなっています。また、障害のある人もない人も相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには、人権尊重の重要性について社会全体が理解を深めていくことが必要となります。そのため、条例の存在やその目指すところを県民に広めることによって、県民全体で障害のある人の問題を考える機会となることを目指しています。
また、障害等により支援や配慮を必要としていることが外見からは分からない方が、周囲の人に支援等を必要としていることを知らせるためのヘルプカード・ストラップ型ヘルプマークを作成・配布し、障害のある人が配慮を申し出やすい環境づくりに努めています。
さらに、東京2020パラリンピック競技大会では4競技(ゴールボール・シッティングバレーボール・テコンドー・車いすフェンシング)が本県で開催されることが平成27年11月に決定し、大会に向けて、県民のパラリンピック競技への関心を高めるため、県内各地で競技の体験会や各種イベントが開催されています。
しかし、障害者条例の施行から10年以上が経過した現在でも、障害を理由とした差別と思われる事案が多く発生しており、引き続き、障害者条例や障害者差別解消法等の周知・啓発が求められています。障害を理由とした差別には、制度や慣習が原因となっている事案も数多くあり、障害者条例に基づく推進会議等において議論し、改善を図っていく必要があります。
また、新型コロナウイルス感染拡大の防止と日常生活の両立のため、「新しい生活様式」が実践される中、障害のある人から障害特性により生活上の様々な不安や不便を感じているという声があります。「新しい生活様式」の下での障害のある人への適切な配慮等について、周知・啓発を図る必要があります。
東京2020パラリンピック競技大会に向け、共生社会の実現への理解を広める施策に取り組んできました。今後もその理解をより一層深めるため、県民全体を巻き込んだ各種の取組を行っていく必要があります。
現在、国において障害者差別解消法の改正が検討されていることから、その動きも注視していく必要があります。
パラスポーツフェスタちばや各種競技体験会において、障害のある人とない人の交流を図り、多くの人を巻き込みながら、共生社会の形成の促進を図ります。
また、東京2020パラリンピック競技大会に向けた一連の取組を、そのレガシーとして受け継ぐことができるよう推進していきます。
№ |
項目 |
元年度実績 |
3年度 |
4年度 |
5年度 |
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1 |
共生社会という考え方を知っている県民の割合(%) |
38 |
― |
― |
50 |
2 |
障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例に関する周知・啓発活動の回数(回) |
1,490 |
1,490 |
1,490 |
1,490 |
子どもの頃から障害のある・なしにかかわらず活動を共にすることは、全ての子どもの社会性や豊かな人間性を育成する上で大きな意義があり、同じ社会に生きる人間として、お互いを正しく理解し、共に助け合い、支え合って生きていくことの大切さを学ぶ重要な機会であると考えられています。そこで、千葉県では、福祉教育への取組等を進める学校を福祉教育推進校として毎年20校程度新たに指定し、その活動を支援しています。福祉教育推進校では、各学校における独自の創意と計画に基づき、車椅子体験等を通して、子どもの理解と関心を高め、思いやりの心やノーマライゼーションの醸成に努めています。
また、障害者条例に基づき16障害保健福祉圏域に1名ずつ配置された広域専門指導員が学校を訪問するなど、周知・啓発活動を行っています。さらに、公立幼・認定こども園・小・中・義務教育学校・高等学校の管理職や人権教育担当者に対する研修を毎年開催し、人権課題の一つとして障害がある人の人権について周知しています。今後も子どもへの広報啓発活動や市町村、地域の自立支援協議会等の関係機関との連携の在り方について検討をしていく必要があります。
公立小学校に通う児童が、障害のある人、高齢者の特徴や関わり方について学ぶための「地域リハビリテーション出前講座」を実施します。
講座は授業の一環として行い、内容は、学校の希望を踏まえて調整することとし、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を講師として派遣します。
№ |
項目 |
元年度実績 |
3年度 |
4年度 |
5年度 |
---|---|---|---|---|---|
3 |
福祉教育推進員養成研修の修了者数(人) |
38 |
40 |
40 |
40 |
障害のある人の権利が保障されなければならないことは、平成26年に我が国が障害者権利条約を締結したことからも明らかです。障害者権利条約は、障害のある人の人権や基本的自由の享有を確保し、障害のある人の固有の尊厳の尊重を促進することを目的としています。
障害者虐待については、障害者虐待防止法において、「障害者の尊厳を害するもの」と規定され、いかなる理由でもその行為が許されるものではありません。しかしながら、平成24年10月に障害者虐待防止法が施行されて以降、障害者虐待として判断された件数は、全国で毎年2,000件を超え、虐待の未然防止や早期発見・対応が求められています。そのために、地域で障害のある人に関わる人々が、権利侵害に対する意識を高く保つことができるようになる必要があります。
障害者虐待防止法が施行されて8年が経過しましたが、いまだに虐待行為がそれと認識されずに行われてしまうこともあり、虐待を未然に防ぐため、何が虐待になり得る行為なのか、引き続き周知することが必要です。養護者においては、家庭内での長年の人間関係や育児疲れ等様々な要因が複雑に影響している場合も多く、障害のある人やその家族が孤立しないように、支援体制の構築と養護者の負担軽減が必要となります。障害者福祉施設等においては、管理者や虐待防止マネージャーを中心とし、内部研修の開催や外部研修への参加、風通しの良い職場づくりなどが有効であると考えられています。
また、虐待が発生してしまった場合も問題が深刻化する前に早期に発見し、各関係機関が迅速に連携、対応する必要があります。行政機関等においては、定期的な人事異動があるため、対応に当たる職員の質の確保が必要です。
障害のある人の中には、障害の特性から、自分のされていることが虐待だと認識できない場合や、虐待を受けても被害を訴えられない場合もあるため、家族や支援者などの周りの人がいかに気付くかが重要となります。そのため、関係者に虐待防止に関する通報義務を広く周知する必要があります。
精神上の障害により判断能力が不十分な人が地域で安心した暮らしを送るための権利擁護の取組の一つとして成年後見制度があります。成年後見制度の利用状況は、認知症高齢者や知的障害、精神障害のある人の増加を背景に、近年増加傾向にあるものの、その利用度は認知症高齢者等の数と比較するとまだまだ低いまま推移しています。
平成28年には「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が施行され、市町村は、制度利用の促進に関する施策についての基本的な計画の策定や、成年後見等実施機関の設立等に係る支援などを講じるよう求められていることから、成年後見を必要とする人が成年後見制度を利用できるよう地域における体制づくりを進めるとともに、県においても、研修の実施や専門職の派遣等により市町村を支援していく必要があります。
また、障害者差別解消法が施行されたことにより、地方公共団体等の職員が障害を理由とする差別の禁止に関して適切に対応するために職員対応要領を定めるよう努めることとすると規定されました。千葉県においては、任命権者ごとに対応要領を策定し、運用しているところですが、市町村によってはこの対応要領をまだ策定していない市町村があります。障害者差別の克服・解消に向けて合理的配慮の提供を率先して実行すべき行政機関として、まだ策定していない市町村は積極的に対応要領を策定する必要があります。
№ |
項目 |
元年度実績 |
3年度 |
4年度 |
5年度 |
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4 |
虐待防止アドバイザー派遣数(回) |
16 |
17 |
17 |
17 |
5 |
職員対応要領を策定した市町村数(市町村) |
46 |
49 |
52 |
54 |
障害のある人がその地域で自立した生活を送るためには、その障害のある人が求めるニーズや課題に対応し、必要に応じて適切な障害保健福祉サービス等につなげていく相談支援が重要です。
権利擁護の面においては、相談をどのように受け止め、適切に対応していくのか、市町村の虐待防止の窓口、差別に関する窓口、その他の相談機関を活用した権利擁護の相談支援体制を充実させる必要があります。千葉県では障害を理由とした差別の相談は障害者条例に基づき、広域専門指導員、地域相談員及び調整委員会が担当しており、広域専門指導員や地域相談員のより有効な活用方法の検討や、研修等を通じた相談対応力の強化を図る必要もあります。
相談を受ける機関の職員だけではなく、障害のある人や関係者に対する相談窓口の周知や明確化も必要となります。障害者条例のみならず、条例に基づく相談員である広域専門指導員等を周知することにより、相談しやすい地域づくりに取り組むとともに、障害者差別解消法や障害者虐待防止法に基づき市町村に設置された窓口と連携を図らなければなりません。
障害者差別解消法に基づき、各地域に障害者差別解消支援地域協議会を設置することができるとされていますが、自治体により設置の有無やその在り方などに違いがあり、自立支援協議会と併せた形で設置している場合や、複数の自治体が合同で設置している場合があります。地域における相談支援体制の充実のため、自立支援協議会や障害者差別解消支援地域協議会の活性化を図る必要があります。
また、ノーマライゼーション理念の浸透や障害のある人の権利擁護が求められる中、障害のある人の自己決定の尊重に基づいた支援の重要性は明らかです。障害のある人の意思を尊重した質の高いサービスの提供に資することを目的とし、厚生労働省は意思決定支援ガイドラインを作成しました。このガイドラインの相談支援事業所等への周知・啓発が求められています。
№ |
項目 |
元年度実績 |
3年度 |
4年度 |
5年度 |
---|---|---|---|---|---|
6 |
障害者差別解消支援地域協議会を設置した市町村数(市町村)※共同設置を含む |
40 |
45 |
50 |
54 |
「人材」はあらゆるサービスや事業の根本となるものであり、その「人材」を育成・確保することは、提供するサービスや事業の質を維持する上で不可欠なことです。
障害のある人とのコミュニケーションを支援する人材としては、手話通訳者、要約筆記者、点訳・朗読奉仕員、盲ろう者向け通訳・介助員、失語症者向け意思疎通支援者などがいますが、これら人材の確保、育成が求められています。
現在、千葉県においては、障害者総合支援法における地域生活支援事業として障害のある人との意思疎通を支援する人材の養成事業を行っています。しかし、研修によっては養成課程が長期にわたるため、最終過程までに至らず、養成事業修了者が定員を割ってしまうことがあります。
そのような中、聴覚障害のある人のコミュニケーション手段の一つである手話を言語の一つであると位置付けた手話言語等条例が平成28年6月に公布・施行されました。この条例では、手話等を学習する機会の確保や、各種人材の育成等の必要な施策について障害者計画で定めることを規定しています。手話言語等条例の制定により、手話通訳者については、養成研修の拡大を行いました。
また、平成30年度からは障害者総合支援法第78条に規定する都道府県地域生活支援事業として、新たに失語症者向け意思疎通支援者養成研修事業が位置付けられました。県では令和元年度より失語症者の自立と社会参加を図るため、失語症者向け意思疎通支援者の養成研修を開始し、失語症者向け意思疎通支援事業を行う市町村へ希望により研修修了者の名簿提供を行いました。
№ |
項目 |
元年度実績 |
3年度 |
4年度 |
5年度 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
7 |
手話通訳者・要約筆記者実養成講習修了見込者数(人) |
45 |
56 |
56 |
56 |
|
8 |
盲ろう者向け通訳・介助員実養成講習修了見込者数(人) |
18 |
18 |
18 |
18 |
|
9 |
手話通訳者・要約筆記者派遣実利用見込件数(件) |
369 |
412 |
412 |
412 |
|
10 |
盲ろう者向け通訳・介助員派遣実利用見込件数(件) |
1,524 |
1,526 |
1,526 |
1,526 |
|
11 |
点訳・朗読奉仕員の養成人数と研修回数 |
|
|
|
|
|
養成人数(人) |
41 |
46 |
46 |
46 |
||
研修回数(回) |
2 |
2 |
2 |
2 |
||
12 |
失語症者向け意思疎通支援者実養成講習修了見込者数(人) |
22 |
50 |
50 |
50 |
障害のある人にとっての「障害」は日常生活や社会生活の様々な場面で多岐にわたるものです。特に、どのように情報を受発信するか、また、どのように人とコミュニケーションをとるかということは、普段の生活を送る上で重要な事項となります。そのため、障害のある人の情報・コミュニケーションバリアフリーをどのように確保するのかということが必要となります。
千葉県では、障害者条例の取組の一つとして、行政職員等が障害のある人と情報のやり取りをする際にどのような配慮を行うべきか示すために「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」を作成しました。このガイドラインを県や市町村の行政職員のみならず、民間事業者等にも配布し、周知に努めています。
また、障害者権利条約において既に手話は言語の一つと定義付けられているところですが、手話言語等条例は、改めて手話を言語の一つとして位置付けるとともに、手話等に対する県民理解の促進を県の責務として規定しています。条例制定を契機として、県内の中学校・高校を対象とした手話普及啓発用DVDの作成・配布を行いました。
手話言語等条例の策定により、県の広報番組や県議会の放送等において手話通訳者が設置されているところですが、手話をはじめとした意思疎通手段をどのように県民に知ってもらうか、理解してもらうかが重要となります。そして、手話言語等条例のみならず、障害者差別解消法や障害者条例においても会議等で手話通訳者の受け入れを拒否することは、差別に当たり得ることについても周知が必要です。
手話通訳者等の派遣については、障害者総合支援法における地域生活支援事業において県事業として広域派遣が位置付けられ、手話言語等条例においてその体制の整備が求められているところです。一方、市町村においては、同じ意思疎通支援事業として手話通訳者等の人材の派遣事業を行っていますが、事業を実施する市町村によって派遣の基準に違いがあります。
情報通信分野においては、情報機器の発達が障害のある人の日常生活に大きく寄与します。そのため、情報機器の使用について支援を行うため、障害のある人を対象としてパソコン教室の開催・障害者ITサポートセンターの設置を行っています。また、視覚障害、聴覚障害のある人の情報支援の拠点として、点字図書館1箇所、聴覚障害者情報提供施設1箇所を県内に設置しているところですが、継続した情報提供を行うために、施設の安定した運営が必要となります。また、聴覚と視覚の重複障害のある人への支援を充実させるため、両情報提供施設の適切な連携体制が求められています。
ほかにも、災害時における迅速かつ適切な情報提供や政治参加のための投票所における投票環境の向上なども必要となります。
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