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更新日:令和5(2023)年1月25日
ページ番号:8963
ヒラメ
カレイ目ヒラメ科ヒラメ属
標準和名:ヒラメ
英名:Basterd halibut,Olive flounder
学名:Paralichthys olivaceus(TEMMINCK & SCHLEGE)
水深200m以浅岩礁域周辺の砂泥底に生息する。季節により浅場と深場を移動し、早春から初夏にかけては沿岸の浅場に出現するが、夏から冬にかけては深場で生活をする。体長は最大85cmあまりにもなる。
産卵は本州中部以南の太平洋岸では2月から5月にかけて、複数回行われる。卵は球形の分離浮性卵で直径は約0.9mm前後である。
生まれたときから成魚のように平たい形をしているわけではなく、ふ化直後は全長2mm前後で細長い魚体をしており、浮遊生活をしている。全長7mmを超えた頃から体高が増え、全長10mmを超すと体が側偏し、右眼が移動を始める。全長14mmになる頃には右眼が頭部背縁に達して成魚に近い姿となり、底生生活をするようになる。
肉食で浮遊期には動物プランクトンを食べ、底生生活に移り成魚になると小魚類(イカナゴ、マアジなど)や甲殻類(エビなど)を食するようになる。
種苗生産で使用する受精卵を得るため、ヒラメの成魚(親魚)を周年養成しています。
親魚は、ストレスを与えないように薄暗くした静かな施設内で、餌として冷凍マアジ等を与えながら養成します(写真は親魚養成水槽)。
産卵期になると、ヒラメは養成水槽の中で産卵を行います。
ヒラメの卵は海水に浮く性質を持っているので、水槽内で自然産出された受精卵をあふれ出た海水と一緒に、親魚水槽の外に設置したネットで受けて回収します。
ヒラメの卵は、水温18℃の条件下では約2日でふ化します。
ふ化した仔魚は20トン水槽に収容して飼育を開始します。
写真はふ化後3日目のヒラメ仔魚です。(全長:3.7mm)
ふ化後25日目の仔魚です。(全長:13mm)
この頃になると右目が移動を開始し、成魚になるための体形の変化が始まります。
体は透明で、腹部(消化管)には仔魚が食べた餌が見えています。また、頭部に近い数本の背鰭が長く延びています(伸長鰭条)。
ヒラメは、同じ水槽内で飼育している群の中で成長差が大きくなると「共食い」をします。
この「共食い」を防止するため、平均全長が22~24mmに達した時点でサイズの選別を行い、大サイズと小サイズを別々の水槽に分けて飼育を続けます(写真は選別後の大サイズ種苗)。
ふ化後50日目の稚魚です。(全長:約3cm)
体の形や模様は、成魚とほぼ同じになりました。
※中間育成は「公益財団法人千葉県水産振興公社」が実施しています。
ふ化から3~4カ月経過し、放流サイズ(全長:約8cm)に成長したヒラメの稚魚です。
全長3cm~8cmまでの飼育(中間育成)は、100トンの大型水槽で行います。
放流サイズに達した稚魚を出荷するため、水槽内の海水と共に、稚魚を中央の排水口から水槽外に設置した生簀かごに流し込みます。
ヒラメの稚魚は中央に集まり、排水口から吸い出されます。
生簀かごに集められた稚魚をたも網ですくい、バケツに入れて輸送トラックまで運びます。
輸送トラックに積まれた活魚水槽に稚魚を優しく移していきます。
輸送途中に稚魚が酸欠で死亡することがないよう、活魚水槽内には酸素と空気を併用した通気を行います。
全ての稚魚を積み込み、放流場所へ向かいます。
県内各地に放流するため、放流場所までの輸送時間は2~3時間かかる場合もあります。
※放流は「公益財団法人千葉県水産振興公社」及び県内各地区の「地域栽培漁業推進協議会」が実施しています。
放流場所近くの漁港に到着したら、活魚水槽のふたを開けて敷き網をたぐり、稚魚を集めてバケツですくいます。
バケツに入れた稚魚を、人から人へ受け渡しながら船内のいけすに積み込んでいきます。
積み込み過ぎに注意し、酸素の通気を行って酸欠による死亡を防ぎます。
積み込みが終了したら放流点へ向かいます。稚魚の状態を確認しながら慎重に運搬します。
放流点に到着したら、稚魚をバケツですくい、海中へ優しく放流します。
ここでは船で沖合へ運んで放流を行っていますが、稚魚の成育に適した場所であれば船への積み込みをせず、トラックから直接、漁港内へ放流する場合もあります。
稚魚は放流されるとすぐに海底へ向かい、着底後は砂に潜ります。
放流された稚魚は1年で全長30~40cmに成長し、以後、県内各地の市場に水揚げされます。
県内では、概ね年300トン前後のヒラメが漁獲されています。
海域や年による違いはあるものの、県内の市場に水揚げされるヒラメのうち数%~20%は放流魚(平均約10%)です。
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