「令和5年度魅力ある県立学校づくり大賞」優秀賞:県立仁戸名特別支援学校(県教委ニュースVol.334)
「学びたい」を大切にする病弱教育 -ICT利活用による学習環境デザイン-
本校は、病気療養中の児童生徒の教育保障を担う特別支援学校で、現在、隣接の国立千葉東病院のほか、千葉市・市原市内の病院に入院している児童生徒や、自宅療養が必要な児童生徒が学んでいます。本校には、小学部・中学部・高等部があり、小・中・高等学校に準じた教育課程と、障害に応じた自立活動を中心とした教育課程があります。
病気は、腎疾患や重度心身障害、小児がんと様々ですが、入院あるいは療養しながら、それぞれの目標に向かって学習に取り組んでいます。入退院に伴い、例年100~130件の転出入があり、在籍状況が頻繁に変わるのも、本校の特徴の一つです。
本校が、今回「魅力ある県立学校づくり大賞」へ応募した内容は、病気療養中の教育保障のため、ICT利活用により児童生徒の「学びたい」を大切にした学習環境の工夫として遠隔教育の充実に取り組んだものです。平成10年度から取り組んでいる遠隔での教育は、児童生徒の学びの可能性を広げる、本校の重要な取組の一つです。
令和4.5年度、県教育委員会の研究指定を受け、「ICT機器の利活用による教育の質の向上」のテーマのもと、病気療養中の児童生徒への切れ目ない学習支援を目指して取り組んでいます。
昨年度の同時双方向型の遠隔授業の取組では、児童生徒から「時間や場所等にとらわれず、体調に配慮しながら授業を受けられた」、「同時双方向型は授業がわかりやすい」、「先生や友達と話し合いができた」などの声が、保護者からは「授業が受けられることが何よりもありがたい」、「面会できない子供の授業参観ができた」などの声があり、高評価を得ています。さらに「再発してまた入院することになっても、仁戸名特別支援学校があるから不安はなく、安心です」の声には、改めて本校の使命を感じ、身の引き締まる思いでいます。
本校では単にICT機器を使うのではなく、体験や感動を共有することを重視し、個に応じたアプローチによるカスタマイズにより、児童生徒のわかる喜びを導き出します。
今後は、小・中・高等学校等で学ぶ病気療養中の児童生徒への支援の充実を図るため、小・中・高等学校等との遠隔授業を中心とした学習保障の在り方を、実践を通して検証し、多様な学びの形のさらなる実現と充実を目指してまいります。病気療養中の児童生徒が、どこにいても彼らの「学びたい」が大切にされるネットワーク構築を目指します。
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