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更新日:令和4(2022)年4月18日
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君津市は房総半島のほぼ中央に位置する町で、人口は8万人を超えます。住宅地などが集まる市街地の他に、昔ながらの城下町や自然豊かな山間部、さらに肥沃な農耕地帯などがあります。一つの市と言えども県下で2番目に大きな市であることから、地域によって様相はがらりと変わり、様々な面を見ることができます。観光面でも充実しており、数年前にSNSで水に反射した光がハート型に見えることで有名になった清水渓流広場(濃溝の滝・亀岩の洞窟)やバスフィッシングや紅葉の名所として有名な亀山湖などがあります。住む場所としても観光地としても魅力が詰まった君津市ですが、少子化の波は押し寄せており、児童、生徒の減少に伴って、学校の統合がここ数年で計画的に進められています。
水面に映った光がハートに見える膿溝の滝
紅葉がきれいな亀山湖
清らかな湧き水で作られるカラー
※君津市ホームページより
学校の統合と合わせて共同調理場の統合も進められました。もともと市内に3つの共同調理場がありましたが、施設の老朽化などの理由から、平成31年度4月に新しく1つの共同調理場として生まれ変わりました。
新しい共同調理場は、配送の関係などから市内のほぼ中央に位置する小糸地区に建設されました。田園風景の中に、巨大で近代的な銀色の建物が目立ちます。令和4年4月時点では小学校12校、中学校7校の19校に対して給食を提供しています。地域の特色になるべく合わせた給食を提供していた3つの調理場が1つの大きな調理場になることで、どのように給食や食育を実施していくのかが課題でした。
朝日に照らされる新しい調理場「君津市学校給食共同調理場」
新しい共同調理場になったことで出来るようになったことを紹介します。
他にもスチームコンベクションの導入で蒸し焼き調理ができるようになったり、アレルギー食対応室ができたことで、食物アレルギーを有する児童生徒へ給食の提供ができるようになったりしました。個別食器やお箸の導入は食育につなげることができ、食事マナーを給食時間中に教えることできるようになりました。また、調理場での炊飯や和え物調理が可能になったことで調理方法の幅が増えました。
食器がお椀やお皿などに分かれることで、手に持って食べることが可能になった
食器の縁には市の花ミツバツツジと市のマスコットキャラクターきみぴょんがあしらわれている
新しい調理場になり衛生面が向上し、食事マナーなどの食育指導ができるようになりましたが、子どもたちにとっては給食の内容が気になるところです。衛生や食育面だけではなく、子どもたちが「楽しみ」と感じてもらえるような給食の提供も心がけています。
大きな釜で和えられるフルーツポンチ
フルーツポンチの日は残菜が少ない
これまでは、冷たい料理を提供することができませんでしたが、和え物室や真空冷却器の導入によってフルーツポンチやサラダなども出せるようになりました。フルーツポンチは新しい共同調理場の初日の給食で提供し、瞬く間に人気メニューになりました。
2回目に提供した黒毛和牛献立
献立表でも「黒毛和牛」と書いて宣伝をしている
また、「和牛肉等販売促進緊急対策事業」を活用して、国産牛のサイコロステーキをこれまでに2回提供しました。1回目は焼いた牛肉が固くなってしまったので、2回目は火加減の調整などのやり方を工夫し、和牛らしいやわらかさを感じてもらえるようにしました。
おかずを縦に読むと「き・み・つ」になる
丁寧にパウチしてクラスごとに配られた手紙
君津市は2021年9月1日に市制50周年を迎えました。市で行われる記念事業に合わせて、給食でもお祝い給食を提供し、子どもたちに君津市への愛着をより持ってもらうようにしました。献立名の頭文字に「きみつ」の隠しメッセージを入れました。
食べる時は配られた袋に入れて食べる
ひとつずつ丁寧にきな粉をまぶしている
「揚げパンは出せなくなります。」1つの調理場になる時に、各受配校に伝えに行きました。しかし、復活を望む声が多く、検討、準備、試し調理などを重ね、稼働から約9か月後の2020年1月には提供できるようになりました。入れ物の問題がありましたが、二重食缶という保温食缶に入れることで「温かい揚げパン」として返って特色のある揚げパンが出来上がりました。
今までの君津市のアレルギー対応は献立表による情報提供のみでしたが、新しい共同調理場ではアレルギー食対応室を設け、アレルギーを持つ子どもたちにも給食を提供できるようになりました。当初は除去食の予定でしたが、検討を重ねて代替食の提供を決定しました。他の子どもたちと同じような内容の給食が、安全で温かいまま提供することができるようになりました。
ひな祭り献立も通常食と同じように食べられる
君津市では、1年を通して多くの野菜が栽培されています。品目として「かぶ、キャベツ、きゅうり、小松菜、チンゲン菜、トマト、ねぎ、にら、人参、白菜、三つ葉」などがあります。給食でも積極的に活用しており、地元の納入業者と情報交換しながら、その時期に適した野菜を使用しています。
また、毎日のように給食で使う人参は、君津市のふるさと納税の返礼品「にんじんジュース」にも使われている人参で、濃い甘味と鮮やかなオレンジ色が特徴です。
三舟山を背景に人参畑が広がる
機械で切る前には手切りで下処理をする
他にも、ちばエコ基準に準じて栽培されているお米や、新鮮な卵なども100%君津市産のものを使用しています。
精米される前には「学校給食米」の印字がされている
青空に映える緑の田んぼ
授業や個別的な栄養相談などのほかに、各学校への給食訪問を実施しています。令和3年度は地産地消や減塩給食についての給食指導を実施しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、教室には入らず、放送を使い、栄養士が生の声で放送原稿を読み上げるようにしました。ほかには、手紙を出して子どもたちが調理場を身近に感じてもらえるようにしています。
「新米始めました」のポスター
新米の時期の恒例となっている
2月の給食について書かれた手紙
担任の先生方が子どもたちへ食育を行う機会は多いです。そこで、本調理場では子どもたちだけでなく、先生方に対しても食育の推進を行っています。
お便りには指導のポイントや給食のねらいなどが書かれている
教職員向け便り「給食センターからこんにちは」では、給食献立に対する思いや、調理場の裏話などを載せています。特に若い先生方には調理場や給食について興味を持ってもらえることから、子どもたちの食指導に繋げられるという狙いがあります。
また、給食についてのご意見や調理場で行っている減塩の取組についてもアンケートを実施しています。減塩の取組は君津市だけでなく、近隣市で共同実施しており、「給食発!減塩を中心とした生活習慣病への取り組み」として数年計画で行っています。
普段、給食センターにいる栄養士も、それぞれの学校へ出向き、食育の授業を行っています。給食訪問では、「食事マナー」「給食の紹介」「食育クイズ」などを、ホワイトボードなどを使用して行っています。在籍している周東中学校では、肥満生徒を対象にした希望性個別栄養相談「ST☆ZAP(ストザップ)」と称し、月に1度栄養士から手紙を送り、毎月体重を記録していくという取組を実施しています。
君津市学校給食共同調理場は、今年で稼働してから4年目を迎えます。新しく誕生した施設だからこそできることも多く、様々なことにチャレンジをしながら5年目、10年目を迎えていきたいと思います。魅力ある君津市に住む子どもたちを食の面から支えられるような施設にしていきたいです。
文責:君津市立周東中学校・栄養教諭・井上 直洋
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