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更新日:令和6(2024)年8月1日

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防災・防犯・安全

危険度判定票を作成してみよう

令和6年8月1日掲載

再生時間:26分35秒

実際の被災事例を知り、被災発生の状況理解や被災防止のための注意点について考えていただくための危険度判定票に関するマニュアル等について説明します。
「危険度判定票を作成してみよう_1」では、「判定マニュアル」や「判定票作成の手引き」を用いて、具体的に判定票を作成した事例等を示しています。
また、「近年における地震や豪雨災害状況(擁壁・宅地・のり面)」では、近年の被災事例等を示しています。

動画の内容

スライド1
これから被災宅地危険度判定士、模擬訓練実務研修会の講習を始めさせていただきます。

スライド2
実際の被災写真をみながら、危険度判定票を作成してみます。
なお、これからの説明は、すべて共通事項の記入は省いてあります。変状項目のチェックからの説明となります。
まずは、「宅地擁壁」です。

スライド3
被災写真を見てみましょう。
1、2、3、は、道路に接した空石積擁壁崩壊箇所の全景と近景です。
4は、擁壁天端に発生した宅地地盤クラック全景です。
クラックは、1cm開いていました。 

スライド4
様式1の擁壁被害状況調査、危険度判定票を使い、擁壁の危険度判定を行います。
採点表は赤枠囲い部分を使用します。

スライド5
被災状況図は、被災写真から、7番の崩壊に丸を付けます。
擁壁上部に建物があるので建物、道路との位置関係は影響範囲 Aに丸を付けます。
又、被災箇所にブルーシートが掛けてあるので、応急処置済みにチェックを入れます。

スライド6
空石積擁壁崩壊を、平面、断面に描画した記載例です。
図面には必ず被災規模が解る数量を記入してください。
宅地地盤に発生したクラック幅の大きさも記載して下さい。
又、被災写真とリンクした写真番号も記載してください。

スライド7
基礎点は、平面図、横断図より湧水はないので0点。
空石積は、水抜効果が有り、天端に排水施設がない為、表面水が浸透しやすいので「中」として0.4点。
擁壁高さは4.5メートルありましたので、4から5メートルの範囲に入る為、0.6点になり合計1点となります。

スライド8
変状の程度は、「空積擁壁崩壊基礎部を残して滑っている」に丸が付き変状点は、9点になります。
故に、基礎点1点プラス変状点9点で合計10点となる為、危険度判定は、大被害に区分されます。
擁壁崩壊の為、緊急度は大で、宅地地盤にもクラックが発生し家屋沈下の恐れも有るため拡大の見込みは大としました。

スライド9
危険度判定票全体はこのようになります。
最後に、特記事項を記載します。
ここでの記載事項は、ステッカーに記載する内容となります。
被害の判定値区分から評価は大となります。
記載内容として「石積崩壊による家屋損傷の恐れあり」という具合になります。

スライド10
次の実際の被災写真をみながら、危険度判定票を作成してみます。
変状項目のチェックからの説明となります。
「宅地擁壁」と「宅地地盤」です。

スライド11
1は、道路に接した現場打ち擁壁目地開きの全景と近景。
2は、道路裏側にある現場打ち擁壁目地開きの全景と近景です。
目地は8センチ開いていました。

スライド12
3は、擁壁目地開き10センチ全景。
4は、宅地地盤浄化槽部分の沈下全景。
5、6は、建物基礎沈下の全景と近景を撮影したものです。

スライド13
まず様式1の擁壁被害状況調査、危険度判定票を使い、擁壁の危険度判定を行います。
採点表は赤枠囲い部分を使用します。

スライド14
まず、被災状況図は、被災写真を参考に目地開きに丸を付けます。
建物、道路との位置関係は、擁壁上部から建物までが1.5メートルなので、影響範囲Aに丸を付けます。

スライド15
宅地擁壁のみに着目し、略図を描いた場合の記載例です。
図面には、必ず何らかのボリュームが分かる数字を記入してください。
この例ですと、最大目地開きは、丸3に10センチ、と記載されています。

スライド16
基礎点は、平面図、横断図より湧水はないので0点。
排水施設は、水抜穴は規定通り有るが天端に排水施設がないので、0点。
擁壁高さは2メートルありましたので、1から3メートルの範囲に入る為、0.2点になり合計は0.2点、となります。

スライド17
変状形態、目地開きが最大10センチなので目地開き 大に丸が付き変状点は、6点。に丸が付きます。
故に、基礎点0.2点プラス変状点6点で、合計6.2点となる為、危険度判定は、中被害に区分されます。緊急度は中ですが目地開きが大きく滑動のおそれが有るため拡大の見込みは大としました。

スライド18
判定票全体はこのようになります。
最後に、特記事項を記載します。
ここでの記載事項は、ステッカーに記載する内容となります。
被害の判定値区分から評価は中となります。
記載内容として「変状が著しく立ち入り制限や場合によっては避難も必要」という具合になります。
今回は、同一宅地に擁壁と宅地地盤の2種類の被災が確認されているので続いて宅地地盤の判定に移ります。

スライド19
続いて様式2の宅地地盤被害状況調査、危険度判定票を使い、宅地地盤の危険度判定を行います。
採点表は赤枠囲い部分を使用します。
この部分が、宅地地盤に関する項目になります。

スライド20
宅地地盤のみに着目した記載例です。
ここでは、宅地に着目しますから、被災状況図は沈下に丸を付けます。
略図には、被災ボリュームが解る数字を必ず記入して下さい。
この事例ですと、建物周りで沈下が多く、最大30センチ、沈下していることが解ります。

スライド21
変状点は、略図より最大沈下量が30センチなどで、7点となります。
湧水、噴砂は、無しにチェックを入れます。

スライド22
被害程度の判定値は、沈下の大で7点なので、危険度評価区分表の4から7点の範囲に入り評価は「中」となります。
沈下の変状が大きい為、緊急度は大、拡大の見込みも有りとしました。

スライド23
危険度判定票全体はこのようになります。
最後に、特記事項を記載します。
ここでの記載事項は、ステッカーに記載する内容となります。
被害の判定値区分から評価は「中」となります。
記載内容として、「変状が著しく立ち入り制限や場合によっては避難も必要」という具合になります。

スライド24
今回の事例では、同一宅地内にある「宅地擁壁」と「宅地地盤」という定義の2種類で被害判定を行いました。
その結果、宅地地盤、宅地擁壁両方とも判定区分は「中」となり要注意宅地という判定になりました。
同じ宅地でも評価する対象により危険度の判定結果が異なる場合があります。
その時は、被害程度の重い方を判定結果に選んで下さい。

スライド25
皆様ご存じかとおもいますが再度ご連絡いたします。
国土交通省は、今年(2022年)の4月に「宅地擁壁の健全度判定、予防保全対策マニュアル」を公表しました。
これまで、宅地擁壁の危険度を判定する資料として「宅地擁壁老朽化判定マニュアル案」や、「我が家の擁壁チェックシート案」を作成、公表してきましたが、判定後の具体的な対策を示すには至っておりませんでした。
本マニュアルは、健全度判定結果に応じて、再構築、補強、補修等の対策方針を選定するとともに、対策工法や費用を概略想定することを目的としております。
尚、既往の「宅地擁壁老朽化判定マニュアル案」は、現在までに一定数の危険度判定が行われていることから、当面公表を継続しますが、今後の宅地擁壁の判定には、今回紹介した宅地擁壁の健全度判定予防保全対策マニュアルを、適用することが、望ましいと、しております。
参考になさってください。

スライド26
最後に水抜穴不足による倒壊事例を2件ご紹介します。
記事の性格上資料には載せておりません ご了承ください。
新聞記事を読み上げます。 
9月16日午前7時10分ごろ、沖縄県沖縄市登川の住宅の住民から「家の外の壁が倒れかけている」との110番通報があり警察が駆け付けたところ、住宅の高さ約3.4メートルの擁壁が傾いているのが確認された。前日の15日までに降り続いた大雨の影響とみられる。
壁は電柱に隣接しており、二次被害を避けるために、午前10時10分から午後2時50分ごろまで中東病院前の県道224号で、約200メートルにわたり交通規制が敷かれた。人身被害はなかった。
同日は、警察や消防、沖縄電力などが壁の撤去作業にあたった。住宅に住む男性は、「今までの大雨でもこんなことはなかった。外に出て気付いて驚いた。」と話した。
新聞記事はここで終えていますが、

スライド27
なぜ擁壁が、傾いたのか。
この記事にあります大雨について調べてみました。
スライドは、2019年9月の沖縄県那覇地方の天気です。
事故当日を赤丸で囲んであります。
青い点線、事故1週間ほど前から、台風13号の影響で大雨が4日間続き、その後晴天が、6日あり、事故の前日が、やはり雨でした。
Googleから事故付近の航空写真を見てみます。黄色で囲んだ箇所が、倒壊した擁壁です。

スライド28
ストリートビューにて事故前の写真を見てみます。
黄色に囲んである箇所が、今回倒壊した擁壁です。
最下段の写真で分かりますが、既設擁壁前面に増し積みした擁壁であり、かつ嵩上げしていた事が分かります。
被災後に撮影した写真をみるとお隣の擁壁が、本来の既設擁壁です。
尚、これから見る被災後情報は、我々の沖縄メンバーが提供してくれた写真です。

スライド29
メンバーからの情報提供を紹介します。
「既設の間知ブロック擁壁前面に、個人で、トンブロック擁壁を構築し、庭を拡張していた」との事でした。
後施行した、トンブロック擁壁に水抜穴はなく、鉄筋は,横を主として,足されており、主筋、となる縦の鉄筋が少なく、底版とも一体化しているとは思えない状況だったそうです。
増し積みした擁壁内に浸透した雨水を排出できず、裏込土の飽和度が高まり、粘着力が減少し、土圧が増加した。
その結果、擁壁が、前方へ回転変位し、倒壊に繋がったのではないかとのことでした。

スライド30
写真でもおわかりの様に、事故物件を取り除いた本来の既存擁壁に問題はありませんでした。
増し積みした擁壁との間に見付け高の四分の一程度でしょうか、常時滞留していたと思われる水跡が残っています。沖縄のメンバーが指摘したように、今回の台風により水抜き孔不足による擁壁内の滞留水位がさらに上昇したことで、裏込め土が飽和状態になり、土圧がさらに増加し擁壁倒壊に至った。まさに雨水が擁壁を倒壊させたものと推測されます。

スライド 31
二件目の事例を紹介します。
新聞記事を読み上げます。
7月9日朝、京都府亀岡市篠町の住宅2軒の敷地を支える擁壁が、高さ3メートル、幅約10メートルにわたって崩れ、土が崖下の田んぼの横まで流出した。
「朝5時ごろ起きて外を見たら庭がなかった」。
住人の男性は、物干し竿やプランターが、庭とともに崩落した現場を見下ろし、ため息をついた。
ブルーシートを敷いて応急処置をしているが、消防や警察、市からは避難するよう言われている。
隣家の男性は、4年前に引っ越してきた際、擁壁の石垣を覆っていた草が気になり処理したという。
「見晴らしがいい分、崖が急で大丈夫かなと思った」と振り返る。
この前日、亀岡市では、大雨警報が約12時間半にわたり発令されていた。擁壁が崩落した場所は、川沿いの段丘を約50年前に造成した住宅団地の端にある。崩落した場所は、住民が替わっており、いつ工事がされたかは定かではない。
玉石積みの上にコンクリートブロックを増し積みしてあり、水抜穴も設置しておらず、既存不適格だったとみられる。
新聞記事は、このあともう1件の崩落箇所を紹介し宅地擁壁が崩れて被害が発生した場合、宅地所有者の責任になる旨を警告をし、国交省が住民向けに「我が家の擁壁チェックシート(案)」を公表していることを紹介して記事を締めています。
新聞記事に崩落原因となる既存不適格擁壁と水抜穴不備の2つのキーワードが載っております。

スライド32
この記事で紹介された『擁壁チェックシート』は、地方公共団体が、その地域性による独自の項目を追加して既存擁壁等の耐久性や、安全性の判断基準として利用されることを目的として国交省が作成したものです。
「国交省 我が家のチェックシート」と、パソコン等で検索してみてください。
国交省宅地防災の項目へたどり着きます。
自己所有の擁壁や、自己所有の土地に接する隣地の土地所有者の擁壁について、このチェックシートを作成することにより、擁壁に関し素人であっても、その擁壁の安全性の概況が判断できます。
又、このチェックシートは,必要に応じて便宜変更することを予定していました。

スライド33
国土交通省は、2022年4月に、「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル」を公表しました。
これまで、宅地擁壁の危険度を判定する資料として「宅地擁壁老朽化判定マニュアル(案)」や「我が家の擁壁チェックシート(案)」を作成、公表してきましたが、判定後の具体的な対策を示すには至っておりませんでした。
本マニュアルは、健全度判定結果に応じて、再構築、補強、補修等の対策方針を選定するとともに、対策工法や費用を概略想定することを目的としております。
尚、既往の「宅地擁壁老朽化判定マニュアル(案)」は、現在までに一定数の危険度判定が行われていることから当面公表を継続しますが、今後の宅地擁壁の判定には、今紹介した宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアルを適用することが望ましいとしております。
参考になさってください。

スライド34
少し脇道にそれましたが危険度判定票作成手順は以上となります。
もし、皆様が実際に出動する事になりましたら、インターネットから、「被災宅地危険度判定連絡協議会」と検索し、最新版のマニュアルをダウンロードし、臨んで頂きたいと思います。

スライド35
大阪市西成区の住宅地で擁壁が崩壊し、2棟(計4戸)の住宅が崖下へ次々に崩落しました。
2021年6月25日の事故。なぜ擁壁は崩壊したのか。地盤の専門家への取材を基に原因を探ります。
事故があったのは、南北に細長い崖沿いの土地に、複数の住宅が連なって立つエリア。
最初に、南から2番目に建つ連棟住宅(2戸)が擁壁の崩壊に伴って崩落し、しばらくして、その北寄りに建っていた別の連棟住宅(2戸)も崩落しました。

スライド36
崩壊した擁壁は、裏込め土と石だけで造られた、古い空石積みでした。
空石積み擁壁は、長い年月の間に裏込め土が流出することで、強度が著しく低下しやすいようです。
事故現場の空石積み擁壁が上部から崩れ始めていた点に注目しました。
雨水などが擁壁上部に流れ込み、裏込め土が流出して空洞化したことで、擁壁上部が座屈した恐れがあるのではないでしょうか。
その結果、地表面が沈下して住宅が傾斜したのではないでしょうか。
住宅が傾くときに水道管が外れて裏込め土に水が供給され、さらに浸食を進めたものと推定します。

スライド37
推測される崩落のメカニズムとしては、空石積み擁壁の裏込め土が流出し、頂版上部が座屈したと推定する。
最初に崩落した住宅の水道管は破損していた、崩落前にも水漏れが確認されている。

スライド38
崖下の敷地では6階建てサービス付き高齢者向け住宅の建設に向けて掘削工事が行われていた。
地盤には鋼管杭が施工されていた。
警察は崩落事故と工事の関係を調べている。

スライド39
最初に崩壊した住宅の南側にある、3階建の戸建て住宅は、何とか崩落を真似枯れたものの、基礎下の地盤と擁壁の大部分が崩壊した危険な状態です。
この崖下には保育所があり、園児らに危険が及ぶとして臨時休園しています。

スライド40
こうした中、大阪市の松井市長は、7月1日の会見で、信頼できる建設会社と、緊急に仮契約を結び、7月6日に、解体撤去を実施する予定であることを明らかにした。
崖下にウインチを設置し、ワイヤーで引き倒す計画である。
あわせて、前面道路側から油圧ショベルで押す計画である。
市は、解体撤去費用をいったん肩代わりし、崩壊原因の調査結果を踏まえて、原因を造ったものに請求する予定としている。

スライド41
なぜこのような事故が起きてしまったのか。
また、不動産オーナーはどのような責任を負うことになるのか。
危険な崖、擁壁を見極める方法はないのか。
専門家に取材しました。
家の基礎当りが割れていて、そこから水がピユーと噴出していました。
これはただ事じゃないと思いました。
あくまでも現時点での推測ですが、擁壁の裏側にある土が時間をかけて流出し、擁壁の裏側が空洞化したことが要因ではないでしょうか。
支えを失った擁壁が壊れて地盤面が下がり、最終的にその上の住宅が倒壊したのだと思います。
今回倒壊した擁壁は、空積み擁壁、とみられる。
空積み擁壁とは、ブロックや石などをコンクリートで固めずに、積み上げて造られた擁壁のこと。
擁壁の裏側に、裏込め土、と呼ばれる土を盛り、そこにもたれさせるようにして支える構造です。
石と石の間には隙間があるため、そこから裏込め土が流出、擁壁内が空洞化したのではないかと推測します。

スライド42
それでは、このような危険な擁壁を、どのように見分ければよいのでしょうか。
特に危険な擁壁として、1番目に、ブロック擁壁、2番目に、二段擁壁、があげられます。
まず、1番目の、ブロック擁壁です。
ブロック擁壁は、コンクリートブロックを積み上げて造った擁壁です。
土の底に底版がなく角度もない擁壁なので、大雨などで土圧が高まればパタンと倒れてしまいます。
次に、2番目の、二段擁壁です。
既存の擁壁に、異なる素材を増積みして造られたものです。上段と下段の接続部分の強度が弱く、倒壊の恐れが高い。
このような擁壁に対する、補強対策としては、撤去して、やり替えるのが一番です。

スライド43
ここで静岡県熱海市伊豆山で発生した土石流災害についてご紹介いたします。
記事の性格上資料には載せておりません。ご了承ください。
国土交通省のホームページに掲載されていた内容をご説明します。

スライド44
令和3年7月3日10時30分ごろ、梅雨前線による大雨に伴い、静岡県熱海市伊豆山の逢初川(あいぞめがわ)で土石流が発生しました。
逢初川の上流部、標高約390メートル付近で発生した崩壊が土石流化し、下流で甚大な被害が発生しました。
この時、熱海雨量観測所における、降り始めからの総雨量は400ミリ以上でした。
7月2日12時30分には、土石流災害警戒情報が発表されていました。
また、右下の写真は、土石流被害の概要を示しており、逢初川の上流部で発生した崩壊が、土石流化し、下流部の住宅方向に流れ出し、大きな被害となったことが解ります。
右上の写真は、上流から、下流部における被害の状況を示すものです。
また、左下のグラフは、土石流発生前後の降雨量を示し、降り始めから、災害発生まで、多くの降雨量となっていたことが解ります。

スライド45
これは、静岡県熱海市伊豆山で発生した土石流災害に対する、対応状況を表したものです。
土砂災害専門家による現地調査を行い、斜面監視装置の設置や技術的助言を実施しました。
土砂災害専門家の助言を受け、静岡県が崩壊地上部に斜面の伸縮計を設置しました。
また、静岡県は逢初川土石流災害対策検討委員会を立ち上げました。
左下は、逢初川上流部斜面の伸縮計を設置し、土石流発生の恐れがある場合などの危険性を知らせます。
右側は崩壊した斜面の監視、観測体制の状況を示したものです。

スライド46
伊豆半島は、大昔は、図1のように、現在の伊豆半島などのように、海に浮かぶ火山島や海底火山でした。
それらが、図2のように海洋プレートにのっておよそ100万年前に現在の丹沢山地に衝突しました。
そして、図3のように伊豆半島となりました。元が古い火山ですからその斜面は現在では多くが侵食され、崩壊後は急傾斜となっています。
このような土地は土石流の発生の危険があり、人家に被害を及ぼす恐れのある渓流を土石流危険渓流と言います。
伊豆の谷筋の多くは条件に当てはまるため、土石流危険渓流に指定されています。
その結果、地滑りや斜面崩壊、土石流の発生に対しとても脆弱な場所があります。

スライド47
このたび、7月3日に発生した土石流では、谷地形の上流部、標高400メートル付近において盛り土とその下部の土塊が、図4のように、えぐられるように崩壊しました。
当地は海岸線から水平距離でおよそ1.8キロメートルしかなく、今回の土石流は傾斜が、1000分の222、角度にして平均12.5度の斜面を、一気に駆け下りました。
伊豆半島は、上記の通り元が火山であったため、その地盤は主に火山灰質の土で出来ています。
さらに、富士箱根などの火山群にも近く、これら火山からもたらされた火山灰が、風化した土にも覆われています。

スライド48
図5と、図6は、伊豆山地区の崩壊斜面の様子を、新旧航空写真で比較したものです。
赤い塗りつぶしは崩壊土砂を表します。
これらの状況から見て、今回の土砂崩壊も人工改変の影響があった可能性が考えられます。
つまり、盛り土はもともと降雨に弱いので、排水には最新の注意を払い、対策を取ることが必要であることが指摘されています。
今回の崩壊現場で、どのような対策が取られていたかは確認できませんが、排水能力を超える雨量により、盛り土の崩壊に至った可能性はありえます。
近年の異常気象と合わせ、私たちは脆弱な斜面を持つ国土に住んでいることを自覚すべきです。
行政だけでなく、一般市民も自然災害に対応可能な住み方を、自主的に模索すべき時に来ていると、言えるのではないでしょうか。

スライド49
これで判定票作成例についての説明を終わります。
ご清聴ありがとうございました。

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