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更新日:令和4(2022)年7月14日
ページ番号:11038
「笑顔いっぱい!フレンドリーオフィス」認定された皆さまからの声
(~ヒアリング調査から~)
障害のある人の「雇用に対する工夫」と「思い」、雇用を考えている事業所への「メッセージ」を中心に伺いました。
有限会社E-anbai無農薬野菜レストラン「四季こよみ」
代表取締役遠山勇様
(平成21年9月18日認定認定番号第83号)
京都下鴨茶寮新宿店料理長(昭和54年4月~昭和63年1月)、幕張プリンスホテル和食料理長(平成元年2月~平成17年3月)を経て、平成17年5月に食のコーディネート会社である有限会社E-anbaiを設立。
このほか、NPO法人ワークス未来千葉理事長、ちばエコ農業推進委員、無農薬野菜レストラン「四季こよみ」代表取締役を務める。
無農薬野菜レストラン「四季こよみ」では、食材及び調味料に至るまで完全無農薬、有機野菜、無添加をモットーに、お客様が安心して召し上がれるように日々努力を重ね、「安全、安心、美味しい」を提供するため、千葉県産無農薬野菜料理に対する研究への挑戦を続けております。現在、従業員は、社員3名、パート12名の合計15名、内障害のある人を1名雇用しており、平成21年9月18日に「笑顔いっぱい!フレンドリーオフィス」に認定されました。
レストラン内の一角で、調理人の視点も交え、遠山代表からお話を伺いました。
「『笑顔いっぱい!フレンドリーオフィス』に認定されたことは、とても良かった。認定証をレストラン内に掲示しておりますが、これを見て関心を持ってくれるお客様がいらっしゃることは、とても嬉しいことです。しかし、認定されたからといって、事業所としては、何も変わったことはありません。なぜなら、これまで同様に障害のある人を雇用し、さらなる技術を身に付けるために育成指導しているからです。」と障害のある人の自立に向けて熱心に育成している遠山代表。
無農薬野菜レストランを始めたきっかけは、「アトピーなどアレルギーのある人のことを思い、調理人の立場から何かできないか。」との考えからとのこと。さらに、「障害のある息子がいるので、親の立場から子の自立に向けて、『食』を通じて何かできないかと考えていました。『食』は、生きるためには、不可欠なこと。また、衛生概念という大切なことを、『料理』をすることで覚えることができます。」と語る代表。
板前であった遠山代表の考えはこうです。「特に日本食の基本は、箸の持ち方です。箸を使うことで指先が、刺激されます。障害のある人は、箸をしっかりと使えるようになることで、指先が器用になり、幅広い作業ができる可能性があります。『食』を通じて障害のある人が訓練できることが分かりました。そのためには、教える側(私自身)がしっかりと身に付けていないと、受け入れることができません。」
障害のある人を受け入れるためには、経営者自身が、理解し、技術を身に付けるなどの準備が必要とのこと。
今では、御子息は、他の企業で就労しているとのことです。現在、「当店では1名の障害のある人を雇用しており、主に厨房で仕事をしています。清掃や洗い場をはじめ、てんぷらなどの調理まで幅広くこなしています。これからもさらに調理技術の向上を考えています。」とのこと。
また、年に4~5回、特別支援学校から実習生を受け入れており、障害の重い子でも、訓練次第でできるようになることを実証するため、現在実践中です。
「当店の従業員は、車椅子を利用するお客様がご来店すれば、店内で動きやすい通路側の席をご案内したり、特別支援学校の謝恩会などで利用している場合は、他のお客様に、ご理解いただけるよう声掛けなどをしています。従業員に特別な教育をしたわけではありませんが、今では、パートさんも含めて全ての従業員が協力者です。」
良い職場環境をつくるために一番大事なことは、「従業員同士のコミュニケーション」。コミュニケーションにより、お互いに理解し、助け合い協力し合えるようになるとのことです。
また、雇用する側の視点では、「障害のある人が、仕事を覚えることを待つことが大事。はじめは、時間がかかりますが、自分でできるようになります。また、仕事の指示は、『これが終わったら、次これ。』というように、一つの業務を終えるときに次の指示をしています。」とのこと。
また、代表は、個性を見極め、「仕事の教え方一つ取っても、人それぞれ異なるものです。それが、その人の持ち味です。その能力を見極めて指導することが大事なことです。」と語っていました。
障害のある人が働くことについて、親の会でも広げていく必要があります。「食」の世界では、生産者、お客様、販売店の三角関係(トライアングル)が必要です。障害のある人の雇用促進も、行政、企業、親御さんのトライアングルによる連携をしていく必要があります。行政の「施策」、企業の「理解」と「受入れ」、親御さんの「理解」と「サポート」により、障害のある人の雇用が促進されることと思います。受入れ企業の幅(職種)を広げ、障害のある人が選べるように、選択肢を多くすることが必要です。
就労するためには、親御さんの準備がどれくらい必要か、企業の方も何を準備すればよいのかということを考えていただきたいと思います。「覚えるまで、待つ」ということが必要です。障害のある人が、仕事に慣れてくると、戦力になります。
障害者も就労すると責任感も伴ってきますし、人間的な成長につながるという事実も知っていただきたいと思います。
また、企業の方に、「雇用してくれてありがとう。」と伝えたいです。障害のある人を雇用することで、ご家族は、すごく感謝しています。これは、障害のある子どもをもつ親として思ったことです。親御さんは皆、感謝の気持ちでいっぱいであると思います。
経営者として感じることは、障害のある人を雇用すると、従業員みんなが優しくなり、人としての温か味がさらに出て、従業員も成長しているということです。
「中身」か、「見掛け」か、ということがありますが、料理は、料理人の腕にかかっています。障害のある人の就労を支援するときも同じです。私は、画家浅野照子さんの「曲っているから、なおいとおしい。」という言葉が大好きで、そのメッセージで描かれた野菜(胡瓜)を店内に飾っています。
人には、教えないと分からないこともあります。社会で生活するためには、法律に触れてはいけないこともあるので、いけないことはしっかりと教えなければいけません。
障害のある人が、自分の力で生きていけるように、これからも育成し続けて行きたいと思います。
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