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更新日:令和5(2023)年12月7日
ページ番号:7422
春夏どりニンジンでは、産地育成を図るため、慣行のトンネル栽培に比べて低コストで省力的な栽培技術が望まれています。ここでは、その技術として新たに開発したトンネル被覆を省略したべたがけ栽培法を紹介します。
べたがけ栽培では、トンネルの代わりに不織布で直接ニンジンを覆います。スーパーパスライトの上にパスライトブルー(いずれもユニチカ株式会社)を重ねた二重被覆では、播種時期が1月下旬以降で、6月中旬からの収穫となります(図1)。スーパーパスライトのみの一重被覆では、2月下旬以降の播種で、7月上旬からの収穫となります。べたがけ資材の除去は、被覆方法や播種時期にかかわらず、慣行のトンネル除去と同時期に行います。除去が遅くなると抽台が発生しやすくなるので注意してください。
図1.べたがけ栽培とトンネル栽培の栽培暦
なお、トンネルに比べて保温力が劣るため、生育や収穫は遅れますが、播種時期が遅くなるほどその差は小さくなります。また、低温の影響を受けて、根部形状が長めになりやすく、また、抽台しやすくなります。このため、べたがけ栽培には根部形状が良好で、抽台の発生しにくい「翔彩」(株式会社フジイシード)が適しています(図2)。
図2.べたがけ栽培における品種別の長根と抽台の発生率
注)平成27年2月24日播種、7月2日収穫の一重被覆
長根は現地の出荷基準(根長が根径の4倍以上のもの)を目安に達観調査した
10アール当たりの被覆に要する資材費を試算すると、トンネル栽培の約50,000円に対して、べたがけ二重被覆が約35,000円の30%減、一重被覆が約20,000円の60%減となります(表1)。また、生産者から、べたがけ栽培とトンネル栽培で作業時間の異なる部分を聞き取り調査したところ、べたがけ栽培では資材の設置と片づけの作業時間が少なく、トンネル栽培で必要な換気作業を省略できるため、作業時間が約70%削減されました(図3)。
このように、べたがけ栽培は被覆にかかる資材費と作業時間が削減でき、低コストで省力的な栽培技術です。
表1.べたがけ栽培とトンネル栽培における使用資材と費用の試算(10アール当たり)
図3.現地聞き取り調査による作業時間の比較
注)3者からの聞き取り調査による平均値
’資材の再被覆’は間引き後に資材をかけ直した時間
トンネル栽培の換気は裾換気で行った
初掲載:平成29年11月
農林総合研究センター
水稲・畑地園芸研究所
畑地利用研究室
上席研究員高野幸成
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