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更新日:令和6(2024)年7月12日
ページ番号:17587
緑のカーテンは、アサガオやヘチマなどのつる性の植物で建物の窓や壁をおおい、強い夏の日差しを和らげるなど、様々な効果の期待できる「地球に優しい自然のカーテン」です。
夏の暑い日に、木陰に入って、その涼しさにほっと一息ついた経験がどなたにもあると思います。緑のカーテンは、植物の力を利用して、建物などの温度の上昇を抑えることができます。
その仕組みと効果について、それぞれ、説明します。
窓から差し込んでくる太陽の光を遮ることにより、赤外線などによる熱エネルギーの進入を軽減します。また、植物の葉は、光をあまり反射しないので、ギラギラ光って周りの人に迷惑をかけることもありません。
窓だけではなく、壁や屋根、建物周辺の地面やベランダ等を日陰にすると、その場所の温度の上昇が抑えられ、熱エネルギーの再放射(輻射)による周辺の温度上昇が抑えられます。
植物は成長するためにたくさんの水を根から吸い上げ、葉から蒸発しています。水が蒸発するときにはたくさんの熱エネルギーを使うため、周辺の温度を下げる効果があります。
このことは、単に電気料金が下がって得をするだけではなく、ほかにも大きな効果があります。それは、電気を作るために排出される二酸化炭素を抑えることができることです。夏は電気の使用量が一年中で最も多い時期ですが、この原因は家庭や会社などのクーラーの使用です。電力が不足しないように電力会社では火力発電所などの設備をフル稼働させなくてはなりません。多くの人が緑のカーテンの設置などを行い、少しでもクーラーの使用を抑えれば、電気を作るために使用されるの石炭や石油などの消費を少なくできます。
緑のカーテンは、自宅の温度を下げるだけでなく、都市全体の気温低下にも貢献できます。都市は緑が少なく、道路のアスファルトや建物のコンクリートなどで覆われているため太陽からの熱を貯めてしまい、気温がほかよりも高くなる傾向にあります。また、クーラーを使用して室内の温度を下げることは、逆に室外機から外に熱を排出するため、屋外の温度はかえって高くなってしまいます。「緑のカーテン」は、都市全体の気温の上昇を緩和することにも役立ちます。
おすすめできる緑のカーテン用の植物にゴーヤ(ツルレイシ)があります。丈夫で育て易い植物ですが、何よりうれしいことは、食べることができる果実がなることです。有名な沖縄料理の「ゴーヤチャンプル」の材料などに使えます。
そのほかにも、インゲンなどの野菜を緑のカーテンにして、立派に収穫された方がいます。
植物の緑を眺めたり、花やハーブなど植物の発する香りを吸うと、精神的な疲労や緊張感が緩和されるといわれています。
また、植物の生長や収穫の喜びを身近に感じることで、自然とのふれあいの中でしか感じることができない充実感を味わえます。緑のカーテンには、こういった心理効果も期待できます。
都市では、蚊などの好まれない昆虫やカラスなどを思い浮かべ、あまり良くないイメージが先にたってしまいますが、本当は、都市で生活する人にこそ、”様々な野鳥や昆虫が飛び交うみどり豊かな環境”が必要であると考えられています。
緑のカーテンは、蝶や小鳥のような生物を呼び寄せる効果が期待でき、市街地での生物多様性の維持や向上に役立つと考えられています。
植物は、光合成によって二酸化炭素を炭素と酸素に分解して、炭素を自分の栄養源として固定する働きがあります。緑のカーテンの植物も同様に、二酸化炭素を吸収して自分の体の中に固定します。
わずかな量かもしれませんが、このような面からも地球温暖化の防止に貢献することができます。
ヒートアイランド現象とは、気温が郊外とくらべて島状に高くなる現象です。
地球温暖化に伴い地球全体の気温が上昇していますが、その中で、多くの人間が暮らす都市の気温が、特に上昇しています。
この原因について整理するとともに、このヒートアイランド現象の緩和のために都市の緑化(緑のカーテンを含む屋上・壁面緑化)が果たす役割をまとめてみます。
都市では多くの人々が生活していますが、その活動に伴い、多くの熱が排出されます。自動車等の移動手段に伴う熱、クーラー、テレビ等の電化製品から発生する熱、調理に伴って発生する熱、工場などの生産活動で排出される熱など様々な熱が放出されています。
都会はアスファルトやコンクリートに覆われた部分が多く、しかも立体的な構造であるため、表面積が大きくなっています。コンクリートやアスファルトは太陽の日差しを受けると熱を吸収して、高温になり、多くの熱を蓄えてしまいます。
また、都市が立体的な構造をしていること自体も問題です。差し込んだ日光や、周辺の熱い物質から出る輻射熱が反射され、別の場所の壁面や道路面を暖めてしまいます。また、中高層の建物が多くなると、風を遮断し、風下の温度上昇の原因となります。
水が蒸発するときにはたくさんの熱エネルギーを使うため、周辺の温度を下げる効果があります。郊外では、土が露出した部分が多く、そこに植物が生えています。降った雨はいったん地中に蓄えられ、植物がその水を少しづつ吸い上げて、葉から蒸散するときに気化熱として周囲の熱を奪うため、温度の上昇が抑えられます。
しかし、都市のコンクリートやアスファルトの表面では、ほとんど水を蓄えることができません。このため、気化熱という力を使って温度を下げる機能が都市では不足しています。
ヒートアイランド現象は、熱を蓄えやすい都市の構造と、都市生活の中で生み出される熱エネルギーなどにより、多くの人が生活する都市で、耐え難い高温域をつくり出すものです。その結果、クーラーによる消費電力が増加し、二酸化炭素の排出も多くなるため「負の連鎖」をもたらします。エネルギー消費の抑制と並んで、都市緑化は、私たちが自ら実行できる対策の一つです。
緑のカーテンなど、都市緑化の優れた点について、以下にまとめます。
植物は生長するためにたくさんの水を根から吸い上げ、葉から蒸散させます。葉は一枚一枚が立体的に重なって、その間を風が抜けることにより、効果的に表面積を拡大できる構造となっています。
このため、効率よく水を蒸発させ、周辺から気化熱を奪い、温度を下げることができます。
打ち水や散水すると温度が下がりますが、コンクリートやアスファルトは水を保つことができないため、その効果は短時間でなくなってしまいます。その点、植物は地中から水を吸い上げて、長時間、温度を下げ続けることができます。
単に日光を遮るだけであれば、様々な素材で日陰をつくることは容易ですが、光が反射したり、景観上あまり好ましいものとはいえません。しかし、植物は、都市に不足する「緑の景観」を補いながら、日陰を作ることができます。
都市緑化の効果、必要性を「緑のカーテン」を中心に整理してきましたが、都市では、郊外にくらべて、緑化に活用できる空地が少なく、また、地価が高いなどの理由から、有効な緑地を確保することが難しいという課題があります。
そのため、一般の建物の屋上や、壁面など、通常使われていない場所での緑化を進めることにより、不足する都市の「緑」を増やすことが必要であると考えられています。
屋上・壁面緑化は、今まで有効利用されていなかった、屋上や壁面を活用して、都市の緑化を進める手段です。
ここでは、屋上・壁面緑化を広く普及していくために、課題となっている点を整理しながら、一緒に考えていただき、理解を深めていただきたいと考えています。
「緑のカーテン」をはじめとする屋上・壁面緑化の効果について説明してきましたが、このホームページをご覧いただいた方、中でも、以前から地球規模の環境問題や都市の緑化に興味を抱かれている方には、都市緑化の必要性を十分ご理解いただいていると考えています。
しかし、屋上・壁面緑化などの都市緑化をさらに進めていくためには、より多くの方に理解を深めていただき、自宅や自分の勤める会社などで屋上・壁面緑化を進めるよう心がけていただく必要があります。
また、住民の方の理解が進めば、たとえば、都市緑地法の制度を使って、区域内の敷地内の緑化率の下限を定めることで、地域ぐるみで緑化を進めることなども可能となります。
屋上や壁面の緑化は、普通は植物が生えないところで緑化を進めることになりますが、費用がかかりすぎたり、維持管理が難しいと、なかなか一般に広まっていかないと思われます。
すでに、屋上緑化などについては、技術開発が進んでおり、一部の先進的なところでは実際に導入されています。今後は一般のビルや住宅に普及させるために、庭木などの植栽や手入れと同じ感覚で、設置や管理できるような屋上・壁面の簡単な緑化技術の開発が必要と考えられます。
都市緑化は、全国で同じような植物使って一律に進めるのではなく、それぞれの地域で、その場所の気候や景観などに適合した植物で進めることができれば、さらに意義深いものなります。特に壁面緑化は、外から良く見える場所を緑化するため、都市全体の景観や雰囲気などに大きく影響します。
今後、このような観点から情報を集めて、推奨する植物などを提案できればと考えています。
今まで整理してきた課題に対応するためには、まず、栽培体験に基く様々な情報を積み上げて、それを活用することが重要になります。このホームページでも、皆様からの情報提供を求めておりますので、御協力をお願いいたします。
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