監査結果(知事に損害賠償金を減額した調停に関する損害賠償を求める住民監査請求)
平成29年5月25日に受け付けた県内の1団体及び個人3名からの住民監査請求については、平成29年7月12日開催の監査委員会議において監査委員による意見の一致が見られなかったため、監査結果の決定に至りませんでした。
請求の要旨
知事が、談合行為を行った債務者らに対する損害賠償金を減額する調停を成立させたことにより、県が損害を被ったため、知事に対して賠償請求の措置を講ずべきことを請求する。
監査結果
監査委員の合議が調わなかったため、監査の結果に代えて、監査委員の見解を示すこととしました。監査委員の見解の要旨は次のとおりです。
- 経営が厳しく、存続が危ぶまれる企業もあるが、一方で政治家に献金をしている企業もあり、損害賠償金を一律8パーセントに減額したことは不公平である。あまりに公平、公正の観点から外れており、調停を成立させたことについては知事の裁量権の範囲を超えているから、請求を認めるべきである。
- 損害賠償金の減額は、債務者ごとの弁済能力によって差別化すべきで、一律に減額することには抵抗感がある。しかし、知事は調停に応じるに当たり、債務者らの厳しい経営環境や災害復旧時等の地域貢献活動、破綻した場合の地域経済等に与える影響を考慮し、他県の同様な事例とも比較した上で総合的に判断している。また、県議会の議決を経ており、手続に瑕疵があったとは認められないから、知事に違法あるいは不適切な対応があったとまでは言えず、この請求は棄却としたい。
- 本件については棄却としたい。知事は、調停案を受け入れるに当たり債務者らの災害時の復旧活動等により地域に貢献する活動をしていることや破綻した場合に地域経済に与える影響が大きいことも考慮し、他県の同様な事例とも比較している。加えて議会の議決も経ており、知事の判断に裁量権の逸脱があったとは言えない。
- 本件調停に応じることは、談合の根絶の先頭に立つべき県が採るべき方策とは言えない。しかしながら、調停を成立させるに当たっては、知事に相当広範な裁量権が与えられている。債務者ごとの支払能力の検討が不十分ではないかという疑問は残るものの、会社ごとにどの程度の減額率が適切なのかを決めるのは、大変難しい。また、債務者らが破綻した場合の地域経済に与える影響や、災害復旧時の地域貢献活動など公益上の活動を行っていることも認められるので、これらを総合的に勘案した知事の判断は、裁量権の範囲内であると考える。さらに、県議会で調停案の内容を審査した上で議決されている。すなわち、県議会でも調停案に合理性があると判断していることから、知事の判断が違法又は不当とは言えない。
監査結果全文
監査結果全文(PDF:429KB)
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