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更新日:令和5(2023)年10月23日

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福島原発事故以降のモニタリング強化

福島原発事故を受けて、平成23年3月18日から12月27日まで、平常時の調査の他に以下の3項目についてモニタリングが強化されました。

空間放射線量率~モニタリングポストによる測定~

写真1が環境研究センター敷地内にある環境放射能測定棟です。この屋上にガンマ線を測定するモニタリングポスト(写真2)が設置されています。遠くから飛来する放射性物質を観測する目的のため、建物や土壌の種類に影響を受けないように、屋上面から約3メートル(地上から約7メートル)の高さとなっています。

写真1環境放射能測定棟

写真2モニタリングポスト

2011年3月から11月にモニタリングポストで測定した結果を図1に示します。事故前は0.023から0.025マイクロシーベルト/時で推移していました。時々濃度の上昇が見られますが、これらの時には雨が降っており、平常時にも見られる現象です。

3月11日以降、環境研究センターでは2度の特徴的な大きな濃度上昇が観測されました。1度目の上昇は、事故から4日後の3月15日に1時間値で最高0.313マイクロシーベルト/時まで上昇したものです。急上昇後急下降している点が特徴で、当センターが福島原発の風下になる風が吹いていたため、福島原発から放出された放射性のガス状物質が通過したためと考えられます。2度目の濃度上昇は3月21日です。この時は雨が降っており、この雨が大気中にあった放射性物質を取り込んで落ちてきたものです。

現在は約0.03マイクロシーベルト/時の空間放射線量なので、事故前との差約0.01マイクロシーベルト/時が福島原発事故による影響になります。その主な原因物質は半減期30年のセシウム137と半減期2年のセシウム134です。このように事故前の測定結果があって、初めて福島原発事故による影響を評価できることになります。

なお、3月21日以後、徐々に空間放射線量が減少していますが、これは半減期が比較的短い(約8日)放射性ヨウ素131が減衰した影響です。

図1モニタリングポスト測定結果

定時降下物

平成23年3月18日から12月27日までの間、9時から翌日9時までの24時間ごとに、上空から降ってきたものに含まれている放射性物質を測定しました。写真3の装置で採取しています。ガラス製の漏斗(断面積570平方センチメートル)とポリびんで構成され、雨が降ればその雨を、降らなければ漏斗を洗い流した水を測定しました。

写真3定時降下物採取装置

平常時は、土日を除く雨が降った日のベータ線を測定していますが、事故後約9か月間は放射線を放出している核種までわかるガンマ線を毎日測定していました。ガンマ線はゲルマニウム半導体核種分析装置(写真4:以後「ゲルマ」と略す)を用いて測定しています。

写真4ゲルマニウム半導体核種分析装置

平常時の調査ではゲルマによる測定時間は70000秒ですが、今回の調査強化時においては文部科学省が全国で統一した20000秒(約5時間30分)で測定しています。測定時間を短くすることによって検出限界値はやや高くなるものの解析目標となる分析値は確保され、測定する試料の数を増やすことができます。

事故後しばらくの間、放射性ヨウ素や放射性セシウムが毎日の降下物中から検出されていましたが、5月18日以降は、11月16日の試料にわずかに放射性セシウム137が検出された以外は、検出限界値未満となりました(図2、図3)。

図2定時降下物中のヨウ素131の測定結果

図3定時降下物中のセシウム137の測定結果

図4は、全国における降下物中のセシウム137の経年変化です。1960年代のセシウム137が多く、徐々に減っているのは、過去の核実験の影響です。また、1986年のピークはチェルノブイリ原発事故によるものです。

図4月間降下物中のセシウム137の経年変化

蛇口水

いわゆる水道水です。平常時の調査では年1回、100リットルの水道水を蒸発させ、その残さを70000秒かけて測定していますが、平成23年3月18日から12月27日までの間は1日に1回2リットルを採取し、そのままマリネリ容器と呼ばれるアクリル製の容器に入れ、ゲルマで測定していました。測定時間は定時降下物と同様に20000秒です。蒸発の処理をしないことにより、飲料水としての水道水を迅速に測定することができます。

事故後の蛇口水に含まれる放射性物質のうち、摂取基準(200ベクレル/リットル)のある放射性ヨウ素の結果を図5に示します。3月25日に最高で約13ベクレル/リットル検出されました。定時降下物同様、放射性ヨウ素、放射性セシウムともに、5月24日以降、検出限界値未満となっています。

図5蛇口水中のヨウ素131の測定結果

 

お問い合わせ

所属課室:環境生活部環境研究センター大気騒音振動研究室

電話番号:0436-21-6371

ファックス番号:0436-21-6810

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