マイコプラズマ肺炎について
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマという細菌に感染することによって起こる呼吸器系の病気です。1年を通じて発生しますが、特に秋冬に患者が増加する傾向が見られます。
マイコプラズマとは?
1 病原体
- 肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)という自己増殖可能な最小の細菌によって起こります。
- 遺伝子型は主に1型、2型の2系統に分類され、遺伝子型による違いは少ないと言われています。
2 感染経路
感染した人のせきのしぶき(飛沫)を吸い込んだり(飛沫感染)、感染者と接触したりすること(接触感染)により感染すると言われています。家庭のほか、学校などの施設内でも感染の伝播がみられます。
3 主な症状
- 発熱、全身の倦怠感(だるさ)、頭痛、長期(約3、4週間)にわたって続く咳など。
- 感染した多くの人は軽症で済み、重症化することはまれ。
- 全体の5から10%未満の人が中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などの合併症を併発します。
4 発生状況
- 2021年(令和3年)から2023年(令和5年)までの約3年間、マイコプラズマ肺炎の患者報告数は非常に少ない状況でしたが、2024年(令和6年)、患者報告数が増加しており、全国的に流行しています。
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- 患者は小児や若い人が多い傾向があります。2018年以降の発生状況では、10歳未満が全体の約57%、10代が全体の約32%で、20歳未満が全体の約9割を占めています。※
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※感染症発生動向調査に基づく県内基幹定点医療機関からの患者報告の結果による
5 潜伏期
- 感染してから発症するまでの期間は比較的長く、2から3週間程度(14日間から21日間程度)とされています。
- 症状が出ない場合(不顕性感染)も多く、自然に治癒することも少なくありません。
6 治療方法
- マクロライド系などの抗菌薬で治療可能※
- 流行期の時に、風邪のような症状がある、せきが長引いている、周囲に同様の症状の人がいる、というような場合は、マイコプラズマに感染している可能性がありますので、医療機関で診察を受けるようにしましょう。
※成人で、肺炎を伴わない気管支炎の場合は、抗菌薬による治療を行わないことが推奨されています。
※マクロライド系抗菌薬に耐性を有するマイコプラズマには別の抗菌薬による治療を行います。
7 予防のためには
- 感染者の咳やくしゃみ等のしぶき中に病原体が含まれており、飛沫感染、接触感染を主な感染経路として人へ伝播します。
- 短時間の曝露による感染拡大の可能性はそれほど高くなく、濃厚接触の機会によって感染することが多いので、マスクの着用、人混みを避ける、換気の実施、こまめな手洗いの実施などの基本的な感染対策を着実に実施することで感染可能性を下げることができます。
- 予防のためのワクチンはありません。
参考
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