答申第233号
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答申の概要(答申第233号:諮問第300号)
実施機関
警察本部長(総務部会計課)
事案の件名
「生活安全部少年課及び交通部交通指導課における平成15年度現金出納簿、県費捜査費証拠書類」の行政文書部分開示決定に係る審査請求に対する裁決
対象文書
- 種類 県費捜査費の支出に関する財務会計帳票及び支出証拠書類
- 情報 現金出納簿、捜査費総括表、捜査費支出伺及び支払精算書等
請求に対する決定
部分開示
不開示条項
条例第8条第2号及び第4号
原処分
現金出納簿:「年月日」欄、「適要」欄、「収入金額」欄、「支払金額」欄、「差引残高」欄(一部を除く)
月分捜査費総括表:「前月より繰越額(4月分は除く)」欄、「本月受入額」欄、「本月支払額」欄、「残額」欄等
捜査費支出伺、支払精算書等は全部不開示
- 不開示理由 個人情報(2号)・犯罪予防等情報(4号)
申立年月日
平成17年2月22日
諮問年月日
平成17年7月27日
答申年月日
平成18年6月30日
審査会の判断
実施機関は不開示とした部分のうち、次の部分を開示すべきである。
- 現金出納簿:「年月日」欄、「適要」欄、「収入金額」欄、「支払金額」欄、「差引残高」欄のうち、月分の捜査費の受入に係る記載部分等
- 月分捜査費総括表:不開示とした部分全て
- 捜査費支出伺:所属名、取扱者、補助者及び出納簿登記者の印影
条例第8条第4号該当性
1 現金出納簿
- 月分の捜査費の受入に係る各欄に記録された情報等については、月ごとの捜査費の執行状況が明らかになるからといって、当該所属の捜査活動の実態が明らかとなるおそれ等があるとまでは認めることはできない。
なお、月分の捜査費の受入に係る「差引残高」欄(4月分を除く)は、月の途中の残高額が記録されていることが認められ、当該所属の捜査活動の実態が明らかとなるおそれ等があるものといえる。
- 取扱者の交替に伴う事務引継ぎに係る記述、年月日及び取扱者の職・氏名の情報等は、取扱者が月ごとの捜査費の執行状況を確認する月分計及び累計に係る各欄に記録された情報と何ら変わりがなく、当該所属の捜査活動の実態が明らかとなるおそれ等があるとまでは認めることはできない。
- 次葉への繰越、前葉より繰越に係る各欄に記録された情報等を見分したところ、前記(1)で開示すべきと判断した月分計及び累計に係る各欄等に記録された情報から、容易に算出できるものであると推認される。よって、これらの情報は、本号に該当するとする諮問実施機関の説明は、理由がない。
- 激励慰労費の交付に係る各欄に記録された情報は、具体的な事件等の捜査費に関するものではないことや、この情報に係る一般捜査費証拠書類が開示されていることを踏まえると、本号該当をいう諮問実施機関の説明は、理由がない。
- 上記以外の情報については、個別の捜査費が入出された月日、金額、具体的事件名、捜査員の階級及び氏名等が記録されていることが認められることから、諮問実施機関の説明が合理性を持つものとして許容される限度内のものであると認められる。
2 月分捜査費総括表
捜査費総括表の不開示とした部分の情報は、月ごとの捜査費の入出に係る情報であることから、本号に該当するとする諮問実施機関の説明は、理由がない。
3 捜査費支出伺
- 捜査費支出伺は、個別の事件ごとに作成するものではなく、当該月に交付する捜査費について作成するものであり、所属名、「取扱者」欄、「補助者」欄及び「出納簿登記」欄に記録された印影を部分的に開示することにより、部分開示された捜査費支出伺の枚数と月別の捜査費の入出状況等を照合すると、当該所属の捜査活動の活発さがある程度推測されることは考えられるが、当該所属の捜査活動の実態が明らかとなるおそれ等があるとまでは認めることはできない。
- 上記以外の情報については、特定の事件名が記録されているなど、いずれも個別の捜査費の支出に関するものであり、諮問実施機関の説明が合理性を持つものとして許容される限度内のものであると認められる。
4 支払精算書及び捜査費交付書兼支払精算書
- 支払精算書は、当該月における個別の事件等の捜査費の精算を報告するために作成するものであり、所属長名、「取扱者」欄、「補助者」欄及び「出納簿登記」欄に記録された印影を部分的に開示することにより、部分開示された支払精算書の枚数と月別の捜査費の入出状況等を照合すると、個別の捜査費の入出が推認されるおそれは否定できないことから、諮問実施機関の説明が合理性を持つものとして許容される限度内のものであると認められる。
- 上記以外の情報については、特定の事件名が記録されているなど、いずれも個別の捜査費の支出に関するものであり、諮問実施機関の説明が合理性を持つものとして許容される限度内のものであると認められる。
5 支払伝票及び領収書等
支払伝票等は、個別の捜査費の支払に関するものであることから、諮問実施機関の説明が合理性を持つものとして許容される限度内のものであると認められる。
条例第8条第2号該当性について
- 激励慰労会出席者名簿に記録されている警部補以下の階級にある警察官の氏名は、本件決定時に適用されていた特例条例の適用を受けず、本号に該当する。
- 捜査員及び情報提供者等の氏名等は、いずれも個別の事件等の捜査情報として条例第8条第4号に該当するものであると認められることから、本号該当性について判断しない。
審査請求人の主張について
審査請求人は、他の都道府県の警察の事例における捜査費の全体的な使用状況等からみて、本県警察本部の捜査費もその支出は架空であることから、条例第8条第2号及び第4号の不開示理由に該当しないと主張する。
当審査会は、捜査費の支出が架空かどうかを直接判断するものではなく、あくまで実施機関の開示・不開示の判断が妥当かどうか等について判断するものである。
本件について、審査請求人の主張は、他の都道府県の警察の事例を引用するものの、本県警察本部における不正な経理が行われた具体的な証拠は示されていないことから、採用することはできない。
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