(1)人口の将来見通し
1 我が国における人口の長期的展望
ここまでは千葉県を取り巻く現状についてみてきたが、ここからは、長期的な展望についてみていく。
我が国の人口は、2008年をピークとして減少局面に入っており、2023年に国立 社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口(令和5年推計)」では、 総人口が、2020年国勢調査による1億2,615万人から、2070年には8,700万人に減少(2020年時点の69.0%に減少)するとされている(出生中位・死亡中位推計。以下同じ)。
また、総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は、2020年の28.6%から 2070年には38.7%へと上昇するとされている。(図20)
2 千葉県の将来人口
2021年度の総合計画策定時に、県が行った将来人口推計(5年ごとの推計)では、2020年に628万4千人であった本県の人口は、年々減少していき、2060年には514万8千人まで減少することが予測されている。(図21)
なお、2021年には、本県においても、社会増による人口増加を自然減による人口減少が上回る、総人口減少時代に入っている。
<人口推計の考え方>
国立社会保障・人口問題研究所(以下、「社人研」という。)の都道府県推計 (平成30年推計)に準拠して推計。主な違いは以下のとおり。
- 推計の始点を2015年国勢調査から2020年国勢調査に変更。
- 社人研では東日本大震災の影響を受けた2010年から2015年の人口移動率を 基に算出していたため、2015年から2020年の動向も踏まえて推計。
- 2020年及び2021年は2019年までの2年と比較して妊娠届け出数が少なくなる 見通しのため、2021年及び2022年の出生数が少なくなると想定して推計。 ただし、その後の出生数への影響はないものとして推計。
・年齢別人口構成
本県の年齢別人口構成についてみると、1980年には年少人口が25.9%、生産年齢人口が67.1%、高齢者人口が7.0%と、ほぼピラミッド型を形成していたが、2020年には、1980年に比べて、年少人口が14.2ポイントの減少(11.7%)、高齢者人口が20.6ポイントの増加(27.6%)となり、いわゆるつぼ型を形成する構成となった。
試算では、今後も年少人口及び生産年齢人口の減少が続き、2060年には、2020年に比べて、年少人口が1.7ポイントの減少(10.0%)、高齢者人口が9.5ポイントの増加(37.1%)となり、下すぼみのつぼ型に向かっていく見込みとなる。(図22)
・高齢化の状況
本県の2020年の高齢化率※は 27.6%(3.6人に一人が高齢者)となっているが、 推計では、今後、急速に高齢化が進行し、高齢化率は2055年には37.2%まで上昇(2.7人に一人が高齢者)した後、2060年には37.1%となる見込みとなる。(図23)
※高齢化率:総人口に占める65歳以上人口の割合
3 人口減少の影響
本県においても、既に総人口が減少に転じるとともに、1980年~2020年の40年間で年少人口が約49万人減少する一方、高齢者人口は約140万人増加するなど、人口構成の変化が加速している。
さらに、感染症の拡大以降、観光業などの地域経済を支える産業への打撃が生じたほか、2022年の全国の出生数が初めて80万人を割り込むなど、様々な影響が生じている。
人口が減少することにより、地域経済の縮小、様々な分野での担い手不足、都市・ 集落の機能低下、社会保障制度の持続可能性などの問題が生じ、また、地域によっては、空き家の増加や商店の閉鎖、交通、医療・福祉等のサービス低下などの影響が生じている。
4 第2期千葉県地方創生総合戦略の進捗状況等を踏まえた第3期千葉県地方創生総合戦略における課題
県では、急激な人口減少を和らげ、地域経済の活性化を図るとともに、持続可能な地域社会を確立していくため、第2期千葉県地方創生総合戦略を進めてきたところであるが、まだ、以下のような課題があると考えられる。
【働く】
- 県全体としては人口の社会増が続いているが、地域差が大きく、様々な分野において担い手不足の解消が必要
- 成田空港の更なる機能強化や交通ネットワークの整備など、千葉県のポテンシャルが一層拡大する好機を迎えている。こうした本県のポテンシャルを生かし、良質な雇用の場の創出が必要
- 感染症の影響で落ち込んだ観光産業が未だ回復せず、全国と比較すると本県の外国人延べ宿泊数の回復が遅くなっており、観光客を惹きつける高付加価値の観光コンテンツの醸成が必要
【活躍する】
- 年齢や性別などに関わらず誰もが活躍できる環境が必要
- 社会に出てからも、必要なスキルを身に付けられる環境が必要
- 半島性を克服する交通ネットワークの整備が必要
- 人口の社会増が拡大しており、今後も千葉に向かう人の流れを加速化していくためにも、地域のブランド化を進め、移住等の推進が必要
【育み・育つ】
- 子どもを生み育てやすいと感じる家庭の割合が減少していることから、子育て環境の更なる充実が必要
- 感染症の影響もあり、出生数が減少していることから、安心して子どもを生み育てることができる環境づくりが必要
【暮らす】
- 令和元年房総半島台風等以降も大きな災害が生じ、「安全」の確保に対する県民の期待が高まっており、地域で安全で快適に暮らせるまちづくりが必要
- 感染症の影響もあり、安心して受診できる医療体制にあると感じている県民が減少していることから、健康で安心して暮らせる社会の構築が必要
なお、このような課題に対し、デジタルの力を積極的に活用しながら、解決していくことが重要である。
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください