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更新日:令和6(2024)年1月4日
ページ番号:7424
「高密度播種苗栽培」とは、苗箱1箱当たりの播種量を多くし、移植時のかき取り幅を小さくすることで移植時に必要な苗箱数を減らす技術です。
10アール当たりの使用苗箱数が減ることで、育苗作業の省力化、コスト低減ができます。疎植栽培と組み合わせることでさらに苗箱数を減らすことが可能となります。
しかし、苗が徒長や老化しやすいため、育苗管理には十分に注意する必要があります。
慣行栽培では、乾籾換算で1箱当たり150グラム程度の播種量ですが、高密度播種苗栽培では1箱当たり250~300グラム程度播種します。
1坪当たり60株の栽植密度で移植した場合、移植時の使用苗箱数は、10アール当たり11箱程度に削減することが可能になります(慣行栽培では10アール当たり18箱程度)。
慣行栽培より少ない苗箱数で栽培可能であるため、その分育苗面積が削減できます。
10アール当たりの使用苗箱数が減ることで、農薬、育苗培土等の育苗資材費が削減できます。
10アール当たりの育苗面積が小さくなるので、播種作業、育苗管理の労力低減ができます。また、移植時における苗補給等の労力低減もできます。
基本的には、既存の播種機、田植機の設定を変更することで取り組むことができる技術ですが、植付本数のバラつきや浮き苗を防ぐため、田植機のかき取りを改善するための専用アタッチメント等もあります。
播種量が多く過密であるため、慣行栽培より徒長苗になりやすくなります。
育苗期間が長くなると苗質が低下しやすくなります。出芽後2週間~3週間程度を目安に移植する必要があり、移植適期幅が短いです。
田植機のかき取り幅が小さいため1株が軽くなり、浮き苗による欠株が生じやすくなります。
移植適期幅が短いため、1回の播種作業では、1週間程度で移植できる箱数を目安に播種しましょう。
種子の予措は通常どおり行います。
播種量は乾籾重量で250グラム程度を目安に行います。
写真1_乾籾重量250グラムを播種した時の様子
培土は特に肥料成分が多いものを利用する必要はありません。
種籾の量が多くなるため、床土の厚さを16~18ミリメートル程度と薄めにしき、覆土の厚さは6~8ミリメートル程度とし、種もみが完全に隠れるようにします。
育苗器を利用した加温出芽の方が、出芽揃いが良くなります。
出芽時に覆土の持ち上がりが起こりやすいため、灌水し覆土を落ち着かせます。
高密度播種苗栽培でも慣行同様に1株当たり3~5本程度の植え付け本数になるよう、田植機の横送り回数と縦かき取り量を調節し、1回でかき取る量を小さく設定します。
移植時に浮き苗による欠株が生じやすいため、欠株しにくい本田管理を行います。
均平なほ場作りに努め、ほ場の凹凸を少なくします。
深水の移植では、苗が浮きやすくなるため、ひたひた程度の水深で移植します。また、移植後の入水時はゆっくり行います。
(参考)平成28年度多古町での高密度播種苗栽培試験結果
写真2_移植時の苗(左:試験区、右:対照区)
写真3_出穂期の生育状況(試験区)
写真4_出穂期の生育状況(対照区)
初掲載:平成29年12月
香取農業事務所
改良普及課
普及技術員
堀田隼人
電話:0478-52-9195
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