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診療科・部門紹介

ご家族のみなさまへ

その子らしく

耳鼻咽喉科

口蓋裂のあるお子さまは、滲出性中耳炎(中耳に滲出液が貯留する状態)を合併しやすいことが知られています。滲出性中耳炎があると音が伝わりにくい状態(伝音難聴)になります。

滲出性中耳炎は痛みを伴わず、伝音難聴も軽度から中等度なので、診察を受けるまで気づかないご家族も少なくありません。お子さまは耳で聞いてことばを育んでいくので、滲出性中耳炎が治りづらい場合には、しっかりとした対応が必要です。

治療には、鼓膜切開術や鼓膜換気チューブ留置術をいう手術があります。必要がある場合には、1歳ごろに施行される口蓋形成術の際に鼓膜換気チューブ留置術を同時に受けるお子さまもいます。

形成外科初診後、生後6か月ごろ、口蓋形成術前、と耳鼻咽喉科外来を受診していただき、滲出性中耳炎の有無を確認し、必要なお子さまには鼓膜換気チューブ留置術の手術を施行しております。

ご家族向け「小児滲出性中耳炎ガイドライン」解説PDF(PDF:1,930KB)

中耳炎

言語聴覚士

口唇口蓋裂のお子さまとは、形成外科の初診時(NICU入院中含む)の新生児期からお会いしています。

哺乳がうまく進まないお子さまも多く、哺乳状況を確認し必要に応じて乳首の選択や飲ませ方のアドバイスを行うところから始まります。口唇裂・口蓋裂の手術を経て、3歳くらいになると、構音検査や鼻咽腔閉鎖機能検査を行えるようになり、4~5歳ごろになると評価が固まっていきます。
検査の結果を加味して、正しい発音の仕方を習得して就学することを目標に、必要時には発音の訓練を行っていきます。

ご家族のご不安が少しでも軽減するよう他職種と連携して対応いたしますので、お気軽にご相談ください。

言語

形成外科

形成外科では、主に口唇裂、口蓋裂の手術治療を行います。

成長に合わせて、口唇裂手術、口蓋裂手術、就学前の口唇細部修正、顎裂(歯ぐき部)への骨移植などを、必要なタイミングで実施しています。

また、産科から口唇口蓋裂のお子さまが紹介される、最初の窓口になることが多いため、口唇口蓋裂診療チームの各科への架け橋として、各診療科、部門への院内紹介を実施します。

形成外科の関連項目へのリンク

歯科

お口は食べること、話すこと、気持ちを表情で伝えることなど、とても大切な働きを担っています。

このような働きの中で口唇口蓋裂をもつお子様が最初に直面する問題は哺乳障害です。

口唇裂があるため、または口蓋裂部に舌が入り込んでしまうために乳首をくわえにくい、口腔と鼻腔が交通しているため口腔内の陰圧が上がりにくい、などの理由により哺乳障害はおきます。

当院では、口唇口蓋裂をお持ちのお子様に対して、口蓋床の作成を行っております。
口蓋床の装着により口腔と鼻腔を機能的に分離することができ哺乳障害を改善することができます。
また、口蓋床を装着することにより顎裂部より鼻腔内に舌が陥入することがなくなります。舌が本来の位置に保持されることで顎の成長が阻害されず発育が適正に行われるといった説もあり哺乳改善の効果と併せ顎発育誘導装置としての効果があるといわれています。できるだけ早期にお口の型を取らせていただき、口蓋床の装着、調整をしていきます。


口唇裂、口蓋裂を持っているお子様では、ほかの小児に比べ齲蝕になりやすい傾向にあることが報告されています。その理由として、摂食不良、エナメル質形成不全、上顎骨の劣成長や顎裂部の影響による歯列の狭窄や歯列不正による口腔清掃がしにくいことなどがあげられます。歯の萌出にあわせ年齢、状態に沿った口腔清掃指導や歯肉炎、う蝕の治療を継続的に行います。その後の歯科矯正は東京歯科大学(主に千葉歯科医療センター)と連携し行っていきます。

齲蝕治療、齲蝕予防の重要性について(うしょくとは、いわゆる虫歯のこと)

生後6~7か月ころに下の前歯から生え始め3歳くらいまでにほぼすべての乳歯が生えそろいます。
そして6歳~12歳くらいにかけて乳歯から永久歯へと生え変わります。乳歯は生え変わるのでう蝕になっても治療をしなくてもよい、早くに抜歯をしてしまっても問題がない・・・なんてことはありません

う蝕

乳歯には発音を覚えていくうえで大事な働きをします。また、食物をよく噛み栄養が十分に吸収できるようにする働きがあります。幼時から学童期にかけては成長発育が盛んな時期であり、う蝕のため食物をよくかめずに栄養の摂取が十分でないとなれば、成長発育にとって悪い影響となります。また、よく噛むことで口の周り、顎の周りの筋肉の発育を促します。

顎の骨の中では乳歯の下で永久歯が形成されています。乳歯う蝕が進行して根の周囲に膿ができると永久歯に対し様々な問題が生じてきます。このように乳歯には重要な働き、影響があるので乳歯に対するう蝕の予防、う蝕の治療はとても大切です。

口唇口蓋裂のお子様は顎裂部に近接する歯に萌出位置の異常や形成不全がみられることも多く、歯磨きもしにくく歯垢がたまりやすい状態になりがちです。

歯磨き

最も大切なことはう蝕予防を徹底して乳歯から永久歯への交換を誘導してあげることですが、う蝕になってしまうことも当然起こりえます。

う蝕になってしまったら自然に治ることはありません。早期の治療が必要となります。
口腔ケアについて、ご不安な点などありましたらいつでも当科にご相談ください。

矯正歯科:外部連携

歯茎や口蓋に割れのある、口唇顎裂、唇顎口蓋裂の患者さまでは、かみ合わせが悪いために、歯科矯正の治療が必要です。こども病院内では、歯科矯正治療ができませんので、外部施設と連携しています。

千葉市美浜区にある東京歯科大学千葉歯科医療センターの矯正科がメインの連携施設です。

東京歯科大学は、日本で最初に設置された歯科大学であり、口唇口蓋裂の矯正に実績のある施設です。
東京歯科大学には大学本部のある水道橋にも病院があり、松戸市、柏市など常磐線やつくばエクスプレス沿線で、水道橋のほうが通院しやすい患者さまには、水道橋病院を紹介しています。

成田のタカハシ矯正さま、昭和大学歯科病院など、連携の可能な施設は、ほかにもございますので、形成外科にて、ご相談ください。

遺伝科

遺伝科は小児内科系部門として、お子さまのお育ちを支えるとともに、遺伝カウンセラーと協働して遺伝カウンセリングを通じて、「なぜこの子にこんなことが」という思いに向き合うとともに、日々に不安を抱くご家族の成り立ちを支えていきます。

また口唇口蓋裂をもつお子さまの一部は症候群性です。症状を複数認め、健康管理項目が多岐にわたることがあります。こういったお子さまの診療連携の窓口として、遺伝科は診療のお手伝いを行います。そして必要に応じて、遺伝学的検査を提案し、正確な診断に基づいた、適切な健康管理をサポートします。

新生児科(NICU)

NICUでは、口蓋裂により哺乳が難しい場合に入院になることが多く、胃管からのミルクの注入を併用しながら、口蓋裂用の乳首で哺乳のトレーニングを行います。

ご家族にも口蓋裂用の乳首を購入していただき、ご家族でも哺乳させられるようになれば退院としています。約10日から2週間程度の入院となります。

また入院時検査で、血液検査・レントゲン・超音波検査を行い、心疾患などの合併症の探索を行います。

こども家族・支援センター

治療をうけながらお子さまを育てていく中で、様々な不安や困難を抱えることも珍しくはありません。
口唇口蓋裂の治療は長期間に及びます。お子さまの成長とともに周囲の環境も変わっていき、お子さま自身に困難・不安が生じてくることもあります。その際には、その時々の困難に沿って看護師、メディカルソーシャルワーカー、認定遺伝カウンセラー、チャイルドライフスペシャリストなど多職種が対応いたしますので、遠慮なくご相談ください。