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更新日:令和6(2024)年11月29日
ページ番号:715245
令和6年11月1日(金曜日)午前10時から正午まで
自治体福祉センター会議室
柏女部会長、菊地構成員、佐藤構成員、柘植構成員、恒岡構成員、藤田構成員
(1)「千葉県こどもの生活実態調査」の実施状況について
(2)「(仮称)千葉県こども計画」における「こどもの貧困対策」に関する事項の素案について
(3)その他
(部会長)
本日は千葉県こども生活実態調査の結果概要と、計画原案の検討が議題となっております。
今回がパブリックコメント前の最終回ということとなります。
この後、12月には全体会が開催されて全体の構成員から御意見をいただくことになっていますが、本専門部会の皆様は、そこでは意見が出せませんので、今日が実質的に最後となります。
本日は2つの議題がありまして、1つが千葉県こどもの生活実態調査の結果(速報)の報告を受け、その後、計画原案についての御意見をいただく形になります。
それでは議題に沿って進めていきたいと思います。
最初は「千葉県こどもの生活実態調査の実施状況」について、事務局から説明をお願いします。
(事務局)
議事(1)「千葉県こどもの生活実態調査の実施状況」について説明いたします。
[資料1-1]を御覧ください。
今回、こどもの生活実態調査に関する資料は、[資料1-1]と[資料1-2]の2種類添付しております。調査結果(速報)の詳細は、[資料1-2]となりますが、そこからポイントとして、カテゴリごとの≪全体の状況≫や≪結果概要≫を抜き出し、前回調査との比較を記載したものが、[資料1-1]となっております。
事務局からは[資料1-1]を使って説明させていただきます。
県では、今回の計画策定に向け、直近のこどもの生活実態を把握するため、今年度「千葉県こどもの生活実態調査」を実施したところです。
調査については、現在、委託先業者において分析作業を進めているところですが、生活困難度別の集計の結果(速報版)が完成しましたので、その概要を報告させていただきます。
1ページ目、「調査の概要」を御覧ください。
「1 目的」でございます。本調査では、県内の小学5年生及び中学2年生とその保護者を対象に、授業の理解度、保護者の就業状況・収入、支援制度・サービスの認知度等、教育や生活に関する調査を行ったところです。
「2 調査票の配布・回答数」です。今回、こども票・保護者票それぞれ19,728件を配布し、回答数が、こども7,127件(回答率36.1%)、保護者7,275件(回答率36.9%)でした。
前回調査の回答率が、こども・保護者ともに34%台でしたので、前回調査に比べて高い回答率となっています。
ページをおめくりいただいて、2ページを御覧ください。
「3 生活困難度の定義」です。ここでは、回答者の世帯が「貧困の観点から見て、どのような状態に位置するのか」を示す生活困難度の定義を掲載しています。
具体的な定義の仕方ですが、本調査では、前回実施した令和元年度の調査と同じ考え方を用いています。まず、こどもの生活困難に係る要素として、(1)低所得、(2)家計の逼迫、(3)こどもの体験や所有物の欠如の3要素を定義し、これらに該当する要素の数に応じて、2つ以上該当なら「困窮層」、いずれか1つ該当なら「周辺層」、いずれにも該当しない層を「一般層」と分類しました。
本調査の分析に当たっては、貧困状態にあるこどもの実態を把握するため、貧困状態(のおそれ)にある「困窮層」・「周辺層」と、それに該当しない「一般層」とで回答に差異があるかを中心に分析しておりますので、御承知おきください。
続いて、3ページに移らせていただきます。ここから先が実際の調査結果の紹介となります。
まず3ページは、生活困難度に関する全体の状況を掲載しています。
黒文字・赤文字・青文字・緑文字が混在しており見づらくて恐縮ですが、黒文字が「今年度調査の結果」、緑文字が「前回調査(令和元年度調査)の結果」、赤文字と青文字が「前回調査との差異」となっています。
まず「(1)困窮層・周辺層・一般層の割合」を御覧ください。表の上段2つが貧困に関する層ですが、「全体」を見ていただくと、困窮層が9.7%、周辺層が12.8%となっており、前回調査との比較ではどちらも増加しています。
「(2)要素別の割合」を御覧ください。生活困難度の定義の元となる3要素それぞれの割合を掲載しています。傾向としては、「家計の逼迫」と「こどもの体験や所有物の欠如」の割合が高くなっています。なお、前回調査との比較では、全ての要素で悪化しておりますが、特に「こどもの体験や所有物の欠如」の悪化が著しい状況です。
「(3)困窮層・周辺層の構成要素別内訳」を御覧ください。
こちらは、困窮層・周辺層について、それぞれどの要素の組み合わせがどれくらいの割合あるかを示した表となっています。こちらも前回調査との比較では、「こどもの体験や所有物の欠如」に絡んだ困窮層・周辺層が特に増加しています。全体の状況については以上です。
続いて、カテゴリごとの主な調査結果を紹介いたします。4ページを御覧ください。
ここから先は計画の柱立てと対応する形で、これと関連する分析結果を載せております。こちらに掲載した分析結果は、生活困難度別に有意な差が見られたもののうち、特に差が大きい等、特徴的な傾向のあるものを抜粋して紹介しています。
事務局からは、前回調査との比較で特に変化が見られたものを中心に、かいつまんで説明させていただきます。
まず「1 生活の安定に資するための支援」 でございます。
「(1)生活困窮の状況」としましては、困窮状況により物品の所有状況には差がみられることや、生活の困窮は長期にわたり継続している傾向がみられております。
「(2)こどもの生活の状況」としましては、困窮層のこどもほど睡眠・食事等の基本的な生活習慣において課題がみられました。特に、前回調査との比較では、食事(栄養バランス)の関係について、「野菜」の摂取頻度は前回調査でも一般層と困窮層とで15ポイント以上の差があったものの、「肉・魚」の摂取頻度は前回調査でそれ程大きな差がなかったところ、今回調査では約15ポイントの差がみられました。
5ページを御覧ください。
「(3)こども及び保護者の健康・自己肯定感」では、困窮層の保護者ほど、健康状態がよくないことや、・困窮層ほど、こども・保護者ともに自己肯定感が低い傾向がみられました。特に、前回調査との比較では、こどもと保護者の自己肯定感に関し、前回は有意差のなかった項目にも今回有意差がみられた他、保護者の健康状態について、一般層と困窮層とで20ポイント以上の差が見られました。
6ページを御覧ください。
「(4)保護者とこども・地域との関わり」について、困窮層の家庭では、家族間や外部とのコミュニケーションが少なく、孤立している傾向がみられています。
「(5)保護者のこれまでの経緯」では、保護者が15歳の頃の暮らし向きが「苦しかった」と回答した割合について、一般層に比べ困窮層の方が高くなっており、困窮している家庭環境は、世代を超えて連鎖する傾向がみられます。
7ページを御覧ください。
「2 教育の支援」でございます。
こちらでは、困窮状況によって授業の理解度や学習環境・勉強時間に差が見られ、特に中学生においてその差が顕著にみられました。また、中学生の進学希望にも差があり、困窮の影響で進学を諦めるこどもが一定数いることが推測されます。
「3 保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労支援」です。
こちらでは、保護者の就業状況(正規・非正規の別)を分析しており、父親については、困窮層の場合、正社員・正規職員の割合が低いという傾向が見られた一方、母親については、小学生の母親は「パート・アルバイト」の割合が高かった一方、中学生の母親は困窮状況による差が見られませんでした。前回調査ではこのような傾向が見られておらず、特徴的な傾向と考えており、全体として正社員・正職員の母親の割合が前回調査から増加していること等も一因と考えております。
8ページを御覧ください。
「4 経済的支援」でございます。
こちらでは、支援制度の利用に関する意向や認知度を調べたもので、多くの支援制度について「利用したいと思ったことがなかった」との回答がかなりの割合を占めている一方で、困窮層・周辺層において「制度等について全く知らなかった」との回答が一定数存在しており、貧困層に対して経済的支援が行き届いていない可能性がみられております。
「5 支援につなぐ体制整備」でございます。
こちらでは、こどもの所有物(自分だけの本やこども部屋等)について、困窮層の方が持っていない割合が高い傾向のある一方で、スマートフォンなど、困窮層でも高い割合で所有しているものも見られ、所有物や外見だけでは判断できない貧困がある様子が見られたほか、こどもに関する支援制度等の情報について、困窮層ほど学校等への相談に抵抗感を感じ、相談できていない様子が見られました。
また、子育て支援サービスの利用意向に関して「利用したことはないが興味がある」とする割合が最も高いのは「こども食堂」となっており、小学生では特に困窮層・周辺層で関心が高い様子が見られました。これに関しては、前回調査では、「学校以外が実施する学習支援」の利用意向が最も高かったものであり、変動が生じています。なお、資料中に記載はありませんが、利用意向の高い順でいいますと、1番「こども食堂」、2番「学習支援」、3番が小学生は「放課後過ごせる居場所」、中学生は「フードバンク」となっており、中学生は「フードバンク」のみ生活困難度別の有意差がみられました。
9ページを御覧ください。
「6 新型コロナウイルス感染症の影響」でございます。
こちらは今回新たに追加した調査項目ですが、新型コロナウイルス感染症が流行し始めた頃の状況について、保護者においては、困窮層ほど「収入の減少」や「食料・衣服が買えないこと」「イライラや不安」が増えたと回答しており、こどもにおいては「学校の授業がわからないと感じること」が増えた割合が困窮層の方が多くなっているなど、新型コロナウイルス感染症流行の影響が、特に困窮層ほど大きく表れた様子が見られました。
以上、[資料1-1]に基づき説明をさせていただきました。
併せて、今回急きょ[資料1-3]という資料を追加させていただきましたので、こちらについて少し説明させていただきます。
こちらの資料は、実態調査の項目のうち、こどもに対し、学校生活の課題に関する項目として、「学校に行きたくない」、「1か月以上学校を休んだ」、「いじめられた」、「学校に遅刻した」、「家事や家族の世話で勉強する時間や遊ぶ時間が取れなかった」、「学校に持って行かなければならないものを用意できなかった」ということを聞いており、これと生活困難度別の状況を表にしたものでございます。
この資料を作成した経緯ですが、前回会議の中で、貧困と不登校の分析に関する議論をいただいたことを受け、[資料1-2]の報告書のほかに追加で確認したところ、特徴的な傾向が見られたため、急きょ会議資料に追加したものです。
例えば、「学校に行きたくないと思った」、「1か月以上学校を休んだ」、「いじめられた」について見ていただくと、小学生は「有意差なし」という結果が並んでいるかと思うのですが、中学生については高い有意差が出ています。
つまりこの3つの項目について、小学生で有意差のないものが中学生では全て有意差が出ているという結果が見られております。
また、「学校に遅刻した」については、小学生・中学生ともに困窮層ほど高い結果となっています。
さらに、「家事や家族の世話で"勉強する"時間が取れなかった」、「家事や家族の世話で"遊ぶ"時間が取れなかった」というような、一部ヤングケアラー的な要素も関わってくる項目ですが、このうち「勉強する時間が取れなかった」については、小学生・中学生ともに有意差がある一方、「遊ぶ時間が取れなかった」について小学生は有意差なし、中学生は有意差ありという結果となりました。
最後に「学校に持って行かなければならないものを用意できなかった」については、小学生が有意差なし、中学生は、他の項目ほどではないものの有意差が見られる、という結果でございました。
(部会長)
ありがとうございました。
調査結果(速報版)のポイント、それから、事務局と事前に打ち合わせをした時に、[資料1-2]に載っている以外でも、細かく見ていくことで、困難な状況が浮かび上がってくる調査項目があると伺いましたので、その部分も出してほしいということを言いまして、今説明のあった[資料1-3]を加えていただきました。
従いまして、速報版に出ているのは全体の結果の一部という形になってくるかと思います。これ以外にも、前回調査でクロス集計を行いました、貧困が継続している世帯と、途中から改善した世帯、突然リストラや離婚等で困難な状況になった家庭の状況等については、まだクロス集計が取れておりませんので、今日ここでは議論できないのですが、事務局では注視して実情の把握に努めていただきたいということを申し上げております。
どうでしょうか。コロナの影響も大きくあるのではないかと推察されますが、特にこうした災害があると、困窮世帯、特にこどもに強い影響が出てしまうということが大きな特徴かなと思います。
全国統計によるこどもの貧困率は近年下がっているわけですけれど、この調査では、結果が悪くなっているということになります。これが今回の調査では「社会保障給付費の額」を聞くことを失念しておりますので、その影響が出ている可能性もあるかとは思いますが、いずれにしても困窮層というよりは周辺層の方により影響が強いということ、つまりラフな言い方をすれば、生活保護世帯のこどもたちよりも生活困窮世帯への影響が大きくなっているというようなことが総じて言えるのではないかと思います。
それから3つ目で、先程事務局から説明いただきましたヤングケアラーの問題、これも困窮層の方がより影響を受けているということもございますので、そうしたことをこの部会で考えながら計画原案に生かしていかなければならないと思います。
皆様方から、率直な御意見あるいはここから学べること、計画原案に生かせることがありましたら、是非活発な御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
(構成員)
この結果を見て、逆説的に読んでしまいまして、「貧困だから野菜を食べない」という見方や結果ではない気もしていて、こどもの貧困においては、親御さん等が野菜や肉を食べる機会をつくらないことが貧困につながっているとも読めるのではないでしょうか。
では、どこの部分を計画に生かせばいいかと言えば、「生活を支える」そこに関わる人がいる、ということになるのかなと読みました。
また、結果をポイントでまとめていただき、データを整理していただいてすごくありがたいと思っているのですが、一つ細かく見てもわからなかったのが、以前も私は「ひとり親の支援のところがすごくポイントになるのではないか」ということを言っていまして、この回答数の中で、ひとり親がどのぐらいいるのかが分かれば教えていただきたいです。
父親の就業に関しては有意差があったという話だったと思うのですが、父子世帯なのか母子世帯なのかということもそうですし、ひとり親のところがどうなのかを伺えればと思います。
(部会長)
ありがとうございます。調査結果の集計で、ひとり親世帯の数は分かりますか。
(事務局)
実態調査におけるひとり親世帯の数でございますが、最終的な分析報告書の中では、生活困難度だけではなく「ひとり親の部分でもどうだったのか」といった分析や集計は、なるべく付け加えるようにしていきたいと考えております。
本調査でひとり親世帯が占める割合については、明確にひとり親で集計したデータを持ち合わせていないのですが、全体の傾向で言いますと、概ね8%くらいが「親が離婚している世帯」、「その他(死別・未婚・非婚)の世帯」というのが1%くらいいますので、ひとり親と考えられる世帯は大体10%近くで、残り90%がふたり親以上の世帯と考えられる状況です。
(部会長)
推察できるようでしたら、それで少し特徴的なものをクロス集計していただけると、よりハッキリ見えてくるのではないかなと思います。
ただ今構成員からいただいたお話は、いわば鶏が先か卵が先かみたいな話であって、肉や魚・野菜等というのは調理が必要となるものですから、調理の必要なものは少なくて出来合いのものを食べさせている、という可能性もあるわけで、単なる経済的な問題だけでない要素も入っていると思われるので、その辺は見ていくとよいと思われます。ありがとうございました。
他いかがでしょうか。
(構成員)
私の市でも今こどもの貧困対策の計画を作っているのですが、先程の構成員から話のあった「ひとり親」というところでは、当市の場合、貧困層はひとり親が多いという状況になってまして、ひとり親の計画も別に作ってはいるのですが、1章・2章に分けた1冊のものとして、計画を作ろうと考えているところです。
その辺りも御参考になるか分からないのですが、柏市の場合、ひとり親は基本的に母親とお子さんという世帯が多くて、例えば婚姻中には調理していたであろうお母さんでも、フルタイムで働くことによって、調理というものが日常の中でかなりの負担になってしまうところでは、やはり調理はかなり負担なのかなということを感じております。
[資料1-1]4ページの<結果概要>のところで「基本的な生活習慣に課題がある」と書かれているのですが、私は以前、子育て支援全般の方の課にもいたことがあり、以前からとても課題と思っておりました。
これは、学習等で色々なことを学んでそれをインプットしていく上での土台となるところで、ハートや脳等の面でかなり影響があると思っております。
そういったところでは、行動変容が非常に難しいのですが、貧困層に限らず繰り返しアプローチしていくべきことと思います。
そういった意味では、県や学校等が保護者さんを通じて、小学校高学年ぐらいになってきたらこども自身に対しても、早く寝ることの良さですとか、運動でもっと良い位置に立てるよとかの前向きな啓発も、繰り返しやっていく必要があると思っています。
今回、千葉県の計画でいいなと思った点は、こども計画に一本化されるということで、貧困に特化してやる良さと子育て家庭全般に向けてアプローチする良さという2つのルートが必要だと思っております。
基本的生活習慣に関しては、ひとり親になったりとか生活が変わることがあるので、全般に向けて、基本的生活習慣にアプローチすることが貧困の解消にもつながっているということで、一つの計画になることは、貧困のところも含めてすごくいいなと思っています。
(部会長)
ありがとうございました。
ひとり親に特化して計画をまとめるというのはとても大事なことですよね。
こちらも可能であれば、今のような、調理の負担ということがもしあれば、それはひとり親家庭に特にしわ寄せが来るということで言えば、家事援助サービス等が必要、という提言も出てくるかと思います。また色々と教えていただきながら進めていければと思います。
ありがとうございました。
他いかがでしょう。
(構成員)
個人的には、速報版の結果を見させていただいて、いささかショックを受けています。
5年前もこの部会に参加させていただいて、その時はあまり感じなかったのですが、5年前と比較をすることはやはり大事なことだと思います。感想ですけれど、間にコロナ禍があったとはいえ、悪化しているという結果に、中々厳しいなと感じました。
私は仕事として自治体の生活困窮の相談窓口等を10年くらいやっているのですが、改善するどころか悪化している部分があるというのは厳しい内容だと感じています。
特に、お子さんにその影響が出ているということであるとすると、もう少し根本的なことを何か考えなければいけないのではないかと思いました。
特に私の個人的な関心で言うと、先程も話にあった「食べ物」に関して、果物・野菜・肉等を困窮層ほど食べていないという結果がハッキリ出ていて、その傾向がまた強まっているということがとても印象的でした。
私の法人でフードバンクの活動をしていて、それは完全に民間の活動としてやるには限界があるので肉・魚・野菜というのはほとんど扱ってこれなかったのですが、これはもしかしたら取り組まなければいけないのではとすごく思いました。果物くらいならできるかなみたいなことを少し考えています。肉や魚は冷蔵品をどうやって配送・保存するのかという問題が大きいですが、こういう結果が出てしまうと考えざるを得ないと思ったところです。
あと、昨今のニュース等で言うと、今いわゆる「闇バイト」みたいな話がたくさんニュースで報道されていて、こんなに毎日ニュースでやっているのに、どうして毎日のように事件が起きるのかと、ある弁護士さんと話していたら、「今の若い人はテレビなんか見ませんよ」という話で、もしかしたら社会状況もちゃんと伝わっていないのかなと考えたことがありました。
[資料1-2]の29ページのところに、「おうちの大人とニュースなどの社会できごとについて話すか」という項目がありますけれども、こういう事件をニュースで見て、家庭の中で「これをやっちゃ駄目だよね」とか「危ないよね」みたいな話をしないまま育っているのだとすると、本当に厳しいのかなと思いました。それをどのように施策に生かすかという話にはならないのですが、そのような感想を持ったところです。
(部会長)
ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。
(構成員)
私は、こどもの居場所や学習支援等をやっていて、実際にフルで利用してくれているのは40人程なのですが、もう本当に、実態調査の集計と同じ傾向が見られています。
その中で、いま話題になった「食べ物」「こどもの偏食」について、偏食がすごく多くて、家庭で食べるものの影響があるのですごく気になっていて、あまりいい方法ではないのですが、色々な人から色々な差し入れをいただくので、それをこどもたちにあげるときに「完食者はこれをプレゼント」と言うと、仕方なく食べてくれたりして、段々食べるようになったりしています。
特に味噌汁は、多分家庭ではほぼ出ないのだと思うんですね。また給食も、純粋な味噌汁はあまり出ずスープ系が多いようです。なので味噌汁はこどもたちにとって飲みづらいようで、「味噌汁を飲んだ子はこれが出るよ」と言って、(最終的には全員にあげるのですが、)そういうプレゼントをつけたりして、こどもたちの偏食を改善しようと取り組んでいます。
私たちのところは幸い果物の差し入れが多いので、こどもたちは多分誰よりも果物を食べていると思うのですが、給食に出る果物は食べられるけれども、他の果物は食べないということがあります。例えば、柿なんかはほとんどのこどもが食べません。多分、家庭で柿というのは登場しないのだと思います。給食でも柿は登場しませんし、だからそういうところから体験が不足していくのだと思います。
一方、持ち物に関しては、先程の調査結果でも出ていましたが、スマートフォンはほとんどのこどもたちが持っています。これは親御さんとの通信手段が必要なためのようです。親御さんは本当に家庭を空けることが多いので、スマートフォンはほぼみんな持っています。
また、所有物はやはり欠如しています。例えば参考書を持っているこどもはほとんどいません。
そういう意味で所有物の欠如というのは、明らかに感じております。
(部会長)
ありがとうございました。
(構成員)
私が気になったのは、先ほど話のあった「闇バイト」の問題など、テレビを見ないこどもが増えていることについてで、私も本当にそうだと思っています。
私は小・中学生の世代よりも少し上の大学生世代なのですが、実際ひとり暮らしを始めた同級生もテレビを買わない子が増えていたり、それより下の世代でも、私が普段関わっているこどもたちを見ている限りでは、公園に行ってもみんなで集まってゲームをする等、そういう遊び方が増えてきているなと感じています。
実際のところニュースを家で見るかと言ったら、あまり見ないのではないかと思っていて、どちらかというと、私が数年前に小・中学生だったときも、社会の出来事をニュースで見るかと言われたらそれほど興味はなくて、どちらかというと芸能等の方が話題に上がることが多かったように思います。闇バイト等について伝えたい世代というのは若い世代だと思うので、そこをもう少し見やすいように工夫するとか、学校等では、基本的に小・中学生は義務教育で行くと思うので、そこでこどもたちの世代が興味を持てるように伝えていくのがよいのではないかと感じました。
(部会長)
ありがとうございます。後半の計画原案に関する議論で、特に「広げる」というところに深く関係してくる話で、こどもたちに届いていないということが大きな課題なのかなと思います。
(構成員)
質問です。アンケートの対象世帯が生活保護を受けているかどうかは分かるのでしょうか。
(事務局)
はい、生活保護については、受給の有無を保護者に聞いていますので分かります。
(構成員)
これは構造的な問題という話かもしれないのですが、特にこの1~2年ですごく言われているのが、生活保護費は全く上がってないというか、10年前に比べて下がっているという状態があると思います。そういったことも、これだけ物が買えないとか、みんなが持っているものを用意できないという話になってくると、もしからしたらこういう問題というのも影響があるのかなと少し思っています。
(部会長)
ありがとうございます。この後の計画原案の検討のところでも、調査から気づいたことを仰っていただいて結構ですので、たくさん御意見を頂戴できればと思います。
私の方で一つお願いがあるのですが、先ほど御意見で出たように、千葉県では「こども計画」にまとめるということですが、今、基本的生活習慣に関しては、一般のこどもたちも含めて全てやっていかなければならないという話がありましたし、それからもう一つは、実態調査から「ヤングケアラー対策は貧困対策でもある」ということを考えなくてはいけない結果が出ているということでした。ヤングケアラー対策というのは、貧困層だけに着目した仕組みをつくってはいないので、一般的な施策も含めて「ヤングケアラーは貧困層の問題でもある」ということをそちらの分野にも知らせていくということ。
それからもう一つは、不登校の問題ですね。「不登校やいじめも貧困層の問題でもある」ということが、資料1-3で出ているわけですので、不登校対策を考えるときに、貧困層ほど課題が多い(有意差がある)という結果が出ているということは、こども計画全体の方面にも知らせていかないと、そこに目がいかないということになりかねないので、そうしたこども全体の政策に関係する知見を、調査結果を細かく分析することにより得ていって、そして、こども計画全体に反映させていくということがとても大事かと思いましたので、そこは事務局に私たちの意見を拾い上げていただいて、こども計画全体の方にも目配りをしていただくようにプッシュをお願いしたいと思います。
(部会長)
それでは次の議事に移りたいと思いますがよろしいでしょうか。
議事の2つ目「(仮称)千葉県こども計画における『こどもの貧困対策』に関する事項の原案」について、事務局から御説明をお願いします。
(事務局)
議事(2)「『(仮称)千葉県こども計画』における『こどもの貧困対策』に関する事項の原案」について説明いたします。[資料2]を御覧ください。
こちらは、このたび策定する『(仮称)千葉県こども計画』における施策の一つに位置づけられる「こどもの貧困対策」について、計画の原案をまとめたものです。
前回の会議でも、素案として文章の形式も含めて見ていただいたところですが、今回は「パブリックコメント前の最終案」という位置づけとなります。
前回の素案からの主な変更点を先に説明させていただきます。変更点は大きく3つございまして、1つ目は、施策の柱立てに関する部分で、前回新たな柱立てとして事務局から提案させていただいた「社会の理解促進」を、会議での議論を踏まえ「支援をひろげるための取組」に直し、更に、こどもの貧困に理解いただく方を増やすための研修の検討に関する記載を追加しました。
2つ目の変更点も同じく柱立てに関する部分です。前回会議において「こども基本法等の 『こども』の定義を踏まえ、若者にも目配りした記載が必要」との議論を受け、新たに「若者への支援」を柱に追加しました。その他、前回会議でいただいた御意見に対する対応については[資料3]に記載しておりますので併せて御参照ください。
3つ目の変更点は、「こども計画全体の体裁に合わせた調整」です。具体的には、【現状と課題】と【施策の方向と具体策】の書き分けをより明確にするというもので、例えば「…が必要です。」といった文章は全て【現状と課題】に移行し、【施策の方向と具体策】は全て「…します。」等の言い切り型に統一する等の調整をしています。
以上、大きく3点の変更を行いました。
なお、前回の素案から加筆・修正した箇所は、資料中に青文字で記載しています。
それでは、計画本文の説明に移らせていただきます。
全体の構成は【現状と課題】、【目標】、【施策の方向と具体策】、【具体的事業】という順番に並べて記載する形となっておりまして、まずは【現状と課題】でございます。
こちらは、はじめに総括的な現状、その後にカテゴリごとの現状・課題を記載しています。
総括的な現状としましては、我が国の貧困率や、千葉県こどもの生活実態調査で算出した困窮層・周辺層の割合を記載し、国内・県内におけるこどもの貧困は依然として深刻な状況にあることを示しています。
さらにその下には、こどもの貧困解消法の目的規定等を引用し、貧困対策の目的や、対策の推進に当たって留意すべき事項として、切れ目のない支援や民間団体の活動への支援等に留意することを記載しています。
続いて、カテゴリに応じた現状・課題を紹介させていただきます。
まず「1 生活を取り巻く状況」でです。
「相談支援」に関して、貧困状態にある家庭では、相談がしづらい傾向にあり、そうした家庭が孤立し、より一層困難な状況に陥ることのないよう相談支援等に係る体制整備が重要であることや早期の発見・対応の必要なこと。
「食・住生活」の関係では、こどもたちの健やかな育成や安定した生活の確保等のために食・住生活の支援が必要であり、フードバンクやこども食堂といった民間団体等の連携や支援を進めていく必要があること。
2ページをお開きください。
「こどもの居場所」に関して、安心して過ごせる居場所の必要性と、多様な居場所の在り方へ留意が必要なこと。
「里親や児童養護施設等のこども」に関して、社会的養護を受けるこどもの多くは、親の支援を受けられない状況にあり、他のこどもたちと同じように、社会人として公平なスタートを切れるようにする必要があること、等を記載しています。
「2 教育を取り巻く状況」でございます。
「就学支援」(学習機会の確保)に関しては、1つ目の○が、教育の機会均等や貧困対策における教育の意義について記載しており、2つ目の○が、学習支援に関する記載ですが、こちらは前回会議で学習支援の意義として「不登校のこどもが前向きになる等の効果も期待される」といった御意見があったことを踏まえ、元々記載していた「授業の理解度」や「将来の夢」等の意義に加え、こどもの前向きな気持ちを育む効果も期待される旨を加筆いたしました。
続いて「学校との連携」に関しては、貧困状態にあるこどもには学校生活で課題を感じているこどもが多い傾向にあることや、学校はこうしたこどもに関する情報が集まる場でもあり、様々な支援者や団体との連携を生み出しながら、困難な状況にあるこどもたちを早期に把握し、支援につなげていくプラットフォームとしての機能が期待されること等を示しています。
3ページをご覧ください。
「高等学校等の中退予防・中退後支援」に関しては、例えば生活保護世帯ではこどもの高等学校等の中退率が全世帯に比べて高い状況にあり、将来の貧困を予防する観点からも中退を防止するための支援が重要であることや、中退した後でも継続的にサポートしていくことの必要性等を記載しています。
次に「3 保護者の就労を取り巻く状況」でございます。
ここでは、貧困状態にある家庭では正規職員の保護者の割合が低く、世帯収入が低い傾向にあることや、保護者が働いて収入を得ることの意義を記載するとともに、保護者の置かれている状況に応じた就労支援の充実が必要であることを記載しています。
続いて「4 経済的負担を取り巻く状況」でございます。
ここでは、貧困状態にある家庭の出費に関する状況や、公的扶助の認知度に関すること等を記載しています。
なお、経済的支援に関しては、素案の時には「様々な支援と組み合わせることでその効果を高める」との記載をしていましたが、前回会議での御意見を踏まえ、「支援の組み合わせにより効果的な支援が図られること」という記載に修正しています。
「5 支援の連携」でございます。
こちらは、施策の柱でいう「支援につなぐ体制整備」に対応するものです。ここでは、貧困継続群での自己肯定感の低さを踏まえ早期対応が必要なこと、「気づき」と「つなぐ」の重要性、支援に関する情報が届かない・アクセスできない家庭に対する積極的な情報提供が必要であること、様々な機関・主体との連携等を記載しています。
「6 社会の理解」でございます。
こちらは、新しい柱である「支援をひろげる取組」に対応するものです。
ここでは、貧困の状況下にあっても自ら相談しようと思える、SOSを上げられる社会づくりが必要であり、そのためには、周りの大人が気づくための裾野を広げる取組が求められること 等を記載しています。
最後に「7 若者の貧困」でございます。
こちらは、今回新たに追加した「若者への支援」に対応するものです。
若者の貧困に関する課題としては、大きく4つ「大学生等の修学継続」、「不安定な就労」、「消費者トラブル」、「若年女性(困難を抱える女性)」の観点で提示させていただきました。
1つ目の○「大学生等の修学継続」に関しては、日本学生支援機構が公表している「学生生活調査」の結果を基に、大学生には、家庭から仕送りのみでは修学困難な学生が相当数おり、半数以上の学生が奨学金を受給していること、経済的に勉強を続けることが難しいと感じている学生が一定数いることを記載しております。
特に、児童福祉法に基づく公的支援等では、18歳を境に支援が途切れる等で家計が厳しくなることが想定されることから、修学を継続できるよう民間団体等との連携を含めた支援が必要であることを記載しました。
2つ目の○「不安定な就労」に関しては、総務省の労働力調査の結果を基に、フリーターや無業者等、不安定な生活を送っている若者が多く、きめ細かい就労支援が求められること。
3つ目の○「消費者トラブル」に関しては、令和4年4月からの成年年齢引き下げを踏まえ、若年層の消費者被害の増加が想定されることから、これを未然に防止するためにも、若年者への消費者教育の推進が必要であること。
4つ目の○「若年女性」に関しては、困難を抱える若年女性の中には、過去の生活体験から、自ら助けを求めずに潜在化しやすく、支援対象として見えてこない等の課題があり、心身の状況等に応じた適切な支援につなげる必要があること。
以上の4つの観点で「若者の貧困」に関する課題を提示しています。
以上が【現状と課題】でございます。
この後、5ページから6ページにかけては、対応する関連データを掲載するものです。「千葉県こどもの生活実態調査」のグラフを載せる想定ですが、現状グラフが完成しきっていないため、ここではイメージとして前回調査のグラフを仮置きしております。
7ページから10ページにかけては、【目標(指標)】を掲載しています。
こちらはおおむね前回の素案のままですが、2点ほど変更がございます。
1つ目が、8ページの「教育」に関する指標で、当初は貧困計画と同様に「新入学児童生徒学用品費等の入学前支給の実施状況」を入れておりましたが、こちらは既に100%が達成されているため、削除いたしました。
2つ目が、同じく8ページ「就労」に関する指標で、「困窮層・周辺層の保護者の就業率」を追加しました。これは元々就労に関する指標が「ひとり親」関連のみだったため、バランスをとる意味で、ひとり親に限らない「困窮層等の就業率」を新たに設定したものです。
11ページをお開きください。
ここから先が【施策の方向と具体策】に関する記載です。こちらは、なるべく【現状と課題】に対応するように並べるようにしております。
まず「1 生活の安定に資するための支援」です。
「相談支援」に関しては、相談支援体制等の体制整備や充実、乳幼児期からの早期発見・早期支援。
「食・住生活への支援」に関しては、フードバンクやこども食堂等の民間団体の活動の支援等。
「居場所と支援の連携」に関しては、安心して過ごすことができ、必要に応じて適切な支援につなげられる居場所づくりと、居場所において支援が必要なこどもに気づいたときに支援につなげられるよう居場所と支援の連携を進めること。
「里親や児童養護施設等のこどもへの支援」に関しては、できる限り家庭的な環境での養育や、自立するための支援等を記載しています。
「2 教育の支援」でございます。
「就学支援の充実」としまして、就学支援に関する取組の推進 や学習支援の推進。
「学校を核としたこどもへの支援」に関しては、教職員、スクールカウンセラー、スクール ソーシャルワーカーに相談しやすい体制の整備や十分に力を発揮できる環境の整備、福祉や地域との連携、学校関係者やこどもをとりまく関係者へ支援制度や支援機関の情報の周知と情報更新。
12ページに移りまして、「高等学校の中退予防・中退後支援」等を記載しています。
「3 保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援」につきましては、保護者自身の状況や環境に応じた就労支援、より良い雇用形態や安定的な収入を確保できるようにするための支援等でございます。
「4 経済的支援」につきましては、各種公的支援制度について、必要な世帯が確実に活用できるようにするための相談支援、ひとり親世帯における養育費取得に関する支援等を記載しています。
3の就労支援と4の経済的支援は他に比べて文章のボリュームが少なく見える形となっておりますが、これらは具体的事業の中で様々な事業を掲載しているほか、こども計画全体の中で、他の章でも言及される部分もございますので、貧困対策としてはこのような記載に留めております。
続いて「5 支援につなぐ体制整備」でございます。
こちらは、こどもの身近にいる保育士等に対する、貧困への気づきに関する研修、声を上げられないこどもたちへのアプローチ、「気づきのチェックシート」や「支援につなぐガイドブック」といったツールの改良と周知、実施自治体に不足又はばらつきのある市町村事業について必要に応じ事例紹介などにより実施を働きかける他、制度改善を国に要望する等の取組を進めること等を記載しています。
「6 支援をひろげるための取組」でございます。
こちらは、貧困の状況下にあっても、こどもと保護者が自ら相談しようと思える、SOSを上げられる社会環境を醸成するため、社会の理解促進の取組を進めること。また、こどもの貧困に気づくことができるよう、様々な関係者を対象とした研修等の検討を記載しています。
13ページを御覧ください。
最後が「7 若者への支援」でございます。
こちらは、先ほど【現状と課題】で提示した4つ視点に対応する形で、若者への食料支援にも取り組むフードバンク等の民間団体の活動支援、大学等の学費等を支援する制度である「高等教育の修学支援新制度」に関して機関要件を確認した県所管の学校の周知、若者の就労に関するきめ細やかな支援、成年年齢引き下げを踏まえた若年者への消費者教育の推進、若年女性について、支援の手があることを呼びかけ、抱えている問題等に応じた適切な支援につなげるための取組等を記載しています。
以上が【施策の方向と具体策】でございます。
【具体的な事業】については以降のページに施策の柱立てに応じて掲載しております。分量が多いため説明は省略させていただければと思います。
大変長くなりましたが、計画原案についての説明は以上です。よろしくお願いいたします。
(部会長)
ありがとうございます。これまで出た意見なども取り込んで、反映させていただき感謝申し上げます。
できるだけ多くの御意見を提示していただければと思います。全体を通じてと【現状と課題】のところでも【施策の方向と具体策】のところでも結構ですので、是非御意見をいただけばと思います。
事務局からは、【現状と課題】と【施策の方向と具体策】を連動させると仰っていただきましたので、どちらかに意見を出していただければ、それを含めて対策の方も記載していただけるかと思います。どうぞ御意見をお願いします。
(構成員)
実態調査に合わせて前回の御意見も反映していただき、大枠はこういうことなのかなと思っています。
前回会議で出てきた「若者の支援」ということが言葉を掘り下げて、「若者支援を推進します」ということでポイントが6点示されており、ここには何も異論はありません。
一方で、こども基本法第2条における「こども」の定義は年齢で区切っておらずまちまちで、それはそのままの方がよいと思っているのですが、こどもに関わる児童養護の現場では「どこまで見なければいけないのか」という議論があります。
昨年度、アフターケアの対応として、私の施設(児童養護施設)を退園したこどもたち(中には60歳・70歳という人もいるのですが)に、こちらから電話をかけたり、LINEをもらったり、訪問したり、施設に泊まりに来たり、というやりとりをしたこどもたちが、今は大人になっている人も含めて年間で40人くらいいました。
その中で20代前半までが6~7割。30代が1割。40代で、母子家庭でちょっと行き詰まって仕事を辞めてしまったということで来るようなケースが1割、あと、疎遠だった親が亡くなって相続のこと等どうしたらいいかの相談も含めたその他が1割というのが大体の内訳です。
ずっと育ててきた子たちが施設を出た後、生活の中で立ち行かなくなってこちらに来た人たちと接していると、なんだか思春期に戻るように感じています。思春期のときに何が悩ましいかというと、家族のこと、生活のこと、周りとの関係のこと等で、その年代年代で悩みが変わるのですが、思春期のときにある程度大人とやりとりをしている人たちは、退所後困ったときに、こちらに寄ってきます。
私は「思春期支援=大人が関わる」ということだと思っていて、例えば、学校等の関係では、こういうことをされたとか、いじめのこと、不登校のこと等、結構な手間や時間がかかる、すぐに解決しない、支援者が入ってもすぐ解決しない、みたいなことが結構ある中で、そこにいかに関わっているかということがとても大事だと思っています。
アフターケアをした中で、この3月に退園して就職した子がいて、今でもほぼ毎日のようにやりとりをしてはいるのですが、何とか所属を維持するためにやりとりをしています。要は仕事辞めないでほしい、辞めしまうと一瞬で貧困層になっていくことが目に見えているためです。
どこの進路をたどっても必ず関わってくださる大人はいますが、できる範囲がそれぞれ違うのでそれは長くは続かなくて、そこに児童養護がずっと関わっているんだとすごく思っています。このアフターケアを支えるような取組、若者支援と思春期支援とが一体となっているイメージを、児童養護の現場では持っています。
計画の中の「支援につなぐ」という言葉と「若者の支援」という言葉は、私の中でこの順番どおりセットのものと考えていて、「5 支援につなぐ体制整備」をして、「6 支援を広げるための取組」をして、「7 若者への支援」をするということの中で、言葉として「思春期支援」という考え方を入れてほしいと思っています。
また、計画本文の【具体的事業】にあらゆる事業が記載されている中、思春期のところに関わるものがあまりないように思えるので何とか計画に盛り込めないか、ということを意見として述べたいと思います。これがこの計画を見て一番感じたところです。
(部会長)
ありがとうございます。現場の実感はとても大事だと思っています。
「若者への支援」のところ、今の趣旨を踏まえてご検討いただければと思います。
(構成員)
先程出たお話について、私も答えは何も持っていないのですが、調査の結果を見る等して自分の中で感じるのが、思春期はすごく特別な時期だと思っておりまして、[資料1-3]でも小学生と中学生とで有意差に違いがあるという結果を見ると、やはり何かこども側の変化もあるように感じて、例えば自分は他の子が持っているものを持っていないと気づいたり、親との会話も思春期だからしない(しづらくなってきたりする)ことに加えて何か背景があるのかな等、思春期は非常に大事だなと思っていて、(そう感じているのは)自分だけではないのだと思いました。
また、別の話になりますが、行政は情報発信というのがいつまでも苦手で、情報の発信の仕方が民間や一般で変わっていくのをどうしても追いかけていくという傾向にありまして、今回、 当市でも計画を検討している中で、情報発信や、情報を受け取ってもらうまでをやるにはどのようにすればいいのか等を議論したことがありました。
結果は月並みにはなるのですが、色々な方法で出すしかなく、やはり一般の方よりキャッチしづらい方には、人を介して情報を渡していくことがどうしても必要だという話になりました。
次期計画の中でそうした取組をより大事にしていきたいと思っているのですが、色々な子育て家庭があって、ニーズが様々だというところもありまして、自分は忙しいから都合のよい時間にホームページへアクセスして情報をとりたいという人もいれば、紙の方がいいという人もいる。そしてそれ以前に情報を知らないことを知らないという家庭に対しては人を介した方がいい、というところがあります。
当市の調査においても、ひとり親家庭や貧困家庭の中に「子育てについて相談したいけど相談する先がない」という方が結構いて、やはり情報発信に尽きるのかなと思うので、計画原案の4ページの教育に関する部分で、「早期に対応」ですとか「積極的に情報提供を行う」と書いていただいたのがすごく嬉しかったのですが、教育に限らず相談につながっていくものについても、積極的に、情報発信だけでなく受け取るところまでの方法を研究していくことが一つのテーマになったらどうかと思いました。
(部会長)
ありがとうございます。
今のお話は、新しい柱である「広げる」という部分に深く関わってくる話と思いますので、ここについての研究を進めていくということを、先ほど柘植構成員からもありましたけれども、特に本人(こどもたち)に届いてない事態をどうやって解消していけばよいのかも含めて検討・研究していく必要があるのかなと思います。
それから、先程の構成員のお話との関連でもあるのですが、13ページの「若者への支援」について、こどもの貧困対策の対象が変わったので、もしかしたら、次回は実態調査の対象を広げることも検討していく必要があるかと思いました。つまり、今回は小学5年生と中学2年生を調査対象としていますが、そこに高校生までを入れるのか、あるいは、若者たち(社会的養護の人たちはそれほど多くないから、そこはヒアリングでカバーする等)も含めた調査対象の拡充等を検討しなければいけない課題と思います。
ありがとうございます。その他いかがでしょうか。
それでは私から、少し網羅的になるのですが申し上げてよろしいでしょうか。
まず、2ページの「学校との連携」のところで、先程の実態調査の話にもあった学校関係のことになりますが、「不登校・いじめ・ヤングケアラーの問題が貧困層ではより多い」ということをどこかで書いておいて、そして「家族のケアで学ぶことや遊ぶことが制限されている」といった現状等を踏まえておくことが必要かなと思います。
そういう意味では、こどもにだけ焦点を当てても駄目で、包括的に親の状態がどうなのかとか、もちろん生活の困窮の度合もそうですけれど、家族全体を見ていかなければならないことの必要性は書いておくべきかと思いました。
次に4ページのところですけれども、上から3つ目の○「貧困だけでなく複合的な課題を抱える家庭」の中に、ひとり親家庭の精神疾患等の「親の病」についても、「など」という形で入れててもよいのかなと思いました。
それから【施策の方向と具体策】に移るのですが、11ページのところです。「居場所と支援の連携」には、こどもの居場所については「支援が必要なことに気づいたときに」とありますが、「気づけるための研修」が必要なのではないかという意見もありますので、この辺りは「気づけるための研修を進める(検討する)。」という形にするのがよいのではないかと思いました。
それから(2)(1)のスクールソーシャルワーカーについては、まだまだ人数的に少なすぎるので、指標では「増員させる」で継続になっていますが、ここはもう特記して書いていただくといいのかなと思います。
それからもう一つ、スクールソーシャルワーカーの現場からの声を聞いていますと、やはり 学校配置になっていないと(教育事務所配置になってしまうと)、学校に派遣されていくだけで、学校の方に何も責任が持てなくてもどかしさを感じているスクールソーシャルワーカーの方も多いので、学校配置を進めていくということがあってもいいのかなと思いました。
続いて11ページの「相談支援」のところですけれども、ここでもヤングケアラー対策というところをしっかり入れておくことが必要ではないかと思います。ヤングケアラーが特に困窮層に多いと示唆されることから、こどもの貧困対策の中でもヤングケアラー対策を意識する必要があるということ。
並びに、ヤングケアラー対策の特徴は包括的な支援ですので、親が貧困世帯であったり、親が障害を持っていたり、高齢の親の介護を持っていたり、そうしたことを包括的に支援ができる体制がないとヤングケアラーは救えないように思いますので、それを考えると、社会福祉法106条の6で規定されている重層的支援体制整備事業における支援会議(千葉市では「福祉まるごとサポートセンター」が担っていますが)、そうした支援会議を開催できるようにしていくということがとても大事で、その後包括的に支援をしていく体制が必要だということを盛り込むのが大事かと思います。
それから12ページの3番です。ひとり親家庭施策や各種の福祉施策との連携を図っていくということも書いておく必要があると思います。どうしても貧困だけに注目をしてしまうと、 その他半分が半分というか、ひとり親家庭、特に母子家庭が多いことがあまり強調されなくなってしまうので、「ひとり親家庭対策と貧困対策をリンクして考えていくことが大事」ということも触れていってよいのではと思っています。
あと、先程申し上げた「若者への支援」のところでは、調査対象の再検討をしていただいてもよいのではと思いました。
私の方でパッと気がついた点は以上となります。
では、他の方からもたくさんの御意見を意見を頂戴できればと思います。
(構成員)
私からは13ページの「7 若者への支援」についてです。
若者の成年年齢引き下げについて、私も成年年齢引き下げの最初の代くらいだったので、自分もここに当てはまるかと思い興味深く見ていたのですが、5つ目の○「成年年齢引き下げを踏まえた若年者への消費者教育の推進」という部分で、23ページにも事業として「消費者教育啓発事業」というものがあるかと思います。
私も消費者教育は中学生のときに家庭科の授業で受けたことがあるのですが、実際に必要になった(消費者被害に遭った)場面にならないと、ただ授業で聞いていても現実味が湧かないのではないかと思っています。
掲載されている事業には、教員向けの会議や研修会、情報の収集、資材の作成等と書いてあるのですが、実際には、消費者被害に遭って、消費者センター等が関わる事態になって初めて真剣に調べることになると思います。その際、検索をかけて調べる時に、わかりやすく情報が出てこないと大変だと思うので、教育も大事と思うのですが、調べたときにわかりやすく対応策が出てくるようにする取組も進めていけたらよいと思いました。
まとまっていませんが、以上になります。
(部会長)
ありがとうございます。
この「消費者教育」のところに、先程話題に出ていた闇バイトの問題等も入れていってもよいのかなと思いました。これもかなり貧困の若者たちの問題でもあると思っていて、どのような文言がよいのか分かりませんが、「消費者教育並びに○○対策等の推進を図ります。」みたいな形で入れてみてもよいのかなと思いました。
(構成員)
先程部会長のお話の中に出てきたのですが、12ページの「3 保護者の就労支援」と「4 経済的支援」というのはとても大事と思うのですが、最初の事務局からの報告に、困窮家庭の母親の正規職員の割合が高まっているという話があったかと思います。
一方、9ページにある目標値にある「ひとり親家庭の親の就業率(母子世帯)」が現状82.8%となっていて、これは低いのかな、というか、十分に高いのではないか、という気がしていて、これをさらに増加させるというのは、さらに正規社員として働けるようにしていく、みたいな考え方もあるとは思うのですが、先程来の話では、そうすればするほど家事等に割ける時間は減って、こどもに関われる時間も減って、ヤングケアラー化していくみたいな問題は起きないのかと懸念しています。
それはかなりニッチな話かもしれないですが、就業率を高めていくことが全てではなく、先程部会長も仰っていたように、ひとり親支援の施策と連携することの方が大事なのではないかと思います。
あと、3「就労の支援」で、「保護者が早朝深夜の勤務をしてもこどもが健やかに成長できるよう」という記載があって、これが具体的にどういうことなのか、イメージが湧かないというか、そもそもそのような状態にならないようにした方がよいに違いないと感じます。朝起きてお母さんがいないというのはかなり厳しいと思いますので。
どのように解決したらよいのか分からないのですが、その辺が少しもやもや感じるところでありました。
あともう一つは全然別な話で、「若者への支援」の関係で、私たちの法人でも高校生の居場所カフェみたいなものを4箇所ぐらいやっていて、そこにはスクールソーシャルワーカーさんが本当に困っている子を連れてきて相談につなげてくれるというやり方をしていて、それがとてもいいなと感じています。
その中で昨日もあったのですが、家族関係との関係で「もう家を出たい」という高校生が結構います。昨日の子の場合は、どんどんお金を搾取されてアルバイト代も全部取られてしまうという話で、いたらもう駄目になってしまうというのがあって、何とか家を出られないかという相談でした。
スクールソーシャルワーカーさんが言うには、家出したい高校生はたくさんいるという話で、でも中々そういうわけにもいかないのですが、何か安心して家出ができるような環境や、中々家に帰れない子たちの居場所としての住まいの問題は考えざるを得ないなと感じています。ただ、そこは施策としては中々ないのでどうしていったらよいのか悩ましいです。
住まいの問題になるといえばなるのですが、そこを何か入れられないだろうか、例えば家賃支援でもいいですし、生活保護を受給していただくという考え方もあるとは思うのですが、これが大学生等になると生活保護を受けられなくなってしまうということもあるので、その辺りの対策を何か入れられないかということを思いました。
(部会長)
ありがとうございます。
私の方でも、自立援助ホームを紹介して逃がしたという事例を聞いたことがありました。
御家庭が揃っていてもDVがあるような場合には、自立援助ホームに緊急避難させたりということもありましたけれども、そうした福祉サービス、社会的養護関係のサービスを使うということも、こういう問題では大事なのかなと思います。
あとは、先程仰っていたように、ひとり親家庭の支援策をフル活用するというようなこと。
ショートステイができるわけですから、そういったものも含めて考えていくことが大事かと思いました。
(構成員)
先程よりスクールソーシャルワーカーの話が出てきているのですが、私たちのところにも、 スクールソーシャルワーカーが頑張って支えてくださっています。
ただ、スクールソーシャルワーカーが変わると、パッタリ交流が途絶えてしまったりすることがあって、スクールソーシャルワーカーの差が大きいのかなと感じています。わずか64人しかいない中で、滞ってしまうことがあると勿体ないなという気がするので、そういう意味では、ケースを扱った研修をしっかりやっていただき、誰が来ても同じようなことができるようになったらいいなと思います。
それと、スクールソーシャルワーカーは結局、学校から要請がないと出動できないんですね。
市町村等に配置されると、校長先生が依頼しないといけない。その校長先生の感度が鈍いと全く機能しないということがあって、色々な人が心配しているけれども学校が動かないからスクールソーシャルワーカーさんが動けないというケースがいくつもあります。
それで、校長先生を動かすにはどうしたらいいかという相談が来ます。それが知り合いの校長先生であれば、出かけて行って話をするということもありますが、やはり校長先生の感度が必要と思います。
そういう意味では、管理職の研修も是非お願いしたいと思います。研修の中に、主任者研修というものがありますが、やはり途中途中でやっていただきたいです。
私も昔教員をやっていたのですが、教員の立場で見ていると、(こどもたちに関わる自立相談をやって本当に感じたのですが、)もう貧困の度合が違うわけなので、そういう意味では、先生方も忙しいわけですけど、途中途中でそうした研修ができたらいいなと思います。
また、スクールソーシャルワーカーの人数を増やしていただくことは、切に希望したいと思います。
それから17ページに記載のある「学校給食費無償化」についてですが、「第3子以降」との記載を見ていて、これは少子化対策なのかなという感がしないでもないです。
実際、準要保護世帯と適用されない家庭との差は本当に微々たるもので、逆転している家庭もあるように感じています。私のところで学習支援事業をやっているのですが、私のところの市の学習支援事業は直接準要保護世帯に案内をするのですが、ある校長先生が善意で間違って、学校のメールで一斉周知したところ、ものすごい勢いで希望があって、制度を説明したりする中で、「私のところも母子家庭で大変で…」という話がたくさんありました。
この計画の期間が5年間だとすると、5年間この給食費無償化がこのままいくのでしょうか。
給食費無償化については、今、自治体間ですごい差があるじゃないですか。貧困問題はどこも一緒ですので、これはもう大きなテーマにしていただきたいなと思います。
それから、「民間活動への支援」とか「居場所との連携」とあるのですが、居場所への支援として一番やっていただきたいのは経済的な支援です。結局、助成金で居場所を立ち上げようとしても、それは1年から3年くらいと助成期間に限度があって、民間活動の意義を認めてくださったのであれば、やはり裏付けになるものがほしいです。5か年計画であれば、是非先を見通されたものがほしいなと思います。
それと、「相談支援」の中なのですが、相談の「場」や「相談相手」を作ったりというのはあるのですが、「時間」ということについても明記していただきたいです。色々な相談機関を紹介されても、土・日に目一杯働いていて行くことができないという人たちにも配慮していただけるとありがたいです。
(部会長)
ありがとうございます。
今のお話を伺っていて感じることですが、12ページの6「支援をひろげるための取組」の(2)の記載は、「気づき、そしてそれをつなげることができるよう、スクールソーシャルワーカーの拡充とともに、様々な関係者を対象とした研修等の取組を検討します。」という形にしていただき、また末尾も「検討します。」ではなく「取組を進めます。」にしていただいてもよいのではないでしょうか。ひと足飛びにそれやるにはまだプログラム開発されてない、という話もあるかもしれませんが、一応御検討いただければと思いました。
その他のお話も貴重な御意見だと思いますので、採用できるところは採用していただければと思います。
他いかがでしょう。
(構成員)
肝心なことを言うのを忘れていました。
私は児童養護という立場からの貧困ということでお役目をいただいていると思いますので、児童養護の現場からの話になるのですが、【現状と課題】における包括的な現状の3つ目の○についてです。
本日の会議の冒頭でも、逆説的に「貧困だから食生活等に影響が出ている」というより、「生活の問題から貧困につながっている」ことも考えられるのではという話をさせていただいたのですが、「生活を支える」とか「そこに関わる大人がいる」ことがとても大事と考えています。
なぜそれが大事かというと、我々児童養護の現場では、権利擁護の話題がすぐ出るのですが、では「こどもの権利を守る」とは何かと言われたら、ひと言で「こどもの育ちを守ることです」と言っています。
こどもが育つ環境もそうですし、こどもが育つ毎日の生活もそうですし、やはり「育ちを支えているんだ」という実感が、児童養護の現場ではすごくありまして、その中に「家庭を支える」ということも含まれています。
この【現状と課題】の3つ目の○は、貧困に特化して書かれてはいるのですが、「こどもがその権利利益を害され社会から孤立することがないように」という記載の後に、「これが何につながっているのか」ということを書いていただきたいと思っています。
例えば「ひいては育ちを保障することにつながるように」とか、それが結果的にこどもの貧困の解消につながっているんだというようなことで、私の中では「育ちを支える」というような言葉がすごくしっくりくると思っています。こどもの貧困対策のために、育ちを支える、生活を支える、そういうものにつながる一番大事な言葉ではないかということを思って、これを意見として述べさせていただきます。
それとはまた別に、19ページにある「子育て短期支援事業」(ショートステイ)について、前回の会議でも触れさせていただいたのですが、その後もやはり利用はすごくあって、私の施設は1市からしか委託を受けていないのですが、翌月の予定がすぐ月末には埋まる、金・土・日の利用が奪い合い、という状況にあります。
ショートステイには福祉施設のように最低基準がないので、児童養護の職員ないしそこをフォローしている職員の中で、何泊か早朝深夜も含めてお預かりするのですが、制度自体が脆弱で、今は児童養護の配置にプラスして置けているので何とか見れていますが、そうではないところまで見ようというのは中々難しいと思っています。
どの市町村でも、里親さんがショートステイの受入先としてなっている市町村が多いですが、里親さんが受け入れられているかというと、兄弟ケースは見れないですとか、大きい子(小学校高学年)は無理ですとか、男の子は無理ですとか、それぞれに特化した受入条件みたいなものが実態としてはあるようです。
でも、それが児童養護では職員がきちっと配置できれば見れるという自信がついてきているので、子育て短期支援事業はとても脆弱な制度ですが、ここを後押しするような施策につながってくれるといいなと思っています。
最後ですけれど、支援を広げてそれにつながって、その後、そこに関わることで、貧困に陥らないような予防として計画が立てられているとするならば、これまでの5年間の結果というのが分からないので教えていただきたいのですが、例えば一番の困窮層と考えられる生活保護世帯から脱却した割合というのは、どれくらいいるのでしょうか。
その数値が出せるのかは分からないのですが、生活保護からの脱却が、支援があったからと言えるのならより良いことと思うのですが、肌感覚的に言うと、戻っているのではないかと感じています。それがわかる範囲で教えていただきたいというのが3点目になります。
(部会長)
では3つ目の質問についてはいかがでしょうか。
(事務局)
「生活保護からの脱却」というのは、生活保護の場合、世帯単位で見るわけですが、その世帯が自立した(例えば生活保護をやめた)数ということでよろしいでしょうか。
今手元に資料がないのですが、生活保護を廃止した世帯数というのは、もしかしたら出せるかもしれないのですが、その廃止の理由が、自立によるものかというのは、色々な状況がある中で抽出して出せるか定かでないので、少し確認させていただきたいと思います。
(構成員)
生活保護自体が、最低生活の保障で、「自立を助長する」ということが書いてあると思うので、そこを支えるための制度であるから、それがずっと続いてしまっているとなると、どのように自立を助長していくことが必要なのかという議論があるのではと思います。
言いたかったのは、一度落ちてしまうと戻れないということが実態としてあるのだとすると、落ちないようなサービスなり支援なりをすごく重層的に作らないかぎり、最後は生活保護になってそのままいくということが言えてしまうのではないか、ということです。
この貧困対策を「予防」という観点で対応するというのであれば尚更ということを思って、何か生活保護からの脱却割合とリンクして見れるものがあるといいなと思いました。
(事務局)
数値はこれから調べるのですが、考え方としては、生活保護を受けられる方には色々な状況の方がいて、病気や障害等があってどうしても自立に向かえないという方もいれば、就労を支援することによって自立していくという方もいらっしゃるので、そこは落ちたらそのままということはなくて、ケースワーカーなり福祉事務所で自立に向けて支援をしている、という状況があることは御理解いただければと思います。
(部会長)
ありがとうございます。
生活保護世帯の関係の指標は今のところ4つあるので、それに加えて、新しい指標を立てられるかどうかは、きちんと見なければいけませんね。
有効なものがあるようだったら、それを入れることも検討していただければと思います。
他にいかがでしょうか。今お気づきのところはほぼ出していただきましたでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、今回の議論はこれで止めさせていただきたいと思います。
先程冒頭に申し上げましたけど、これからまた色々な方に聞いたりしながら、御意見が出る場合もあると思いますが、いつ頃までにメール等で、御連絡させていただければよろしいでしょうか。
(事務局)
後日の御意見につきましては、概ね1週間を目途と考えておりまして、11月8日頃までに いただければと考えております。
あとは、本日の会議に間に合わなかったのですが、前回の会議で御議論いただきました追加のクロス集計の結果の一部がこの期間中にお示しできるかもしれませんので、そのスケジュールとの兼ね合いも見て決定させていただきたいとは思いますが、概ね1週間を目途とお考えいただけるとありがたいです。
(部会長)
わかりました。よろしいでしょうか。
そういうことで、事務局も業者の方々も、必死で集計を急いでくださってますので、是非また送られてきたら御確認いただきたいと思います。また事務局には、クロス集計の結果を送っていただく際に、簡単にポイントみたいなことを書いていただけると確認がしやすいかと思いますので、よろしくお願いします。
ひとまずは11月8日ぐらいまでに御意見をということで、お願いをしたいと思います。
ありがとうございました。
事務局の方では、本日あった御意見の中で精査をしていただいて、今回この場で判断いただくということは時間の関係上しませんでしたけれど、事務局の方で判断いただきまして、できるだけ反映させていただけるようにお願いしたいと思います。
(部会長)
それでは、次が「その他」になりますが、構成員の方々から何かその他の関係はありますか。
私から一つ、本専門部会の副部会長が座長になっている「気づきのチェックシート」の見直し作業について、事務局から今後の見通し等を皆様方に教えていただけますでしょうか。
(事務局)
前回の会議で少し状況を報告させていただきました、副部会長を座長とする「気づきのチェックシート」の見直し作業については、大変恥ずかしながら、前回の会議から今日までの時点で進捗としてお示しできるものがない状況でございます。
ただし、なるべく早い段階で一旦の見直しを図れればと考えておりまして、当初の見込みでは、今年度中にあと2回ほど検討会を開催して固めたいと考えておりましたが、副部会長(検討会座長)の状況や御都合等も踏まえて、よく相談させていただきながら進めていきたいと思いますので、その状況については適宜こちらの部会の皆様にもメールや会議等の場で説明させていただければと思います。
(部会長)
ありがとうございました。
今日の話の中でも、研修の必要性というのは強調されておりましたので、研修をしていくにしてもその研修をするための素材、長年の積み重ねがなければ絵に描いた餅になってしまいますので、こちらといわばセットで計画が進んでいくということの理解でお願いしたいと思います。
それでは以上をもちまして、本日の議事を終了とさせていただきます。
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