お年寄りの方に食事を作るときのポイントを教えてください。
お年寄りの方に食事を作るときのポイントを教えてください。
お年寄りにとって食事は、大切な栄養を取ることと同時に、日々の楽しみの一つでもあります。できるだけ長い期間口から食べられように、工夫することが大切です。
お年寄りになってくると歯の喪失や入れ歯の不具合や食べ物を飲み込む筋力などの低下、唾液分泌の減少により、噛むことや飲み込みに支障がでやすくなります
噛みやすく、飲み込みやくするための調理の工夫は下記の通りです。
- 煮物や和え物など、加熱をして料理をやわらかくする。
- 隠し包丁や繊維を絶つ切り方など切り方を工夫し、味をしみやすく、かつ火が通りやすくする。
- オムレツやフレンチトーストなどパサパサしないように適度に水分を補う。
- ポテトサラダやねぎとろなど口当たりの滑らかさを助けるために油脂を添加する。
例)さつまいもにバターを加えてスィートポテトにする。
- バラバラになるような食材をまとめるためにつなぎを利用する。
例)ヨーグルト和えはヨーグルトが和え物の食材を食べやすくまとめてくれる。
- サラッとした液体ではむせやすいので、適度にとろみをつける。
例)かき玉汁やポタージュスープ、カレーなどとろみのついた料理やとろみ調整食品を利用する。
- 細かくきざみすぎると飲み込みにくいことがあるので、一口大にする。
お年寄りになると、からだの必要量に対して、食べ物からとるエネルギーやたんぱく質などの栄養素が足りない状態(低栄養)に注意しなれければいけない人が増えてきます。日本人の食事摂取基準(2020年版)における目標とするBMI(=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))の範囲は、65歳以上では21.5~24.9kg/平方メートルとされています。やせているお年寄り(BMI18.5kg/平方メートル未満)、または6か月の間に体重が2~3kg減少した方は、食事のとり方に気を付ける必要があります。
低栄養の予防としては、下記の通りです。
- 体をつくる源となる肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質を毎日摂取するようにしましょう。牛乳や乳製品は、小食の人でも間食という形で効率的にたんぱく質が摂れるという点で有効です。
- お年寄りになると摂取する食品が単一的になりがちで、お米やパン、麺類など糖質の多い物が中心の食事となりやすくなります。野菜や果物、海藻類などバランスよくいろんな食品を摂取するように心がけましょう。たくさんの種類の食品を摂取していると、お年寄りが自立した生活を送る上で必要な生活機能が高いと報告されています。
- 食欲がないときは食べられるものを食べ、少量でエネルギーや栄養素が確保できる栄養補助食品も上手に使いましょう。
【参考文献】
- 江頭 文江:在宅生活を支える!これからの新しい嚥下食レシピ、株式会社三輪書店、2008
- 伊藤 貞嘉、佐々木 敏 監修:日本人の食事摂取基準(2020年版)、第一出版株式会社、2020
- 公益財団法人長寿科学振興財団:健康長寿ネット
- 熊谷 修ら:地域在宅高齢者における食品摂取の多様性と高次生活機能低下の関連、日本公衆衛生雑誌Vol. 50、No. 12、 p. 1117-1124、2003
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