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覚悟をもって手術の実績を重ねる
脳神経外科 医長 西野 航
千葉県総合救急災害医療センターの脳神経領域では、外科と内科が連携して脳卒中や重症頭部外傷の患者さんの治療にあたります。
血管内治療を専門とする西野医師は、カテーテル治療の症例が豊富な環境で若手のうちから実績を積んだことが自身の成長につながったと振り返ります。当院の教育環境について聞きました。
患者さんの劇的な回復につながるカテーテル治療
ーーご自身のこれまでのキャリアについて教えてください。
初期研修で君津中央病院に行き、3年目で千葉大学脳神経外科に入局し、医師4年目に関連病院である当院に後期研修医として1年間赴任しました。その後は大学病院を含む関連施設で研修を行い、医師8年目から再度当院へ赴任しています。私は入局時より脳血管内治療を専門にしたいという意志がはっきりしていたので、カテーテル治療(脳神経血管内治療)の症例が多いこの病院を選びました。
ーー脳神経外科を専攻したきっかけを教えてください。
初期研修の頃の志望先は脳外科ではなく、外科か麻酔科を考えていました。しかし初期研修先で「脳外科も回ってみないか?」と勧められたので、試しに研修1年目に脳外科をローテートしたところ、慢性硬膜下血腫や気管切開などの執刀、開頭手術の第一助手や脳血管撮影などいろいろ挑戦させてもらえたんです。
そのときに脳神経血管内治療とも出会いました。脳底動脈閉塞による脳梗塞で重度意識障害の患者さんが緊急で来たときも、機械的血栓回収療法のおかげで劇的に回復して1週間で退院する姿を目の当たりにして、喜びとやりがいを感じました。「患者さんのためによいことをしたい」という思いが今も日々の診療の原動力になっています。
早くカテーテル治療を経験できたのはこの病院のおかげ
ーーこの病院での象徴的な出来事を教えていただけますでしょうか?
この病院で、様々な脳神経血管内治療や開頭手術の初執刀が経験できたことがとても大きいですね。未経験のことに数多く挑戦できたのも、若手にもどんどんチャンスを与えるというこの病院の懐の深さゆえです。
ここに入職後すぐにカテーテル治療の執刀医として担当させてもらえました。当時の私は4年目でしたが急性期脳梗塞に対する機械的血栓回収療法を執刀し、途中からクモ膜下出血へのコイル塞栓術も担当しました。また、この病院は脳神経血管内治療がメインですが、開頭手術も一定数あるので開頭クリッピング術による脳動脈瘤治療も術者として経験できたのは期待以上だったと思います。
執刀した患者さんがその後、外来に戻って来られて普通の生活を送っているのを確認できる度に、「やったことが間違っていなかった」と少しずつ成長を感じる事ができます。
ーー振り返ってみて、当時の経験をどう思われますか?
自分なりに脳神経血管内治療の勉強はしていましたが、まだ当時の私には身に余る大役だったと思います。上司に比べると経験が足りない私に任せることに不安や心配があったと思います。それでも挑戦させてもらえたのは、上の先生たちが「西野にチャレンジさせよう」と思ってくれるだけの度量があったからです。
それからは、従来以上に自己研鑽の努力は惜しまなかったつもりです。学会や勉強会に行くのはもちろん、動画コンテンツや論文での勉強も続けました。手術後は上司にどうすればもっとよくなるのか尋ねたりして、全力で食らいつきました。
ーーこの病院で働くよさについてお聞かせください。
症例のほとんどが脳血管障害もしくは外傷であり、診療疾患が偏っていることは否めません。しかし私のように、脳神経血管内治療を極めると決まっていれば最短コースで治療経験が積めるので、理想的だったと思います。しかしながら、脳神経血管内治療専門医取得のために基本領域として脳神経外科専門医を取得する必要があります。脳神経外科専門医を取得前の先生には前述したように対象疾患に偏りがあるため、当院だけの研修では脳神経外科専門医取得は難しい部分もあります。この点は大学医局等と協力が必要と思います。
労働環境という点では、週休が確実に取れるためプライベートを充実させることができるのが魅力です。他の職場では週休の確保が難しかったこともありますが、当院では休日を確保できるので、子育てなどのプライベートの時間が充実します。私自身も子どもが小さく、幼稚園や学校行事への参観のために休日を使用できるので助かっています。
若手のうちに挑戦できる伝統を引き継ぐ
ーー若手のうちからレベルの高い挑戦をする意義をお聞かせください。
早い段階で専門を決めれば、それだけ人より早くスタートダッシュが切れます。修練する時間が長いぶん若手も早く成長できるし、指導する側としても最初は労力がかかりますが、後進が育ったほうが将来的にWin-Winですよね。
私が脳神経血管内治療の実績を積めたように、今度は私が若手にもどんどんチャンスを与える、そういう伝統を引き継いでいきたいと思っています。
ーー入職を考えている方へのメッセージをお願いします。
脳血管障害や外傷に興味がある方におすすめです。成長できる環境があるので、経験を積みたい方にはぜひ来ていただけたらと思います。
緊急性のある超急性期疾患への外科的治療という怖さもありますが、挑戦して初めて見える景色があります。経験がゼロのときには上の先生のすごい手技をみても「こんなものか」と思うものですが、逆に自分で経験した後だからこそ「見てるのと実際に行うのはこんなに違うものか」と、レベルの高さを実感できるのだと思います。当科スタッフは若手の将来に賭けて、覚悟と責任をもって指導しますから、ともに成長を目指せる方にはぜひ志望してほしいです。