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更新日:令和6(2024)年3月29日
ページ番号:3207
総合計画から
【I現状・課題】
国の障害者基本計画(第4次)においては、「障害者が地域で質の高い自立した生活を営むためには就労が重要であるとの考え方の下、働く意欲のある障害者がその適性に応じて能力を十分に発揮することができるよう、多様な就業の機会を確保するとともに、就労支援の担い手の育成等を図る。また、一般就労が困難な者に対しては福祉的就労の底上げにより工賃の水準の向上を図るなど、総合的に支援を推進する。」とされており、障害のある人の一般就労の促進と福祉的就労の充実は重要な課題となっています。
一般就労の促進においては、障害者雇用促進法に基づく企業等の雇用の義務付けや地域障害者職業センターによる障害のある人への専門的職業リハビリテーション、事業主に対する雇用管理に関する助言等の支援、障害のある人の職場への適応を促進するための職場適応援助者(ジョブコーチ)による直接的・専門的支援などが実施されています。同法の改正により、平成28年4月から雇用の分野における障害を理由とする差別的取扱いの禁止や職場で働くに当たっての合理的配慮の提供、また、平成30年4月からは、精神障害のある人の雇用が義務化されるとともに、法定雇用率が2.0%から2.2%に引き上げられ、さらに平成33年4月までには2.3%に引き上げられます。
就労意欲のある障害のある人は毎年増加しており、千葉県内の新規求職件数は平成25年度の7,011件から平成28年度の7,888件へ増えています。就職件数も、平成25年度の2,572件から平成28年度は3,160件と増加していますが、新規求職件数と就職者数の間に開きがあり、多くの働く意欲のある障害のある人が就職の機会を得られない状況にあります。また、多様な障害の中でも精神障害(発達障害を含む。)のある人の就職希望は増加傾向にあり、さらに、精神障害のある人の雇用が義務化されることから、就職数が今後も増加することが想定されます。
就職の件数を更に増やすとともに、障害のあることを理由に不当に扱われることなく、就職後も安心して働き続けられるよう、障害特性に応じた就労支援と定着支援を行う必要があります。
今後、在職障害者の就業に伴う生活上の支援のニーズはより一層多様化かつ増加するものと考えられます。企業に雇用された障害者の早期離職を防ぎ、職場に定着することは、障害者の自立した生活を実現するために重要です。
このため、平成30年4月から就労定着支援事業が新たに障害福祉サービスに位置付けられます。事業の実施にあたっては、事業の実施主体と障害者就業・生活支援センターや地域障害者職業センターなどの関係機関が連携して障害のある人の就労定着に取り組むことが必要であり、連携のあり方や企業等への周知など、事業実施にあり方について検討していくことが求められます。
No. |
項目 |
28年度実績 |
30年度 |
31年度 |
32年度 |
---|---|---|---|---|---|
1 |
福祉施設利用者の一般就労への移行実績(人) |
736 |
925 |
1,020 |
1,110 |
2 |
就労移行支援事業の利用者数(人) |
1,686 |
1,860 |
1,945 |
2,025 |
3 |
就労移行率が30%以上の就労移行支援事業者数の割合(%) |
47 |
50 |
50 |
50 |
4 |
就労移行支援事業及び就労継続支援事業の利用者の一般就労への移行者数(人) |
723 |
905 |
995 |
1,085 |
5 |
職場定着率(%) |
― |
― |
80 |
80 |
6 |
就労定着支援の利用者(人) |
― |
470 |
662 |
813 |
7 |
障害者高等技術専門校の就職率(%) |
84 |
80 |
80 |
80 |
8 |
委託訓練事業の受講者数(人) |
162 |
200 |
200 |
200 |
9 |
福祉施設から公共職業安定所へ誘導する福祉施設利用者数(人) |
420 |
470 |
500 |
530 |
10 |
福祉施設から障害者就業・生活支援センターへ誘導する福祉施設利用者数(人) |
380 |
425 |
450 |
475 |
11 |
福祉施設利用者のうち公共職業安定所の支援を受けて就職する者の数(人) |
490 |
550 |
585 |
620 |
12 |
従業員45.5人以上規模の企業で雇用される障害のある人の数(人) |
9,277 |
10,200 |
10,450 |
10,700 |
13 |
従業員45.5人以上規模の企業で雇用される精神障害のある人の数(人) |
936.5 |
1,350 |
1,540 |
1,730 |
14 |
障害者雇用率を達成した公的機関の割合(%) |
82.6 |
100 |
100 |
100 |
障害のある人が安心して働き続けるためには、就労と生活を支える地域のネットワークが重要です。本県では、県内全ての障害保健福祉圏域に障害者就業・生活支援センターを設置し、就労面及び生活面の一体的な支援の充実を図ってきました。
障害のある人が企業等で働くうえで、適切な労働条件や職場環境の確保など障害のある人の権利擁護が重要です。障害者就業・生活支援センターにおいても、その環境整備のため障害のある人や企業等を支援しております。
平成30年4月から精神障害のある人の雇用が義務付けられることから、法定雇用率が引き上げられます。障害の特性に応じた就労支援の更なる充実と強化を図るため、障害者就業・生活支援センターの果たす役割が期待されます。
No. |
項目 |
28年度実績 |
30年度 |
31年度 |
32年度 |
---|---|---|---|---|---|
15 |
障害者就業・生活支援センター登録者の就職件数(件) |
686 |
745 |
775 |
805 |
16 |
障害者就業・生活支援センター登録者のうち精神障害者の就職者の職場定着率(%) |
71.5 |
72.7 |
73.3 |
73.9 |
障害のある人の就職件数は増加傾向にありますが、法定雇用率の適用のある従業員45.5人以上の企業では、企業規模が小さいほど法定雇用率の未達成率が高い傾向にあります。精神障害のある人の雇用が義務化されたことに伴い、法定雇用率が引き上げられることから、障害のある人の雇用に関する一層の支援が必要と考えられます。
また、障害者雇用促進法の改正により、平成28年度から障害のある人の雇用に当たって合理的配慮を講ずることが義務化されましたが、特に、精神障害のある人や発達障害のある人等の雇用への具体的対応について助言を求める声があります。障害のある人を雇用する企業側の更なる障害者への理解を促進するため、障害者就業・生活支援センターや障害者職業センターなどの支援機関の役割や機能の企業側への周知が求められます。
No. |
項目 |
28年度実績 |
30年度 |
31年度 |
32年度 |
---|---|---|---|---|---|
17 |
企業支援員の支援企業数(社) |
4,877 |
6,000 |
6,600 |
7,200 |
18 |
従業員45.5人以上規模の企業で雇用される障害のある人の数【再掲】(人) |
9,277 |
10,200 |
10,450 |
10,700 |
19 |
従業員45.5人以上規模の企業で雇用される精神障害のある人の数【再掲】(人) |
936.5 |
1,350 |
1,540 |
1,730 |
障害のある人の就労支援に当たっては、関係機関が協力して支援を実施することが重要です。関係機関の連携強化を図るため、障害者就業・生活支援センターを中心に地域意見交換会等を実施し、ネットワークづくりを行っています。
特別支援学校及び高等学校の卒業生のうち、一般就労を目指す障害のある生徒が増加する中、特別支援学校及び高等学校を含む関係機関の連携の重要性が増しています。
また、平成30年4月から開始される就労定着支援事業の実施事業所とその他機関との連携や役割分担のあり方を検討することが求められるとともに、生活困窮者自立支援法に基づく自立支援制度など他法の制度との連携が求められる事例も増えており、異なる制度間での関係機関との更なる連携が求められています。
No. |
項目 |
28年度実績 |
30年度 |
31年度 |
32年度 |
---|---|---|---|---|---|
20 |
ネットワーク構築のための会議を開催した圏域数(箇所) |
16 |
16 |
16 |
16 |
就労の意欲があっても企業等での就労が難しい障害のある人は、就労継続支援事業所などの福祉施設等において生産活動に従事しており、そのような活動は「福祉的就労」と呼ばれています。福祉的就労を担う就労継続支援事業所には、障害のある利用者が事業所と雇用契約を締結することを原則とする就労継続支援A型事業所と、雇用契約に基づかない生産活動の場である就労継続支援B型事業所があります。雇用契約に基づかない生産活動の結果利用者に支払われる賃金は、「工賃」と呼ばれています。
県では、就労継続支援B型事業所において障害のある人が受け取る工賃の額を平成29年度末に平均月額16,000円とする目標を設定しましたが、平成28年度末で13,769円となっています。工賃が伸び悩む要因の1つとして、新規開設の就労継続支援B型事業所が、目標工賃を達成するだけの作業を確保することが困難な現状が見受けられます。
平成25年4月には「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」(以下「障害者優先調達推進法」という。)が施行され、国や地方公共団体等が率先して障害者就労施設等からの物品等の調達を推進するよう、必要な措置を講じることが定められました。
障害者就労施設等からの物品等の調達に関して、県では調達方針を定めて発注増に取り組んでいるほか、発注可能業務を登録するデータベースである「チャレンジド・インフォ・千葉」を設け、受注機会の拡大に努めていますが、官公需にとどまらず民需への展開につなげるためにも障害者就労施設等が受注できる業務内容や、障害者優先調達推進法そのものへの理解を一層広げる必要があります。
就労継続支援A型事業所は増加傾向にあり、平成21年度末の7事業所から平成28年度末には63事業所に増えています。就労継続支援A型事業所は、通常の事業所に雇用されることが困難であるが、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、雇用契約の締結による就労の機会の提供や、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等を行うものです。このため、最低賃金の支払い等の労働関係法令を遵守した上で、利用者に対し必要な支援を行うことが求められます。平成29年7月には、事業の適正化を図るため、(1)生産活動に係る事業の収入から必要経費を控除した額に相当する金額が、利用者に支払う賃金の総額以上になること、(2)賃金を自立支援給付から支払うことを原則禁止すること、などの基準の見直しが行われたところであり、障害のある人へ生活支援を提供するという障害福祉サービス事業所としての目的を見失わず、その役割を果たすことが重要です。
No. |
項目 |
28年度実績 |
30年度 |
31年度 |
32年度 |
---|---|---|---|---|---|
21 |
就労継続支援B型事業所の平均工賃月額(円) |
13,769 |
15,000 |
16,000 |
17,000 |
22 |
就労継続支援A型事業所が条例の基準を満たしている割合(%) |
― |
― |
― |
100 |
(※)条例:「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例」
項目 | 28年度実績 | 30年度 | 31年度 | 32年度 |
---|---|---|---|---|
県/発注件数(件) | 298 |
450 |
525 |
600 |
県/発注金額(千円) | 20,175 |
24,600 |
26,800 |
29,000 |
市町村/発注件数(件) | 790 |
870 |
910 |
950 |
市町村/発注金額(千円) | 126,963 |
149,000 |
160,000 |
171,000 |
障害のある人が働くことによって得られるものは、賃金(工賃)だけとは限りません。「感謝される喜び」や「社会のために貢献している感覚」を大切にしたいと思うのは障害の有無に関係ありません。障害のある人も、自らの価値観に基づいて就労の選択ができることが大事です。その際、障害の特性上自分の希望を思うように伝えられない人にとっては、周囲の支援者が本人の価値観を理解し、適切な支援を行うことが欠かせません。
また、障害のある人の高齢化が進んでいることや、様々な技術革新等により労働環境が急速に変化することが懸念されることから、障害のある人の働き方やその支援のあり方について継続して議論していく必要があります。
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