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更新日:令和6(2024)年3月29日
ページ番号:3247
総合計画から
平成28年4月に障害者差別解消法が施行され、合理的配慮について、国や地方公共団体等の行政機関に提供が義務付けられるとともに、民間事業者に対しては提供の努力義務が課せられました。また、法の施行に前後し、各地方公共団体において、障害者差別に関する条例が続々と制定・施行されております。
千葉県では、障害のある人への差別を禁止した全国初となる障害者条例が平成18年に制定、翌19年に施行されました。この条例の基本理念では、障害のある人に対する差別の多くは、障害のある人に対する誤解、偏見その他の理解の不足から生じていることを踏まえ、差別をなくす取組みは、障害のある人に対する理解を広げる取組と一体のものとして行わなければならないこととなっております。また、障害のある人もない人も相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには、人権尊重の重要性について理解を深めていくことが必要となります。そのため、条例の存在やその目指すところを県民に広めることによって、県民全体で障害のある人の問題を考える機会となることを目指しています。
また、障害等により支援や配慮を必要としていることが外見からは分からない方が、周囲の人に支援等を必要としていることを知らせるためのヘルプカードを作成・配布し、障害のある人が配慮を申し出やすい環境づくりに努めています。
さらに、東京2020パラリンピック競技大会では4競技(ゴールボール・シッティングバレーボール・テコンドー・車いすフェンシング)が本県で開催されることが平成27年11月に決定し、大会に向けて、県民のパラリンピック競技への関心を高めるため県内各地で競技の体験会や各種イベントが開催されています。
しかし、平成27年度に実施した世論調査では障害者条例の認知率が約27%であり、施行から10年を迎えた現在でも、引き続き、この条例の周知啓発が求められています。
また、この世論調査において、「障害がある人に対して、障害を理由とする差別や偏見の有無」について調査を行ったところ、「あると思う・少しはあると思う」と答えた人の割合は63%にも上り、いまだ障害のある人に対する差別や偏見があることをうかがい知ることができます。
記憶に新しいところでは、平成28年7月に神奈川県相模原市にある障害者支援施設において、多くの入所者が殺傷されるという極めて凄惨な事件が発生しました。逮捕された男性は、「重複障害者が生きていくのは不幸」「障害者はいなくなったほうがいい」という供述をしているとの報道もあり、障害のある人に対する偏見と人権に対する理解不足が原因のひとつであると考えられます。
「障害のある人もない人も、誰もがお互いの立場を尊重し合い、支え合いながら、安心して暮らすことのできる社会」を目指し、東京2020パラリンピック競技大会を、共生社会の実現に向けて理解を深め促進する機会とし、県民全体を巻き込んだ各種の取組を行っていく必要があります。
No. |
項目 |
28年度実績 |
30年度 |
31年度 |
32年度 |
---|---|---|---|---|---|
1 |
共生社会という考え方を知っている県民の割合(%) |
― |
― |
― |
50 |
2 |
障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例に関する周知啓発活動の回数(回)※ |
1,201 |
1,011 |
1,011 |
1,011 |
子どものころから障害のある・なしに関わらず活動を共にすることは、すべての子どもの社会性や豊かな人間性を育成するうえで大きな意義があり、同じ社会に生きる人間として、お互いを正しく理解し、共に助け合い、支え合って生きていくことの大切さを学ぶ重要な機会であると考えられています。そこで、千葉県では、福祉教育への取組等を進める学校を福祉教育推進校として毎年20校程度新たに指定し、その活動を支援しています。福祉教育推進校では、各学校における独自の創意と計画に基づき、車椅子体験等を通して、子どもの理解と関心を高め、思いやりの心やノーマライゼーションの醸成に努めています。
また、障害者条例に基づき、16障害保健福祉圏域に1名ずつ配置された広域専門指導員が学校を訪問するなどの広報・啓発活動を行うとともに、福祉コースのある高等学校において特別授業を実施し、障害者条例について周知啓発を行いました。さらに、幼・認定こども園・小・中・義務教育学校・高等学校の管理職や人権教育担当者に対し、障害者理解に関する研修を実施しました。今後も子どもへの広報啓発活動や市町村、地域の自立支援協議会等の関係機関との連携のあり方について検討をしていく必要があります。
No. |
項目 |
28年度実績 |
30年度 |
31年度 |
32年度 |
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3 |
福祉教育推進員養成研修の修了者数の数(人) |
19 |
40 |
40 |
40 |
障害のある人の権利が保障されなければならないことは、平成26年に我が国が障害者権利条約を締結したことからも明らかです。障害者権利条約は、障害のある人の人権や基本的自由の享有を確保し、障害のある人の固有の尊厳の尊重を促進することを目的としています。
障害者虐待については、障害者虐待防止法において、「障害者の尊厳を害するもの」と規定され、いかなる理由でもその行為が許されるものではありません。しかしながら、平成24年10月に障害者虐待防止法が施行されて以降、発生した障害者虐待の件数は毎年年間2,000件を超え、虐待の未然防止や早期発見・対応が求められています。そのために、地域で障害のある人に関わる人々が、権利侵害に対する意識を高く保つことができるようになる必要があります。
障害者虐待防止法が施行されて5年が経過しましたが、未だにそれが虐待行為と認識されず行われてしまうこともあり、虐待を未然に防ぐため、何が虐待になり得る行為なのか、周知が必要です。また、障害のある人やその家族が孤立しないように、支援体制の構築と養護者の負担軽減が必要となります。障害者福祉施設等においては、虐待防止マネージャーを中心とし、内部研修の開催や外部研修への参加、風通しのよい職場づくりなどが有効であると考えられています。
また、虐待が発生してしまった場合も問題が深刻化する前に早期に発見し、各関係機関が迅速に連携、対応する必要があります。行政機関等においては、定期的な人事異動があるため、対応にあたる職員の質の確保が必要です。
障害のある人の中には虐待を受けても被害を訴えられなかったり、それが当たり前になっている場合もあるため、家族や支援者などの周りの人がいかに気づくかが重要となります。そのため、関係者に虐待防止に関する通報義務を広く周知する必要があります。
精神上の障害により判断能力が不十分な人が地域で安心した暮らしを送るための権利擁護の取組のひとつとして成年後見制度があります。成年後見制度の利用状況は、認知症高齢者や知的障害者、精神障害者の増加を背景に、近年増加傾向にあるものの、その利用度は認知症高齢者等の数と比較するとまだまだ低いまま推移しています。
こうした状況から、成年後見制度を、これら成年後見を必要とする人が、より利用しやすい制度や運用へ改め、制度の利用が促進されるよう、平成28年に成年後見制度利用促進法が施行され、市町村は、制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画の策定や成年後見等実施機関の設立等に係る支援などを講ずることを求められています。
今後、市町村は、成年後見を必要とする人がどこにいても成年後見制度を利用できるよう地域における体制づくりを進めていく必要があります。
また、障害者差別解消法が施行されたことにより、地方公共団体等の職員が障害を理由とする差別の禁止に関して適切に対応するために職員対応要領を定めるよう努めることとすると規定されました。千葉県においては、任命権者ごとに対応要領を策定し、運用しているところですが、市町村によってはこの対応要領をまだ策定していない市町村があります。障害者差別の克服・解消にむけて合理的配慮の提供を率先して実行すべき行政機関として、まだ策定していない市町村は積極的に対応要領を策定する必要があります。
No. |
項目 |
28年度実績 |
30年度 |
31年度 |
32年度 |
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4 |
虐待防止アドバイザー派遣数(回) |
5 |
15 |
15 |
15 |
5 |
職員対応要領を策定した市町村数(市町村) |
17 |
39 |
42 |
45 |
障害のある人がその地域で自立した生活を送るためには、その障害のある人が求めるニーズや課題に対応し、必要に応じて適切な障害保健福祉サービス等に繋げていく相談支援が重要です。
権利擁護の面においては、相談をどのように受け止め、適切に対応していくのか、市町村の虐待防止の窓口、差別に関する窓口、その他の相談機関を活用した権利擁護の相談支援体制を充実させる必要があります。千葉県では、障害者条例に基づき、地域相談員・広域専門指導員・調整委員会という3層構造の対応体制を構築していますが、県内に約580名いる地域相談員の活動状況の把握やその有効な活用方法を検討する必要もあります。
相談を受ける機関の職員だけではなく、障害のある人や関係者に対する相談窓口の周知や明確化も必要となります。障害者条例のみならず、条例に基づく相談員である広域専門指導員等を周知することにより、相談しやすい地域づくりに取り組むとともに、障害者差別解消法や虐待防止法に基づき市町村に設置された窓口と連携を図っていく必要があります。
障害者差別解消法に基づき、各地域に障害者差別解消支援地域協議会が設置することができるとされていますが、自治体により設置の有無やそのあり方などに違いがあり、自立支援協議会と併せた形で設置している自治体もあります。地域における相談支援体制の充実のため、自立支援協議会や障害者差別解消支援地域協議会の活性化を図る必要があります。
また、ノーマライゼーション理念の浸透や障害のある人の権利擁護が求められるなか、障害のある人の自己決定の尊重に基づいた支援の重要性は明らかです。障害のある人の意思を尊重した質の高いサービスの提供に資することを目的とし、厚生労働省は意思決定支援ガイドラインを作成しました。このガイドラインの相談支援事業所等への周知啓発が求められています。
No. |
項目 |
28年度実績 |
30年度 |
31年度 |
32年度 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
6 |
全分野※の地域相談員が委嘱されている圏域数(箇所) |
0 |
増加を目指します |
増加を目指します |
増加を目指します |
|
7 |
障害者差別解消支援地域協議会を設置した市町村数(市町村) |
10 |
32 |
38 |
44 |
「人材」はあらゆるサービスや事業の根本となるものであり、その「人材」を育成・確保することは、提供するサービスや事業の質を維持する上で不可欠なことです。
障害のある人とのコミュニケーションを支援する人材としては、手話通訳者、要約筆記者、点訳・朗読奉仕員、盲ろう者向け通訳・介助員などがおりますが、これら人材の確保、育成が求められています。
現在、千葉県においては、障害者総合支援法における地域生活支援事業として障害のある人との意思疎通を支援する人材の養成事業を行っています。しかし、研修によっては養成課程が長期にわたるため、最終過程までに至らず、養成事業修了者が定員を割ってしまうことがあります。
そのような中、聴覚障害のある人のコミュニケーション手段の一つである手話を言語のひとつであると位置づけた千葉県手話言語等の普及の促進に関する条例(以下「手話言語等条例」という。)が平成28年6月に公布・施行されました。この条例では、手話等を学習する機会の確保や、各種人材の育成等の必要な施策について障害者計画で定めることを規定しています。手話言語等条例の制定により、手話通訳者については、養成研修の拡大を行いました。
No. | 項目 | 28年度実績 | 30年度 | 31年度 | 32年度 |
---|---|---|---|---|---|
8 | 手話通訳者・要約筆記者実養成講習終了見込者数(人) | 57 |
60 |
60 |
60 |
9 | 盲ろう者向け通訳・介助員養成講習終了見込者数(人) |
16 |
20 |
20 |
20 |
10 | 手話通訳者・要約筆記者派遣実利用見込件数(件) | 457 |
476 |
476 |
476 |
11 | 盲ろう者向け通訳・介助員派遣実利用見込件数(件) | 1,376 |
1,343 |
1,343 |
1,343 |
12 | 点字・朗読奉仕員の養成人数と研修回数
|
43 |
46 |
46 |
46 |
点字・朗読奉仕員の養成人数と研修回数
|
2 |
2 |
2 |
2 |
障害のある人にとっての「障害」は日常生活や社会生活の様々な場面で多岐に渡るものです。特に、どのように情報を受発信するか、また、どのように人とコミュニケーションをとるかということは、普段の生活を送るうえで重要な事項となります。そのため、障害のある人の情報・コミュニケーションバリアフリーをどのように確保するのかということが必要となります。
千葉県では、障害者条例の取組のひとつとして、平成21年12月に「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」を策定しました。このガイドラインは、行政の職員などが障害のある人と情報のやりとりをする際にどのような配慮を行うべきか示すために策定されました。しかし、策定年数の経過により、障害者差別解消法の施行や情報通信技術の発展があったこと等の変化を受け、平成29年3月にこのガイドラインを改定しました。
また、障害者権利条約において既に手話は言語のひとつと定義づけられているところですが、手話言語等条例の策定により、改めて手話も言語のひとつとして位置付けられたこと、県の責務として手話等に対する県民理解の促進に努めることなどが規定されました。
手話言語等条例の策定により、県の広報番組や県議会の放送等において手話通訳者が設置されているところですが、手話をはじめとした意思疎通手段をどのように県民に知っていただくか、理解していただくかが重要となります。そして、手話言語等条例のみならず、障害者差別解消法や障害者条例においても会議等で手話通訳者の受け入れを拒否することは、差別にあたり得ることも周知が必要です。
手話通訳者等の派遣については、障害者総合支援法における地域生活支援事業において県事業として広域派遣が位置付けられ、手話言語等条例においてその体制の整備が求められているところです。一方、市町村においては、同じ意思疎通支援事業として手話通訳者等の人材の派遣事業を行っておりますが、事業を実施する市町村によって派遣の基準に違いがあります。
関係法令のみならず、情報通信分野においては、情報機器の発達が障害のある人の日常生活に大きな寄与をします。そのため、情報機器の使用について支援を行うため、障害のある人を対象としてパソコン教室の開催・ITサポートセンターの設置を行っております。また、視覚障害のある人、聴覚障害のある人の情報支援の拠点として、点字図書館1か所、聴覚障害者情報提供施設1か所を県内に設置しているところですが、継続した情報提供を行うために、施設の安定した運営が必要となります。
他にも、災害時における迅速かつ適切な情報提供や政治参加のための投票所における投票環境の向上なども必要となります。
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