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更新日:令和5(2023)年12月21日
ページ番号:3108
障害のある人が身近な地域で生活できるよう、障害の特性、障害の重度・重複化及び障害のある人の生活実態等に対応できるきめ細かな支援が必要です。近年、障害福祉サービスの利用者も着実に増加しており、多様なニーズに適切に対応できる質の高い福祉・介護・保健・医療従事者等の養成と確保が課題となっております。一方、介護職に従事していない介護福祉士等の有資格者が多いことが指摘されており、介護職の人材確保に向けた環境整備が必要です。また、重度訪問介護の対象者拡大に伴い、対応可能なヘルパーの養成が必要です。
県内の医師、看護師等の人材については、平成24年末現在、本県の医師、看護職員数は、実人数で、医師が10,698人(全国8位)、看護職員が49,548人(全国第9位)です。しかし、人口10万人当たりでは、医師172.7人(全国第45位、全国226.5)、看護職員799.8人(全国第45位、全国1139.2)であり、全国平均を下回っています。
また、平成25年度に実施した「千葉県医師・看護職員長期需要調査」の結果では、平成37年の医師の不足見込数は最大で1,170人、看護職員は最大で15,150人であり、県内での就業や定着に向けた支援が必要です。
また、リハビリテーションに携わる医師の確保にあたっては、あわせて、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、視能訓練士(ORT)、言語聴覚士(ST)などのリハビリテーション専門職の充実やリハビリテーション専門職をコーディネートする人材の育成が必要です。
ナンバー | 項目 | 25年度実績 | 27年度 | 28年度 | 29年度 |
---|---|---|---|---|---|
1 |
重度訪問介護従事者の養成(強度行動障害を除く)(養成人数) | 22 |
40 |
40 |
40 |
重度訪問介護従事者の養成(強度行動障害を除く)(研修回数) | 7 |
4 |
4 |
4 |
|
2 |
同行援護従事者の養成(養成人数) | 967 |
500 |
500 |
500 |
同行援護従事者の養成(研修回数) | 44 |
25 |
25 |
25 |
|
3 |
強度行動障害支援者の養成(養成人数) | なし |
240 |
240 |
240 |
強度行動障害支援者の養成(研修回数) | なし |
2 |
2 |
2 |
|
4 |
ガイドヘルパーの養成(養成人数) | 296 |
500 |
500 |
500 |
ガイドヘルパーの養成(研修回数) | 20 |
25 |
25 |
25 |
|
5 |
サービス管理責任者の養成(養成人数) | 664 |
550 |
550 |
550 |
サービス管理責任者の養成(研修回数) | 1 |
1 |
1 |
1 |
|
6 |
医師及び看護師の確保定着 (医師修学資金の貸付を受けた医師数) |
1 |
増加を目指します |
増加を目指します |
増加を目指します |
医師及び看護師の確保定着 (養成所卒業生の県内就業率(%)) |
66.2 |
増加を目指します |
増加を目指します |
増加を目指します |
|
医師及び看護師の確保定着 (看護職員の離職率(%)) |
12.4 |
低下を目指します |
低下を目指します |
低下を目指します |
|
7 |
福祉・介護人材確保対策事業の事業数 | 139 |
200 |
200 |
200 |
本県において急速に高齢化が進む中、高齢期の障害のある人も増加傾向にあります。その要因の一つは、高齢期になり、身体機能の低下や疾病等により、新たに障害を持つ人が増えていることと考えられます。厚生労働省が平成23年に実施した「生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」によると、在宅の身体障害のある人のうち65歳以上の人の占める割合は68.7パーセントで、70歳以上に限っても57.4パーセントです。我が国の総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は23.3パーセントであり高齢者の占める割合は、障害のある人が高くなっています。
また、平成25年度の「障害者白書」によると、身体障害の発生年齢分布は40歳代以上の発生が6割を占め、このうちの約4割が65歳以上での発生であり、中高齢期に新たに障害を持つ人の増加が伺えます。障害種類別で見ると内部障害では、40歳以上の発生が約8割であり、心臓や腎臓等の臓器の疾病に起因する障害が多いことが明らかになっています。内部障害だけではなく、高齢期においては一般的に高齢化に伴い疾病リスクが高まるため、医療的ケアの充実が必要です。
県が平成23年度に実施した40歳以上の障害のある人を対象とした、「高齢期の障害のある人の実態調査」によると、在宅の障害のある40歳以上の人のうちの約半数が60歳以上で、身体障害のある人に限ると約3分の2が60歳以上です。
在宅で主に介助又は援護する人としては、年代が進むにつれて、障害種別にかかわらず「母親」や「父親」は大きく減少しますが、身体障害のある人では「配偶者」が、知的障害のある人や精神障害のある人では「グループホーム等の世話人など」が大きく増加しています。
施設又は病院に入所・入院している人については、家族等の介助者の高齢化への対応、いわゆる「親亡き後」とあわせて、独り暮らしの障害のある人の自立した生活を維持していくための施策の充実が必要です。また、在宅の福祉サービス等を利用して一人暮らしをしている高齢の視覚障害などのある人には、将来の居住環境に対しての不安があると言われています。
このような中、高齢期においても地域で安心して住み続けられる施策の推進が必要であり、障害のある人が高齢期を迎えた時に、「どこで誰と住むか」などの権利が保障され、柔軟に選べる支援、体制づくりが求められています。
障害者総合支援法附則では、法施行後3年後(平成28年4月)を目途として、高齢期の障害のある人に対する支援のあり方等について、国は所要の措置を講ずるものとしており、県として動向を注視しています。
また、障害福祉サービスを利用している人が65歳を迎えると、現行制度では介護保険が優先して適用されるため、それまで利用していた障害福祉サービスから介護保険サービスに切り替える必要が原則的に生じます。しかし、障害福祉サービスと介護保険サービスでは、支援の内容や、判定基準・給付水準が異なります。
平成23年度に実施した県の調査によると、障害福祉サービスを利用している人が65歳を迎えた時に、回答のあった市町村のうちほとんどが必要に応じて介護保険サービスと障害福祉サービスを併給している状況ですが、全て介護保険に切り替えている市町村もありました。障害福祉と介護保険との間でサービス内容や自己負担の差などがあることなどから介護保険を適用したとしても、不足する部分は障害福祉サービスを適用するという原則に基づき、障害のある人のニーズ、地域の実情に応じた対応をすることが求められています。
障害のある人に対する医療の提供に関しては、障害に対する理解や知識が不十分であるために配慮が欠けたり、時として障害のある人の不利益が生じることがあります。このため、障害のある人が円滑に受診できるよう、障害への十分な理解や診察の際の留意点等について医療関係者に周知を図ることが重要です。
難病患者等については、総合支援法により障害福祉サービスの対象となり、平成27年1月1日に151疾患が対象となり、今後、疾患が見直しとなる予定です。そのサービスについては、難病等の特性、病状の変化や進行、福祉ニーズ等に配慮した円滑な事務が実施されるよう、市町村、社会福祉関係者、医療関係者の理解と協力の促進を図る必要があります。また、その難病患者等の障害福祉サービス等の利用実態等を把握する必要があります。
障害のある人や高齢者等がこれまでと同じように生活を送ることができるように、幅広いリハビリテーションの提供を行うため、「千葉県地域リハビリテーション協議会」を設置して、医療機関や保健・福祉施設、市町村、保健所等の関係機関の連携強化を図っています。今後は、住み慣れた身近な地域で継続的にリハビリテーションを受けられる体制づくりのより一層の取組が必要となります。
精神医療については、入院を必要最小限の期間に留め、在宅治療を中心とすることが世界的趨勢となっており、我が国においても、入院治療から在宅治療への転換が求められています。また、高齢化に伴い、増加する精神疾患と身体疾患を併発する患者への対応や児童思春期、アルコール(薬物)依存症、摂食障害(過食症・拒食症)、てんかん等の専門医療の重要性も高まっています。
近年、精神疾患の患者数は、社会生活環境の変化等もあって、うつ病などの気分障害や認知症などを中心に増加しており、精神疾患は、より一般的な病気となっています。精神科診療所が増加し、より身近な地域での外来診療体制が拡充してきていますが、その一方で、精神疾患や医療に対する知識・情報の欠如などから、問題の長期化や症状の重症化を招くケースもまだ多く見受けられます。
口腔機能管理は、虫歯や歯周病を予防するだけでなく、摂食機能を維持したり、誤嚥(えん)や窒息などを防いで全身の健康を守るとともに、おいしく食事をしたり、会話を楽しむなど、生活の質を確保するためにも重要です。障害によっては、口腔機能の問題を抱えていたり、歯磨き等の自己管理が不十分なため、歯科疾患に罹患するリスクが高くなっています。また、歯科疾患を訴えられず、治療が遅れて重症化しやすい人もいます。
このため、摂食・嚥下(えんげ)機能の発達・維持、虫歯や歯周病の予防、早期の指導や治療が特に重要ですが、
等の課題が指摘されています。
ナンバー | 項目 | 25年度実績 | 27年度 | 28年度 | 29年度 |
---|---|---|---|---|---|
8 |
ビーバー号による障害者支援施設及び障害児入所施設での歯科健診実施率(%) | 9.1 |
10 |
11 |
12 |
障害のある人の社会参加には、日々の生活の支援だけではなく、スポーツや文化活動を充実し、障害のある人一人ひとり輝ける場が必要です。このような場は、活躍する障害のある人を県民が知ることができることから、障害の理解を図るためにも重要です。
近年パラリンピック開催を通じて、障害者スポーツに対する社会の関心が高まっており、
2020年パラリンピックの開催地が東京に決定したことから、本県選手の活躍が期待されます。
本県では、障害のある人のスポーツ・レクリエーションについては、拠点施設である千葉県障害者スポーツ・レクリエーションセンターの広報活動の強化や指導者の育成を図ってきました。また、平成12年度から、全国障害者スポーツ大会の開催に先駆け、従来の知的障害、身体障害に分かれたスポーツ大会を統一し、陸上、水泳、団体競技を含めた総合的な大会として「千葉県障害者スポーツ大会」を開催してきました。さらに、全国障害者スポーツ大会への障害のある人の参加も支援しており、平成26年度においては7競技に54人の選手を派遣し、58個の金メダルを獲得しました。これは、東京都、大阪府に次ぎ全国第3位の成績です。
障害者スポーツの課題は、身近な地域に利用できる施設と障害のある人のニーズに対応できるスポーツ指導者の養成が必要であることです。また、登録している指導者から気軽に指導を受けられる体制づくりが必要です。
障害のある人が作成する芸術・文化作品や芸能を発表する場については、県としては、障害のある人の団体が主催する発表会を共催するほか、文化・芸術関連行事を後援し、発表機会の確保と充実に努めてきました。また、障害のある人の催しでなくても、積極的に障害のある人の芸術・文化作品等の発表の場の確保に努めることも必要です。
スポーツや文化・芸術活動だけではなく、障害のある人が地域の暮らしに積極的に参加できるよう、障害の有無を越えて多くの人と交流する機会も必要です。
気軽に利用できる余暇の場の拡大を図るため、県として、公共施設、民間施設等に障害のある人たちへの利用促進に向けた広報活動を強く働きかけるとともに、その協力を確保することにより、経済的に負担も少なく身近で利用できる余暇の場の拡大を図っていくことが必要と考えられます。
ナンバー | 項目 | 25年度実績 | 27年度 | 28年度 | 29年度 |
---|---|---|---|---|---|
9 |
障害者スポーツ指導員の養成者数 |
57 |
50 |
50 |
50 |
障害のある人の自己決定には自ら選択した場所に居住し、障害のある人がない人と同じように自立した日常生活及び社会生活を営むことが含まれています。そうした生活ができるよう、県としては、障害者条例により、障害のある人への合理的な配慮と理解の促進に基づく調整、快適で暮らしやすい生活環境の整備に努めています。
障害のある人や高齢者の外出時の不安を解消し、活動の幅を広げることを目的とした「ちばバリアフリーマップシステム」を県ホームページに掲載し、公共施設など多くの人が利用する施設のバリアフリー情報を提供しています。
障害のある人の視点に立ったバリアフリー化の推進のほか、安心して利用できる移動手段の確保、公共交通機関等における減免・割引制度の充実、身体障害者補助犬制度の普及や障害のある人や高齢者等が安全で安心して暮らせるまちづくりを進めるためのユニバーサルデザインの理念に基づいた建築物等の整備について、引き続き、普及啓発が必要です。
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)や「千葉県福祉のまちづくり条例」(まちづくり条例)では、施設の整備について必要な事項を定め、障害のある人や高齢者等が安全かつ快適に利用できる施設の整備を促進しバリアフリー化を進めています。
バリアフリー法に基づき、都市公園の出入口、園路、休憩所、トイレ及び駐車場、商業施設及びその駐車場並びに特定路外駐車場のバリアフリー化を促進しています。また、公共交通機関のバリアフリー整備として、鉄道駅の改札口やプラットホームの改修、段差の解消、身体障害のある人のためのトイレ設置など旅客施設のバリアフリー化を今後とも進めて行く必要があります。あわせて、バリアフリー化への努力義務がある既存の商業施設や特定路外駐車場の管理者に対する制度の理解促進や早期の整備についての働きかけが必要です。
公共交通機関のバリアフリー整備については、鉄道駅のエレベーターやホームドアの整備、ノンステップバスの導入などがありますが、事業者の負担や設置スペースなどが課題です。
県庁舎等の公共施設については、不特定多数の人が利用する施設はおおむねバリアフリー化が図られていますが、利用する人の視点に立ち、確認を行うなど機能が維持されるよう、管理していく必要があります。
また、視覚障害のある人などの移動支援のため、音響信号機等などの設置が必要です。
障害のある生徒等も安心して学校生活を送ることができる環境づくりを推進するため、車椅子利用等、移動に支障がある生徒等が在籍する学校のエレベーター整備を進めています。また、これまで県立高等学校における多機能型トイレは、校舎の大規模改修や車椅子を利用する生徒等の入学等と併せて整備しています。
公営住宅については、バリアフリー化改修が未実施の公営住宅があるほか、エレベーターのない公営住宅が多く、障害のある人を含め、高齢化と相まって身体機能の低下に伴い居住継続が困難となる世帯が増加することが予想され、公営住宅の整備にあたっては、新築・建替え・修繕・改善に合わせてバリアフリー化を実施しており、主に室内の段差解消、手すりの設置などの整備を行っています。
民間住宅のバリアフリー化については、「ちば安心住宅リフォーム推進協議会」と連携し、住宅リフォームに関する講習会や相談会を実施しています。また、県ホームページや市町村窓口等を通じ、住宅リフォーム助成等に関する情報を提供しています。
まちづくりでのハード面の整備だけでなく、外出先や交通機関等での「周囲のちょっとしたフォロー」や障害の特性に対する周囲の人たちの理解・配慮が重要です。
公共機関職員等のための実際的な支援方法として、主に視覚及び聴覚に障害のある人に対して行政サービスに支障が生じないよう、「心のバリアフリー」の研修を実施しています。また、年に一度、国土交通省千葉運輸支局と共催で地域ごとの市町村職員、千葉県移動等円滑化推進連絡会議構成課職員等を対象とした、高齢者、障害のある人等の模擬体験等のバリアフリー教室を開催しています。
障害のある人が、身近な地域で自立した生活を営めるよう、グループホームのほか、一人暮らしを望んでいる障害のある人など、それぞれの人のニーズに応じた住まいの場が必要です。
公営住宅においては、障害のある人の利用促進に向けて、障害のある人の世帯に対し、一般世帯より当選確率が高くなるよう優遇措置を講じています。また、障害のある人の世帯が申込みできる戸数枠を設ける措置を講じています。
障害のある人が民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう、住まい探しの相談に協力する不動産仲介業者や入居を受け入れる住宅を登録(千葉県あんしん賃貸支援事業)し、県ホームページで情報提供しています。また、千葉県すまいづくり協議会居住支援部会を発足し、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する協議などを行っています。
民間事業者の自主的な取組みとして実施されている障害のある人及び介助者に対する鉄道運賃、有料道路通行料等の割引・減免制度については、距離制限、車両制限、また、精神障害を対象としていないものもあり、制度の拡充について関係機関への働きかけが求められています。
ナンバー | 項目 | 25年度実績 | 27年度 | 28年度 | 29年度 |
---|---|---|---|---|---|
10 |
障害者駐車場が整備されている県立公園(公園数) | 11 |
13 |
13 |
14 |
障害者駐車場が整備されている県立公園(整備率(%)) | 79 |
93 |
93 |
100 |
|
11 |
多機能トイレが整備されている県立公園(公園数) | 10 |
11 |
11 |
12 |
多機能トイレが整備されている県立公園(整備率(%)) | 67 |
73 |
73 |
80 |
|
12 |
主要駅エレベーター・エスカレーターの整備率(%) | 90.3 |
92 |
93 |
94 |
13 |
乗合バス車両のノンステップバスの導入率(%) | 44.5 |
50.5 |
53.5 |
56.5 |
14 |
県営住宅のうちバリアフリー化された住宅数 | 4,220 |
4,401 |
4,508 |
4,611 |
障害のある人が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、福祉、教育、まちづくりなどの分野に加え、防災、防犯など幅広い分野での支援が必要です。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、本県においても、地震に伴う津波や液状化現象の発生もあり、死者や行方不明者などの人的被害のほか、多数の建物被害、道路、交通機関への影響やライフラインの寸断など深刻な被害を受けました。
これまでに経験したことのない今回の地震を通じて、情報伝達、避難誘導、避難所等の災害対応における各場面での障害のある人への支援に関し、様々な課題が明らかになりました。
千葉県自立支援協議会(現・総合支援協議会)では、平成24年度に災害時における障害のある人への支援体制に関するワーキングチームを設置し、東日本大震災における関係団体への調査等から見えてきた以下課題について、第四次計画に基づき、県として取り組むべき課題の整理と具体的な施策について検討したところです。
東日本大震災の教訓を踏まえ、災害発生時の被害を最小限にとどめるよう、自助・共助の取組を一層推進するため、県民、事業者、自主防災組織等、市町村、県の役割や取組事項を定めた千葉県防災基本条例を平成26年4月に施行しました。平成26年度は、同条例の趣旨について啓発するため、地域防災力向上セミナーを開催するなど、自助・共助の取組について普及・啓発を実施しています。
また、災害対策基本法の一部改正により、災害発生時に自ら避難することが困難な障害のある人等が迅速に避難できるよう、市町村には避難行動要支援者名簿の作成が義務付けられ、名簿情報を避難支援関係者等へ提供することとされました。あわせて、国の「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」が「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組み指針」に全面改定され、市町村が取り組むべき事項として、災害時等における避難行動要支援者名簿の活用や個別支援計画の策定などが示されたところです。
県では、障害のある人の災害時の避難場所として、平成24年度から災害時における障害のある人の防災拠点の整備を促進し、平成27年3月現在、県内に9障害福祉圏域で14箇所整備しています。
また、特別支援学校では、「学校における地震防災マニュアル」や「防災セルフチェック」(特別支援学校の防災対応資料、平成24年8月)を活用して、情報の共有化、関連計画の策定、防災訓練の計画及び実施などを行っています。また、平成26年4月現在、特別支援学校14校18か所が避難所等の指定を受けています。このうち、福祉避難所は8校8か所、一般避難所は4校5か所、一時避難所は4校5か所です。内2校は、一般避難所と一時避難所の両方の指定を受けています。
避難誘導の際の障害特性に応じた情報保障(視覚障害のある人、聴覚障害のある人への情報提供)や、単独での移動が難しい児童生徒への配慮に関することや職員の役割分担や地域自治体等との連携体制など、具体的な設営・運営計画を含めた特別支援学校を活用した取組について、関係機関が連携した防災計画の見直しが必要です。
その他、自然災害などが発生した場合、被災地域の精神保健医療機能が一時的に低下し、さらに災害ストレス等により新たに精神的問題が生じるなど、精神保健医療の必要性が拡大します。
東日本大震災の際には、本県からも「心のケアチーム」として38チームを被災地に派遣しましたが、一時的なものであることから、今後発生する災害に対応できる県内の災害派遣精神医療チーム(DPAT)の体制整備が必要です。
防火安全対策については、障害者支援施設やグループホーム等において避難訓練等が適切に実施されるよう、消防署等の関係機関と連携し周知・啓発しています。また、平成25年12月の消防法施行令等の改正に伴い、延べ床面積にかかわらず、入居者のうち障害支援区分4以上の人が8割以上となるグループホームは、原則、スプリンクラー設備の設置が平成27年4月から義務づけられました。
障害のある人が安心して暮らすための防犯対策には、警察と地域の障害者団体、福祉施設、行政等との連携の促進等により、犯罪被害の防止と犯罪被害を早期に発見する取組が必要です。
また、聴覚障害のある人などからの緊急通報手段は、既に整備されている「FAX110番」「メール110番」「FAX119番」に加え、一部消防指令センターにおいて、携帯電話による「メール119番」「Web119」が導入されています。
障害のある人の地域生活への移行の進展に伴い、悪質商法などによる消費者トラブルにあうことのないよう、障害のある人やホームヘルパー、施設関係者等に対し、消費者センターで実施する自立支援講座を開催し、消費者センター等の相談窓口の周知、早期通報・相談の重要性についての啓発を行っています。
しかし、障害のある人が、消費者被害に遭った場合、その被害を周囲に上手く伝えられないことなどがあると言われています。福祉関係者や消費者センターなどにおいて、障害の特性に通じた相談員の配置や福祉関係者と消費者センターなどの機関との連携が必要です。
ナンバー | 項目 | 25年度実績 | 27年度 | 28年度 | 29年度 |
---|---|---|---|---|---|
15 |
避難行動要支援者名簿に基づく個別計画策定着手市町村数 | なし |
28 |
42 |
54 |
16 |
災害派遣精神医療チーム(DPAT)体制整備運営(検討)委員会の開催見込み数 | なし |
2 |
1 |
1 |
17 |
日常生活自立支援事業利用者数(再掲) | 728 |
880 |
960 |
1,040 |
現在、行政・民間団体等により障害のある人に関する各種のマークや標識が設けられています。例えば、政令で定める程度の聴覚障害のある人※が運転する車に表示する「聴覚障害者標識」や、身体障害者補助犬同伴の啓発のための「ほじょ犬マーク」などがあります。前者は法律により定められたもの、後者は厚生労働省が啓発のためにデザインしたものです。民間団体が設けたマークもあります。
建物等へのマークの掲示等については、市町村や公共機関ごとに対応が様々であることから、その用途を踏まえ一層の周知・啓発を図る必要があります。
所管:公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会
障害者が利用できる建物や施設であることを表す世界共通のマーク。障害の種類や程度にかかわらず、すべての障害者を対象としたもの。
所管:警察庁
政令で定める程度の肢体不自由である人が免許を受けて運転する車に表示する。
所管:警察庁
政令で定める程度の聴覚障害のある人が免許を受けて運転する車に表示する
※「補聴器を用いても10メートルの距離で、90デシベルの警音器の音が聞こえない」人については、これまで運転免許が取得できませんでしたが、平成20年6月の道路交通法改正により、新たに制定された聴覚障害者標識を車に表示し、ワイドミラーを装着することを条件に普通乗用車の運転免許を取得することができるようになりました。また、平成24年4月から運転できる自動車の種類が追加されています。
所管:社会福祉法人日本盲人福祉委員会
視覚障害者の安全やバリアフリーを考慮した建物・設備・機器に表示する世界共通のマーク。
所管:社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
聞こえが不自由なことを表す、国内で使用されているマーク。このマークを提示された場合は、相手が「聞こえない」ことを理解し、口元を見せてはっきり話す、筆談でやり取りするなど、特性に応じたコミュニケーションの方法に配慮する必要がある。
所管:厚生労働省
身体障害者補助犬同伴の啓発のためのマーク。補助犬を受け入れられる施設・店舗等の入口に掲示する等の形で使用される。
所管:公益社団法人日本オストミー協会
人工肛門・人工膀胱を造設している人(オストメイト)のための設備があることを表すマーク。
対応トイレや案内板に表示される。
所管:特定非営利活動法人ハート・プラスの会
「内臓等の身体内部に障害のある人」を表す。内部障害は外見から分かりづらいため、障害の存在を示し、理解を得るためのマーク。
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