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更新日:令和4(2022)年2月18日
ページ番号:23662
答申第143号
平成26年10月14日
千葉県公安委員会委員長伊藤浩一様
千葉県個人情報保護審議会
会長土屋俊
審査請求に対する裁決について(答申)
平成25年3月13日付け公委(○○警)発第1号による下記の諮問について、別添のとおり答申します。
記
平成25年2月4日付けで審査請求人から提起された自己情報部分開示決定(平成24年12月18日付け○○警発第420号)に係る審査請求の裁決について
諮問第122号
|1.審議会の結論|2.審査請求の経緯|3.審査請求人の主張要旨|4.諮問実施機関の説明要旨|5.審議会の判断|6.審議会の処理経過|
千葉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が平成24年12月18日付け○○警発第420号で行った自己情報部分開示決定(以下「本件決定」という。)について、千葉県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)は次のとおり判断する。
(1)実施機関は、本件決定において不開示とした情報のうち、下記2(2)ア及びイの文書における「受理番号」欄の部分を開示すべきである。
(2)実施機関が行ったその他の決定については妥当である。
(1)審査請求人は、平成24年12月3日付けで、実施機関に対し、千葉県個人情報保護条例(平成5年千葉県条例第1号。以下「条例」という。)第16条第1項の規定により、「私が平成○年○月下旬から○月○日の間に、友人との金銭トラブルなどのことを、○○署に相談した内容が記載された警察安全相談受理票」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
(2)本件請求に対して実施機関は、次のとおり対象文書を特定して、その不開示部分は条例第17条第2号及び千葉県個人情報保護条例第17条第2号ハの警察職員を定める規則(平成17年千葉県規則第65号。以下「警察職員規則」という。)又は条例第17条第2号若しくは第6号に該当するとして本件決定を行った。
(3)審査請求人は、本件決定のうち本件各文書の不開示部分について、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により、実施機関の上級行政庁である千葉県公安委員会に対し、平成25年2月4日付けで審査請求を行った。
(4)これを受けて、条例第46条第2項の規定する諮問実施機関である千葉県公安委員会(以下「諮問実施機関」という。)は、同条第1項の規定により、平成25年3月13日付け公委(○○警)発第1号で審議会に諮問した。
本件各文書の不開示部分の開示を求めます。
審査請求人が相談者なのに、受理番号、相談者欄、相談の要旨、措置経過、結果が見られないので。
実施機関は、「警察安全相談取扱要領の制定について」(平成20年3月25日例規第19号。以下「例規」という。)に基づき、犯罪による被害の未然防止に関する相談その他安全と平穏に関わる相談を警察安全相談と位置づけ、面接、電話等により受理している。
受理した相談に対しては、問題解消のためのアドバイスや関係機関の紹介を行うほか、相談内容によっては事件の立件やパトロールを強化する等の対応を行うものであり、警察安全相談受理票及び警察安全相談票は、受理した相談の内容や対応結果を明らかにしておくために作成するものである。
また、新規に相談を受理した場合は、例規に規定する様式のうち「警察安全相談受理票(甲)」を作成し、既に受理している相談について継続対応をした場合には、「警察安全相談受理票(乙)」を作成するものである。
なお、同様式については、平成24年9月24日付警察本部長通達により警察安全相談票に様式変更を行っている。
○○警察署では、審査請求人から本件相談を受理する以前において、審査請求人が関係する金銭トラブルに係る相談を審査請求人以外の特定の個人から受理しており、本票は、当該特定の個人の相談に係る継続対応として、相談対応者が審査請求人から聴取した内容及び措置結果を記載したものである。
記載内容は、受理番号欄、相談者欄、決裁欄、対応月日欄、措置者(職員番号)欄、相談の要旨・措置経過等欄、指揮事項欄及び入力確認欄からなる。
本件文書1同様、審査請求人が関係する金銭トラブルに係る審査請求人以外の特定の個人からの相談の継続対応として、相談対応者が審査請求人から聴取した内容を記載したものであり、記載内容は、決裁欄、受理所属欄、受理番号欄、措置日時欄、措置窓口欄、措置態様欄、取扱者欄(職員番号、警電、所属・分掌、階級・氏名)、件名欄、内容分類欄、内容詳細欄、相談者欄、相手方欄、指揮伺い欄、所属長指揮事項欄、危険性欄、措置区分欄、相談の要旨欄及び措置結果欄からなる。
(ア)決裁欄の係長以下の印影及び措置者(職員番号)欄の氏名
警部補以下の階級にある警察官の印影及び氏名であり、条例第17条第2号及び警察職員規則によって不開示とされる警察職員の氏名に該当するため不開示とした。
(イ)受理番号、相談者氏名並びに相談の要旨・経過措置等欄の1行目~2行目の一部及び27行目~28行目
当該文書は、第三者から○○警察署になされた相談に係る警察安全相談受理票であり、「受理番号」、「相談者氏名」及び「相談の要旨・経過措置等」欄の1行目~2行目の一部には、第三者の氏名又は相談に関する事項が記載されており、「相談の要旨・経過措置等」欄の27行目~28行目には、第三者に対する警察の措置が記録されている。いずれも開示請求者以外の特定の個人を識別できる情報であるとともに、開示することにより、「関係者から警察へ相談した情報が相談者以外の第三者に開示される」という誤解や憶測を招き、その結果、相談者が真実を警察に話さなくなるなど、相談業務の遂行に支障を及ぼすおそれがある情報であり、条例第17条第2号及び第6号ハに該当するため不開示とした。
(ウ)措置者(職員番号)欄の職員番号
職員番号は、警察職員個々に付与された番号であり、開示請求者以外の個人を識別できる情報として条例第17条第2号に該当するため不開示とした。
(ア)決裁欄の係長以下の印影及び継続対応欄の氏名
警部補以下の階級にある警察官の印影及び氏名であり、条例第17条第2号及び警察職員規則によって不開示とされる警察職員の氏名に該当するため不開示とした。
(イ)受理番号、「件名」欄、「内容分類」欄、「内容詳細」欄、「相談者」欄、「相手方」欄及び「所属長指揮事項」欄の一部、「危険性」欄並びに「相談の要旨」欄1~2行目の一部及び6行目の一部
当該不開示部分は、警察官が第三者から聴取した内容を基に記載した事項であるとともに、相談内容の危険性及び緊急性の有無等により区分した以降の取扱い方針等を記載している。
これらの情報は、開示請求者以外の個人に関する情報であって、特定の個人を識別できる情報であるとともに、同情報を開示することにより、警察が相談者の情報を第三者へ開示してしまうという誤解や憶測を招き、その結果、相談者が真実を警察に話さなくなるなど、相談業務の遂行に支障を及ぼすおそれがある情報である。
よって条例第17条第2号及び第6号ハに該当するため、不開示とした。
(ウ)「継続対応」欄の職員番号
職員番号は、警察職員個々に付与された番号であり、開示請求者以外の個人を識別できる情報として条例第17条第2号に該当するため、不開示とした。
(エ)「継続対応」欄の警電番号
警察内部で使用する公表していない内線電話番号であり、開示することにより、当該内線電話の開設目的とは異なる架電を誘発したり、関係者から抗議を受けるなど、相談業務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報として条例第17条第6号ハに該当するため不開示とした。
(オ)「相手方の参考事項」欄
第三者の相談内容から相談対応者が判断した相談の参考となる内容が記載されており、開示することにより、対応者の判断について関係者の主張と食い違いがある場合には、抗議、牽制が行われるおそれがあるなど、関係者の誤解や憶測を招く可能性があり、以後の相談業務の円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報として条例第17条第6号ハに該当するため不開示とした。
ア審査請求人は、本件各文書について「私が相談者なのに、受理番号、相談者欄、相談の要旨、措置経過、結果が見られないので、不開示部分の開示を求める。」旨主張している。
本件請求の内容は、対象となる相談票における相談者が誰であったとしても、審査請求人の求める相談内容が記録された文書が対象となり得るものであり、この趣旨から検索を行った結果、審査請求人以外の第三者の相談に係る記録である本件各文書を特定したものであり、本件各文書において不開示とした情報は、上記(3)のとおり、条例第17条第2号又は第6号ハに該当する。
イ本件文書2の「内容分類」欄、「内容詳細」欄、「所属長指揮事項」欄の一部及び「危険性」欄には、相談内容から危険性及び緊急性の有無等により判断した以降の取扱い方針等を記載されており、開示することにより、相談内容を警察がどのように評価し、扱うべきかについて、関係者と警察の考えが異なることにより関係者等に誤解を招き、警察業務への信頼が損なわれるおそれがある。
さらに、この評価について開示することとなると、相談者に開示することを前提に記載しなければならず、その記載内容が当たり障りのない抽象的、形式的なものになり、署長等幹部の判断を鈍らせ、相談への適切な措置がとれなくなるなど、警察安全相談事務の目的が損なわれるおそれがある。
本件審査請求の対象文書は、上記2(2)ア及びイの本件各文書である。
諮問実施機関に確認したところ、本件各文書は、開示請求者以外の第三者を相談者とする警察安全相談の記録票上に審査請求人からの相談内容を記載したため、本件請求の対象文書となったとのことである。
そして、本件各文書において本件決定により不開示とされた情報は、次のア及びイのとおりである。
ア本件文書1の不開示情報
「決裁」欄の係長以下の部分、「措置者(職員番号)」欄、「受理番号」欄、「相談者」欄、「相談の要旨・経過措置等」欄の1行目~2行目の一部、「相談の要旨・経過措置等」欄の27行目~28行目
イ本件文書2の不開示情報
「決裁」欄の係長以下の部分、「受理番号」欄、「継続対応」欄の「職員番号 警電番号 氏名」、「件名」欄、「内容分類」欄、「内容詳細」欄、「相談者」欄、「相手方」欄の「生年月日 職業 勤務先 役職 相談者との関係 住所 電話番号 連絡時の留意事項 メールアドレス 参考事項」、「所属長指揮事項」欄の右端の部分、「危険性」欄、「相談者名」欄、「相談の要旨」欄の1行目~2行目の一部及び6行目の一部
審査請求人は、上記(1)ア及びイの不開示情報の開示を求めているが、諮問実施機関の説明及び当審議会の判断から、上記不開示情報は次のア~キのとおり分類することができる。
ア本件文書1中、「相談者」欄及び「相談の要旨・経過措置等」欄の2行目の一部、並びに本件文書2中、「件名」欄、「相談者」欄、「相手方」欄の「生年月日 職業 勤務先 役職 相談者との関係 住所 電話番号 連絡時の留意事項 メールアドレス」、「相談者名」欄及び「相談の要旨」欄の2行目の一部(以下これらを「本件不開示情報1-1」という。)
イ本件文書1中「措置者(職員番号)」欄及び本件文書2中「継続対応」欄の「職員番号」(以下これらを「本件不開示情報1-2」という。)
ウ本件文書1中「決裁」欄の係長以下の部分並びに本件文書2中「決裁」欄の係長以下の部分及び「継続対応」欄のうち「氏名」(以下これらを「本件不開示情報2」という。)
エ本件文書1中「相談の要旨・経過措置等」欄の27~28行目(以下「本件不開示情報3-1」という。)
オ本件文書2中「継続対応」欄の「警電番号」(以下「本件不開示情報3-2」という。)
カ本件文書1中「相談の要旨・経過措置等」欄の1行目、本件文書2中「内容分類」欄、「内容詳細」欄、「相手方欄」のうち「参考事項」、「所属長指揮事項」欄の右端の部分及び「危険性」欄並びに「相談の要旨」欄の1行目及び6行目の一部(以下これらを「本件不開示情報3-3」という。)
キ本件文書1及び本件文書2中の「受理番号」(以下これらを「本件不開示情報4」という。)
諮問実施機関は、本件不開示情報1-1については、上記4(3)のア(イ)及びイ(イ)のとおり、条例第17条第2号及び第6号ハに該当し、また、本件不開示情報1-2については、上記4(3)のア(ウ)及びイ(ウ)のとおり、同条第2号に該当するから不開示とした旨説明する。
当審議会で見分したところ、本件不開示情報1-1は開示請求者以外の第三者の氏名であり、本件不開示情報1-2は各警察官に付与された職員番号である。これらは、開示請求者以外の特定の個人を識別することができる情報に該当すると認められる。また、同号ただし書イ~ニに該当する事情は認められない。
したがって、本件不開示情報1-1及び本件不開示情報1-2は、条例第17条第2号に該当するため、不開示とすることが妥当である。なお、本件不開示情報1-1は、上記のとおり同条第2号に該当することから、同条第6号ハに該当するか否かについて判断するまでもない。
諮問実施機関は、本件不開示情報2について、上記4(3)のア(ア)及びイ(ア)のとおり、条例第17条第2号及び警察職員規則に該当するから不開示とした旨説明する。
当審議会において見分したところ、本件不開示情報2は、警察官の姓を刻した印影並びに警察官の氏名及び職員番号であり、開示請求者以外の特定の個人を識別することができる情報であるので、条例17条第2号本文前段に該当すると認められる。
さらに、本件不開示情報2は、警部補以下の階級にある警察官であると認められ警察職員規則第2号に該当することから条例第17条第2号ただし書ハには該当しない。また、本件不開示情報2が同号ただし書イ、ロ又はニに該当する事情があるとも認められない。
したがって、本件不開示情報2は、条例17条第2号に該当するため、不開示とすることが妥当である。
諮問実施機関は、本件不開示情報3-1及び本件不開示情報3-3については、上記4(3)のア(イ)及びイ(イ)のとおり、本条例第17条第2号及び第6号ハに該当し、また、本件不開示情報3-2については、上記4(3)イ(エ)及び(オ)のとおり、同条第6号ハに該当するから不開示とした旨説明するので、以下検討する。
当審議会で見分したところ、本件不開示情報3-1は、審査請求人からの相談について担当警察官が行った措置に関する情報である。
次に本件不開示情報3-3は、審査請求人以外の第三者からの警察安全相談の内容について、実施機関において判断、選択した類型や取扱方針等に関する情報、そして、開示請求者以外の第三者が警察署で警察安全相談を行った際、担当警察官がまとめた当該第三者の相談内容に関する情報である。
そして、これらの各不開示情報を開示することは、相談者から誤解や憶測を招き、警察安全相談業務への信頼が損なわれ、また、県民が実施機関に対して不信感を抱き、相談をためらうことにつながるといえることから、警察安全相談の事務の目的が達成できなくなり、又は当該事務の公正若しくは円滑な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる、
よって、本件不開示情報3-1及び本件不開示情報3-3は、条例第17条第6号ハに該当する。
当審議会で見分したところ、本件不開示情報3-2は、本件各文書を担当する警察官に割り当てられた警察電話番号である。
警察電話は、本来的に機密性が要求される警察業務の特殊性から、内部でのみ利用することを目的として設置された警察独自の情報通信網の一つであり、その番号は同通信網構成上の固有情報である。そうすると、これが開示されることにより警察業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められ、警察安全相談業務もかかる警察業務の一つであることに変わりはない。
よって、本件不開示情報3-2は、条例第17条第6号ハに該当すると認められる。
本件不開示情報3-1、本件不開示情報3-2及び本件不開示情報3-3は、上記(ア)及び(イ)のとおり、条例第17条第6号ハに該当するため、不開示とすることが妥当である。なお、本件不開示情報3-1及び本件不開示情報3-3については、上記のとおり同条第6号ハに該当することから、同条第2号に該当するか否かについて判断するまでもない。
(ア)諮問実施機関は、本件不開示情報4について、上記4(3)のア(イ)及びイ(イ)のとおり、条例第17条第2号及び第6号ハに該当するから不開示とした旨説明する。
(イ)当審議会で見分したところ、本件不開示情報4は、開示請求者以外の第三者から実施機関に対し警察安全相談が行われた際、実施機関が割り振った当該相談案件の受理番号である。
また、諮問実施機関に確認したところ、警察安全相談の受理番号(以下「受理番号」という。)は、実施機関により相談案件別に割り振られ、同じ相談者の同じ相談案件が継続する場合には同じ番号が使用されるとのことである。こうした使用状況を踏まえると、受理番号は、実施機関が警察安全相談を管理するための情報として、当該相談案件の番号を示すにすぎないといえることから、特定の個人を識別することができる情報とは認められない。また、受理番号を開示することにより、開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるとする事情も認められない。
よって、本件不開示情報4は、条例第17条第2号に該当しない。
(ウ)また受理番号は、上記のとおり、実施機関が相談案件別に割り振る番号であるため、相談者から警察へ相談した情報には当たらない。そうすると、受理番号を開示することは、諮問実施機関が上記4(3)のア(イ)及びイ(イ)で説明するように「警察へ相談した情報が相談者以外に第三者に開示されるという誤解や憶測を招く」とは認められない。
よって、本件不開示情報4は、条例第17条第6号ハに該当しない。
(エ)本件不開示情報4は、上記(イ)及び(ウ)のとおり、条例第17条第2号及び第6号ハに該当しないことから、開示すべきである。
以上のことから、「1審議会の結論」のとおり判断する。
審議会の処理経過は、別紙のとおりである。
別紙
年月日 |
処理内容 |
---|---|
平成25年3月14日 |
諮問書の受理 |
平成25年5月10日 |
実施機関の理由説明書受理 |
平成26年5月22日 |
審議(第232回審議会) |
平成26年6月26日 |
審議(第234回審議会) |
平成26年7月24日 |
審議(第235回審議会) |
平成26年9月5日 | 審議(第236回審議会) |
答申第143号(平成26年10月14日付け)(PDF:175KB)
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