答申第301号
本文(PDF:156KB)
答申の概要(答申第301号:諮問第385号)
実施機関
事案の件名
平成18年度調査書中の教科の評定と学力検査成績の関連外1件の行政文書部分開示決定に係る異議申立てに対する決定について
対象文書
- 種類 受検者の学力検査得点
- 情報
本件文書は、平成18年度千葉県公立高等学校入学者選抜の今後の改善の資料とするため、全日制の課程普通科を有する公立高等学校117校から提出されたもので、学校番号、学校名、課程名及び受検者の評定合計値と学力検査得点の成績関連表並びに学科ごとの入学許可候補者数、入学許可候補者の最高点、最低点、学力検査得点合計、5教科得点合計の平均点及び配点合計
請求に対する決定
不開示条項
原処分
- 不開示部分
受検者の評定合計値と学力検査得点並びに入学許可候補者の最高点、最低点、学力検査得点合計、5教科得点の平均点及び配点合計の状況
- 不開示理由
本件不開示部分を開示すると、各公立高等学校の序列化が明らかになり、次のとおり入試業務を始めとした事務事業の適正な遂行に支障が生じるおそれがある。
- 本件不開示部分を開示した場合、学力検査の結果及び調査書の合計値がクローズアップされ、入学者選抜の合否があたかも学力検査の結果と調査書の合計値のみによって行われているといった誤解を受検生に与え、県民の間に誤解を生じさせ、入学者選抜の実施目的である判定を行うこととするこれまでの取組に対して逆行する可能性がある。
- 入学者選抜制度の実施者である実施機関が本件不開示部分を開示した場合、信頼される入学者選抜データとして客観的数値のみがクローズアップされ、各公立高等学校が点数のみにより一面的に評価され、序列化を助長するものといえる。
- 本件不開示部分が具体的な数値として明らかにされると、数値という一面により学校が固定化された評価を受け人気校と不人気校の格差が生じる。この場合、各学校の教育活動を評価し、積極的に参画する志をもって志望校を決定するという本来の姿と離れたものとなり、ある学校では高倍率での入学者選抜により多くの不合格者を出し、別の学校では定員割れを起こし入学者選抜自体が意味のないものとなる可能性がある。これは入学者選抜事務の適正な遂行に支障を及ぼすだけでなく、公立高校の存続そのものへの悪影響が懸念される。
- 本件不開示部分を開示することにより、その年の受検生、在校生及びその保護者対しても与える影響は大きい。特に、低い学検点でも入学できる学校であると認知されると、生徒や保護者の心情を傷つけ、生徒の学習意欲の低下や学校行事への参画意識の低下など高校の教育活動に直接的に悪影響を与える。さらに、就業活動等への影響も懸念される。その結果、生徒の能力を数値のみならず、多面的にとらえ、その可能性を見出し、伸長させることにより生きる力の育成に努めることや地域に根ざした特色ある学校づくりなどの実施機関が推進している様々な教育活動の適正な遂行に悪影響を及ぼすおそれがある。
申立年月日
諮問年月日
答申年月日
審査会の判断
条例第8条第6号該当性について
- 本件文書は、全県共通問題により実施された学力検査の受検者の評定合計値と学力検査得点並びに入学許可候補者の最高点、最低点、学力検査得点合計、5教科得点合計の平均点が記録されており、各高等学校の学力検査の結果等を比較することが容易であることが認められる。
- 本件不開示部分が開示され、すべての高等学校についての情報が開示された場合、高等学校間における得点順位によるランク付けが容易かつ明確になされる。
- このため、本件不開示部分が開示され、すべての高等学校についての情報が開示された場合、高等学校間における得点順位によるランク付けが容易かつ明確になされることになる。その結果、受検生や保護者をはじめ広く一般県民の間に、入学試験における学力検査得点のみに偏った学校評価がなされることが十分想定される。
また、このような順位付けによる学校評価がなされることにより、下位に位置づけられた高等学校の生徒の心情を傷つけ、勉学等への意欲の低下をもたらすことが予想され、学校教育活動へのマイナス効果を生じさせるおそれがあるものと考えられる。
- さらに、現在取り組んでいる、特色ある学校づくりの考え方に基づく生徒の多様な個性、能力、適正等の様々な観点から評価、選考しようとする入学者選抜事務に支障を及ぼすおそれがあるものと考えられる。
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください