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更新日:令和4(2022)年7月14日
ページ番号:11046
「笑顔いっぱい!フレンドリーオフィス」認定された皆さまからの声
(~ヒアリング調査から~)
障害のある人の「雇用に対する工夫」と「思い」、雇用を考えている事業所への「メッセージ」を中心に伺いました。
有限会社ブライトピック千葉取締役部長石井俊裕様
(平成20年10月25日認定認定番号第52号)
昭和40年に神奈川県内において創業者が個人で養豚を始める。昭和46年有限会社ブライトピック設立。サービス部門のグループ会社を設立し、千葉県内に直営農場を開設。平成8年5月に有限会社ブライトピック千葉を設立し、4つの農場と飼料工場を開設し、農業(養豚業)経営、飼料の製造・販売業、産業廃棄物・一般廃棄物の中間処理業、産業廃棄物・一般廃棄物の収集、運搬業を行っている。
養豚の液状飼料を使った給餌システム(リキッドフィーディング)の要である溝原飼料工場(平成19年3月開設)では、平成21年10月現在、従業員34名がおり、内障害のある人が15名雇用されています。そして、平成20年10月25日に「笑顔いっぱい!フレンドリーオフィス」に認定されました。
今回、石井部長からは、障害者雇用のきっかけをはじめ、取組へのこだわりについてお話を伺いました。
「工場設立当初、飼料作りには、単純な作業が膨大にありました。この作業は、業務量が多いこと、忍耐力が必要であること、この作業を終えないと他の仕事に手が回らないことなどから、業務の対応を考えていました。その時、障害のある人は集中力があるということを知って、雇用することを検討しました。障害のある人の雇用に際しては、雇用への不安がありましたが、相談先が分からなかったので、まず市役所に相談しました。市役所で紹介されたのは、『東総障害者就業・生活支援センター(以下「東総センター」という。)』。このセンターの支援のおかげで、なんとか平成19年10月に5名雇用することができました。」と石井部長は語り、今では、欠かすことのできない支援センターであるとのことです。
石井部長によると、障害のある人の雇用について、一つだけルールを決めており、それは「ボランティアはしない。」ということ。働いてもらうためには、責任を持って業務に取り組んでもらい、能力に見合った給与を支払うということです。
溝原飼料工場では、朝ミーティングを終えてから、仕事が始まります。チームを組んで、主に飼料の材料となる回収食品の分別、清掃、機械操作、事務などの業務を行っています。
従業員には、業務の処理能力により、能力に見合った仕事量とし、自分の仕事に責任を取れるように配慮しているとのことです。
また、パートの人であれば、疲れたら帰らせ、仕事に悩んだら仕事を休ませて、考えさせているとのこと。「自分で考えさせることで、必ず戻ってきます。」と語る部長。
一方で、「ご家族の方が、障害のある人本人の力を信じてないケースや、甘やかしてしまい、すぐに仕事を休ませてしまうケースがあります。これらのケースは、いずれ辞めてしまう傾向にあります。本人に働く力があることを、ご家族の方に理解が得られ難いこともあります。」とのことから、雇用の面接の時には、ご家族にも来てもらい、働くことについて理解をしてもらうと同時に、ご家族にしか理解できない部分があることも雇用側で理解しているとのこと。
「雇用側の大きな問題点の一つとして、理解不足があります。多くの職場には、障害者雇用について積極的に考える人と、消極的・否定的に考える人がいます。障害のある人が研修する場合には、積極的な考えのスタッフがいるところで行うことにより、彼らを大きく育てることができると私は考えています。当社においても、今のところ、障害のある人は、溝原飼料工場のみで雇用しています。全従業員が障害者雇用について理解するまでは、一つの事業所で集約してやっていきたい。」と部長は考えています。また、さらに「これから、事務職員1名、作業員4名増やすことを考えています(平成21年11月現在)が、まずは、溝原飼料工場での雇用を考えています。」とのこと。
仕事に定着してもらうための工夫の一つとして、「東総センターと連携を取っていることです。企業は、あくまで職場での対応をし、家庭での懇談はしていません。自宅における生活面の支援は、東総センターにお願いしています。」とのこと。
通勤は、その人の環境に応じて、最寄駅や自宅付近まで送迎するなどの配慮もしているとのことです。
仕事の進め方として、「知的障害者の場合、仕事にきちんと区切りをつけてから、次に進めることが大事であると思います。区切りの一例として、時間という区切りもあります。仕事の内容を変えるときは、休憩を挟んで変えるとよいということも経験上分かりました。なお、一番効率的に業務を進めるためには、得意な仕事をさせることです。」と経験をもとに笑顔で話していました。
障害のある人を雇用して感じたことは、「人と人のかかわりが必要であること」、「スタッフも障害のある人への伝え方に慣れてきたということ」、さらに、「雇用当時は、まったく会話できなかった重度認定の障害のある人も、今では、コミュニケーションができるようになってきたこと」であると語っていました。
法定雇用率など、法律により義務的に雇用することは、障害のある人を飼い殺しにしてしまいます。障害のある人を雇用するためには、モラルが必要です。
障害のある人の雇用について、行政側からは、「法的に雇用しなければならない。」という説明はいらないと私は思っています。
私が初めて障害のある人を雇用するときに、障害者就業・生活支援センター(以下「支援センター」という。)の存在を知りませんでした。雇用するときに、支援センターの存在が、非常に助けになったことは事実です。今では、不可欠な存在となっています。
定着支援を行うジョブコーチや支援センターの職員は、フリーパスで社内に出入りできるように配慮しています。
またこちら側も、何かあったときは、すぐに支援センターにお願いしています。専門のスタッフが、当事者の話を十分に聞いてくれ、本人に分かるように伝えてくれることをとても心強く思います。
雇用して分かったことは、今まで人の良さを見ることができませんでした。それは、障害の有無ではなく、人の個性であるということを。
そして、障害のある人を雇用することで、社員教育にもつながりました。また自分自身を見直すことにもつながったと思います。
障害のある人を雇用するとこで、労働力を確保できています。そのためには、障害のある人の能力を見極め、適材適所に配置することが大切です。
このことは、障害のある人だけではなく、健常者にも必要であるということを改めて感じました。
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