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更新日:令和5(2023)年1月10日
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普及指導計画に基づき、農業事務所改良普及課が実施した前年度の農業改良普及活動等について、幅広い視点から検討を行える優れた見識を有する者(以下、「外部有識者」という。)による意見交換会(以下、意見交換会)という。)を開催し、より高い成果が得られるよう普及事業の改善を図りました。
令和元年11月6日(水曜日)午後1時~5時
市原市姉崎保健福祉センター 2階 研修室
千葉県
外部有識者、農業事務所改良普及課、担い手支援課
区分 | 所属・職名 | 氏名 |
---|---|---|
先進的な農業者 |
千葉県指導農業士会 |
周郷文雄 |
若手・女性農業業者 |
千葉県農業士協会 |
周郷綾 |
農業関係団体 |
全農千葉県本部・営農支援部長 |
高木成人 |
消費者 |
ちば野菜伝道師 |
髙原和江 |
学識経験者 |
千葉大学大学院園芸学研究科教授 |
櫻井清一 |
報道機関 |
株式会社千葉日報社市原支局長 |
坂巻洋一 |
民間企業等の外部有識者 |
千葉銀行法人営業部成長ビジネスサポート室 副調査役・アグリビジネス担当 |
松岡壯樹 |
「姉崎だいこん」のさらなる産地強化に向けた取組
JA市原市姉崎蔬菜組合は、平成19年度導入の共同洗浄選別施設を核として経営規模を拡大してきた産地です。近年、施設設立時の想定より生産量が増加したため、組合としての産地の将来ビジョンを作成し、平成28年度に国庫事業を導入し、選別ラインの延長など共同洗浄選別施設を増強して生産量をさらに拡大させました。また、緑肥を活用したほ場の持続的な利用を進めたことで、春だいこんに加え秋冬だいこんでも「ちばエコ」の取組が始まり、実施面積が99haとなりました。さらに、他産地と差別化し、有利販売を図るため、JGAP団体認証を目指した取組を関係機関と連携し進めています。
運営は姉崎蔬菜組合が行っているのか。
生産組合の選果部(若手の生産者が多い)がパートの雇用を管理しています。
[質問2]
維持費はいくらくらいか。
[回答2]
ダイコン1箱当たり90円の手数料をとり、維持費をまかなっています。
128万ケースを出荷しています。
[質問3]
実習生はどこの国の人が多いか。
[回答3]
現在はベトナムが多いです。少し前までは中国人が多かったが、人件費の高騰で今はベトナムが多いです。
[質問4]
姉崎蔬菜組合の年齢層は。
[回答4]
30才~80才代であり、平均年齢は60才前後であると思われます。
選果部は10人で、30才~50才代です。
[質問5]
GAPの合意はどのようにしてとったのか。
[回答5]
組合員が15名と少数精鋭であるため合意形成がとりやすく、組合長のリーダーシップによるものも大きいです。
[質問6]
GAPを進める上でネックとなっているものは何か。
[回答6]
明確な出口がないこと及び取引先がないことです。取引先が無い理由は、ロットとしてまとまりにくいからではないでしょうか。
[質問7]
畑の借地の割合はどれくらいか。
[回答7]
半々くらいです。借地を増やしています。
秋冬にんじんを核とした園芸産地の維持
JA千葉みらい千葉東部地区出荷組合連合会人参部会は生産者60戸、栽培面積約40haの秋冬にんじん産地です。平均収量が低いため、地力向上や肥培管理について、技術の改善が必要でした。また、部会員の高齢化に伴い、栽培面積の維持が課題となっていました。
そこで、堆肥施用や土壌診断に基づく肥培管理について、実証ほの設置や栽培講習会等を実施するとともに、経営主が50歳以下または後継者がいる経営体(以下、担い手と略す)を対象として、作業場改善や雇用労働力導入の支援による規模拡大を進めた結果、担い手の作付面積が4ha(平成26年)から11ha(平成30年)に増えました。さらに関係機関と連携し、新規参入者等に対し早期の部会加入を促すことにより、産地の担い手としての育成を図っていく体制を構築しました。平成28年以降の新規部会加入者は6名おり、産地における生産面積の維持にも繋がりました。
[質問1]
ニンジンについては、産地化が進んでいるが、営農支援のヒョウタンゾウムシの防除・試験等について教えてほしい。
[回答1]
ヒョウタンゾウムシは、春夏ニンジンの品質を下げている害虫です。
現在、薬剤の登録を進めています。また、被覆資材の素材について、展示ほなどを設置して、忌避できる素材の検討を進めています。
新規就農者の営農技術向上と就農定着
就農後間もない青年農業者を対象に3か年の農業経営体育成セミナー(以下セミナー)を実施しました。千葉管内では近年新規参入者が増えており、セミナーの受講割合も高いです。就農定着には経営の安定化が必須であり、セミナーのカリキュラムを通じて栽培技術の習得や幅広い人脈づくりを支援しました。特に新規参入者は販売先の確保が課題であることから、飲食店と連携した先進事例を研修で取り上げるとともに、商工関係と連携した取組を行っているセミナー生を中心に組織化を誘導した結果、2組織が発足しました。管内加工業者との契約出荷を開始するなど、新規就農者の新たな販売チャンネルの開拓につながりました。
[質問1]
農業経営体育成セミナー生と飲食店オーナーとの情報交換会について教えてほしい。
[回答1]
八千代市の指導農業士が珍しい野菜を栽培していて、実需者と結びついた事例があり、セミナー生には、農地が限られて、少量多品目生産を行う新規参入者の割合も高いことから、セミナー生と指導農業士、飲食店オーナーとの情報交換を開催しました。
市場環境の変化に対応した周年供給体制を実現するサツマイモ産地の育成
成田市のサツマイモ産地の維持・強化を図るため、定温貯蔵庫の導入推進、粘質系品種の導入及び品種リレーの推進、集出荷体制の強化に向けた組織づくり、規模拡大に向けた労力対策、緑肥及び春夏ニンジン等との輪作体系の推進等に取り組みました。
その結果、サツマイモ栽培面積3ha以上の経営体数は53戸、出荷量は15,965tと目標の56戸、16,856tを下回りましたが、定温貯蔵庫の整備により出荷期間を延長したことで需要増加に応えたことや、品種移行による正品率の改善、単価の向上もあり、販売額は35億円と目標の32.8億円を上回りました。
印旛地域のサツマイモが、定温貯蔵庫を導入したことにより有利販売につながった事例で、品質の維持を図るため、緑肥栽培が定着したとあるが、畜産との連携はあるのか。
また、連作障害回避のため、春夏ニンジンを栽培しているが、輪作体制はとれているのか。
緑肥はネコブセンチュウ対策のためです。連作でA品率が3割を切ったところもあります。
ニンジンとの輪作は、センチュウの種類が違います。畜産農家との連携は大切であると考えています。
担い手個別の規模拡大によるヤマトイモ産地の維持
佐倉市のヤマトイモ産地の維持に向けて、「経営モデルの作成と省力化の推進による若手生産者等を中心とした規模拡大」「輪作、土壌管理の見直し、種芋増殖技術の改善、苗生産の外部委託等による品質向上と単収増加」「生産工程管理による生産性の向上」などの活動を進めた結果、規模拡大した経営体数(20a以上の拡大)が平成26年度の2戸から12戸に、栽培面積3ha以上の経営体数が4戸から5戸に増加しました。栽培面積は生産者の高齢化により一時54haまで減少しましたが、平成30年度には55.7haに増加し産地の維持・拡大が図られました。これに伴い、販売実績についても、2.2億円から2.4億円まで回復し、産地を維持することができました。
[質問1]
ヤマトイモの新規栽培者への支援について教えてほしい。
[回答1]
昨年、ヤマトイモと苗もの生産の新規栽培者がいましたが、適期の管理作業ができずにヤマトイモの栽培はやめました。新しい体制づくりを部会、JA、市と検討しています。
産地戦略に基づく担い手育成と野菜産地の強化
産地戦略に基づく担い手育成と野菜産地の強化のために「スイカの単価向上に向けた計画出荷の達成」「ニンジン出荷量確保に向けた収量・品質向上と省力化の推進・新規栽培者の確保」「抑制トマト安定出荷に向けた高温対策技術の検証と病害虫対策」に関係機関と協力して取り組み、販売金額の向上を図りました。
その結果、平均単価の上昇も含め、平成30年度の主要品目(スイカ、秋冬ニンジン、春ニンジン、抑制トマト)の合計販売金額は31億円(基準年である平成26年度の1.4倍)となりました。
[質問1]
スイカの販売金が減っている要因について教えてほしい。
[回答1]
高齢化・重労働により栽培面積が減っています。特に6月中旬~7月収穫の露地トンネルの作型で減少しています。
早期成園化の推進・担い手の確保による個別経営の向上
白井市は県内有数のナシ産地ですが、主要品種の老木化が問題となっています。そこで、平成26年度から改植及び早期成園化の推進を目的に活動を行うとともに、「しろいの梨育苗センター」の運営を支援し、大苗生産体制の確立と大苗を活用した新技術「ジョイント仕立て」の普及を目指しました。また、担い手の育成として、若手生産者組織「梨友会」の活動支援と女性の経営参画に取り組みました。その結果、平成28から30年度にかけて約4,000本の大苗が出荷されました。これらのことにより、老木率は35%から30.1%へと約5%減少しました。
[質問1]
梨のジョイント栽培はどのような仕立て方法か。
[回答1]
1.5m間隔に苗が植えてあり、3~4mの苗を曲げて接ぎ木でつなげていく方法です。
[質問2]
若手の人たちに、育苗センターの仕事を手伝ってもらっている時は、若手の人たちの農園の管理はどうしているのか。
[回答2]
毎日、育苗センターの仕事があるわけではないので、自分の農園の作業に支障がない程度に手伝ってもらっています。梨の出荷等の時期は忙しいので、外部の労働力を育苗センターで雇っています。
[意見1]
若い人たちは、育苗センターの仕事を手伝いながら、自分の技術を高めているのですね。
[質問3]
4,000本の苗だと、どの程度改植が進むのか。
[回答3]
3か年で4,000本の苗を出荷しており、一部のほ場でジョイント栽培を導入し、様子を見ています。
[質問4]
古い樹を抜根しないとできないのではないか。
[回答4]
老木を抜いて植え替える人もいれば、間に植えていく人もいます。
[質問4]
紋ぱ病の畑にジョイント式で植えたことはありますか。
[回答4]
ジョイント栽培で植えたこともありますが、ジョイント栽培に限らず、病気をいかに抑えるかについて、対策をたてて取り組んでいます。
[質問5]
女性農業者が研修会に参加している年齢層について教えてほしい。
[回答5]
20~40歳代が中心です。
[質問6]
販売方法について、観光もぎとりについてはどのように考えているのか。
[回答6]
正確には分かりませんが、市場と直売の割合は1:1か、市場出荷が少し多いと思われます。
観光もぎとりは少なく、数軒と思われます。
[質問7]
直売での箱売りは減っていくのではないか。将来的にはどうか。
[回答7]
市がブランド化戦略について検討しており、若い人も加わっていて、販売方法を広げていく意識はあります。贈答が減ってきており、梨だけではなく、ブルーベリーを導入して、知り合いにもぎとりをしてもらい、様子をみている人もいます。
共選出荷体制の強化による花き産地の発展
館山市西岬・神戸地区では、2組織34戸による共選と個人出荷(個選)で構成された産地です。病害の多発、地域内の高齢化による労力不足、夏の高温化による品質低下のおそれ等と様々な問題が生じていたことから、関係機関と課題を共有し、緊急性や普及の困難さを考慮して優先順位を明確にして活動を行ったところ、病害の克服による出荷量の回復、作業軽減のための省力機械の導入、統合集出荷場の整備が進んでいます。
トルコギキョウ、ひまわりの販売額は増えているようですが、農協取扱金額が減っていることから、ストックの販売金額が減っているのでしょうか。
大規模な生産者がJA出荷から抜けたことにより、農協取扱金額が減っています。
地域特産品の普及と地域の活性化・地域農産物等を活用した商品開発・販路拡大による所得の向上
「鴨川七里®」(えだまめ)は鴨川市の在来大豆から選抜された晩生系統であり、平成21年から地域特産物として栽培され、平成26年度の栽培面積は371aでした。
病害虫や倒伏被害、高齢化等により生産量が減少するなか、関係機関と連携した組織育成と新規を含む生産者の栽培技術指導を実施しました。その結果、平成30年度には鴨川七里を育てる会の栽培面積が422aに増加、集落営農組織等も7団体加入しており、市場出荷やオーナー制による地域の活性化に取り組んでいます。
また、他産業も交えた地域ぐるみの取組として、農商工連携、消費者交流への指導と支援に努めた結果、平成30年度時点で6品目の加工品が販売されています。
えだまめのオーナー制度の参加者が減っている原因で、収量の低下以外にはどんな原因があるのでしょうか。
鴨川市内5地区でオーナー制度を行っており、生産者の管理が同じではないので、生育にバラつきが生じてしまいます。どこの園でも品質が同じで、満足感が得られるようにしていきたいと考えています。
[意見1]
品質や栽培管理をマニュアル化していけば、また参加者が増えていく可能性があると思う。
[質問2]
加工品の種類は、今後増えていくのか。
[回答2]
今のところ、現在の6品目のまま推移すると考えています。
[質問3]
オーナー制は、新たなファンの確保に向け、情報発信はどのようにしているのか。
[回答3]
JA安房、鴨川市役所のホームページや株式会社良品計画のホームページでPRしています。また、鴨川マガジンという広報誌にも掲載し、PRしています。
[質問4]
オーナーの地区別の割合を教えてください。
[回答4]
鴨川市内が40%、県外が15%、鴨川市外が45%です。
[質問5]
課題名に所得向上とあるが、所得はどれくらいあがったのか。
[回答5]
普及指導計画上の課題名であり、当初は所得向上を目的として取り組みました。
全体の売上はオーナー制で2百数十万円、市場出荷で60~70万円、大豆も売り上げは多くはありません。
[質問6]
オーナー制、4,000円/15平方メートルの根拠は。もっと高くてもいいのではないか。
[回答6]
平成28年度までは3,000円でしたが、平成29年度に4,000円にしました。
原価計算や近隣のオーナー制度の状況なども考慮していると思われます。
[意見2]
収量計算にした方がいいのではないか。収量がとれれば、オーナーが市場経由で買うのと比較してお得感があると思う。5,000円くらいでもいいのではないか。
生産者はいかに生産力をあげるか、技術を共有して、意識も高まると思う。
[質問7]
JA安房管内全体で生産組織をつくりたいという組合長の意向があり、今後の生産組織育成の状況について教えてほしい。
[回答7]
今年度「JA安房枝豆部会」が設立されました。この部会では、「鴨川七里」より収穫が少し早い「安房一豆」という系統も栽培が始まり、夏の枝豆から「安房一豆」、「鴨川七里」とつなげる体制を検討しています。
栽培面積の増加及び価値向上による食用ナバナ産地の維持
安房地域は約70年の歴史がある産出額日本一の食用ナバナ産地ですが、平成11年(栽培面積332ha、生産者2,250戸)をピークに、高齢化等により栽培面積及び生産者の減少が顕著となっていました(H26:栽培面積230ha、生産者1,100戸)。
そこで、生産者と関係機関が一体となり、新規出荷者を確保及び育成する支援体制を構築し、かつ、意欲的に規模拡大に取り組む生産者の経営管理能力向上支援を進めてきたことで、今では産地の栽培面積が増加傾向となっています(H30:栽培面積252ha、生産者数902戸※H30年度は台風の影響により減少)。
[質問]
食用なばなでは、人形巻きから、袋、パックなど出荷形態が多様化しており、実需者のニーズがあったと思うが、どう評価されているのか。
[回答]
人形巻きは料亭などでニーズがあり、袋、バラは加工業務用です。調製作業に手間のかからない出荷形態のため、1戸あたりの栽培面積が増え、市場に出回る量が増えています。
農業事務所改良普及課等は、意見交換会の結果を、令和元年度の普及指導活動の運営、来年度の計画(令和2年度農業改良普及指導計画)の作成、次期中期計画の作成等に反映させる。また、担い手支援課も含め、活動の効率化、効果の向上に活用する。
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