さまざまな読書の手段
読むことに障害のある方が、それぞれに利用しやすい形で読むことができるよう、さまざまな読書の手段があります。
点字資料
点字は、6つの点の組み合わせで日本語の五十音(かな)を表す表音文字で、横書きされます。凸点を指先で触って読み取ります。
かつてはもっぱら紙で提供されていましたが、現在では点字(ピン)ディスプレイでも利用できるようになっています。
点字資料には、墨字(点字に対して印刷された文字のこと)の原本を点訳したもののほか、オリジナルで作成されたものもあります。ほとんどの資料は点字のみで書かれていますが、点字と墨字が併記されたものや、点字と墨字を1冊に綴じたものもあります。点図を含んだ資料もあります。点字図書、点字雑誌のほか、点字絵本、点字付き触る絵本・ユニバーサルデザイン絵本などがあります。
点字(ピン)ディスプレイ
平面に穿《うが》たれた穴にピンを埋め込み、ピンを上下させることで点字を表示することができる装置です。
パソコンの画面に表示されているテキストを点字で出力できるほか、独自に搭載しているメモリーを利用して、点字データの作成や編集ができます。
点字ディスプレイ
点字絵本
絵本を点字と点図を用いて点訳したもの。
点図は点線や点のパターンによる図で、指先で触って絵や図を理解することができます。
点訳絵本
絵本原本に点字の透明シートを貼ったもの。
視覚障害をもつ大人が点字を読み取って子どもに読み聞かせをするなど、一緒に絵本を楽しむことができます。
点字付き触る絵本・ユニバーサルデザイン絵本
点字や絵を透明な盛り上げインクを使って印刷し出版されたもの。
触るイラスト(ざらざらな面やふわふわの布が貼られているなど触感で楽しめる)付きのものもあります。
点字つき触る絵本
触るイラストの付いた絵本
音声資料
音声デイジーやオーディオブックがあります。
デイジー(DAISY)は、電子図書の国際標準規格で、「デジタル・アクセシブル・インフォメーション・システム」の略です。
音声デイジー
図書や雑誌など印刷された文字資料を音訳して、収録したした音声資料です。
ほとんどの音声デイジー資料が、著作権法上の規定により、視覚障害のある方、識字障害や学習障害、肢体不自由等により印刷された図書を読むのが困難な方のための資料として製作されています。
カセットテープと異なり、目次から読みたい章や節、任意のページに進むことができる、再生スピードを変えられるなどの特徴があります。専用再生機の他にパソコンやタブレット、スマートフォンなどの電子機器で利用できます。
音声デイジーを聞くことができる録音図書再生機器
オーディオブック
書籍を朗読した音声を録音した音声資料で、CDブックとして市販されているほか、データをダウンロードし、PCやスマートフォンなどで利用する形でも提供されています。
デイジーと異なり、利用する人に著作権法上の制約がなく、誰でも耳で聴く読書を楽しむことができます。
通常のCDプレーヤーで再生できるオーディオブック
録音図書再生機器
主に音声デイジーを再生するために開発された機械です。
また、機種によっては直接インターネットに接続して、デイジーやテキストファイルをダウンロードして再生することもできます。
電子書籍
専用端末や、パソコンやタブレット、スマートフォン等の電子機器で利用する資料です。データの形式にはフィックス型(画像系)とリフロー型があります。
フィックス型は常にレイアウトが維持される方式で、画面の拡大や縮小が可能です。
リフロー型は表示する端末の画面サイズや文字サイズの変更などに合わせて、テキストやレイアウトが流動的に表示される方式で、テキストデータの読み上げ利用ができます。
現在のところ一般に販売されている電子書籍は読み上げ利用には非対応の形式のものが多く、利用したい方法に合っているか、購入前に試し読みが必要です。
アクセシブルな電子書籍の規格として、EPUBやマルチメディアデイジーがあります。
マルチメディアデイジー
音声とテキスト、画像を組み合わせたもので、読み上げ部分のハイライト、画面の背景色・文字の色の変更、大きさの変更等ができます。
また、書籍の構造(目次や章立てなど)を持っているので、読みたい場所にすぐに移動することもできます。
音声読書器
パソコンを使用せず、カメラやスキャナで撮影した活字文書を内蔵されている文字認識ソフトで読み取り、テキスト化し、音声で出力する機器です。
認識した文字を画出力して拡大読書器としても利用できるものや、めがねに装着して使用する小型のものがあります。
スキャナで本を読み取り音声で読み上げる
パソコン・タブレット端末・スマートフォン
パソコンやタブレット端末等にアプリケーションソフトを導入することにより、電子書籍の読み上げ、録音図書や各種デイジーの再生等ができるほか、音声読書器や拡大読書器の機能を持たせることもできます。
対面朗読
公共図書館等が提供するサービスで、音訳者が利用者の目の代わりとなって指定された資料を読むもの。
拡大文字資料
大活字本
大きな活字で印刷、出版された本です。文字も、ゴシック体など読みやすい書体が使われています。
通常の本と大活字本の比較
拡大写本
印刷された資料を、大きな文字で書き直したものです。
読みやすいよう、文字サイズや文字間、行間、書体、図表の配置などのレイアウトが調整されています。
拡大読書器
カメラが撮影した被写体を拡大して画面に映写する装置で、機種によっては40倍以上に拡大できるものもあります。
黒い背景に文字を白く映し出す白黒反転機能や文字をクリアに映し出すコントラスト強調機能、行を追いやすいガイドライン表示やマスキング機能など、さまざまな機能があります。
拡大読書器
布の絵本
布地やフエルト、スナップ、ファスナー、マジックテープ、ボタンなどを用いて、はずす、はめる、ひっぱる、ほどく、むすぶなどの動作を行う、絵本と遊具・教具の役目を兼ね備えた布製の本です。
聴覚、触覚、視覚、手足の運動、情緒など、様々な障害をもつ子どもたちのために作られていますが、手や指の作動感覚を発達させ道具の使用を身につける等の効果があるといわれており、0歳からすべての子どもの発達に有効な資料です。
布の絵本
ページめくり機
書籍のページを機械でめくることにより、肢体が不自由な人が読書できるようにする機器。
リモコンボタンや、呼気・音声・ビッグボタンといった入力支援装置を用いて操作することができます。
書見台
資料が読みやすくなるように、資料を机に対して一定の角度に保持できるようにした台で、持ち運びができるものです。
書見台
リーディングトラッカー
読書補助具のひとつで、タイポスコープやリーディングスリットとも言われています。
読みたい図書のページや、文書の特定の行に焦点を当てながら読み進めることができます。
人によって読みやすい色が異なることがある
LLブック
「LL」はスウェーデン語で「やさしくてわかりやすい」を意味する「Lättläst」(レットラスト)の略です。
知的障害などのために読むことに困難を伴いがちな人を対象に、読みやすい文章、文章の意味を表した絵記号(ピクトグラム)、イラストや写真を用いてわかりやすい形で提供されている本です。
LLブックの紙面
このページは、「千葉県読書バリアフリー推進計画」45ページから49ページまでと同じ内容です。
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