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更新日:令和6(2024)年2月15日

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「都市ボランティア募集説明会&オール千葉おもてなしシンポジウム」(2018年9月9日開催)レポート(2/3)

午前の部講演:「ロンドン大会の都市ボランティアの成功とレガシーから学ぶおもてなしの形」

【講師】デイビッド・バウイ氏(ロンドン2012大会コベントリー市都市ボランティア総括責任者/EnVソーシャルエンタープライズ理事長)

<自己紹介、講演趣旨>

デイビッド・バウイ氏(ロンドン2012大会コベントリー市都市ボランティア総括責任者/EnVソーシャルエンタープライズ理事長)おはようございます。はじめまして。私はデイビッドです(日本語にて。以降は逐次通訳)。今日は千葉県、成田市にお招きいただき、ありがとうございます。冒頭ご覧いただいた映像で、2012年、コベントリーという街でどんな風に都市ボランティアが取り組まれたのかお分かりいただけたのではと思います。

私は、2012年に開催されたロンドンオリンピックの際、コベントリー市の都市ボランティアの企画運営を統括する仕事をしておりました。そのような立場から、本日は、今も続くボランティアのレガシーについて皆様にご紹介したいと思います。

オリンピックの時に都市ボランティアに参加した方に残るもの、それは街に対する誇り、プライドの気持ちです。「あの一大イベントに参加したのだ」、「私があそこにいたからできたのだ」という思いを抱ける、一生に一度の貴重な機会です。本日、皆様にお伝えしたいメインメッセージはただひとつ。「この機会を絶対に逃さず参加してもらいたい」ということです。

<コベントリーの紹介>

  • コベントリーは英国中部にある、英国内で9番目に大きな都市です。ロンドンから150キロ程度にあります。中世の都市を象徴する大聖堂があり、産業としては自動車産業で有名です。人口は34万5千人程度、英国内でも比較的人口が増加している都市です。学生数も多く、また、移民も人口増を支えており、世界的に見ても外に開放された、人々を歓迎する街として知られています。
  • 2012年のオリンピックでは、コベントリーはサッカーのホストシティでした。8日間で12試合が行われ、女子の3位決定戦もコベントリーで行われました。ちなみに決勝はロンドンのウェンブリースタジアムで開催されました。日本女子が出場した2試合、日本男子が出場した1試合がコベントリーで行われました。
  • 2011年、私は、300人の都市ボランティアを採用、研修し、街にボランティアとして送り出しすという役割を担いました。コベントリーにいらした方々を街の最前線でおもてなしするということ、その方々の体験を素晴らしく、質の高いものとすることが目的です。コベントリーの都市ボランティア「コベントリーアンバサダー」は、ボランティア自身がその知識や経験を用いて、質の高いパーソナルな体験をビジターに提供していきました。また、将来、オリンピックのその先の機会においても活動を行おうとする「ボランティアのレガシー」を作っていくことも、当初から重要視されていました。

<都市ボランティアの役割>

都市ボランティアは街の顔として、笑顔で接していきます。アンバサダーの役割に競技会場への道案内があります。フレンドリーでヘルプフル、礼儀正しく、そして積極的に誇りを持って活動することが求められました。競技会場内で活動する大会ボランティアは運営側の業務を裏方としてサポートするのがその役割ですが、都市ボランティアはそれとは異なり、ボランティア自身が都市を代表して人と接していきます都市ボランティアは街の顔として、笑顔で接していきます。すべての観客に対して、競技会場に向かう動線上において、最初の体験を与えるのが都市ボランティアなのです。オリンピックにおいて、もちろん競技観戦から得る印象は大きいですが、都市の印象から得るものが第一印象として大きなインパクトを持ちます。千葉県では現在3千人の都市ボランティアを募集していると聞いていますが、ロンドン大会時に都市ボランティアに期待されていたことと、千葉県の都市ボランティアに期待されることに変わりはないと認識しています。

<募集、応募者の顔ぶれ>

  • 2012年のロンドン大会に向けた都市ボランティアの募集時には、様々なメディアで情報を拡散し、いろんな都市に出向いて説明も行いました。
  • 応募者の中にはボランティアは今回がはじめてという方がとても多かったです。ただ、経験がないからといって、良いボランティアになれないということではありません。フレンドリーで人助けをするのが好き、チームで何かをするのが好きという方にとって、都市ボランティアはとても良い機会だとお勧めすることができます。

<都市ボランティアの研修>

研修プログラムは、ご当地クイズや、ロールプレイングなど実践的でインタラクティブな内容となりました。2012年に向けて、研修プログラムは私が開発を行い、コベントリー大学の同僚とともに実施しました。これはコベントリーアンバサダーのために独自に開発されたもので、ご当地クイズや、ロールプレイイングなど実践的でインタラクティブな内容となりました。研修の参加者からは「自分に何が求められているかがわかったし、今後もボランティアを続けたいというモチベーションにつながった」という感想をいただいています。

コベントリーアンバサダーは2012年以降も活動を継続していますが、130人の新しいボランティアが研修を受け、活動に加わっています。今年に入ってからも40人の新しい方を採用しました。2018年現在、コベントリーアンバサダーは400人となりました。今年に入り9月までの間にすでに250人が活動しています。

 

<都市ボランティアの活動機会>

  • 都市ボランティアには、大会前、大会期間中、そして大会後も活動が用意されました。自分の都市にやってきた海外からのお客様を歓迎し、共にその体験を共有することができるのが、都市ボランティアです。
  • たとえば、2012年に入ってから開催された付随的なイベントでも都市ボランティアは大いに活躍しました。大会誘致活動に尽力したコー男爵セバスチャン訪問時の対応や、「スポーツウィーク」という、2012年の大会後に毎年レガシーとして開催されることになった大型スポーツイベント、「ゴダイバ・アウェイクス」と呼ばれる文化プログラム(ロンドンから100名のサイクリストが訪れた)等が挙げられます。
  • 2012年に330人の都市ボランティアが活動しましたが、その活動時間を合計すると、大会期間中1日当たり延べ1500時間のボランティア時間となり、期間中を合計すると総ボランティア時間は1万4千時間となりました。大会以外でのイベントにおいては1日当たり4000時間、合計して1万8千時間となった計算です。

<都市ボランティアの実際の声>

  • オリンピック後も都市ボランティアの炎を消してはならない、街にとってのレガシーとして残そうと考えていました。ボランティアというのは市の誇りであり、活動者自身も誇りを持って活動しています。2012年、オリンピックにボランティアとして参加された方々は、非常に多くのものを得た、ボランティア活動を続けていきたいと口々におっしゃいました。
  • これから御覧にいれる映像は複数のボランティアの方々の実際の声をまとめたものです。(映像放映)この映像は2週間ほど前に、すべてボランティアにより制作されたもので、ボランティアによってどんなことを得たかを聞いています。「社会性が身について、人とのつながりができた」、「地域のコミュニティに貢献することで使命感や達成感を得た」、「新たな自信に結び付いた」、「街への理解がさらに深まった」等の声が聞こえてきます。

<活動の広がり>

  • 2012年以降、コベントリーは国際的イベントのホストシティとなることが多くなっており、ヨーロッパのスポーツ都市として表彰も受けています。今日、コベントリーアンバサダーはスポーツや芸術・文化イベントなど、様々なシーンをサポートしています。2012年以降、130の行事をサポートし、延べ3万時間のボランティア時間を提供してきました。2016年にはチームGB(英国選手団)の歓迎イベントもサポートしています。こういった事例を見ていただきますと、オリンピックの後も、ボランティアが活動できる場面がたくさんあるということがおわかりいただけると思います。
  • 今年になり新たに始めた「ヤングアンバサダープログラム」もご紹介します。2012年のレガシーのひとつとして、小学生のリーダーシップの機会を創出し、次世代のボランティアを育成しようとするプログラムです。こういったプログラムを通じて、コベントリー市の一員であるという誇りを醸成していきます。現在、日本文化や言語など、日本という国について学んでおり、2020年に向けた活動準備をしています。このプログラムがやがて千葉県内の学校での取組みと何かしらの形でつながっていくと良いとも思っています。(ヤングアンバサダーの映像紹介)
  • こちらの映像を作って編集したのも実はボランティアです。ボランティアタスクグループを作ってボランティアマネジメントをしており、研修による人材育成にも力を入れています。ボランティアはプレス(PR活動)にも関わっており、写真撮影やウェブサイト・ソーシャルメディアの運営、4半期ごとのニュースレターの発行もボランティアが行っています。
  • 新しいボランティアの採用や研修にもボランティアが参画し、新たに加わったボランティアを直接サポートするバディシステム(2人が助け合いながら行動する)も導入しています。また、資金集めやソーシャルイベントを企画するグループもあります。ボランティアデータベースを作ったり、事務作業を支えるボランティアもいます。
  • こうしたボランティアプログラムはコミュニティへの貢献が評価され、多くの表彰を受けています。「クイーンズ・ダイヤモンド・ジュビリー・アワード」(王位即位60周年祝賀賞)、「コベントリー・コミュニティ・コヒージョンアワード」(コベントリー地域結束賞)、「コミュニティ・ビジネス・オブザイヤー2018」の受賞や、「イギリス文化都市2021」にも選ばれました。こうした一連の受賞は市に、新しい投資や新たなイベントを誘致することにもつながっています。

<千葉県の都市ボランティアに寄せて>

都市ボランティアは大会後も、そのスピリットや熱気、情熱といったレガシーを維持し続ける役割があります。2020年に向けて関心を持たれた多くのボランティアが、オリンピック・パラリンピックの後も、地域を支えていくことにつながっていけばと思っています。成田市は東京へも特急で36分、快速でも1時間少々で行くことができるという利便の良い市であり、人口は13万人超、国際空港や歴史的に有名なお寺もあります。また、世界的に活躍するアスリートも多くいらっしゃると聞いています。2015年、世界陸上のアメリカ陸上チームもホストした実績があり、2020年に関しても、アメリカの陸上チームやアイルランドのパラチームの事前キャンプも受け入れる予定とうかがっています。これまでの一連の活動が評価された結果だと思いますし、こうした活動ができる成田市というのは素晴らしい街だと思います。

冒頭に申したとおり、あらためて「この絶好のチャンスを逃さないでいただきたい」ということを最後に重ねてお伝えしたいと思います。こうした機会に参加することで、自分の街を誇りに思い、好きになることができます。それはラスティング・プライド(途切れることのない誇り)となります。都市ボランティアは大会後も、そのスピリットや熱気、情熱といったレガシーを維持し続ける役割があります。共通の体験を通して、一生涯の友人が見つかることもお約束します。最後にお届けする映像でさらにインスピレーションを得ていただければと思います。(映像紹介)

コベントリーより、成田市、そして千葉県に対して、東京オリンピック・パラリンピックへの成功を心よりお祈りしています。ありがとうございました。

QA~参加者から寄せられたご質問と回答

Q:現在、無職で求職中です。半年近く社会に出ていませんが、そのような人でもボランティアをやってもよいのでしょうか。

A.もちろんです。働いている方やそうでない方、学生さん、他のボランティアをしている方…どのような方にも参加してもらいたいと思います。母親であれ、会社の役員であれ、その方が社会においてどんな役割を持っていたとしても、ボランティア活動から得られるものがあると考えています。そして、ボランティア活動実績は履歴書にも書けることです。私たちコベントリーでも、定職がなかった方が、ボランティア活動実績を履歴書に記載し、その後、仕事を得たというケースがあります。転職活動、そしてボランティア活動の今後の成功を応援しています。

Q:ロンドン大会の際、様々な国の方が来られて何かしらトラブルもあったのではないかと思いますが、どう対処したのでしょうか。

A.ボランティア活動していただく上で大きな問題になるようなことは幸いにして起こりませんでした。問題が起こらなかったのは、活動前にしっかり研修を行っていたため、回避できたのだと考えます。研修では、困難な事象や様々な人への対応を想定したロールプレイを行いました。「どこまでがボランティアの役割なのか」ということを研修中にはっきりと確認し、緊急事態や安全面に係ることがあれば各分野の専門スタッフが対応する体制を整えていました。前線に立って活動するとはいえ、笑顔で人々を歓迎し、サポートしていただければ、あとはしかるべき窓口につなぐという方法で対応していきますので、心配なさらずにいていただければと思います。

午前の部のふりかえり

デイビッドさんに加え、事例紹介に登壇いただいた栗栖さんに再度登壇いただき、本日のシンポジウムを振り返ってのコメントをいただきました。

栗栖さん:今回のシンポジウムには本当に多くのお申込みがあったと聞いています。また、実際に本日参加された方々を目の前にして、ボランティアへの関心の高さをうかがえました。デイビッドさんの話をきいて、ボランティアは自分ができることから始めることができる、また、自分のライフスタイルに合わせて、好きなことや得意なことを生かして参加できるものだと思いました。印象的だったのは「ボランティアがその都市の顔となる」ということ。2020年、たくさんの笑顔でお客様を迎えることができたらと思いました。

デイビッドさん:日本に、そして成田にてこのように歓迎いただいたことに深く感謝申し上げます。オリンピックに先立ち、これだけの方が関心を持たれていることに感動しました。今回の日本滞在中、様々な都市で講演をさせてもらいましたが、2020に向けて日本では着々と準備がすすんでいるということがわかりました。申し上げたいのは、ランティアはきちっと取組むことが必要なものである一方で、活動はとても楽しいもので、活動を通して得るものは非常に大きいということです。2020年の大会期間中にはたくさんの重要な人々に出会えると思いますが、重要な人というのは何も有名人だけのことをいうわけではありません。大会を成功に導くボランティアに参加する方々こそが大事な人たちだと思っています。

 

講演を聴いた参加者の声~アンケート結果より~

多くのご感想、メッセージを頂戴しました。以下、一部をご紹介させていただきます。

  • UKからわざわざ講師がきてくださったことに驚いた。生の声、他国での活動の実際を知ることができて、とても参考になりました。コベントリーに負けじと自信を持ってホストしたいなと思いました。
  • 私も「都市の顔」になれるよう、準備していきたいです。
  • ボランティアに参加して残るもの、それは「プライド」であるというのは感動的。
  • やる気があっても、外国語が苦手だったり、ボランティア経験が乏しかったりすると、応募してはいけないのかなと思っていましたが、デイビッドさんから「もし経験が少なくても参加したい気持ちがあるならやってみるべき」という言葉をいただけて、救われた気がしました。
  • オリンピック・パラリンピックでのボランティアは、ボランティアのファーストステップで、ずっと続けていけるものであることがわかりました。
  • 「ヤングアンバサダー」について千葉でも進めていただきたいと思います。小学生の子どもがとても興味を持っています。

 

お問い合わせ

所属課室:環境生活部県民生活課県民活動推進班

電話番号:043-223-4147

ファックス番号:043-221-5858

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