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更新日:令和4(2022)年11月7日
ページ番号:12728
BCP(事業継続計画)とは、大震災・風水害・感染症等の緊急事態発生時に、損害を最小限にとどめつつ、事業継続・早期復興ができるよう、平常時に行うべき活動や緊急時における対応方法・手段等を決めておく計画のことです。
このBCPに関して、BCP策定支援に豊富な経験を持つ富士通株式会社特別顧問の関根さんから特別寄稿をいただいたコラムを掲載します。
富士通株式会社顧問、ジスクソフト株式会社顧問
関根英雄
第1回で述べたように、近年のビジネススピードは大幅に加速され、災害発生時の企業の対応力の差でも、厳しい評価を受けることになります。
このような状況の下で、災害の脅威とどのように向かい合って会社の事業を継続して行くか、経営トップの大きな課題の一つになります
しかしながら一方で、「いつ来るかわからない災害に投資は出来ない?」と言う経営者の方が多いのも現実です。
このような背景も踏まえた上で、不測の事態に備えるためのポイントは、先ず、被災時に最も早い時間で再立ち上げが必要となる自社の「重要業務」を決めることになります。
被災を想定した時の、自社の損益への影響、お客様、取引先様との信頼関係などから、重要業務は必然的に明らかになって来ると思われますが、現場サイドの意見も十分に反映して決めておく事が重要となります。
次に、1)項で決められた重要業務について、災害発生から復旧までの、「目標復旧時間」を明確にすることになります。
お客様や取引先に大きな影響を与えることなく、自社の損益をしっかり確保して、被災後の会社の存続を果たすためにも、重要業務の「目標復旧時間」を定め、その「実行力」を明らかにしておくことが大切になります。
ここで、問題になることが、被災時に社員総出で気力と体力で復旧作業に取り組む現状の復旧能力と、新たに定めた「目標復旧時間」の間に大きな時間のギャップが出ることです。
例えば、現状で復旧に10日かかるところを、3日以内での再稼働とした場合、早期復旧を妨げるさまざまなボトルネックの解消が必要になってきます。
次のポイントは、業務再開の「足かせ」になるボトルネックの計画的な解消です。例えば、製造業では再調達が難しい「金型」がネックとなったり、金融業では消失してしまった、大切な「お客様情報」の復元がネックであったりします。
ボトルネックは、被災時に業務の復旧を阻害する要因であり、各社、各業種でそれぞれ異なります。潜在するボトルネックを洗い出すことと、その対策を事前に施しておくことで、万が一の災害に備えることが重要になります。
災害対策・事業継続の施策では、はじめから完璧を目指すのではなく、緊急性の高い案件から、徐々にできる範囲で継続して対策を進めて行くことが大切になります。
次回は、「あなたの会社は危機をどう乗り越えるか」について、掲載します。
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