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更新日:令和4(2022)年11月7日
ページ番号:12727
BCP(事業継続計画)とは、大震災・風水害・感染症等の緊急事態発生時に、損害を最小限にとどめつつ、事業継続・早期復興ができるよう、平常時に行うべき活動や緊急時における対応方法・手段等を決めておく計画のことです。
このBCPに関して、BCP策定支援に豊富な経験を持つ富士通株式会社特別顧問の関根さんから特別寄稿をいただいたコラムを掲載します。
富士通株式会社顧問、ジスクソフト株式会社顧問
関根英雄
近年、国内外で私たちのビジネスを脅かすさまざまな災害が続いています。
国内では、地震や集中豪雨などの災害が次から次と発生し企業活動にもさまざまな影響をもたらしています。
大きな地震だけでもこの20年以内に、阪神淡路大地震、新潟中越地震、新潟中越沖地震、さらに東日本大震災などが発生しそれぞれ甚大な被害が発生しています。
また、多くの日本企業が進出しているタイ国の工業団地でも、2011年10月に発生した大洪水によって、各企業が大きな被害を受けています。
同年12月に経済産業省から出された緊急調査からは、この大洪水の被害を受けた対象の55拠点において、操業を再開するまでに3~6ケ月以上とする企業が全体の76%にのぼり、この内35%の企業では操業再開の見通しが立たないとされていました。
また、東日本大震災後の事業中断状況調査(帝国データバンク調査)においても、調査対象となった約6千社のうち事業再開までに6ケ月以上を要する企業が全体の27%に及ぶという結果が出されています。
近年、大災害などの「不測の事態に備える」ことが求められる最大の要因が「ビジネススピードの変化」にあると考えられます。
阪神淡路大震災時と比べても、ビジネスのスピードは何倍も何十倍も速くなっているのが現状です。
以前は、災害により被災した時でも、お客様や取引先の方々が3ケ月以上でも待っていてくれたケースがあったと言われていますが、はたして今のスピードの時代で同様なことが通用するのでしょうか?
あらゆるビジネスでスピードが求められる時代に、不幸にして被災してしまった会社の再起を長期間待ってくれる環境ではなくなってきているのが現実です。
ある製造会社では、被災した部品メーカーの操業再開を待たず、最終的にエンドユーザへの納品期限を守るために、他社からの部品調達に切り替えて自社の生産活動の継続を優先しました。
被災した企業は大きな被害を受けた上に、大切な取引先を失う最悪の事態に陥りました。
このような事例からも、「まさかと思うような不測の事態」が発生した場合でも、自社の被害を最小限に食い止めて、速やかに業務が再開できるような具体的な施策が求められます。
不測の事態に備えて、事業を継続して行くためには、緊急を要する対策と、中長期的に対策を進める案件を明らかにして適宜改善を実行して行くことが重要になります。
次回は、「災害の脅威にどう備えるか」について、掲載します。
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