臨床工学科ではたらく魅力
オールラウンダーの臨床工学技士として成長できる場所
千葉県循環器病センター 臨床工学科主任上席専門員 富岡 圭一郎
臨床工学技士に期待される役割は拡大を続ける
--富岡さんのキャリアについて教えてください。
私は、もともと看護師でした。はじめも県立病院で勤務していたのですが、一旦退職して臨床工学技士となり、再び縁あって千葉県に採用されました。その後はずっとこの千葉県循環器病センターで勤務しています。
--なぜ臨床工学技士になったのですか?
男性看護師は今ほど多くなく配属先も限定的であったので、長く働き続けられるか不安に思っていました。ちょうどその頃、現場で先輩の臨床工学技士の働きぶりを見て、想像より裁量権が大きいことに気づいたんです。「自分が臨床工学技士として働けば、看護師はもっと患者さんと関わる時間が持てる」という思いもあったので、20代半ばで臨床工学技士になりました。
--臨床工学技士の役割はどう変わりましたか?
かつては「医療機器を扱う専門家」というイメージだったかと思います。しかし今は、医師や看護師の代わりとなって関わる医療行為が増えています。たとえば、生命維持管理装置を装着した患者さんへの薬や点滴の投与などができるようになりました。
技術的なスキルだけでなく、コミュニケーション能力も求められています。透析の患者さんとは何十年もおつきあいする関係になりますが、臨床工学技士は、透析機器や回路だけを扱う職種ではありません。患者さんとの関係性は、まさに人対人です。加えて、医師や看護師との関係性も加わってきます。
若いうちに幅広い業務を経験できる魅力
--千葉県循環器病センターで働く魅力とは?
オールラウンダーになれる可能性があり、自分の適性や希望を見極めたうえで将来のキャリアを考えられることだと思っています。
若い方は、大病院や都心の病院に惹かれるケースが多いように思いますが、大きな組織では担当がはっきり分かれている傾向にあると聞きます。つまり配属によっては、必ずしも希望の業務を担当できるとは限りません。
人工心肺業務を希望したとしても、透析部門に配属になってしまえば、人工心肺業務に携わることは出来ません。一方で、当院は病床数もスタッフ数も限られるからこそ、1人の技士が広範囲の業務に対応する必要があります。若手のうちから多くの業務や人工心肺・透析などの重要な処置を行えることは、貴重な経験になると思っています。
若手の成長を考慮した業務担当プログラム
--若手職員をサポートする体制はいかがでしょうか?
人工心肺や透析業務に、すぐに入ってもらいます。輸液ポンプなどの機器管理業務が、新人さんにとっては入りやすい業務なのかもしれませんが、そういう業務は後からいくらでも出来ます。
人工心肺や透析のような、技術や知識とともに、コミュニケーション能力を求められる業務に、早期からチャレンジしてもらう。もちろん、そこには常に先輩技師のサポートがある。そういう環境に、早期の段階から、身を置くことによって、技師として成長していただけると考えています。
なんでも教えるので、臆せずに飛び込んできてほしいと思います。たくさんの難しい業務に挑戦すればするほど、短期間で一人前になれるというのが当院の考え方であり、特長だとも思っています。
--病院外の周辺環境はどうでしょうか?
良くも悪くも周囲には遊べる環境がありません。寮もありますので、お金はたまる可能性が高いです(笑)
自然には恵まれています。市原市は、日本一ゴルフ場の多い市ですし、車で30分ちょっとで、東京オリンピックのサーフィンの競技会場になった一宮町の釣ヶ先海岸に行くこともできます。また、寮を出てアパートで住むとしても、周辺の市町村ならば、基本駐車場付きです。 なので、アウトドア好きや、クルマやバイク好きの方にとってはいい環境下だと思います
また公務員として福利厚生などの待遇面がしっかりしているのも魅力と言えると思います。民間病院では職員の入れ替わりが激しい環境もあると聞きますので、仕事に集中しやすいと言っていいでしょう。
楽しくお仕事をしつつ、チャレンジしてほしい
--どのような人にチャレンジしてほしいですか?
元気でコミュニケーションを取れる人だといいですね。患者さんのために適切なケアを進めるには、医師や看護師とディ スカッションする必要があります。ときには「その処置は本当に必要ですか?」と医師へ問わなくてはならない場面も出てきます。
また自分次第でどんどん仕事のチャンスは拡大します。学力よりも、向上意欲の高さがその後の成長には大きく影響すると思っています。
--入職を考えている方へのメッセージをお願いします。
病院選びという意味ではいろんな選択肢があると思います。「仕事は、そこそこでいい」というのも選択肢であり否定はしません。しかし、少しは必要とされる存在になりたい、と思うのであれば、若いうちにこそ、チャレンジしてもらいたいと思います。
臨床工学技士として関わった多くの患者さんが回復、退院し、感謝していただくこともある一方で、自分が無力だと思うことも多く、厳しい環境だとも感じます。だからこそ、私たちは研鑽を積んでいく必要があります。一緒に成長を目指せる方の挑戦を心からお待ちしています。