平成26年度第2回千葉県行政改革審議会の概要
1.日時
平成26年8月7日(木曜日)午後3時から5時10分
2.場所
県庁本庁舎5階特別会議室
3.出席者
【委員】辻委員(会長)、鈴木委員、石井委員、片岡委員、宮入委員、若松委員
【県】岩崎総務部次長、横山行政改革推進課長、岡田総務課副課長
4.会議次第
- 開会
- 議題
(1)第1回千葉県行政改革審議会における委員意見の整理について
(2)民間企業の取組と本県の状況等について
- その他
- 閉会
配付資料
資料1第1回千葉県行政改革審議会における委員意見の整理(PDF:116KB)
資料2-1民間企業へのヒアリング調査について(PDF:87KB)
資料2-2民間企業の取組(人材育成・高齢職員の活用等)と本県の状況等(PDF:170KB)
資料2-3民間企業における人材育成の体系(PDF:187KB)
資料3千葉県における職員能力開発の体系(PDF:300KB)
資料4スケジュール(PDF:36KB)
資料5論点の整理(第1回千葉県行政改革審議会配布資料)(PDF:192KB)
5.委員の意見等
- どこの企業でも、人材育成、能力開発、人事評価は苦労している課題である。民間企業に比べ県庁は異動が激しく、民間企業と体質の違いがある。県庁の人事評価は民間とは違った難しさがある。
- 企業の取組について取りまとめていただいたが、いずれもグローバルな経営環境にある大企業であり、これらの取組が県庁に当てはまるか、よく考えた方がいい。県内の上場企業も調べてみてはどうか。
- 民間では、定年後の外部からの求人に対し、優秀な人材を優先して紹介し、残った人を再任用として面倒をみるというやり方をしている企業もある。退職管理の手法は企業によって様々であり、県独自のやり方を作ったら良いのではないか。
- 基本は、千葉県の公務員としてどうして働くのか、なぜ県庁に入ったのか、このことをもっと掘り下げて職員の処遇を考える必要がある。大いに議論をして県独自の制度を作るべきと考える。人事、組織のあり方については、絶対にこれがいいというものはない。納得性があるかということが組織を作る上で大切である。常に試行錯誤していくものである。
- 千葉県の研修体系は良くできているが、求める能力を業務に関連づけ、職員の主体的な能力開発を促すといったやり方は難しい。上司と部下の人間的なつきあいの中で色々なことを学ぶことも大切である。組織に魂や血や人間性を入れていくことで、県庁全体の組織力が上がると思う。
- 抜てき人事は、他の職員が納得できるものでないといけない。職員の不満により組織全体の力を低下させていないか、という視点を持つことも大切である。
- 新卒で同期という意識があるから、抜てき人事が問題になる。民間企業の職務給制度においては、その職務をできる人がそこに配置されるということなので、年齢や入社年次は関係ない。完全にそこにもっていくのは時間がかかるが、終身雇用の年功序列という状況は、民間企業では既に崩れている。管理職になりたくない、専門性を伸ばしたいという人も出てきている中で、色々な意味での多様性を認めていくことのできる組織がこれからは活性化した組織となっていくのではないか。価値観を転換することが大事だと思う。
- 色々な意味での多様性が増えてきている中で、一律にこうあるべきだという昇進・昇格のイメージは払しょくしていかなければならないのではないか。県庁では異動が激しい中で、効率的な業務を行うためにネットワークが大事にされているが、縦・横・斜めの様々なネットワークがあるといいと思う。研修等の場を使ってネットワークするということは賛成である。
- 日本人とアメリカ人とを比較すると、キャリアチェンジの意識に大きな違いがある。日本では、年功的な制度が機能していたこともあり、全体としてキャリアチェンジに抵抗感がある。公務員は、特にそうした感覚が強いのではないか。
- 県庁職員は、ジョブローテーションが短い中で、様々な業務を遂行することのできる能力が養われている。民間とは違うコアスキルがあるのではないか。これまで培ってきた能力を棚卸して、セカンドキャリアで活用できるのかを明確にするといいのではないか。
- 50歳半ばで、セカンドキャリアセミナー等で、活躍しているOBの話や民間企業の話を聞くなどの情報提供を受けることにより、その後伸ばすべき能力等をイメージしやすくなるのではないか。
- セカンドキャリアの方にもメンター(個別支援を行う者)を置いたらどうか。メンタリング(メンターと面談)することにより、人事のミスマッチを防ぐなど、庁内でセカンドキャリアがスムーズに働ける支援体制を整えることもできるのではないか。
- 退職後の活躍の場を考えるとき、現職中にどれだけ多くの人と会って話をして、どれだけ沢山勉強したかという人的なネットワークも大事である。県庁は人材の宝庫である。本人の気持ち次第で、県庁職員も外に行って色々な仕事ができる。
- 人的ネットワークを広げることは、職員の能力を高める上で役立つ。積極的に民間との協働に努め、互いに能力を高められるようなオープンな環境を作ることができないか。
- ネットワークを外に作るのは非常に重要なことだが、公務員のコンプライアンスに厳しい視線が注がれる中で、地方公務員法その他の服務規程に照らし、公正な職務執行の確保に留意する必要がある。
- 県職員は業界をひっぱったり仕組みを変えたりするなど大変な仕事をしている。規制緩和の問題も含め、行政のマネジメントが重視される時代となった。決まり切った仕事だけでなく、今までとは違う局面での新たな対応能力が県庁職員には必要となっている。
- 研修体系はしっかりしているが、研修を受ける職員の意識はどうなっているのか。階層別は必修となっているが、選択制のパワーアップ研修について、職員が意欲的に受講するようになっているのか。
- 企業と比較して、千葉県の研修のパッケージ自体は遜色ないと思う。グローバルで海外に展開し、場合によっては会社を飛び出してスタートアップするという人たちが多い会社の社員と県庁の職員とでは仕事に対する価値観が異なると思う。民間と県庁とでは人材育成の前提の部分が違う。そこを考慮して、県庁職員に合ったプログラムやキャリアデザインの仕方を考えるべきである。
- 県庁職員は2~3年で職場が変わる中で、どのようにモチベーションやキャリア意識を持つことができるのか。前向きにネットワークや知識・経験を蓄えて、ゼネラリスト的に、県庁組織を飛び出してベンチャー企業に参画できるような人材となることもできるのではないか。
- 人事のローテーションを短くすることは、プラスとマイナスの両面がある。同一部署に長期に配置されることにより専門性は高まるが、職員の業務意欲の低下や組織の縦割りを助長するといった弊害もある。また、業者との癒着を排除するといった配慮から、近年では自治体職員のジョブローテーションは短くなる傾向にある。今後ますます市町村への権限移譲と民間委託への流れが続いていくことを考えると、単純にジョブローテーションを長くするということは難しいのではないか。千葉県のサイズを考えた時に、どの程度の専門性を作って、どの程度のジョブローテーションをすればいいのかは、考えていかなければならない課題である。
- 昔に比べると、研修を熱心に受講するという風潮はなくなっていると思う。理由としては、職員が高齢化してきて、研修で年若い人が一生懸命学ぶという傾向が薄れてきているということ。また、職場に余裕がなくなってきているので、なかなか一日空けて研修に行けないという事情もある。職員が成長するような研修の場合には、オブリゲーション(負担)を伴うので、将来の昇任・昇格等の一材料にするくらいの前提がないと難しいのではないか。民間企業で行われてきた研修のあり方を踏まえつつ、一部必修化を図るなど、研修にインセンティブ(研修の受講を促す要因)を与えるべきではないか。
- 民間企業の場合、大前提として人事評価を徹底して行っているということがあり、成果主義が厳しい中で、成果主義の見直しや成果主義にとらわれない人材育成などを行っている。県の場合は、昇給に回せる原資も限られているという状況もあり、成果主義の導入は限定的であった。5月に地方公務員法が改正され、28年4月から人事評価のやり方をパワーアップしていかなければならないということになっているので、人材育成の根本に人事評価を据えて、人事評価を通じた業績評価と能力評価を土台に、能力評価を担うものとして各種研修を考えるという形で持っていくのが正攻法でないか。
- 職位については、整理していく流れの中で、職位・階層をしっかり位置付けて分かりやすくする方向で進めていくべきである。
- 顔見知り同士で研修を受けると、プレッシャーもなく心に残らなかったりする。異業種の人と協同して一緒に成果を出すようなスタイルの研修をすると、個人にとっては刺激になるケースが多い。外部の研修に参加するような研修のあり方を検討してもいいのではないか。
- ワークライフバランスのあり方について、女性職員や女性管理職に提案をしてもらったらいいのではないか。女性が生き生きと働ける環境をどうやったら整えられるのかが大きな課題になる。
- 千葉県庁の場合、労働時間が長くなる傾向がある。管理職の帰りが遅いと、一般職員は帰れない。夜遅くなるなら、朝方の早出残業の方がいいのではないか。行政が担うべき領域が拡大され、仕事が増えているのは確かだが、行政文化の中で無駄が生じているところはないのか。労働時間内に業務が上手く回るように、業務の効率化を各課で競わせたらどうか。
- 時間外を減らす取組をしているのであれば、目標を出した上で評価しないといけない。
- なぜ女性を活用しなければいけないのかというところを、もう少し明確化する必要がある。社会の半分は女性であり、公共サービスを提供する側としても、女性の視点がちゃんと反映されているかに留意し、女性が半分いないと上手くいかないという覚悟を決めてやっていく必要がある。それらを踏まえて、女性を活かすにはどのような仕組みが必要なのかを検討することが大事だと思う。
- 県庁や政令指定都市の管理職になる女性は非常に優秀だと思う。特に、形のないところでイメージを作って周りを巻き込んで動かしていく力は、女性の得意なところではないかと思っている。権威の中でもおかしいことに対して積極的に発言できるのも女性の強み。積極的に女性の意見を聞こうとするのであれば、女性のチームを作るのも有効だろう。国や企業で女性チームによる提言が行われている事例がある。県庁でも、女性の視点で業務改善などの意見を収集したらいいのではないか。
- 県庁と接していると不思議に思うことがたくさんある。ある会議では、大量の資料が事前送付され、事前説明もあり、当日も資料が配られた。紙がもったいないし、わざわざ説明に来なくてもよいのではないか。これまでのやり方をこうあるべきだと思いこむのではなく、変えていく努力をしないと、どんどん仕事は増えていく。異動が頻繁ということは、企画者と実行者が違うという状態になる。そもそも何のためにやるのか、本当に必要なことなのか、別のやり方に変えられないのかと常に考えて仕事を進めるべきである。若い方や女性がどんどん提言する機会を設ければ、県庁の組織文化も少しずつ変えていけるのではないか。
- 会議の運営の仕方にしても、いちいち説明に行ったり、事前に資料を送り、当日にも配布したりと、時間にしても紙にしても無駄が結構あるのではないか。会議の持ち方を研修の項目の一つに入れてもいいくらいである。会議の運営などOJTで当たり前に習得すべきものと思われるが、そうでない部署もある。そういうことは教えていくべき。
- 無駄な仕事をどれだけ減らせるかは、課長や担当が本質的に仕事を分かっているかということ。仕事が見えていれば無駄を省けるし、見えていなければ試行錯誤でやっていかなければならない。県庁にはやりすぎの文化があり、それを減らさなければならないということがあるが、その文化が生じた背景にはそれなりの理由があるので、ある程度試行錯誤しながら、色々気を付けて改善していかなければならない。
- 県庁職員について、現行の勤務体系を前提とした形で給与支給を考えるとなると、今の事務処理水準を維持できるのか。ワークライフバランスも考慮しながら、県民の皆さんが県庁職員が十分仕事をしていると納得できるような仕事をしていただきたい。
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