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更新日:令和5(2023)年10月31日
ページ番号:9884
労働者Aさんは、同僚社員とのトラブルを巡って上司から一方的に責められたはずみに「辞める」と言ってしまい、その直後、上司の威圧的な言動に押されて退職届を書いてしまった。しかし、このまま退職することに納得いかないので、退職届の撤回及び雇用継続を求め、あっせん申請した。
あっせんの結果、Aさんは会社都合による退職とし、使用者は解決金を支払うとともに職場の対応に不十分な点があったことに対し遺憾の意を示して解決した。
労働者Bさんは、正しい作業手順を教えてもらえずにミスをし、上司から罵倒されるのはいじめとしか思えないとして、職場環境の是正、いじめに対する謝罪を求め、あっせん申請した。
あっせんの結果、使用者は、わかりやすい作業手順書を作り周知していくこと、指示の流れを明確にすること、労使双方が信頼関係を築き、良好な職場環境づくりに努めることで合意し、解決した。
労働者Cさんは、会社から治療・リハビリ期間は休業扱いとすると言われていたにもかかわらず、職場復帰を申し出たところ突然解雇を告げられた。会社の対応は不誠実であるとして、金銭的補償、慰謝料を求め、あっせん申請した。
Cさんには復職の意思はなく、使用者からも退職に伴う補償を行うとの意向が示されたことから、あっせんでは補償金額についての調整が図られ、労使双方で合意ができ、解決した。
労働者Dさんは、期限のある契約社員として働いていたが、会社は、Dさんを職務能力の不足を理由に、期限の1か月前に雇止めとした。これに納得できないDさんは、雇止めの撤回と謝罪を求め、あっせん申請した。
あっせんの結果、会社は、Dさんの名誉回復のため雇止めを撤回し、自己都合退職とすることとした。また、会社の対応が不充分であったことを口頭でDさんに謝罪し、解決した。
労働者Eさんは、留学のため退職し、その後パートとして同じ会社に再就職して、専門性の高い仕事を担当した。しかし、突然会社から、「Eさんの担当業務が事業縮小のためなくなるので、辞めてください。」と言われた。Eさんは、解雇理由について、再三再四説明・文書の提出を求めたが、会社からの対応はなかった。
Eさんは、業務を問題なく遂行し、成果を出しているのに、全く納得できないとして、解雇の撤回を求め、あっせん申請した。
会社は解雇の撤回にあたり、Eさんに代替業務を用意したが、専門性を活かせない単純な作業であり、時給も大幅に下がるというものだった。Eさんは、この条件を受け入れず、金銭による解決を希望した。
あっせんでは、会社都合での退職であることを前提に調整したところ、解決金額について合意が整い、解決した。
労働者Fさんは、正社員として勤務していたが、異動してきた直属の上司からパワーハラスメントを受けるようになった。Fさんは、パワーハラスメントを止めさせるよう、他の上司に相談したが、状況は改善されなかった。しばらくして、Fさんは、パワーハラスメントにより、精神疾患を発症し、休職せざるを得なくなった。そこで、職場からパワーハラスメントをなくすことや、パワーハラスメントを放置した会社の安全配慮義務違反に対する補償を求め、あっせん申請した。
会社に事情を聞くと、調査したが、パワーハラスメントの事実は確認できなかったこと、Fさんに対しては、メンタルヘルス面で会社としてできる限りの対応を取ったことを主張した。一方、Fさんに事情を聞くと、改善された職場への復帰、金銭補償による退職、どちらでもいいとの意向だった。そこで、あっせんでは、まだ治療を続けているFさんの体調も考慮し、金銭補償による退職の方向で調整したところ、解決金額について双方の合意が整い、解決した。
労働者Gさんは、パートとして勤務していたが、あるとき、職場のトラブルについて、上司の指示に従わなかったとして、一方的に解雇予告を受けた。Gさんは会社に解雇理由を確認したが、「職場のトラブルについて、会社の指示に従わず、トラブルについて、誤解が生じるような言動を行ったため」というもので、その理由はまったく思い当たらなかった。そこで、Gさんは一方的に解雇予告の撤回を求め、あっせん申請した。
会社に事情を聞くと、今回の指示違反のほかに、日常的に問題行動があったため、解雇することとしたもので、会社としては、解雇予告の撤回はできず、その他、何らの補償も考えていないと主張した。一方、Gさんに事情を聞くと、好きな職場であり、職場復帰を望むが、金銭補償による退職も考慮するとのことだった。そこで、あっせんでは、会社の主張にも理解を示しつつ、解雇に至る過程で不充分な対応があったことから、金銭補償による退職について会社に提案した。会社側も最終的にこの提案を了承し、解決した。
労働者Hさんは、正社員として勤務していたが、異動先の上司からパワーハラスメントを受けるようになった。Hさんは、パワーハラスメントを止めさせるよう、会社に相談したところ、会社はすぐに、その上司に事情聴取を行い、パワーハラスメントの事実を確認し、その上司からHさんに謝罪させた。さらに会社は、Hさんが安心して勤務できるよう、別の部署に異動させた。しかし、新しい部署は仕事がむずかしく、Hさんは退職することとした。Hさんはパワーハラスメントについて会社の謝罪は不充分であるとして、過去のボーナスの引下げ分に対する補償と併せ、あっせん申請した。(なお、本件は、千葉労働局のあっせんが不調となった後、当委員会にあっせん申請したものである。)
会社に事情を聞くと、パワーハラスメントについては、すぐに行為者に事情聴取し、Hさんに謝罪させており、会社として充分な対応を取ったことを主張した。しかし、Hさんのボーナスを突然、大幅に減額することは、説明不足の上、合理性がないので、会社にも問題がある旨、あっせん員から指摘した。今後、労働審判等で、ボーナスの大幅減額の補償を求められれば、会社としては支払が必要となる可能性を会社も考慮して、金銭解決することを承諾し、解決した。
労働者Iさんは、パート社員として働いていたが、あるとき会社は、Iさんを職務能力の不足を理由に、一方的に職種変更を通告した。これに納得できないIさんは、現在の職種での雇用の継続を求め、あっせん申請した。
会社に事情を聞くと、現在のIさんの担当業務は、Iさんには過大な負担になっているので、Iさんに配慮して、職種変更を申し入れたものと説明があった。そこであっせん員は、会社の説明不足がこの問題の一因と考え、会社に具体的な新たな職種での勤務先、勤務条件が示せないか確認したところ、今の職場より通勤が楽で、賃金等の労働条件も同じ職場が提示された。また、会社の対応が不充分であったことについての謝罪もあった。Iさんは、新しい勤務先と会社の謝罪を受け入れ、解決した。
労働者Jさんは、正社員として働いていたが、あるとき会社から突然「会社の経営難のために解雇することになった」と告げられた。同時に手渡された解雇予告通知書にも解雇の理由として「事業の縮小その他事業の運営上やむを得ない事情により従業員の減員等が必要となった」と記載されていた。Jさんは労働法の知識があったため「これは整理解雇ですか」と尋ねた。また、「整理解雇が認められるためには、いわゆる四要件が必要ですが、それらを満たしたと言えるのですか」と質問したが、会社から、納得のいく回答はなかった。そこで、Jさんは解雇の撤回を求め、あっせん申請した。
会社に事情を聞くと、経営状況が厳しく、従業員の減員が必要になったもので、会社が何らかの補償する必要はないと主張した。しかし、Jさんの言うように、整理解雇の四要件を満たしていない可能性もある旨、あっせん員が会社に話した。すると、会社も歩み寄りを見せ、解雇の撤回はむずかしいが、金銭による解決であれば検討するとした。あっせんでは、会社都合での退職であることや、あっせんの内容を他の社員等に口外しないことなどを条件として、解決金額について合意が整い、解決した。
労働者Kさんは、資格を生かした正社員として働いていたが、あるとき会社から突然「今月末で辞めてほしい」と解雇予告を受けた。Kさんは「辞めたくない。」と主張したが、取り合ってもらえなかった。その後も退職についての話合いをするが、平行線をたどり、Kさんはやむを得ず、退職することとなった。Kさんは、解雇について、納得がいかず、不当解雇に対する謝罪と補償を求め、あっせん申請した。
会社に事情を聞くと、Kさんは顧客とトラブルが多く、そのトラブル対応に会社が苦慮していたと主張した。また、創業以来、はじめて、Kさんによる顧客とのトラブルが原因で、契約解除に至ってしまった件も続出し、会社としては、Kさんが原因で大きな損害を被っており、これ以上損害を増やさないために、やむを得ず退職いただいたものと、退職の経緯を説明した。
あっせん員は、会社の説明に理解を示しながらも、退職に至る経緯では、やや、会社に配慮に欠ける対応もあったのでは、と指摘すると、会社もそれを認め、金銭による解決を了承した。そこで、あっせん員が解決金の金額等について双方の意向を調整し、労使双方の合意が得られ、解決した。
労働者Lさんは、パートとして勤務を始めたが、ある採用条件が満たされていないことに気づき、直属の上司に改善を訴えたところ、「ある程度、時間をおいてから適用する。」と言われた。Lさんは納得できず、本社に直接訴えたところ、解雇を言い渡された。そこでLさんは、不当解雇に対する補償を求め、あっせん申請した。
会社に事情を聞くと、その採用条件は、パート職員には原則として適用にならず、もし、適用される場合には勤務形態等に確認から時間がかかる旨、あらかじめ、採用面接のときに説明したと主張した。逆に、解雇後も、Lさんは、解雇不当を会社に強く訴え続け、その行為に女性社員がおびえる等、対応に苦慮している状況との説明があった。
そこで、あっせん員は、このような事情での解雇は、労働契約法に定める「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」にあたる可能性も高いことから、会社に金銭解決の意向があるか確認すると、ある程度の解決金の用意があるとの回答だった。あっせん員は解決金額について双方の意向を調整し、労使双方の合意が得られ、解決した。
労働者Mさんは、正社員として採用内定を受け、すぐに雇用契約書を締結した。しかし、3日後、会社から電話で、他の人を採用したので、契約を取り消す旨の連絡を受けた。Mさんはこれに納得できず、採用内定の取消によって受けた経済的損失に対する補償を求めて、あっせん申請した。
会社に事情を聞くと、Mさんは、採用面接の際、重要な事項で事実と異なる発言があり、会社の運営に支障を来すことから、やむを得ず、採用内定を取り消したものと主張した。一方、Mさんは、このようにトラブルになった会社にはもう勤務する気はないと主張した。そこで、あっせん員は、会社に金銭解決の意向があるか確認すると、一日も就労していないMさんに、賃金何か月分もの金額は無理だが、ある程度の解決金は支払うとした。あっせん員は解決金額について双方の意向を調整し、労使双方の合意が得られ、解決した。Mさんは、解決金額は求めたものより低かったものの、自分の問題をあっせん員3名が真摯に取り扱ってくれたことで、採用取消についての心の中のわだかまりが完全に解消し、厚く感謝しているとの謝意が示された。
労働者Nさんは、正社員として採用されたが、あるとき、給与明細を見ると、基本給が下がっていることに気づいた。会社に質問すると、基本給と残業代の合計は今までと同じ額との説明だった。おかしいと考えたNさんは、会社に抗議すると、自宅待機処分を受けた。Nさんはこれに納得できず、一方的な基本給引下げの撤回及び不当な自宅待機の撤回を求めて、あっせん申請した。
会社に事情を聞くと、基本給引下げについては、充分説明しており、本人の承諾も書面で取っているにもかかわらず、Nさんは、抗議として会社役員に就業規則の懲戒解雇に該当するような暴力的行為をしたと主張した。また、自宅待機処分などしておらず、暴力的行為の事件以降、Nさんが無断で出社しなくなったもので、ずっと無断欠勤しているとの扱いになっているとした。一方、Nさんは、復職を強く希望していた。そこで、あっせん員は、Nさんの復職について会社に確認するも、暴力的行為等を背景に、復職は困難との回答だった。そこで、あっせん員は金銭解決の方向で調整を行った。その結果、会社のある情報についての守秘義務等の条件を加え、双方が合意し、解決した。
労働者Oさんは、正社員として採用されたが、あるとき、会社とトラブルになり、その後、突然、解雇を通告された。Oさんは納得できないとして、何度も解雇撤回を求めて会社と交渉したが、状況は変わらなかった。
そこでOさんは、解雇の撤回を求めて、あっせん申請した。
会社に事情を聞くと、次のとおりであった。Oさんは日ごろから接客態度が悪く、顧客からの苦情も多かったが、改善を期待して、指導しながら雇用してきた。しかし、全く、改善は見られず、逆に最近では、ある女性社員にセクハラ行為を行うようになり、何度も注意したが、セクハラ行為を続けていた。その女性社員はOさんを恐がり、Oさんと二人きりになる時間帯は、会社側に同席を求めるに至った。このような状況を放置できず、会社は、やむを得ず、Oさんを解雇したもので、本来なら懲戒解雇だが、温情判決で、普通解雇にしたものと主張した。この状況から復職は困難で、あっせん員は金銭解決の方向で調整を行った。労使の解決金の意向には、非常に大きい開きがあり、あっせんは難航した。そこで、あっせん員は、金銭以外の退職条件でも双方の意向を調整し、双方にこの場で解決することのメリットを伝え、その結果、最終的に双方が合意し、解決した。
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